育児休業

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育児休業(いくじきゅうぎょう)とは、子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことである。事業所により就業規則などで独自の上乗せ規定を設けられている場合もあるが、本項目では、1991年に制定された育児介護休業法によって定められた育児休業について説明する。

この説明は、2009年9月30日からの改正に基づくものである。

育児休業の期間中には、勤務の実態に基づき給与は支給されないか減額されるが、それを補うものとして育児休業基本給付金育児休業者職場復帰給付金の支給を受けることができる。休業は法律により定められている労働者の権利であるため、事業所に規定が無い場合でも、申し出により休業することは可能であり、問題がある場合には事業所に対して労働局雇用均等室からの助言・指導・勧告がなされる。

休業取得の条件[編集]

育児休業を取得するには、次の条件を満たすことが必要である。取得する者の男女は問わない。また、子が実子であるか養子であるかも問わない。家族などで事実上、子の世話が可能な者がいても、それに関係なく取得は可能である。

雇用の形態[編集]

労働者(日々雇用される者を除く)が対象となる。また、期間雇用者については次の2つの両者を満たす者が対象となる。

  1. 同一事業主に引き続き1年以上雇用されている
  2. 子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる(子が1歳に達する日から1年以内に労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)

期間[編集]

育児休業は、子が1歳に達するまでの間に取得することができる(法5条1項柱書本文)。産後休業期間(出産日の翌日から8週間)は含まない。ただし、次のいずれかの事情がある場合には、1歳6か月まで取得できる(同条3項)。

  1. 保育所に入所を希望し、申込みをしているが、入所できない場合(規則4条の2第1号)
  2. 子の養育を行っている配偶者が、やむを得ない事情で養育が困難となった場合(同条2号各号)

また、配偶者と交替する形で育児休業を取得することができる。ただし、1人の子について1回限りしか育児休業を取得できない(法5条2項)。

手続き[編集]

子の氏名、生年月日、続柄、休業開始及び終了の予定日を明らかにして、1歳までの育児休業はその1ヶ月前、1歳から1歳6か月までの育児休業については、その2週間前までに申し出る。

育児休業給付制度[編集]

次の条件をすべて満たした場合、育児休業給付を受けることができる。

  1. 一般被保険者(短時間労働被保険者を含む)である
  2. 育児休業開始日の前2年間に、賃金支払い基礎日数11日以上の月が12ヶ月以上ある。
  3. 各支給単位期間(育児休業開始から1ヶ月毎の区切り)に、休業日が20日以上ある。
  4. 各支給単位期間において、休業開始時の賃金に比べ、80%未満の賃金で雇用されている。

支払われる育児休業基本給付金の金額は、休業開始時の30%相当額(休業期間中の賃金が休業時の50%を超える場合には、賃金と給付額の合計が休業開始時の80%に達するまで)である。ただし、賃金月額の限度が定められている。

育児休業を終えて職場に復帰した場合には、育児休業者職場復帰給付金が支給される。金額は(休業開始時月額賃金の10%×育児休業基本金の支給月数)で求められる。(2007年4月以降に復帰した人は休業開始時月額賃金の20%×育児休業基本金の支給月数)

取扱い[編集]

子を養育する労働者の取扱いなどについて、次の規定がある。

  1. 事業主は、育児休業の申出や取得を理由に、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない(10条)。
  2. 小学校就学前の子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、1年につき5労働日を上限とする子の看護休暇を取得することができる。年次有給休暇と違い、使用者は申し出た取得日を変更拒否することは出来ない(16条の2,3)。
  3. 小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合には、一定の要件に該当するときを除き、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはならない(17条1項)。
  4. 小学校就学前の子を養育する労働者は、深夜労働の制限を、事業主に請求することが出来る(19条)。
  5. 事業主は、3歳未満の子を養育する労働者については、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない(23条1項)。また、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者については、育児休業の制度又は勤務時間の短縮などに準じた措置を講ずるよう努めなければならない(24条1項)。
  6. 事業主は、労働者を転勤させようとする場合には、育児が困難となる労働者について、その状況に配慮しなければならない(26条)。
  7. 事業主は、職業家庭両立推進者を選任するよう努めなければならない(29条)。

公務員の場合[編集]

公務員は、国家公務員の育児休業等に関する法律3条[1]により、子が3歳に達する日まで育児休業をすることができる。

育児休業の取得の状況[編集]

育児介護休業法では育児休業は男女問わず労働者の権利として認められていて、雇用主は育児休業の申請に応じて雇用を維持しなければならないのだが、実際には正常に機能していない。日本の社会には、「男と女は異なる社会的役割がある。男は社会で働き家族を養う収入を得る。女は専業主婦として家事や育児をする。」という考えや、「育児休業を取得されたら、同じ職場で働く人にとっては迷惑でしかなく、また経営者にとっては甚大な損害である。」という考えを持ち、その考えに基づいて経営リスクを排除するため、結婚・妊娠・出産した女性を、様々な方法で退職に追い込んだり、降格および減給の対象とする暗黙の人事制度を実施している雇用主も多数存在する(マタニティハラスメント)。

そのような雇用主が多数存在するので、結婚・妊娠・出産した女性の側も、そのような人事制度の職場に在職を続けても仕事と育児の両立は不可能であるので、そのような人事制度の職場を見限って、自分や子供の利益を守るために退職・転職する事例も多数ある。その結果、日本では、結婚・妊娠・出産以前や、子供が小学校高学年や中学生程度の育児負担が少なくなる以後と比較して、結婚・妊娠・出産から子供が小学校低学年の育児期の女性の就業率が低くなっている。

育児休業の取得は、雇用主が法律の趣旨を認識し順守し、女性が結婚・妊娠・出産後も在職・仕事を継続したほうが企業や雇用主にとっても有益であるという考えを持ち、それを実施する意思がない限り、取得は不可能である。雇用主にそのような認識と意思があるかないか、意思を実施するかしないかは、大企業でも女性の結婚・妊娠・出産後の就業率が低い企業もあり、中小企業でも女性の結婚・妊娠・出産後の就業率が高い企業もあるので、企業規模の大小には関係なく、雇用主の認識とそれを実施する意思によって決まる。

現在の日本では育児休業を取得している人の大部分は女性である。

脚注[編集]

  1. ^ および国会職員の育児休業等に関する法律、裁判官の育児休業に関する法律、地方公務員の育児休業等に関する法律。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]