産前産後休業

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産前産後休業(さんぜんさんごきゅうぎょう)は、妊産婦が母体保護のため出産前及び出産後においてとる休業の期間である。産休(さんきゅう)とも称される。なお、労働基準法による妊産婦とは、同法64条の3第1項で「妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性」と規定されている。

産前休業[編集]

産前休業(さんぜんきゅうぎょう)は、労働基準法65条1項により、使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない期間である。なお、起算日は原則として自然分娩の予定日である。

産後休業[編集]

産後休業(さんごきゅうぎょう)は、労働基準法65条2項本文により、産後8週間を経過しない女性を、就業させることができない期間である。ただし、同項但書により、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

上記休業期間の起算日は、同条1項の「産前休業」が「分娩予定日」であるのとは異なり、「現実の出産日」である。この場合の「出産」には、妊娠第4月以降の流産早産及び人工妊娠中絶、並びに、死産の場合も含む。

また、同法19条1項本文後段により、使用者は、上記休業期間中、及びその後30日間は、当該労働者を解雇してはならない。

賃金支払等[編集]

これらの期間の賃金の支払については労働法に規定がなく、それぞれの労働契約の内容による。ただし、健康保険制度に加入している労働者であって賃金の支払を受けられない者に対しては、健康保険法102条により、標準報酬日額の3分の2相当額につき、健康保険からの支給がある。

産前産後休業取得の状況[編集]

労働基準法上は産前産後休業は労働者の権利として認められていて、雇用主は産前産後休業の申請に応じて雇用を維持しなければならないのだが、日本の社会には、「男と女は異なる社会的役割がある。男は社会で働き家族を養う収入を得る。女は専業主婦として家事や育児をする。」という考えや、「産前産後休業を取得されたら、同じ職場で働く人にとっても、経営者にとっても迷惑でしかない。」という考えを持ち、その考えに基づいて、結婚・妊娠した女性を、様々な方法で退職に追い込む暗黙の人事制度を実施している雇用主も多数存在する(マタニティハラスメント)。そのような雇用主が多数存在するので、結婚・妊娠した女性の側も、そのような人事制度の職場に在職を続けても仕事と育児の両立は不可能であるので、そのような人事制度の職場を見限って、自分や子供の利益を守るために退職・転職する事例も多数ある。その結果、日本では、結婚・妊娠・出産以前や、子供が小学校高学年や中学生程度の育児負担が少なくなる以後と比較して、結婚・妊娠・出産から子供が小学校低学年の育児期の女性の就業率が低くなっている。

関連項目[編集]