地球温暖化に対する懐疑論
この項目では、地球温暖化は人為的な要因でない、もしくは温暖化していないとする学説や異論等について取り扱う。
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[編集] 概要
地球温暖化に関しては、国際連合の下部機関であるIPCCが発行した報告書がこれまでの学術的知見を集約している。その最新の報告書は、IPCC第4次評価報告書(AR4と略す)である。これは世界中の数千人におよぶ科学者および専門家のボランティアによってまとめられ、世界120カ国以上の政府によって認められたものである[1][2][3]。この知見は国際的に広く認められており、気候変動に関する世界の動きもこれを主軸としつつある。一方、少数であるがIPCCの報告に対して、懐疑論や異論を主張する者(当該分野の専門家とは限らない)も居る[4]。しかし主立った懐疑論は下記のように当該分野の専門家によって反論されており、IPCC第4次評価報告書の主要な結論も変わっていない[5]。
[編集] 懐疑論の例
主な懐疑論や異論として、
- 過去あるいは将来の温暖化のうち、人為的な要因が占める割合はもっと低い、あるいは人為的な要因は無いと主張するもの。
- 温暖化の原因が、人為的な二酸化炭素の増加によらないとするもの。
- (気候モデル等による)再現や予測の不確実性を批判するもの。
- 学術論文、学術的知見、コンセンサス等に政治的な圧力がかけられたり、いわゆる陰謀に基づいていると主張するもの(この説は自然科学以外に根拠を求める点で他の説と性格が異なる)
などが見られる(#政治的圧力・陰謀説を参照)。
個々の学術論文のレベルでは、AR4において考慮されていない要因を指摘する報告や、地球温暖化の人為説に関して疑問点や分析不足を指摘するものが見られる(#人為説に対する議論を参照)。根拠の薄い主張については、反論されているものも多い(#反論および学術的評価を参照)。
学術組織のレベルでは、石油業界に関連の深い学会が最後まで人為説に批判的であったが、現在では、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的・公的な学術組織は無いとされる(#反論および学術的評価を参照)。
[編集] 温暖化の科学的知見に対する議論・疑問
温暖化の原因は、二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加が主因だとされているが、これら学術的知見に対して、さまざまな懐疑論がある。また、温暖化によって、気温の上昇、氷河融解、海面上昇、動植物の生態の変化、気象の異常といった諸現象が発生するとされているが、これらの諸現象が温暖化によるものであることを示す学術的知見に対してさまざまな議論がある。
[編集] 気温上昇に対する議論
懐疑論の中には、観測データの信頼性を疑うものがある。
- マイケル・マンらによる古気候復元(ホッケースティック曲線)の信頼性への疑問(ホッケースティック論争を参照)
- →マンらの間違いは引用の誤記であり、結論には変わりがないとされる[7]。
- →個々の観測点にはそれぞれ観測機器の更新や観測場所の変化に伴う誤差が発生し得るが、物理的考察や変化前後の同時観測による補正、周囲の観測点との気温差が年々増大している観測点を除くなどの対応が取られている。観測点の分布にはかなりの偏りがあるものの、海洋上やアマゾン奥地などにもある程度の密度で存在し、観測の空白域は面積的にもさほど大きくはない[10]。
- →世界全体では、記録的に寒かったのは北半球の一部に限られる。このような現象はバレンツ海等における海氷の減少によって発生し、むしろ温暖化が進んでいる証拠と考えられる[11][12]。北極海における海氷の減少は寒気の流れや水蒸気量に影響し、欧米やアジアにおいては寒波や多雪をもたらすのではないかと考えられる[13][14]。
- →世界平均気温で見れば2009年は年平均気温でも観測史上3位、2010年1月でもやはり観測史上3位の高さであった[15]。また海洋の温度まで含んだ統計において、2010年の3月は観測史上もっとも高温であり[16]、2010年全体では1891年以降過去2番目、陸地に限れば過去最高の平均気温となる見込みである[17][18]。
- →槌田の主要な主張は、当該分野の専門家らによって否定されている[7]。
[編集] 温暖化の原因に関する議論
温暖化の原因は、二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加が主因だとされているが、これら学術的知見に対して、太陽活動の影響、宇宙線の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などを原因とする異論がある。
[編集] 人為説全般
近年の温暖化は人為的な温室効果ガスの排出が原因とすることはできず、自然要因の影響の方がはるかに大きいのではないか[20]。その他にも二酸化炭素を主因とする地球温暖化説に対する疑問もある[21][要検証 ]。具体的には以下のような議論がある(太陽放射理論も参照のこと)。 その他、「温暖化は人為的なものであるとは断言できない」とする論者がいる[22]。
- →これまでに観測されている温暖化は自然起源強制力のみでは説明できず、人為起源強制力も考慮して初めて再現できる。また、他の仮説ではこのような定量的な整合性を合理的に説明できるものが無い[7]。
[編集] 水蒸気
- 二酸化炭素よりも水蒸気の方が影響が大きい。二酸化炭素は大気の約0.04%に過ぎず、水蒸気のほうがはるかに多い。水蒸気は広い波長に電磁波の吸収特性を持っており、二酸化炭素のそれよりも温室効果への影響度が高い。二酸化炭素と水蒸気が吸収特性を持つ電磁波の波長は一部で重複している[23]。
- →水蒸気は温暖化を増幅しているが、その引き金を引いているのが、二酸化炭素を始めとする人為起源の温室効果ガスである[24]。水蒸気の温室効果は気候モデルでも考慮されている[7]。水蒸気だけでは、温暖化傾向を継続させることはできない[25]。
[編集] 太陽活動
- ヤヴォロスキ(Zbigniew Jaworowski)は氷床コアに見られる二酸化炭素濃度の変化が必ずしもその時代の二酸化炭素濃度の変化を反映していないと主張し、二酸化炭素ではなく、太陽活動が原因であると主張した[26][27][要検証 ]。
- →Jaworowskiらのこの主張は、複数の間氷期の氷床コアデータの比較結果などとの矛盾を指摘され、否定されている[28][29]。
- →太陽活動によって地球の平均気温が変化する可能性は十分考えられるが、20世紀半ば以降の太陽の活動はほぼ横ばいか減少傾向を示しており、太陽活動が活発化しているのが原因とは考えられないと指摘されている[30]。
- →観測されている太陽放射の変動は0.1%程度であり、地球の平均気温に与える影響も0.1~0.2℃程度である[31]。
- →宇宙線や太陽磁場の影響については#宇宙線・紫外線・太陽風節を参照。
- 2011年末の時点では太陽活動の極小期がこれまでよりも長い。このまま地球は寒冷化するのではないか
- →太陽活動の弱まっている時期においても、地球から放射されて出て行くエネルギーよりも地球に入射するエネルギーの方が多い。太陽からの放射の変化よりも、人為的要因による変化の方が大きいからである[32][33]。
- →マウンダー極小期でさえ地球全体では0.1~0.2度程度の低下であると考えられており、そのレベルの太陽活動低下が来ても温暖化の一時的、部分的抑制にしかならない[34]。
[編集] 宇宙線・紫外線・太陽風
- 可視光よりも変動の大きい紫外線や太陽磁場が気候変動に少なからず影響を及ぼしているのではないか[35]。宇宙線に誘起され形成される地球を覆う雲の量が変化して間接的に気温の変動をもたらしている(スベンスマルク効果)[36][要検証 ]。また2009年1月、M.F.Knudsenらは中国とオマーンで発見された石筍と鍾乳石の分析から、磁場の強さと熱帯地方の降水量の間に強い相関が見られるとの調査結果を発表し、その原因はスベンスマルク効果で磁場が宇宙線の到達を妨げているためである可能性を示唆している[37][要検証 ]。
- →スベンスマルクらによる2005年の実験では宇宙線が水蒸気を巻き込んで小さな水滴をつくることは証明されたものの、宇宙線量の変化が雲の量にどれだけ影響するのか、雲量データの解析の精度は十分なのかといった不明な点があり、証拠不十分と評価されている[38]。
- →こうした宇宙線の変化が温暖化を引き起こしているのではないかとの仮説は、その後複数の研究結果によって否定されている。2008年4月にJ.E.Kristjanssonらにより、雲量の観測結果に宇宙線との関連性が見られないとの調査結果が発表され[39]、「これが重要だという証拠は何もない」としている[40]。A.Seppalaらは宇宙線の影響が極地方に限定され、全地球規模での影響も限られると指摘した[40]。さらに2009年2月にはCalogovicらにより、Forbush Decreaseと呼ばれる宇宙線の変化現象に対する雲量の応答を調べた結果「どのような緯度・高度においても、対応する雲量の変化は見られない」と報告されている[41]。こうした複数の検証結果を踏まえたレビューにより、実際の雲量への宇宙線の影響は確認できず、地球規模での気候への影響はあっても無視できる程度であると評価されている[42]。
[編集] 小氷期からの回復過程
- →そのようなスケールの日射量変動は理論的に計算でき、それだけでは現在観測されている地球温暖化は説明できない。20世紀後半からの温暖化は人為的な温室効果ガスの増加を考慮しなければ、説明できない[45]。
[編集] 地球寒冷化説
(詳しくは地球寒冷化を参照)
現在みられる温暖化は、過去にも自然にみられた寒冷期と温暖期の繰り返しの一部ではないかとする主張も見られる。
- 21世紀中ごろにかけて、約200年周期で変動している太陽活動が極小期を迎え、その前後数十年間は小氷期のように寒冷化の時期が訪れるという説がある[46][要検証 ]。
- 自然現象には科学的に解明されていない部分があるため、温室効果ガスの増加が主因とはいえない。過去にも完新世の気候最温暖期、中世の温暖期など温暖化があった[要出典]。
- →そのような氷期と間氷期の繰り返しは主として地球が受け取る数万年単位の太陽エネルギーの量の変動に起因すると考えられ、理論的に計算可能である。近い将来に氷期が始まるとは考えられない。また、それだけでは近年の地球温暖化は説明がつかない[45]。
- →中世に今と同程度に温暖であった地域は限定的であり、地球全体での平均気温では現在よりも寒冷であったと見られる[47]。
- →人類の活動による影響が無ければ現在の世界の平均気温は1950年代以下であったと見られるが[48]、自然要因による変動幅よりも人為的な上昇幅の方が大きく[49]、実際には世界の平均気温は上昇を続けている[48][50]。今後の変化についても、主要な気候モデルの全てにおいて、少なくとも今後100年以上は気温の上昇が続くと予測されている[51]。
[編集] 二酸化炭素の温室効果についての議論
- 現在既に地球放射エネルギーのうち95%は吸収されてしまっている(飽和状態に近い)ため、これから二酸化炭素が増え続けたとしても、大気の窓領域と重なる波長は限られており、それほど気候に変化は起きない[要出典]。
- →二酸化炭素が温暖化を促進する効果を持つことには、十分な物理学的な証拠がある[52]。
- 二酸化炭素が原因だとすれば、気候モデルの予測結果では非極地方に於いて対流圏中層の温暖化率は地表のそれより高くなるはずであるが、衛星のデータを処理した結果では大幅に異なり、逆に地表の方が高くなっている[要出典]
- →この大幅な違いは気候モデルや人為説の信頼性に疑問を投げかけるのに利用されたが、計算方法を訂正した結果、このような大幅な違いはもはや存在しなくなった(this significant discrepancy no longer exists)。衛星データの計算方法に誤りがあり、それを考慮した計算結果では対流圏中層の温暖化率は地表のそれより高く、衛星の観測データ、および気候モデルによる予測結果とも良く合致すると指摘されている。なおUAHのBob CarterはSkeptical Scienceの取材に対して計算方法の誤りについて「恥ずかしく思う」と述べたが、その後も誤りを認める前と同じ主張を続けているとされる[53]。
[編集] 人為的放熱
- →温暖化ガスの増加による放射強制力の増加分は、合計約2.9W/平方メートルである[54]。一方、枯渇性エネルギーの利用による直接的な放熱は放射強制力にして0.028W/平方メートルに過ぎず[55]、温暖化ガスの増加による影響の方が100倍大きい(解説:[56])。
[編集] 炭素循環に関する議論
[編集] 二酸化炭素のミッシング・シンク
森林やジャングルなどの木々や、海中に生息するサンゴを構成するために固定される炭素量、雨などに溶け込んで地下に浸透したり海中にとけ込むなどして、大気から離脱する二酸化炭素もある(二酸化炭素シンク)。これにより、排出された二酸化炭素と実際に大気中に残留する二酸化炭素の量に差が生じる。しかし初期の気候モデルでは、二酸化炭素の増減にかかわる数値を合算した結果が実測結果と整合せず、一部の二酸化炭素の行方がわからなかった。この不整合分を指してミッシングシンク(missing sink)と呼んだ。
その後データが増えて解析が進展することにより、この不整合分は主に陸上生態系による吸収分として説明がつくようになり、1995年発行のIPCC第2次評価報告書(SAR)からはこのミッシングシンクという表現自体が消えている[57][58][59]。しかしSAR以降も、これを利用して温暖化予測の不確実性を喧伝する者が見られた(地球温暖化の過去の版など)。
- 火山活動、落ち葉の腐敗、生物の呼吸や、海水からの二酸化炭素の排出量の方が、排気ガスや工場などの人為的な排出量を上回っている(人為的排出は全体の約3%に過ぎない)[60]。
- → 二酸化炭素は自然界において常時排出され、また吸収されながら循環している。そこへ人為的に二酸化炭素などの温室効果ガスを増やしてきたことが、地球温暖化の原因となっており(IPCC第4次評価報告書#第一作業部会報告書:自然科学的根拠)、海洋は二酸化炭素を放出したのではなく、正味で吸収してきたと考えられている[61]。
[編集] 二酸化炭素の海洋による吸収
海洋が吸収する量の方が大きいことを理由に、人為的な影響に対する疑問も見られる。
- 海洋への炭酸ガスの吸収と放出サイクルの時間の長さが不明である。海洋が吸収する量に対して人類が放出する二酸化炭素の量は微々たるものであるから影響は小さいはずではないのか[要出典]。
- →海洋が放出する二酸化炭素で温暖化しているなら、大気の二酸化炭素の需給バランスの説明がつかない。また、海洋に多く含まれる炭素13から構成される二酸化炭素ではなく、化石燃料や木材に多く含まれる炭素12からなる二酸化炭素が大気中に増加していることからも、二酸化炭素増加の主原因が海洋からの放出によるものでないことが分かる。[62]。
[編集] 二酸化炭素の濃度変化は温度変化の結果とする説
温室効果ガスの増加が地球の気温を上昇させているのではなく、地球の気温が上昇した結果二酸化炭素が増えているとの主張がある。
- 二酸化炭素以外の原因によって地球が温暖化したことの影響として、海水温が上昇した結果、二酸化炭素の海洋への吸収が減り、大気中の二酸化炭素濃度が高くなっている[63][要検証 ](査読不明)(裏付少)[64]。
- 短期的な変動に関しては、温度変化よりも二酸化炭素の濃度変化の方が半年から1年遅れている[65][63][要検証 ]。
- 20世紀全体を見渡した長期の変動においても、急激な温度変化が二酸化炭素の変化に対して先行して起こっている[27]。
- さらに数万年規模の変化に対して、氷床コアによって過去三回の氷期を調べた研究によれば、気温の上昇の方が二酸化炭素の上昇よりも600(±400)年先に生じて起こっている[66]。
これらに対しては、下記のように反論が為されている。
- →上記の槌田敦や近藤邦明らが示したグラフでは、時間微分と同様の操作などを施すことによって二酸化炭素の長期変動を見えにくくしている。彼らのグラフで気温の変化が追従しているように見えるのは植物の光合成による季節変動だけであり、長期変動まで説明できない。近藤の用いているグラフもよく見れば対象となった全期間を通じてCO2が増加しており、彼ら自身の主張と矛盾する[7]。
- →氷床コアなどによる測定結果から近年の二酸化炭素濃度は過去40万年にはなかった規模で増加していることが判明している(右図)。もしも槌田や近藤らの主張が正しければ、それに対応する5~6℃の気温上昇が1850年からの現在までの約150年間で既に発生していなければならないことになり、観測事実と矛盾する[67][7]。
[編集] 予測内容に関する批判
地球温暖化の原因や影響の予測には不確実性が伴い、科学的理解が不足する項目や専門家間での意見の不一致が残る項目がある(参考:IPCC第4次評価報告書#使われている表記)。人為説は主に気候モデルの結果から導かれているが、モデルの不完全さを批判する意見も見られる[68][69]。
[編集] 予測精度に関するもの
気候モデルと実際の気候変動の整合性や妥当性を問うものなど様々な批判が存在する[70]。たとえば、メッシュが粗すぎるため小規模の気象現象を表現できない。理解度が低い現象の影響は、過小・過大評価されたり、除外されたりしているとの批判もある[71]。
- 1週間先の天気予報があまり当たらないのに、何故数十年以上先のことが予測できるのかという疑問。
- →天気予報と温暖化の予測では、必要とされる精度が全然異なる。ヤカンを火に掛けた時に例えるならば、「どこからあぶくが出てくるか」を正確に予測しようとするのが天気予報、「約何分後に沸騰するか」を大雑把に予測するのが気候モデルである、と説明されている[67]。
- →地球温暖化の予測に用いられる気候モデルは特定の日における「天候」の予測ではなく、平均的な「気候」を予測するだけである。気象はカオスの性質を持つために100年後の「天候」を予測することは不可能だが、地球のエネルギーのバランスで大部分が決まる「気候」ならばカオス的なゆらぎは平均化され、意味のある予測が可能である、と説明されている[72]。
- ベンジャミン・サンターは、南半球の気温変化を示すグラフにおいて1963~1987年のデータのみを抜き出し、シミュレーションの予測と温暖化の現状が一致すると主張し、IPCC第2次評価報告書の手直しを行った。しかし、サンターが排除した1950年代と1990年代のデータを付け加えたものには南半球の気温変化に有意な上昇傾向が示されていなかったため批判の的となった[27]。
[編集] 温暖化の影響に関する議論
[編集] 氷河融解と海面上昇
南極やグリーンランドなど陸上には氷河、氷床などの形で大量の水が蓄積されており、これらは降雪と融解が均衡した状態ではほぼ一定量を保つが、この均衡が崩れると海水準変動に繋がる。地球の平均気温が上昇すると融解(減少)が速まることで海面上昇の要因となる一方、同時に海水の蒸発量を増すことで結果、降水量(降雪量も含む)の増加ももたらすとされる。これに関しては、下記のような議論が見られる。
- 海面水位上昇に関する議論
- 南極大陸を含む陸上の氷(雪を含む。海に浮かぶ氷は除く)側にシフトして均衡することで、海水の熱膨張を考慮しても相対的に海水量(海水の全体積)は減り、むしろ海面は下がるのではないかという者もいる[要出典]。
- →地球の平均気温とは点で測るものではないため、たとえいくつかの観測点で下がっていても全てが下がっている訳ではない[7][73]。IPCC第4次評価報告書などが集約した地球全体の観測結果からは、地球全体としてみれば気温は上昇しているとされる。
- →IPCC第4次評価報告書では最終的には南極の気温も上昇すると予測され、2008年には実際に気温上昇とそれに伴う異変が報告されるようになった[74][75][76]。
- →さらに、IPCCの現在のモデルでは取り入れられていないものの、西南極やグリーンランドの氷河の流出速度が加速することで海面上昇量を顕著に増大させる恐れが指摘されており[77]、近年の各国の衛星の観測結果からも南極氷床は明らかに減少傾向を示していると報告されている[78]。
- IPCCのヒマラヤの氷河の消滅時期に関する記述に誤りが見つかった(IPCC第4次評価報告書を参照)。
- →世界中の地質学的に安定な観測点のデータは明らかな上昇傾向を示している(右図)。
- →なおツバルについては、現在発生している問題は主に(地球規模よりも)ローカルな要因によるものだが、それにより今後予想される海面上昇に対して脆弱になっていると見られる[83]。
温暖化の影響を否定する方向の論調のものが見られる一方で、温暖化の影響に関するAR4の記述が弱すぎるとの主張も見られる。
- AR4の海面上昇量の予測には、当時の知見不足を理由として、氷床等の流下速度の変化が織り込まれていない[84]。しかし氷床の融解はIPCC第4次評価報告書(AR4)記載の数値よりも急速に発生する可能性があり、IPCC評価報告書の記述が楽観的すぎると指摘されてきた[85]。実際にAR4以後は予測より速い融解を示唆する観測結果の報告が相次いでおり[86][87]、海面上昇量がAR4に書かれた値の倍以上になる危険性も指摘されている[88](海面上昇#南極氷床の融解も参照)。
[編集] IPCCに対する批判
[編集] コンセンサス主義に対する批判
IPCC第4次評価報告書では、数千人の専門家の見解を勘案して、その時点で最も確からしいと思われる結論を記している(このため参加した専門家間でも見解の相違やばらつきがあり、報告書でも断りがある)。このような合意(コンセンサス)形成方法に反発する意見もみられる[89]。また、異論のある人物を集めて合意が形成されていないと主張する例も見られる。
- 懐疑論者として知られる米国上院議員のJames M. Inhofe は、異論を唱えている人物のリストとしてノーベル物理学賞受賞者やIPCC所属の科学者らを含む数百名のリストを挙げ、温暖化人為説は政治的な目的で作られ科学的な合意は得られていないと主張している[90][91]。
- →彼は何度も同様の主張をしているが、そのリストには明らかにその分野の専門家ではない人間が多数見つかっている。また内容的にも、彼の主張は既に反論された懐疑論の蒸し返しであると指摘されている[92][93][94][95][96]。
[編集] 気候研究ユニット・メール流出事件(クライメートゲート)
(詳しくは気候研究ユニット・メール流出事件を参照)
2009年11月にイギリスにあるイースト・アングリア大学(UEA)の気候研究ユニット(CRU)がクラッキングされ、地球温暖化の研究に関連した電子メールと文書が公開され、懐疑論者達によって地球温暖化を人為だとするための国際的陰謀の証拠であるとして取り上げられた[97]。懐疑論者達はクライメートゲート等と呼んで攻撃した[98]。
- →英国議会などによる複数の調査により、具体的な不正や誤りの証拠は見当たらないと報告された[99]。また科学者の団体からは、懐疑論者達の攻撃はでっち上げであると指摘されている[100]。
- →2011年カリフォルニア大学バークレー校のチームが全く新たに解析しなおし、CRUと合致する結果を得た[101]。リーダーの物理学者Richard Mullerは以前は気候学者の解析手法に批判的で懐疑論者に理解を示していたが、それを正式に撤回した。(詳細はen:Richard A. Muller参照)
[編集] 対策に関する懐疑論
[編集] メディアに関する懐疑論
[編集] 政治的圧力・陰謀説
地球温暖化に限らず、自然科学においては客観的な研究がなされることが理論が成立するための前提であるが、地球温暖化に関しては、政治的な圧力がかけられたり、いわゆる陰謀だとする説(陰謀説)がある。たとえば下記のようなものである。
- 地球温暖化説が唱えられるようになった1980年代は、ちょうど軍事産業が低迷した時期と重なっている。軍事ビジネスに変わるものとして環境ビジネスがターゲットとなり、地球温暖化がその理屈作りに利用されたのではないか[102]。
- 気候学者はIPCCのメンバーの三分の一にしか過ぎず、政治的に任命された非気候学者、非科学者がはるかに数で勝っており、さらにIPCCの報告書は極端な気候変動を主張するものを偏重して採用している[103]。
- フレッド・シンガー(Fred Singer)、ロジャー・レヴェルらは地球温暖化に対処するために直ちに行動は起こす必要はないとする論文を発表したが、その論文の再掲の話が上った際、レヴェルが論文に発表した内容との矛盾が指摘される『地球の掟』を記したアル・ゴア議員は、知り合いの科学者に頼みレヴェルの名前を論文から削除するよう求めたが、シンガーがそれを断ると、シンガーがレヴェルに強制し名前を載せたとのネガティブ・キャンペーンが張られた。ゴアがシンガーの信用を貶めようと圧力をかけたりメディアを利用したことは、テッド・コッペルのナイトラインという番組において後に明らかにされた[103]。
- IPCCのパチャウリ議長が温室効果ガスの排出量取引などで儲けている銀行の顧問を務め、その報酬として数十万ドルがパチャウリが理事長を務めるエネルギー資源研究所(TERI)に振り込まれていると英紙テレグラフのC.Booker記者がコラムに書き、”パチャウリゲート”と呼んだ[105]。
- →OnEarth誌編集責任者のG.Blackは、その資金はTERIを通じてインドの貧困家庭の支援プロジェクト[106]などに「まっすぐ」振り向けられており、個人への報酬と見なすべきではない、と指摘している[107]。
なお、支持派・懐疑派双方に見られる陰謀論は本質的な議論を遠ざけてしまうと懸念する意見もある[108]。
[編集] 原発産業に関する陰謀説
二酸化炭素による地球温暖化説が広まった背景には、原発産業による意向が政府などを通して強く働いていたのではないか、いわゆる陰謀があるのではないか、との見方がある。原発産業による陰謀、とする説が生じてしまう背景には、次のような要因があげられる。
- チャールズ・キーリングによる二酸化炭素の観測は軍事予算や原子力予算の転用による支援によって行われており、さらに原発業界は各国政府に働きかけることによって、CO2温暖化説の科学者に研究費を出させた[63]。
- IPCC第4次評価報告書の第2作業部会の統括執筆責任者をつとめたスティーブン・H・シュナイダーは過去に地球寒冷化説を唱えており、地球温暖化説に変説する以前に原発の推進を唱えていた[109]。
- IPCC第1次評価報告書には、原子力エネルギーの利用を図った場合のシナリオが温暖化の抑制効果が高いとされ[110]、IPCC第2次評価報告書には地球温暖化の対策オプションとして「原子力エネルギーへの転換」という項目がある[111]。それらの結果を踏まえ、電力中央研究所は、「日本の温暖化対策の大きな柱は原子力発電の拡大であり、2010年で原子力約6600~7000万キロワットの目標」を掲げることとなった[112]。
- 「火力発電所に比べ二酸化炭素の排出量が少ないとの宣伝を行ってきた原子力発電所の建設推進派による陰謀である」との主張がある[113]。
[編集] 石油業界に関する陰謀説
上記のように、原発産業の陰謀だ、とする説がある一方で、支持派からは懐疑論への石油メジャーなどの関与が指摘されている[7][104]。
- 「オレゴン嘆願書(en:Oregon Petition)」と呼ばれる文書と共に論拠として論文が配布されたが、これは著名な学会(米国科学アカデミー)の論文に見かけが酷似しているものの、実際に掲載された論文ではなく、学会側が正式に抗議する事態となった。また、嘆願書に賛同したとされる人物のリストにも疑惑が指摘されている[7][104]。またこれに似た文書として、「ライプツィヒ宣言(en:Lepzig Declaration)と呼ばれるものもある[7][104]。
- 「地球温暖化科学に関して公衆を混乱させようとする」団体に約18億円を提供した[104]。またIPCCから特定の科学者を解任させるようにブッシュ政権に要求し、実現させた[104]。
[編集] 反論および学術的評価
地球温暖化の懐疑論については、その傾向はいくつかに絞られており、概ね否定できるもの、または信頼性に乏しいと考えられているものである[114]。また2007年7月に米国石油地質協会(AAPG)がその意見[115]を変えて以来、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的・公的な学術組織は無いとされる[116][117]。
日本語での反論も為されており[7][118]、国立環境研究所によって"「Q&Aココが知りたい温暖化」とのサイトも作製されている。
前東京大学総長で三菱総研理事長の小宮山宏は、「全てについて反論は用意されている」「温暖化懐疑論が問題になっているのは日本だけ」と述べている[119]。
海洋研究開発機構の近藤洋輝は、NatureやScienceなどの著名学術誌に採用されていない異論が、メディアに安易に取り上げられることに懸念を表明している[120]。
と学会会長でSF作家の山本弘は著書[104]において、武田邦彦や槌田敦らによる懐疑論に関して、誤った解釈や信頼性の低い論拠などの問題点を指摘した上で「素人の印象を信じるな。専門家の言うことに耳を傾けろ。」と述べている。
数学者イアン・スチュワートは『数学の魔法の宝箱』で地球温暖化詐欺 (映画)における気温と二酸化炭素のグラフに関する誤解を取り上げ、幼稚な推論が原因であるとして数学的に解説している。
[編集] 各国における状況
[編集] アメリカ
懐疑派のサイトとして "The Week That Was" (TWTW)[121]、支持派のサイトとして "RealClimate" [122]などが挙げられる[123]。両者とも各国の論文を集めているが、前者の論文は減っているとされる[123]。世論は2008年5月の調査では平均約7割が地球温暖化が実際に起こっていると回答したが、支持政党によって大きな違いが見られた[124]。また現政権は環境・エネルギー分野への投資を戦略の柱の一つに据え、環境保護に積極的な人材の登用を決めている[125]。
[編集] ヨーロッパ
懐疑論は10年以上前から見られ[123]、今でも『地球温暖化詐欺』[126]のような映画が作成されたりしている(その他の懐疑論については上記を参照)。 このような懐疑論に対し2008年5月、欧州議会は「科学に不確実性はつきものであるが、気候変動の原因や影響に関する科学的な研究結果を、科学に基づかずに不確実もしくは疑わしいものに見せかけようとする試みを非難する」と表明している[127]。世論は対策を支持しており、長期目標として気温上昇量を2℃で安定化することを掲げている[128]。2008年12月には2020年までに温室効果ガスを1990年比で20%削減することを可決するなど、対策を進めている[129]。
[編集] 日本
2007年頃から懐疑論が目立ち始め、関連書籍はセンセーショナルな内容で売れ行きをのばした[123][126]。そのような議論では海外の当該分野学術誌に発表していない「専門家」を名乗る人物などにより、温暖化の否定、CO2原因説や人為説の否定[123]、リサイクルなど対策の有効性の否定が主張されている(この項目で上述した内容、および武田邦彦を参照)。一方、そうした懐疑論に関してはその信憑性に関して様々な問題点が指摘され[104]、また反論もなされている(反論および学術的評価を参照)。このような「遅れてやってきた」[123]懐疑論が目立つ状況について、そのような主張はまともな議論とはみなされず、国際的にも通用しない、との危機感が表明され[130]、行政・公的機関・専門家らによる懐疑論への反論サイトが相次いで設置されている(外部リンクを参照)。また専門家チームによる「懐疑派バスターズ」などの取り組みも行われている[131]。
[編集] 脚注
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[編集] 対談
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