地球温暖化に対する懐疑論

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温暖化の「象徴」にされているとされるキリマンジャロ山の氷帽縮小(PD NASA)
温暖化の「象徴」にされているとされるスペガッツィーニ氷河の崩落(ロス・グラシアレス国立公園)。温暖化で崩落ペースが加速することが問題とされる。
世界の年平均気温の偏差の経年変化(1891~2010年)[1]
ホッケースティック曲線

地球温暖化に対する懐疑論(ちきゅうおんだんかにたいするかいぎろん、Skepticism to Global Warming)とは、地球温暖化は人為的なものでない、地球は温暖化していない等とする学説や意見である。この項目では実在する主張や反論をそのまま記載する。

概要[編集]

地球温暖化に関する科学的知見を最も包括的に評価した報告書がIPCC第4次評価報告書(以下AR4と略す)である[2][3][4]。この評価結果は科学的・国際的に広く認められ、世界の動きはこれを主軸としつつある。AR4にはいくつかの誤記がみつかったがAR4の主要な結論は変わっていない[5]

一方、地球温暖化やその原因等に対し異論を主張する組織・個人が存在し、[6]主な異論は当該分野の専門家によって反論されている[7]

温暖化の科学的知見に対する議論・疑問[編集]

温暖化は二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加に因るとの学術的知見に対する懐疑論や、気温上昇、氷河融解、海面上昇、動植物の生態系変化、気象の異常等が温暖化に起因して生じるとの学術的知見に対する懐疑論。

気温上昇に対する懐疑論[編集]

気温は上昇していない、もしくは、そのデータの信頼性に疑問がある。

  • (主張)マイケル・マンらによる古気候復元(ホッケースティック曲線)の論文では、データの無断盗用・改竄が行われている。マンらの論文はAR4では使われなくなった。
    • (反論)「無断盗用・改竄」については、引用表記の誤記であり後ほど訂正されている。AR4でもいくつかの古気候復元とあわせて使われており、それらはマンらの復元の範囲内である。(詳細はホッケースティック論争参照)
  • (主張)一部の観測地点の変化と平均気温に高い相関が見られるから、陸上の気温変化の速度が過大に見積もられているはずである[8][9][要検証 ]
    • (反論)その相関性は観測地点の選定と統計処理の不備による、偽りの傾向である[10]
    • (反論)機器の更新や観測地点周囲の変化に伴う誤差は発生し得るが、物理的考察や変化前後の同時観測による補正、周囲の観測点との気温差が年々増大している観測点を除くなどの対応が取られている。観測点の分布にも偏りはあるが、洋上やアマゾン奥地にもある程度の密度で存在し、空白域は大きくない[11]
  • (主張)2009年~2010年の冬が寒かったのは、地球温暖化の停止を示す[要検証 ][要出典]
    • (反論)世界で記録的に寒かったのは北半球の一部である。これはバレンツ海等の海氷減少によるもので、むしろ温暖化が進んでいる証拠と考えられる[12][13]。北極海における海氷の減少は寒気の流れや水蒸気量に影響し、欧米やアジアにおいては寒波や多雪をもたらすのではないかと考えられる[14][15]
    • (反論)2009年の世界平均気温は観測史上3位、2010年1月も観測史上3位であった[16]。また海洋の温度を含む統計で、2010年の3月は観測史上もっとも高温で[17]、2010年全体では1891年以降過去2番目、陸地に限れば過去最高の平均気温となる見込みである[18][19]
  • (主張)現代気象学における温暖化論には物理学的な裏づけができない[20][要検証 ]
    • (反論)当該分野の専門家らが否定している[7]
  • (主張)世界の平均気温上昇は1998年以降停止している。また、太陽活動の低下により今後地球は寒冷化する可能性がある。[21][要検証 ]
    • (反論)気温の変化は海洋を含めた気候システムのごく一部にすぎず、気候システム全体への熱の蓄積量の増大は継続している[22][23]。世界の平均気温は過去にも一時的に上昇が止まったり下降した時期もあるが、長期的には上昇が続いている[24]

原因に関する懐疑論[編集]

温暖化は二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加に因るとの学術的知見に対して、太陽活動の影響、宇宙線の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因と主張する懐疑論。

人為説全般[編集]

  • (主張)近年の温暖化は人為的な温室効果ガスの増加に因らず、自然要因の影響がはるかに大きい[25][26][27][28][要検証 ]
    • (反論)これまでに観測されている温暖化は自然起源強制力のみでは説明できず、人為起源強制力も考慮して初めて再現できる。また、他の仮説ではこのような定量的な整合性を合理的に説明できるものが無い[29][7]

水蒸気[編集]

  • (主張)二酸化炭素よりも、水蒸気の方が影響が大きい[要出典]
    • (反論)水蒸気は温暖化を増幅しているだけであり、温暖化を引き起こすのは二酸化炭素など人為起源の温室効果ガスである[30]。水蒸気の温室効果は気候モデルでも考慮されている[7]。水蒸気だけでは、温暖化傾向を継続させることはできない[31]

太陽活動[編集]

  • (主張)氷床コアの二酸化炭素濃度の変化が必ずしもその時代の二酸化炭素濃度の変化を反映していないので、二酸化炭素ではなく太陽活動が原因である(ヤヴォロスキら)[32][33][要検証 ]
    • (反論)ヤヴォロスキの主張は複数の間氷期の氷床コアデータの比較結果などとの矛盾がある[34][35]
    • (反論)20世紀半ば以降の太陽活動はほぼ横ばいか減少傾向を示し、太陽活動の活発化が原因とは考えられない[36]。観測された太陽放射の変動は0.1%程度で、地球の平均気温に与える影響も0.1~0.2℃程度である[37]
(宇宙線や太陽磁場の影響については#宇宙線・紫外線・太陽風節参照)
  • (主張)太陽活動が極小期を迎え、その前後数十年間は小氷期のように寒冷化する[38][要検証 ]
    • (反論)太陽活動の低下期であっても、人為的要因による気温上昇幅の方が大きい[39][40]マウンダー極小期でさえ地球全体で0.1~0.2度程度の低下であり、そのレベルの太陽活動の低下でも温暖化の一時的、部分的抑制にしかならない[41][42]

宇宙線・紫外線・太陽風[編集]

  • (主張)可視光より変動の大きい紫外線や太陽磁場が気候変動に少なからず影響している[43]。宇宙線に誘起され形成される地球を覆うの量が変化して間接的に気温の変動をもたらしている(スベンスマルク効果[44][45][要検証 ]
    • (反論)宇宙線量の変化が実際の雲量や気候に影響を与えているという確たる証拠は見つかっておらず[46]、過去に観測された宇宙線量の一時的変化に対する雲量の変化も見られない[47][48][49]。影響があったとしても、観測されている温暖化の数%以下である[50]スベンスマルク効果を参照)。

小氷期からの回復過程[編集]

  • (主張)産業革命前から昇温は起きていて、小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が続いている[51][52][要検証 ]
    • (反論)そのような自然要因では、現在観測されている20世紀後半からの急激な温暖化を説明できない[53]
人為的な温室効果ガスの増加がなければ、1900年代後半の気温はむしろ低下していたはずである[54]

地球寒冷化説[編集]

地球寒冷化#太陽活動参照)

  • (主張)現在の温暖化は、過去にもあった自然の気候変動の繰り返しの一部である。過去にも完新世の気候最温暖期中世の温暖期など温暖化があったからである[要出典]
    • (反論)氷期と間氷期の繰り返しは理論的に計算可能であり、それだけでは近年の地球温暖化は説明がつかず、近い将来に氷期が始まるとも考えられない[53]
    • (反論)中世に現在と同程度に温暖であった地域は限定的であり、地球全体での平均気温では現在よりも寒冷であったと見られる[55]
人為的要因が無ければ現在の世界の平均気温は1950年代以下であったと見られ[56]、自然要因による変動幅よりも人為的な上昇幅の方が大きく[57]、実際には世界の平均気温は上昇を続けている[56][58]。今後の変化についても、主要な気候モデルの全てにおいて、少なくとも今後100年以上は気温の上昇が続くと予測されている[59]

二酸化炭素の温室効果についての議論[編集]

  • (主張)既に地球放射エネルギーのうち95%は吸収されて飽和状態に近く、二酸化炭素が今後増加しても、大気の窓領域と重なる波長は限られており、それほど気候に変化は起きない[要出典]
    • (反論)二酸化炭素が温暖化を促進する効果には、十分な物理学的な証拠がある[60]
  • (主張)二酸化炭素が原因ならば気候モデルの予測結果では非極地方に於いて対流圏中層の温暖化率は地表より高くなるはずであるが、衛星のデータでは逆に地表の温暖化率が高い[61][要検証 ]
    • (反論)その結論はデータの処理方法の誤りによるものであり、誤りを修正するとやはり対流圏中層の温暖化率が高い[62][63][64]

人為的放熱[編集]

  • (主張)主因は温暖化ガスの増加ではなく、枯渇性エネルギーの使用による放熱による[要出典][要検証 ]
    • (反論)温暖化ガスの増加による放射強制力の増加分は、合計約2.9W/平方メートルで[65]、枯渇性エネルギーの利用による放熱は放射強制力にして0.028W/平方メートルであり[66]、温暖化ガスの増加の影響が100倍大きい(解説:[67])。

炭素循環に関する議論[編集]

ミッシング・シンク[編集]

  • (主張)初期の気候モデルミッシングシンク(missing sink)とよばれる行方不明の二酸化炭素があることを根拠に、温暖化予測が不確実とする主張があった。
    • (反論)森林やサンゴへの固定、地下への浸透、海への溶解などで、二酸化炭素の一部は大気から離脱し(二酸化炭素シンク)、二酸化炭素の排出量と大気中の残存量に差が生じる。初期の気候モデルでは、二酸化炭素の吸収・排出量を要素毎に合算した値が実測値と整合せず、ミッシングシンクと呼ばれた。その後、データが増えて解析が進展し、主に陸上生態系による吸収分として説明がつくようになり、1995年発行のIPCC第2次評価報告書(SAR)からはミッシングシンクという表現自体が消えた[68][69][70]
  • (主張)火山活動、落ち葉の腐敗、生物の呼吸や、海水からの二酸化炭素の排出量の方が、排気ガスや工場などの人為的な排出量を上回っている(人為的排出は全体の約3%に過ぎない)[71]

海洋による吸収・排出[編集]

  • (主張)海洋への二酸化炭素の吸収・放出の時間の長さが不明である。海洋の吸収量に対して人為的に放出される二酸化炭素量は僅かで、影響は小さい[要出典]
  • (主張)海水温が上昇した結果、二酸化炭素の海洋への吸収が減り、大気中の二酸化炭素濃度が高くなっている[73][要検証 ](査読不明)(裏付少)[74]
    • (反論)二酸化炭素の海洋からの収支が放出であれば、大気中の二酸化炭素の需給バランスの説明がつかない。また、海洋に多く含まれる炭素13ではなく、化石燃料や木材に多い炭素12からなる二酸化炭素が大気中に増加していることからも、二酸化炭素増加の主原因は海洋からの放出ではない。[75]

濃度変化は温度変化の結果とする説[編集]

温室効果ガスの増加により気温上昇が生じているのではなく、気温上昇の結果二酸化炭素が増えているとの主張がある。

  • (主張)短期的な変動では、温度変化よりも二酸化炭素の濃度変化の方が半年から1年遅れている[76][73][要検証 ]
  • (主張)20世紀全体の変動も、急激な温度変化が二酸化炭素の変化に先行して起こっている[33]
  • (主張)数万年規模では、氷床コアより過去3回の氷期を調べた研究で、気温上昇が二酸化炭素の上昇よりも600(±400)年先に生じている[77]
二酸化炭素濃度の過去40万年の変化と産業革命以降の急激な上昇

これらの主張については、下記のように反論されている。

    • (反論)上記の槌田らの示すグラフは、時間微分と同様の操作などで二酸化炭素の長期変動を見えにくくしている。槌田らのグラフで気温の変化が追従しているように見えるのは植物の光合成による季節変動だけで、長期変動まで説明できない。近藤の用いるグラフも対象の全期間でCO2が増加しており、彼ら自身の主張と矛盾する[7]
    • (反論)氷床コアなどの測定結果から近年の二酸化炭素濃度は過去40万年にはない規模で増加している(右図)。仮に槌田や近藤らの主張が正しければ、5~6℃の気温上昇が1850年から現在までの約150年間で既に生じている必要があり、観測事実と矛盾する[78][7]

予測内容への批判[編集]

地球温暖化の原因や影響の予測には不確実性が伴い、科学的理解が不足する項目や専門家間での意見の不一致が残る項目がある(IPCC第4次評価報告書#使われている表記参照)。人為説は主に気候モデルの結果から導かれているが、以下のようにモデルの不完全さを批判する意見も見られる[79][80]

予測精度に関するもの[編集]

モデルと現実の整合性や妥当性を問う批判[81]

  • (主張)分解能が粗すぎて小規模の気象現象を表現できない。理解度が低い現象の影響は、過小・過大評価されたり、除外されたりしている[82]
  • (主張)1週間先の天気予報があまり当たらないのに、何故数十年以上先が予測できるのか。
    • (上記2主張に対する反論)天気予報と温暖化予測では、必要な精度が全然異なる。ヤカンを火に掛けた時に例えれば「どこからあぶくが出てくるか」を正確に予測しようとするのが天気予報、「約何分後に沸騰するか」を大雑把に予測するのが気候モデルである[78]。地球温暖化の予測に用いる気候モデルは特定の日の「天候」の予測ではなく、平均的な「気候」を予測する。気象はカオスの性質を持つので100年後の「天候」を予測することは不可能だが、地球のエネルギーのバランスで大部分が決まる「気候」ならばカオス的なゆらぎは平均化され、意味のある予測が可能である[83]
  • (主張)ベンジャミン・サンターが南半球の気温変化を示すグラフで1963~1987年のデータのみを抜き出し、シミュレーションの予測と温暖化の現状が一致すると主張し、IPCC第2次評価報告書の手直しを行った。しかし、サンターが排除した1950年代と1990年代のデータを加えると南半球の気温変化に有意な上昇傾向は現れない。[33]

温暖化の影響に関する議論[編集]

地質学的に安定な23の潮位観測点で計測された海水準。年約2mmずつ上昇

氷河融解と海面上昇[編集]

南極やグリーンランドなどに大量にある氷河氷床は降雪と融解が均衡していれば一定量を保つが、この均衡が崩れると海水準変動に繋がる。地球の平均気温が上昇すると融解(減少)が速まり、海面上昇の要因となる一方で、降水量(降雪量も含む)が増加し海面低下の要因となるとされる。

  • (主張)IPCCのAR4時点の全球気候モデルによる予測の一部には、南極大陸の内陸部で降雪が増えることで氷床が増加して、海面が下がると書いてある。[要出典]
    • (反論)南極大陸では内陸部で氷床が増加している部分もあるものの[84]、大陸全体では氷量が減少している[85]。さらに近年は氷床の融解の加速により、AR4の見積もり以上に海面上昇が速まる可能性が指摘されている[86]。(南極氷床南極の気候参照)。AR4時点の全球気候モデルでは取り入れられていないが、西南極やグリーンランドの氷河の流出速度の加速が海面上昇量を顕著に促進するとされている[87]、近年の各国の衛星の観測結果からも南極氷床は明らかに減少傾向を示していると報告されている[88]。AR4の海面上昇量の予測には、当時の知見不足を理由として、氷床等の流下速度の変化が織り込まれていない[89]。また南極氷床の融解はAR4記載の数値よりも急速に発生する可能性があり、AR4の記述が楽観的すぎると指摘されてきた[90]。実際にAR4以後は予測より速い融解を示唆する観測結果の報告が相次いでおり[91][92]、海面上昇量がAR4に書かれた値の倍以上になる危険性が指摘されている[93]海面上昇#南極氷床の融解参照)。
  • (主張)2005年頃までの一部の観測データでわずかに気温の低下傾向が見られるので、南極やグリーンランドの氷は寒冷化して増加するはずである[94][95][96][97][98]
    • (反論)地球の平均気温とは点で測るものではないため、例えいくつかの観測点で下がっていても全て下がっている訳ではない[7][99]AR4に集約された地球全体の観測結果からは、地球全体としてみれば気温は上昇しているとされる。AR4では最終的には南極の気温も上昇すると予測され、2008年には実際に気温上昇とそれに伴う異変が報告されるようになった[100][101][102]
  • (主張)AR4のヒマラヤの氷河の消滅時期に関する記述に誤りが見つかった(AR4参照)。
    • (反論)(ヒマラヤの氷河群を含む)世界の氷河群が後退していることに変わりはない。報告書の結論は揺るがない[103][104]
  • (主張)海面上昇の象徴として取り上げられるモルディブツバルでは、長期的に海水面が変動していない、あるいは低下している[105][106]
    • (反論)世界中の地質学的に安定な観測点のデータは明らかな上昇傾向を示す(右図)。ツバルで現在発生している問題は主に(地球規模よりも)ローカルな要因によるが、それにより今後予想される海面上昇に対して脆弱になっていると見られる[107]

IPCCに対する批判[編集]

コンセンサス主義に対する批判[編集]

AR4では、数千人の専門家の見解を勘案して、その時点で最も確からしいと思われる結論を記している。このため参加した専門家間でも見解の相違やばらつきがあり、報告書でも断りがある。このような合意(コンセンサス)形成方法に反発する意見がみられる[108]。また、異論のある人物を集めて合意が形成されていないと主張する例が見られる。

  • (主張)温暖化人為説は政治的な目的で作られ科学的な合意は得られていない(米国上院議員のJames M. Inhofe[109][110]
    • (反論)彼は何度も同様の主張をしているが、そのリストには明らかにその分野の専門家ではない人間が多数見つかっている。また内容的にも、彼の主張は既に反論された懐疑論の蒸し返しである[111][112][113][114][115]

気候研究ユニット・メール流出事件(クライメートゲート)[編集]

クラッキングにより暴露された気候研究者らのメールをもとに、懐疑論者らが地球温暖化が陰謀であると攻撃した事件。英国議会等の複数の調査で、具体的な不正や誤りの証拠は見当たらないとされた。(気候研究ユニット・メール流出事件参照)

対策に関する懐疑論[編集]

地球温暖化に関する論争#影響・対策に対する疑問参照。

メディアに関する懐疑論[編集]

地球温暖化に関する論争#メディアに対する批判参照。

政治的圧力・陰謀説[編集]

地球温暖化に限らず、自然科学においては客観的な研究がなされることが理論が成立するための前提であるが、地球温暖化に関しては、政治的な圧力がかけられたり、いわゆる陰謀だとする説(陰謀論)がある。たとえば下記のようなものである。

  • 温暖化は欧米などの優位性を保ったり、利益を拡大するために利用され、誇張されている[116]
  • 地球温暖化説が唱えられるようになった1980年代は、ちょうど軍事産業が低迷した時期と重なっている。軍事ビジネスに変わるものとして環境ビジネスがターゲットとなり、地球温暖化がその理屈作りに利用されたのではないか[117]
  • 「(人為的に/二酸化炭素によって)温暖化することを前提にした気候モデルで計算をしているので、結果もその通りになるのは当たり前である」と主張する者もいる[118]
  • 気候学者はIPCCのメンバーの三分の一にしか過ぎず、政治的に任命された非気候学者、非科学者がはるかに数で勝っており、さらにIPCCの報告書は極端な気候変動を主張するものを偏重して採用している[119]
  • フレッド・シンガー(Fred Singer)、ロジャー・レヴェルらは地球温暖化に対処するために直ちに行動は起こす必要はないとする論文を発表したが、その論文の再掲の話が上った際、レヴェルが論文に発表した内容との矛盾が指摘される『地球の掟』を記したアル・ゴア議員は、知り合いの科学者に頼みレヴェルの名前を論文から削除するよう求めたが、シンガーがそれを断ると、シンガーがレヴェルに強制し名前を載せたとのネガティブ・キャンペーンが張られた。ゴアがシンガーの信用を貶めようと圧力をかけたりメディアを利用したことは、テッド・コッペルナイトラインという番組において後に明らかにされた[119]
→その一方、フレッド・シンガーは「ライプツィヒ宣言」の主宰者であるが、石油業界からの資金供与が判明している[7][120]
  • IPCCのパチャウリ議長が温室効果ガスの排出量取引などで儲けている銀行の顧問を務め、その報酬として数十万ドルがパチャウリが理事長を務めるエネルギー資源研究所(TERI)に振り込まれていると英紙テレグラフのC.Booker記者がコラムに書き、”パチャウリゲート”と呼んだ[121]
→OnEarth誌編集責任者のG.Blackは、その資金はTERIを通じてインドの貧困家庭の支援プロジェクト[122]などに「まっすぐ」振り向けられており、個人への報酬と見なすべきではない、と指摘している[123]

なお、支持派・懐疑派双方に見られる陰謀論は本質的な議論を遠ざけてしまうと懸念する意見もある[124]

原発産業に関する陰謀説[編集]

二酸化炭素による地球温暖化説が広まった背景には、原発産業による意向が政府などを通して強く働いていたのではないか、いわゆる陰謀があるのではないか、との見方がある。原発産業による陰謀、とする説が生じてしまう背景には、次のような要因があげられる。

  • チャールズ・デービッド・キーリングによる二酸化炭素の観測は軍事予算や原子力予算の転用による支援によって行われており、さらに原発業界は各国政府に働きかけることによって、CO2温暖化説の科学者に研究費を出させた[73]
  • AR4の第2作業部会の統括執筆責任者をつとめたスティーブン・H・シュナイダーは過去に地球寒冷化説を唱えており、地球温暖化説に変説する以前に原発の推進を唱えていた[125]
  • IPCC第1次評価報告書には、原子力エネルギーの利用を図った場合のシナリオが温暖化の抑制効果が高いとされ[126]、IPCC第2次評価報告書には地球温暖化の対策オプションとして「原子力エネルギーへの転換」という項目がある[127]。それらの結果を踏まえ、電力中央研究所は、「日本の温暖化対策の大きな柱は原子力発電の拡大であり、2010年で原子力約6600~7000万キロワットの目標」を掲げることとなった[128]
  • 火力発電所に比べ二酸化炭素の排出量が少ないとの宣伝を行ってきた原発の建設推進派による陰謀である」との主張がある[129]。つまり、度重なる原子力事故などによって下火になった原発業界やウラン市場の低迷を抜け出すために、二酸化炭素による地球温暖化説は、発電時に二酸化炭素を余り出さない原発を宣伝するためにも好都合であった。さらに、冷戦体制の崩壊により旧ソ連の核兵器の解体にともない市場にウランが急激に供給される状況が生じるという事態が見込まれる状況にあった[要出典]

石油業界に関する陰謀説[編集]

上記のように、原発産業の陰謀だ、とする説がある一方で、支持派からは懐疑論への石油メジャーなどの関与が指摘されている[7][120]

  • 「オレゴン嘆願書(en:Oregon Petition)」と呼ばれる文書と共に論拠として論文が配布されたが、これは著名な学会(米国科学アカデミー)の論文に見かけが酷似しているものの、実際に掲載された論文ではなく、学会側が正式に抗議する事態となった。また、嘆願書に賛同したとされる人物のリストにも疑惑が指摘されている[7][120]。またこれに似た文書として、「ライプツィヒ宣言(en:Lepzig Declaration)と呼ばれるものもある[7][120]
  • 「地球温暖化科学に関して公衆を混乱させようとする」団体に約18億円を提供した[120]。またIPCCから特定の科学者を解任させるようにブッシュ政権に要求し、実現させた[120]

懐疑論への反論および学者や団体による見解[編集]

地球温暖化は温室効果ガスの増加と人間活動の拡大によるものであるとして懐疑論は概ね否定され反論されている[130]

2007年7月に米国石油地質協会(AAPG)が気候の基本的制御において人為的な二酸化炭素排出についての研究拡大が重要だと表明[131]した。これ以来地球温暖化に対する人為的影響を否定する地質学関係の学術組織は無いとされる[132][133]

日本語での反論も為されており[7][134](何ページ?)、国立環境研究所の「Q&Aココが知りたい温暖化」がある。

東京大学総長で三菱総研理事長の小宮山宏は、「全てについて反論は用意されている」「温暖化懐疑論が問題になっているのは日本だけ」と述べている[135](何ページ?)

海洋研究開発機構近藤洋輝は、NatureやScienceなどの著名学術誌に採用されていない異論が、メディアに安易に取り上げられることに懸念を表明している[136](何ページ?)

トンデモ本を批判的に楽しむと学会の会長でSF作家の山本弘は著書[120](何ページ?)において、武田邦彦槌田敦らによる懐疑論に関して、誤った解釈や信頼性の低い論拠などの問題点を指摘した上で「素人の印象を信じるな。専門家の言うことに耳を傾けろ。」と述べている。

数学者イアン・スチュワートは『数学の魔法の宝箱』で「地球温暖化詐欺_(映画)」における気温と二酸化炭素のグラフに関する誤解を取り上げ、幼稚な推論が原因であるとして数学的に解説(何ページ?)している。

各国における状況[編集]

アメリカ[編集]

懐疑派のサイトとして "The Week That Was" (TWTW)[137]、支持派のサイトとして"RealClimate" [138]などが挙げられる[139]。両者とも各国の論文を集めているが、前者の論文は減っているとされる[139]。世論は2008年5月の調査では平均約7割が地球温暖化が実際に起こっていると回答したが、支持政党によって大きな違いが見られた[140]。また現政権は環境・エネルギー分野への投資を戦略の柱の一つに据え、環境保護に積極的な人材の登用を決めている[141]

ヨーロッパ[編集]

懐疑論は10年以上前から見られ[139]、今でも『地球温暖化詐欺[142]のような映画が作成されたりしている(その他の懐疑論については上記を参照)。 このような懐疑論に対し2008年5月、欧州議会は「科学に不確実性はつきものであるが、気候変動の原因や影響に関する科学的な研究結果を、科学に基づかずに不確実もしくは疑わしいものに見せかけようとする試みを非難する」と表明している[143]。世論は対策を支持しており、長期目標として気温上昇量を2℃で安定化することを掲げている[144]。2008年12月には2020年までに温室効果ガスを1990年比で20%削減することを可決するなど、対策を進めている[145]

日本[編集]

2007年頃から懐疑論が目立ち始め、関連書籍はセンセーショナルな内容で売れ行きをのばした[139][142]。そのような議論では海外の当該分野学術誌に発表していない「専門家」を名乗る人物などにより、温暖化の否定、CO2原因説や人為説の否定[139]、リサイクルなど対策の有効性の否定が主張されている(この項目で上述した内容、および武田邦彦を参照)。一方、そうした懐疑論に関してはその信憑性に関して様々な問題点が指摘され[120]、また反論もなされている(#反論および学術的評価参照)。このような「遅れてやってきた」[139]懐疑論が目立つ状況について、そのような主張はまともな議論とはみなされず、国際的にも通用しない、との危機感が表明され[146]、行政・公的機関・専門家らによる懐疑論への反論サイトが相次いで設置されている(#外部リンク参照)。また専門家チームによる「懐疑派バスターズ」などの取り組みも行われている[147]

姿勢を転換した研究者、研究機関[編集]

  • カリフォルニア大学バークレー校の物理学者Richard Mullerは、気候学者の気温解析手法に批判的で、懐疑論者に理解を示していたが、懐疑派団体からの資金提供を受けて気温再解析した結果、CRUと合致する結果を得て[148]、気温上昇が確かだとしてそれを正式に撤回した。(詳細はen:Richard A. Muller参照)

脚注[編集]

  1. ^ 世界の年平均気温の偏差の経年変化、気象庁
  2. ^ IPCC第4次評価報告書 統合報告書概要(公式版)、環境省
  3. ^ IPCCの原則と手続に関する声明(環境省仮訳)、2010年2月
  4. ^ Understanding Climate Change: 22 years of IPCC assessment, November 2010, Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC)
  5. ^ IPCC AR4 公式サイト環境省によるIPCC AR4関連情報のまとめ
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関連項目[編集]

参考文献[編集]

肯定的[編集]

対談[編集]

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懐疑的[編集]

外部リンク[編集]

肯定的[編集]

対談[編集]

懐疑的[編集]