陰謀論
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陰謀論(いんぼうろん、conspiracy theory)または陰謀説(いんぼうせつ)とは、ある出来事について、広く人々に認められている事実や背景とは別に、何らかの陰謀や策謀があるとする意見[1]を指す名称である。
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[編集] 概要
「陰謀論」という言葉が一般に認知され、さかんに用いられるようになったのは比較的最近のことであり、いわゆる「新語」に分類される[2]。広辞苑第五版にも採用されていない。
「陰謀論」という用語は、
とする考え、もしくは考え方を指して用いられる。
「陰謀論」に基づいて世界史を解釈することを、「陰謀史観」などと呼ぶ人もいる。
「陰謀論」とされるのは、一般に、強い権力をもつ者(一国もしくは複数の国の政府、警察、軍隊、あるいは巨大資本、マスコミ、宗教団体、民族集団など)が一定の意図を持って一般人の見えないところで事象を操作している、とする主張や説や指摘である。具体的には以下のようなものが代表的なものだ[要出典]という。
- 具体的にどのような考えや指摘が「陰謀論」と呼ばれているかについては、陰謀論の一覧を参照
[編集] 脆弱性
陰謀論には一見して荒唐無稽なものが多く、趣味や娯楽、論証的な「あそび」に見えるため軽んじられる事が多いが、歴史的には社会や政治に重要な影響を与え、民族差別やホロコースト、魔女裁判などの正当性を補強するための狂信にしばしば利用されてきた。大衆や民衆が政治に重要な影響力をもつ社会情勢(民主政・衆愚政治)はとりわけ陰謀論に脆弱であり、陰謀論に含まれる詭弁(ある事象に関する仮説について、誰も証拠をもって反論することができないことに立脚する論証(未知論証))は、しばしば非人道的な行いや社会的な悲惨をもたらして来た。
言論統制や宣伝行為を考慮しない前提で、論理の構造を考察した場合、通説は、検証により棄却されない仮説を消極的に採るという行為の積み重ねにより信頼性の高まったものであると理想化されるのに対して、陰謀論は、検証により棄却されない仮説を、通説に対抗的な特定の意図(対立するイデオロギー・政治的宗教的意図)にもとづき積極的に採る事が多いとされる。陰謀論は疑いを捨てられない状況において疑いを支持することや、未検証の仮説を検証されたものと同等に採用することで生じるとも言う。
このため陰謀論は通説と比較して信頼性が著しく低い場合が多く、また採用すべき仮説に対する全くの誤解や無理解、誤解釈に基づく事も多いという批判が可能である。
少数説は通説が基礎としている命題(仮説)を検証する過程で論争があり多数により支持されるにいたらない説のことであり、陰謀論とは異なる。
反証テスト、検証と反証の非対称性、詭弁も参照の事。
検証の積み重ねを経ることで、事実や通説として認識される陰謀論もある。明らかとなっている陰謀を参照。
いくつかの陰謀論は、結論が検証に優先しており、客観性や整合性に欠けている。仮説が検証に先行することは学術においても一般的であるが、仮説を前提として結論を得ることは論点回避(Begging the question)であり誤謬である。陰謀論においてはより顕著となる例が多い。
陰謀論の支持者は、検証により棄却された仮説であっても、検証に捏造された資料が関係していると論じたり検証過程そのものに陰謀が関与しているなどと主張し棄却に同意せず(このこと事体は学術的な態度として必ずしも誤りではないが)、よって棄却された仮説を結論的な証拠として積極的に採用することがあるという。
陰謀論には循環論法を利用しているものもある。詭弁#循環論証(circular reasoning)を参照の事。
「陰謀論」という表現は、それを唱える者にとっての信念を、脆弱な仮説として規定するため、唱える側の立場の人たちが積極的に使うことは少ない。
現実に存在した陰謀(陰謀論#明らかとなっている陰謀)を列記する事で、世界の歴史は陰謀により作られたとする「陰謀史観」は早まった一般化であり、都合のよい事実を列記する詭弁(チェリー・ピッキング)の可能性がある。という。
[編集] 陰謀論とプロパガンダ
「陰謀」論という呼称は、その呼称の対象となった論説に対して、虚偽ないし風説にすぎないと強調し印象付ける意図で使用される場合がある(レッテル・ラベル)。ここでは、この呼称の利用者の意図や目的が問題となる。
通説とされる論説、陰謀論とされる論説のいずれにおいても、検証の過程を省略あるいは操作して、権威主義または反権威主義、ポピュリズム、あるいは、倫理観、または、自由・平等・国際協調といった理想的概念、感情(民族感情、国家意識から個人の自己愛まで)に対して訴えかける方式の論説であるときは、それはプロパガンダである可能性がある(報道におけるタブー参照)。
通説がプロパガンダや言論統制により擁護されている場合、権威主義的に通説に依拠して、「陰謀論」の論者が列記する資料や証拠に対する検証過程を拒否するか省略し、あるいは自己に都合のよい結果となる事例のみを採用した上で、「通説と異なる背後関係=>ゆえに陰謀論である=>ゆえに検証を要さず棄却」という論法を採用することが多い。
通説とされているものがプロパガンダや言論統制を含んでいる場合、「陰謀論」とされる側の論説に事実が含まれている可能性がある。あるいは通説と陰謀論の双方がいずれもプロパガンダに過ぎず、いずれもが事実を表示していない場合もある。
陰謀論と、それに対する通説による反論のどちらか、あるいは双方が、悪魔の証明に陥っているときがあり、それを看過または無視して、自説側に固執する論説が頻繁に見られる。
[編集] 陰謀論の説明対象
陰謀論の対象範囲は幅広いが、頻発する分野はある程度限られている。通説を様々な角度から否定する意図から、科学、政治、歴史など、分野をまたいだ説へ発展する事がある。また、ユダヤ陰謀論とフリーメイソン陰謀論の様にそれら同士で密接な関わりがあったり、混同される場合もある。
[編集] 事件の背景
陰謀論は、ある事件に対する政府等の対応や説明の「不可解な部分」を補足説明するものとなる。日本航空123便墜落事故やジョン・F・ケネディ暗殺に関する陰謀説等、事件が有名かつ謎の部分が多いほど、活発に展開される。
ある団体や個人に対する侮辱や攻撃、人種差別や思想弾圧の背景・動機となる陰謀論もある。例えばナチスのユダヤ人迫害はシオン賢者の議定書に基づくとされる。
悪意を持って発生するものもある。例えば反ユダヤ主義に基づくユダヤ陰謀論や嫌韓感情に根ざすネット上の論争相手に対する在日工作員認定などの差別正当化等である。
ある組織、あるいは対立する複数の組織にとって不都合な真実が明るみに出た場合、陰謀論で説明される事がある。実際に起こった例としては大韓航空機爆破事件における、韓国側の主張した「北朝鮮による爆破」説と北朝鮮側が主張した「韓国による自作自演説」などがある。冷戦時代においては CIAとKGBの間で陰謀論の応酬が展開された。
オウム真理教による坂本堤弁護士一家殺害事件では「我々を陥れる為に公安(又は他の宗教団体)が仕組んだもの」等の陰謀論を主張したが、これは自らの犯罪を隠蔽する為であった。
[編集] 自説が認められない理由付け
学会やマスコミ等で自説が認められない場合、陰謀論はその理由を説明する道具となる事がある。宇宙人、心霊現象、超能力といったオカルト分野や、いわゆる疑似科学(常温核融合や反相対性理論等)や偽史(超古代文明、宇宙考古学、古史古伝等)が認められない理由付けに利用される場合もある。そのため、一つの陰謀論を唱えていた人間が、複数の陰謀論を主張し出すパターンもある。
[編集] 噂、都市伝説の背景
噂や都市伝説の背景を記述する場合や流行や風俗・文化等においても陰謀論が語られる事がある。このような場合は誤解、噂、ジョークとして扱われることが多い。例として「3S政策やウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムは日本を骨抜きにする為の米国の陰謀」、「ルービックキューブやテトリスの開発は西側の生産力を低下させる為にソ連が仕組んだ」、「外国産の煙草や清涼飲料水には男性の精力を減退させる成分が含有されている」等がある。
[編集] その他の概念の生じた理由
前述の諸性質もあり、信仰や思想、価値観や主義、主張、体制と反体制、マイノリティとマジョリティなどいかなるスタンスとも結びつきうる概念であり、しばしばそれらが生じた理由を説明する場合がある。
[編集] 主な陰謀論
-
- 陰謀論の一覧を参照のこと
[編集] 陰謀論を参考にして作られた大衆娯楽
陰謀論を参考にして制作された大衆娯楽には、さまざまなものがある。大衆娯楽にて扱われる場合、陰謀論は都市伝説と同様に、有名なものがモチーフとされることが多い。陰謀論の扱い方には、以下のような種類がある。
- アクセントのひとつとして取りあげたもの
- おおむねフィクションとして扱うもの
- 歴史的な事実と陰謀論を織り交ぜ、作られたもの
- 実際の出来事や実在した陰謀を下敷きに、それをフィクションとして再考証したもの
- 陰謀論の実現により生じる現在や未来を扱ったもの
一方で、これらフィクションの陰謀を、陰謀論を補強するものとして主張されることもある。アメリカ同時多発テロ事件以前にいくつかあった「ビルに旅客機が突入する」というフィクションは、時として陰謀が事前に計画されていたという主張に用いられることがある。
- 『カプリコン・1』(1977年、アメリカ) - 実際には失敗した火星探索有人宇宙船計画を成功したと偽るために、政府がニセの映像をでっち上げて発表するという映画作品。アポロ計画陰謀論にも大きな影響をあたえている。
- 『ゼイリブ』(1988年、アメリカ) - 現代社会に多数の宇宙人が人間の振りをして生活しており、彼等によって世界がコントロールされているという事実を暴くために主人公が奮闘する。
- 『陰謀のセオリー』(1997年、アメリカ) - アメリカで有名な「MKウルトラ計画」が実在した前提となっており、主人公はその被験体。
- ゲーム『メタルギアソリッド』に出現するビルダーバーグ会議。米国議会及び日本の内閣総理大臣は実権を握っておらず、陰から支配しているとされる愛国者達に該当している。
- 小説『NHKにようこそ!』 - 陰謀論をジョークとして用いている小説。冒頭の導入部分に陰謀論のガジェットが用いられている他、作中において、主人公は度々陰謀の妄想に悩まされている。
- 漫画『まほろまてぃっく』-陰謀論地味たガジェットとして「管理者」という組織が登場。ただ、背景となる史実の事実誤認や強引な改変が甚だしい。
[編集] 陰謀論者あるいは主張の一部が陰謀論的だとされる人物
- 太田龍
- 古歩道ベンジャミン
- 中丸薫
- 副島隆彦
- 五島勉
- 田中宇
- 馬野周二
- あべよしひろ
- 鬼塚五十一
- 宇野正美
- L・ロン・ハバード[4]
- リチャード・コシミズ
- ジョン・コールマン
- ユースタス・マリンズ
- ダニエル・エスチューリン
- デイビッド・アイク
- ウラジミール・プーチン
- ジョージ・W・ブッシュ[5][6][7][8]
- きくちゆみ
[編集] 出典・脚注
- ^ 三省堂『新語辞典+α』
- ^ 三省堂『新語辞典+α』
- ^ 注. Wikipediaは政府の構成員が国民に秘密で何かすることが無い、と断定したり主張しているのではありません。当然、各国政府の指導者は、時局によっては、秘密条約等を締結したりするなどして、一種の「裏取引」をして難局を乗り切らざるを得ない時もあり、学者などが記述する正統的・学問的な記述においても、実際に政府(の指導者、構成員)が国民に秘密で何かしていた、と明らかにされている出来事も多々あります。つまり、wikipediaのこの項目ではそういうことが一切無い、と述べているのではなく、「陰謀論」という用語を頻繁に用いる書籍(出典)では、何を「陰謀論」の代表的なパターンと見なしているかを、できるだけ中立的に記述しているものです。
- ^ 詳細はサイエントロジーと精神医学の項目を参照。
- ^ 戦争中毒,ISBN-10: 4772602992
- ^ ブッシュの終わりなき世界戦争,ISBN-10: 4062566818
- ^ ブッシュ妄言録,ISBN-10: 4576060988
- ^ 幸運なる二世ジョージ・ブッシュの真実, ISBN 4899980167
[編集] 関連書籍
- 海野弘『陰謀の世界史』文藝春秋、2002年、ISBN 4-16-358770-5;文藝春秋〈文春文庫〉、2006年、ISBN 4-16-767976-0
- 『奇妙な論理 1』 マーチン・ガードナー、早川書房〈ハヤカワ文庫〉、2003年、ISBN 4-15-050272-2(原題 In the Name of Science, 1952)
- 『奇妙な論理 2』 マーチン・ガードナー、早川書房〈ハヤカワ文庫〉、2003年、ISBN 4-15-050273-0(原題 In the Name of Science, 1952)
- 『トンデモ本の世界』シリーズ と学会 洋泉社、太田出版、楽工社等 ISBN 4896911660
- 『陰謀がいっぱい』 別冊宝島編集部 宝島社 ISBN 4796692339(文庫版タイトル『「陰謀」大全』 ISBN 978-4796616263/ISBN 978-4796657723)
- 『現代アメリカの陰謀論』 M・バーカン、林和彦訳、三交社 (現代アメリカの代表的な各種陰謀論と陰謀をもたらす文化について詳しい) ISBN 4879191574
- 『陰謀論の罠』 奥菜秀次 光文社ペーパーバックス ISBN 4334934072(9.11陰謀論への批判が主だが、それ以外の陰謀論に関する記述も多い)
- 『ケースD ―見えない洪水―』 糸川英夫と“未来捜査局”(メジャー企業のグループに経済を握られ存立している世界と、その世界秩序が崩壊するような事態が生じたらどうなるか、をシミュレーションした小説) CBSソニー出版、1978年 2000年の角川文庫版はISBN 4041491010
[編集] 関連項目
- 陰謀
- フィクサー
- 黒幕
- 疑似科学
- 反証可能性
- 未確認飛行物体
- 都市伝説 - 都市伝説一覧
- プロパガンダ - 情報操作
- 歴史
- 偽史運動
- 社会科学
- 反ロスチャイルド同盟
- キャロル・キグリー
- クレオン・スクーセン
- ロン・ポール
- 真珠湾攻撃陰謀説
- アイリス・チャン
- マイク・ホンダ
- 魔女狩り
- マッカーシズム

