持続可能な開発のための教育

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持続可能な開発のための教育(じぞくかのうなかいはつのためのきょういく、英Education for Sustainable Development、通称ESD)とは、持続可能な開発を実現するために発想し、行動できる人材を育成する教育。

概要[編集]

人類の未来をより良い状態へと変えるための手法のひとつとされており、世界各国で生じている貧困紛争環境破壊人権といったあらゆる問題を包括的に解決することを目指すものである。 これらの問題に対して、各国の政府や国際連合が主体となって取り組んでいるほか、日本では市民社会を中心に民間主体における取り組みも多数行われている。 NGO非営利団体教育機関企業など様々なステークホルダーが連携し、地域密着型の教育を行うことで、市民全体が主体的に問題意識向上・改善策の発想を行い、その実践を地域主体で行うことに繋げることが理想とされる。 また、持続可能な開発のための教育は、教育の場や生徒の年齢を限定せず、場所・時間に縛られずに誰もが参加することのできる生涯教育で、その成功例の多くは各々の地域に深く根付いている。 ヨハネスブルグ・サミットにおける日本国政府・NGOの提案に基づき[1]、2005年から2014年までの10年間を「国連持続可能な開発のための教育の10年(UNDESD)」とする決議案が、第57回国連総会において採択された。 これにより、各国がユネスコ提案の国際実施計画案にもとづき、実施措置を取ることが求められている。

経緯[編集]

  • 1987年 - 環境と開発に関する世界会議で、議長を務めたGro Harlem Brundtlandによって『持続可能な開発(sustainable development)』という表現が用いられ、この概念が広く理解される。
  • 1992年 - リオの地球サミット(国連環境開発会議)で『持続可能な開発』の実現に向けた話し合いがもたれ、成果文書の一つである国際的行動指針「アジェンダ21」に教育の重要性が盛り込まれる。
  • 2002年12月 - 第57回国連総会本会議にて「ESDの10年」が採択される。
  • 2003年7月 - ユネスコより「ESDの10年国際実施計画2005~2014」の草案が発表され、パブリックコメントの受付が開始される。
  • 2004年10月 - 第59回国連総会にユネスコの「国連持続可能な開発のための教育の10年実施計画」最終案が提示される。
  • 2005年3月1日 - 国連本部(ニューヨーク)にてESDの10年開始記念式典が開催される。

各国の取組[編集]

日本[編集]

政府は2005年12月、「国連持続可能な開発のための教育の10年」に向け関係行政機関の連携を図るため、「国連持続可能な開発のための教育の10年」関係省庁連絡会議を内閣に設置した。連絡会議では、「国連持続可能な開発のための教育の10年」に関する日本実施計画を定め発表。この実施計画に基づき、環境省は「国連持続可能な開発のための教育の10年促進事業」の実施地域を募集、以下の10地域を採択した。

  • 北海道石狩郡当別町
  • 仙台広域圏・宮城県全体
  • 江戸前の海(羽田から船橋にいたる東京湾奥部)沿岸地域
  • 山梨県北杜市須山町増富地域交流振興特区
  • 静岡県三島市・その周辺地域
  • 愛知県春日井市(高蔵寺、廻間町、石尾台地区など)
  • 大阪府豊中市
  • 兵庫県西宮市
  • 高知県幡多郡大月町柏島
  • 北九州市

文部科学省は義務教育課程におけるESD推進をユネスコ・スクールを中心に行うことを決め、ESDの国内教育関係者間での名称を持続発展教育とした。 文部科学省ではユネスコスクール500校化計画を進めており、気仙沼市の多くの小・中学校が参加した。

ユネスコ・スクールは、平和や国際的な連携を学校での実践を通じて促進することを目的に設けられた。UNESCO Associated Schools Project NetworkよりASPNetとも言われる ユネスコの理念に沿った取組を継続的に実施していることが必要。 4分野を基本テーマとしている。 (1)地球規模の問題に対する国連システムの理解。 (2)人権、民主主義の理解と促進。 (3)異文化理解。 (4)環境教育。 1953年に15カ国33校で始まり、現在176カ国約7,900校  日本では、2011年1月現在、279校を数える。

世界の取組[編集]

世界的に情報交換・相互交流を行う基盤を形成することの第一歩として、アジア・太平洋地域でネットワークを形成された。2005年9月には「アジアESDネットワーク戦略会議」が開催された。

先進国と途上国ではESD活動分野の中心が多少異なる。先進国では、環境教育ジェンダー人権教育国際理解教育等が主な課題とされているのに対し、途上国は、貧困撲滅教育を中核とした開発教育、エイズ教育、紛争防止教育等を中心に取り組みが進められている。これは、比較的平和で戦争が少ない先進国と、衛生や貧困が大きな問題となっている途上国の現状の違いが原因である。

関連項目[編集]


脚注[編集]

  1. ^ Ko Nomura and Osamu Abe (2009) The Education for Sustainable Development Movement in Japan: A Political Perspective. Environmental Education Research, Vol.15, No.4. pp.483–496.


外部リンク[編集]

  • [1] 持続可能な開発のための教育の10年推進会議(ESD-J)
  • [2]+ESDプロジェクトウェブサイト(環境省)
  • [3]ユネスコ・スクール公式ウェブサイト(ACCU)
  • [4] ACCUアジア太平洋ESDフォトメッセージ・コンテスト「伝えたいもの―無形文化遺産」
  • [5]アジア太平洋ESDウェブサイト
  • [6]立教大学ESD研究センター