成人教育

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図書館はしばしば成人の自己学習にとって格好の学習リソースである

成人教育(せいじんきょういく、adult education)は、しばしば社会教育と混同されがちであるが、家庭教育学校教育といった教育の場所による系列で教育を語っていく場合のそれとはかなり、趣を異にしている。学校という教育組織の外で、しかもやはり家庭の外で行われる教育の機会には、少年野球サッカーなどスポーツ、ボーイスカウト、自然体験学習などから社会教育センター、公民館などを場所として提供されるさまざまな教育機会、市民大学、講演、シンポジウムなど少年から青年、大人と幅広い対象に提供される教育機会をいうが、成人教育は、これに対して、幼児、少年、青年という年齢段階からきて、成人で学校を既に終えて社会人の仲間入りをした人たちの教育のことをいう。

成人教育の本質[編集]

成人教育は、しばしば「成人学習」とも呼ばれる。これは、学校教育が、教師という大人が描いた青写真、もしくは学びのシナリオに従って行われ、学習というのは、往々にしてそのシナリオをいかに正しく学び取ったかによって評価されるのに対して、成人教育には、しばしばそのようなシナリオというものがないからである。 学校教育では、主役は有体に言ってしまえば、生徒ではなく教師だったのに対して、成人教育では、あくまで学習者本人が主役である。学びのシナリオを書くのも学習者本人。だれからも強制され、共用されるものではなく、学びたいと思った本人が本人の思うがままに学ぶ、もちろん、様々な文化講座、資格取得講座、講演、セミナーのようにインストラクター、講師がいる場合もあるが、出席は義務ではないし、いつでも気に入らなければ止めることが出来る。入学も卒業もない、生涯学習ともいうように、講座や講演が終わっても、そのテーマを、鉄道模型であれ、俳句、能面、中国語であれ、自分が1人で学び続けたい、腕を磨き続けたいと思えば、それはいつまででもやることが出来る。ラジコン飛行機カヌーペタンクを楽しんでいる高齢者が、今回の講習会が終わったから、これで飛行機は終わりなどと思うだろうか。

ただ、成人教育には学習者の年齢や職業の在職、コミュニティとのかかわりなどにより、いくつかのタイプがある。

  • キャリアアップ - 職業上の地位や権限、専門的な技術、知識の向上のために学歴や研鑽を積むもの。循環再教育、スキルアップという言い方をすることもある。
  • 社会的なスキルの習得 - 男女共同参画社会セクシャルハラスメント家庭内暴力、子育て不安など職場、家庭内のコミュニケーションの技術を磨くためのセミナー、研修など。家庭内暴力や子どもの親殺し事件の続発などで、親育てと称して、親のために子どもとのコミュニケーションスキルのセミナーを開く自治体も出てきている。
  • コミュニティづくり - ボランティアなども含めてコミュニティをより良いものにしていくための参加と学習。みずから指導者として子どもたちに関わることもある。
  • ライフワーク - 生涯続けられる趣味やスポーツ、生きがいとしての学習など。

参考文献[編集]

  • パトリシア・クラントン「おとなの学びを拓く―自己決定と意識変容をめざして」鳳書房 1999年
  • 麻生健、堀薫夫「生涯学習と自己実現」放送大学振興会・NHK出版会 2002年
  • マルコム・ノウルズen:Malcolm Knowles)「成人教育の現代的実践―ベダゴジーからアンドラゴジーへ」鳳書房 2002年
  • エデュアード・リンデマン「成人教育の意味」学文社 1996年

関連項目[編集]