フランスの教育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

フランスの教育(フランスのきょういく)では、フランス教育を解説する。

フランスでは、「卒業するまでにすべての子供が、自分が頭で考えていることを相手に正確に分かりやすく説明することができる基礎的コミュニケーション能力を身につける」という国語教育が、小学校での最重要の教育目標になっている。また、一部のいわゆるエリート大学グランゼコールを除き、バカロレアに合格すれば大学に入学できる代わり、進級認定はきわめて厳格になされる。このため大学入学時、教授に「恋愛か勉強か選びなさい」と言われるという逸話があるほど勉強しなければ進級できない。

概要[編集]

フランスの児童、生徒および学生は1500万人にのぼる。つまり、総人口の約1/4が学業に専念していることになる。フランスの国内総生産から当てる教育予算費の割合は5.6%(うち公費が5.5%)となっている(日本は4.9%、うち公費が3.3%、個人による負担が1.6%)[1]

1967年以降、6歳から16歳までの学業が義務化された。教育は教育省に帰属するあらゆる教育施設により行われる。

フランス紙エクスプレス1999年9月23日付けの記事によると、フランスの労働人口の61.4%の人々が、ディプロムがない、あるいはバカロレア以下の肩書きしかない、と書かれている。2010年の欧州連合による教育調査ではフランス国籍保持者の学位取得は第三課程(博士・修士・学士等)が27%、第二課程(中等教育・専門学校)が42%、第一課程(初等教育)が30%と報告されている。この調査に従えばバカロレア保持者は全体人口の3割以下であり、また10人に3人が義務教育しか受けていない事になる[2]

歴史[編集]

フランスの教育制度の歴史は、政治、経済、社会、文化の影響を受け、いくつかの注目すべき改革によりそれの変遷を見ることができる。

フランス革命期の公教育論[編集]

この時代、教育は啓蒙の精神を広めるものとしての重要性を持っていた。求められたのは、国民に与えられた主権を行使できる状態に国民全体を高める新しい教育計画であった。

ラボー・サン=テチエンヌによれば、教育について良い計画が必要であることは、「革命を行い、隷属の鎖を断ち切ったのは知性であること、人間には無限の自己完成能力があること、人間の完成は彼が獲得する知識にかかっていること、人々が啓蒙されるほど、とりわけあまねく啓蒙されるほど、政体もより完全なものに近づくこと、人々は啓蒙されればされるほど、自由の価値を知り、自由を保持することができるようになること、知識が全員の手の届くものになればなるほど、それだけいっそう人々のあいだの平等が維持されること」によっていた。[3]

革命期の混乱のなか、さまざまな教育機関の試行錯誤がおこなわれたが、国庫と公教育にかかる費用の不均衡を解決する必要があった。

全般的に、小学校が子供に社会で必要な基本的な道徳や能力を身につけさせるための重要な役割をになうことが確認された。また、批判精神を成長させるとともに産業を促進させる科学・技術教育の強化が訴えられた。

この時代の教育論のなかでとりわけ鋭く対立したのは、理性にもとづいて知的な公教育を主張する立場と祖国愛にもとづいて国民の徳育を主張する立場であった。理性にもとづく知育はエリートに好意的な教育論になり、祖国愛を育成する徳育は民衆に好意的な教育論になった。

啓蒙の精神を全員に広めるという理想と実際的な教育の不平等という問題がたびたび上がることになったが、最終的には労働者階級の教育と学識者階級の教育のそれぞれが国家の繁栄のためには必要なものであるという意見に収斂した。

エリート養成機関であるエコール・ポリテクニーク高等師範学校などのグランゼコールはこの時代に設立された。

その後[編集]

もっとも重要な改革としては、ジュール・フェリー法による変革を上げることが出来る。かれが手がけた法律には、義務教育、教育の無償化、そして公教育の政教分離原則(ライシテ)がある。

構成[編集]

財政と特権[編集]

方針:責任[編集]

1946年10月27日のフランス第四共和政憲法の前文13段落目に、また、第五共和制においても同様に、次のように謳われている:

« 国家は、子どもや成人の教育、文化、職業訓練への平等な機会を保障する。国家の義務の一つである公教育の組織は、全ての段階において、これを無償とし、政教を分離する。»

つまり、重要とみなされたこの条文は、フランスで長く続く遺産である公教育制度についての原則である。フランスのこの公教育制度は、国家により提供され、中央集権化され、単一化された。全ての市民に対し保障しているという点については、教育者への機会も同様に保障されている。

フランスでは教育制度や運営については、国民教育省に委ねられている。国民教育省は、幼稚園(2歳)から高等教育まで教育制度の組織一連の責任をになう。ただ、他の省庁とくに農業省が、教育省の業務を補っている。

しかしながら、1982、1983年と2003、2004年の地方分権の法律では、いくつかの所轄が、限定つきだが、主な管轄先である行政区画に移転された。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ OECD Education at a Glance 2010
  2. ^ www.cedefop.europa.eu 8035_en.pdf
  3. ^ コンドルセ他著、阪上孝編訳『フランス革命期の公教育論』(岩波書店、2002年)、p155

参考文献[編集]

日本人向けの留学案内[編集]

当時のフランスの大学・グランゼコールについての案内の記述が参考になる。当時留学を志す高校生・大学生の必読書。

  • 『海外留学案内/サンケイ新聞開発室 編』、東京 : サンケイ新聞出版局(1966/8)
  • 『海外留学案内/サンケイ新聞開発室 編』、東京 : サンケイ新聞出版局; 増補改訂版 (1967)
  • 『海外留学案内』サンケイ新聞社、サンケイ新聞社出版局; 最新版 (1970)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]