パリ症候群

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パリ症候群(パリしょうこうぐん、le syndrôme de Paris)とは、カルチャーショックの一種。

フランス共和国首都―パリはしばしば『花の都』と銘打たれたうえで日本に紹介される

流行の発信地」などといったイメージに憧れてパリで暮らし始めた日本人が、現地の習慣や文化などにうまく適応できずに精神的なバランスを崩し、鬱病に近い精神状態になる症状を訴える状態を指す精神医学用語である[1]。異文化における適応障害の一種であり、精神科医太田博昭ならびにフランス精神医学者らにより創出された言葉で[1]、太田は同名の著書も出版している[2]

発症者の多くは、裕福な家庭に育った20 - 30代の日本人女性である[3][4]。この中の多くの者は、小説映画などによってつくられたイメージに影響を受け、パリでファッション旅行メディアなどの仕事に就くことを希望したり『留学』のため渡仏した場合が多い[5]。そのイメージとは具体的には、日仏医学協会会長のマリオ・ルヌーによれば、『街中をモデルのような人たちが歩いていて、みんなヴィトンを身に着けていて、・・・』―というようなものが好例で、現実のパリとは程遠いこうした虚飾を煽り立てているのが雑誌などのメディアであるという[4]

症状は、胸に描いてきた理想のパリと現実のそれとのあまりの落差に対する当惑―好例は『絵画のような美しい街並』とのイメージに対する現実の薄汚れた街並など[6]―、求める職が見つからないことや、語学(フランス語)も上達しないことなどが重なった結果、極度に自分を責めることによって発症する。典型的な症状としては「フランス人が自分たちを差別している」などの妄想や幻覚を抱く、パリに受け入れられない自分を責める、などである[4]

外的な要因としては、感情を敏感に察してくれる日本でのコミュニケーションと異なる、自分の主張を明確に伝えることが要求されるフランス文化に適応できなくなっていることがある。また、表層的な情報を過剰に収集することによって生じる、西洋への過剰な憧憬、自国への卑下などが挙げられる。この症候群は2004年にフランスの精神医学誌『Nervure』にて発表され[6]、のちにリベラシオンなどのフランスの新聞やBBCなどの各国のメディアでも紹介されることとなった[4][7]

現代では『パリにやってきてほどなくののちに生気を失った顔で帰国する日本人女性』はパリにおける一種の名物ともなっており、日本や日本人とは全く関係のない題材のエッセイに唐突に登場するといったこともしばしばである[8]

[編集] 脚註

  1. ^ a b Les Japonais en voyage pathologique à Paris
  2. ^ 太田 博昭『パリ症候群』トラベルジャーナル、1991年。ISBN 978-4895592338
  3. ^ 「在留日本人のパリ症候群」朝日新聞、2005年2月2日
  4. ^ a b c d "Des Japonais entre mal du pays et mal de Paris" - Le Liberation 2004年12月13日
  5. ^ パリ症候群 - Yahoo!辞書
  6. ^ a b 仏『ディマンシュ』紙 2006年10月22日[1]
  7. ^Paris Syndrome' strikes Japanese: BBC News Article
  8. ^Sacrés Français! Un Américain nous regardeISBN 4880083208 など

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目