挨拶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

挨拶(あいさつ、儐とも書く)は、新たに顔を合わせた際や別れ際に行われる、礼儀として行われる定型的な言葉や動作のことを指す。また、式典などで儀礼的に述べる言葉をいうこともある。

概説[編集]

人間同士が何らかの目的で顔を合わせる場合、すぐにその目的に関する話題を始めることはまずない。最初に互いの姿を確認した際、言葉や身振り、あるいはその両方で互いに相手の存在を認めたとわかる行動をする(目を合わせ、手を挙げる、「やあ」と言うなど)。さらに接近して話し始める際も、特定の動作や言葉で互いに話し始める。これらの一連の行動が挨拶である。また、本題に入る前に互いに関する情報や天候や前後の無関係なやり取りなどをするのが普通で、これも挨拶に含めることもある。なお、たまたま顔を合わせた知り合いのような場合には、挨拶だけの話が終わることもままある。

話題が終わって別れる場合にも一定の決まったやり取りが行われ、これも挨拶である。普通は別れの挨拶の方が短い。動作がともなう場合、出会いの挨拶と同じものが使われることがよくあるが、異なった挨拶も見られる。

さらに、ひとつの状態に入る前や終わった段階で、歓迎の言葉やこれからの心がけなどについて話すことも挨拶と言うことがある。卒業式入社式に偉い人が行う挨拶はこの例である。

なお、動物にも挨拶的な行動をするものがある。それらについては挨拶行動を参照。

社会的な位置づけ[編集]

多くの社会で、人間関係を円滑にする上で使用されている。

地方自治体や町内会等で「挨拶運動」が行われている場合もある[1] [2]

挨拶の種類[編集]

大別すると、言葉による挨拶と身振りによる挨拶の2種類がある。両方を同時に行う挨拶も存在する。

言葉による挨拶[編集]

どのような言葉が挨拶に用いられるかは、その文化圏の言語習慣に依存する。文化圏ごとに決まった「挨拶の言葉」の言葉があり、その中でも更に地域、集団、職業、年代などによってそれぞれ異なる挨拶の言葉が存在する。そのため相手が自分の求める挨拶をしてくれない場合は相手も自分に対し間違った挨拶だと感じているため腹を立てたり、あざ笑うような態度をとるとかえって関係を悪化させてしまうため注意が必要である[要出典]

挨拶の言葉は、TPOに応じて使い分けられる。特に時間によって使い分けられる言葉と、いつでも通用する言葉がある。親しい関係では後者が使われやすい。相手と自分の関係によって敬語表現が用いられる文化もある。また、フランス語のように、「次に会うまでの時間」によって別れの言葉を変える例もある。また、同じ挨拶の言葉でも複数の状況で使えるケースもあり、これもやはり文化ごとに違いがある。

挨拶の言葉は、往々にして天候に言及するものである。多分同じ時間と場所にいる万人に共通して興味のある話題だからであろう。また、それに続くちょっとしたやりとりにも、天候に関するものがよく持ち出され、それも挨拶の一部と見なされる。大村益次郎は村医者であった頃、「暑いですね」に「夏は暑いのが当たり前です」と返すようなやり取りをするので煙たがられたという。

外国語教育においては、ほぼ例外なく初期の段階でその国の「挨拶の言葉」を学ぶ。

身振りによる挨拶[編集]

挨拶には一定の行動をともなうのが普通であり、往々に身体的接触をともなう。しかし、見ず知らずの間での身体的接触を好ましくないとする地域もあり、性別による問題もある。いずれにせよ、その形は文化ごとに異なる。また、同一文化圏であっても、挨拶する両者の関係の違いによっても大きな差がある。代表的なものを挙げる。

テニスの試合後の握手
  • 挙手:手を挙げる。遠くから見つけてもらう。さらに左右に振ることもある。
  • お辞儀:離れた位置で、頭を前方下に傾ける。傾け方で敬意の差を示す。
  • 握手:互いに手を握りあう。それを揺するのもよく見られる。
  • 拱手:中国での敬礼。胸の前で手を合わせる。
  • 抱擁:互いの背に手を回して抱く。
  • 顔の接触:額や頬などを合わせる。
  • 接吻を相手の体に触れさせる。場所によって意味が異なる。顔であれば抱擁の上で行われる。
日本陸軍の敬礼
  • 警察や軍隊では「敬礼」と呼ばれる特殊な挨拶が存在する。片方の腕の肘から先を真っ直ぐ伸ばした状態で手の部分を顔の高さに上げる動作が一般的であるが、各組織によって肘の角度にそれぞれ異なる規定が存在する例もある。中にはナチス式敬礼(真っ直ぐ伸ばした右手を体前方の斜め上に上げる動作)のように、人々から忌避され処罰の対象となる「挨拶」も存在する。その他にも、特定の集団が身内だけの挨拶の型を持つ例は多い。
  • 事情により言葉を話せない者のための“身振りによる言語”「手話」というものもある。当然、この中にも挨拶の動作がある。

それ以外の形[編集]

言葉や動作以外に、物品を渡して贈り物をする場合もある。その際にも定型的なやり取りが付随する。

文章における挨拶[編集]

手紙においても、「挨拶」には独自の作法がある。主に、冒頭や末尾で決まった挨拶を記す。簡潔に済ませるだけの文化もあれば、日本語のようにかなり詳細な体系が出来上がっている文化もある。会話の際の挨拶を使うことも可能であるが、手紙特有の挨拶の語がある例も多い。文章語としての歴史によるものと思われる。

紙製の手紙より手軽にやり取り出来る事を特長とする電子メールにおいては、省略される傾向が強い。

例えば観光地では、町中に横断幕などで観光客への挨拶を提示していることもある(その地方の方言の場合も)。

その他[編集]

  • 日本語の「挨拶」は、元々禅宗の用語であった。修行者が互いの修行の成果を質問し合う事によって悟りや知識見識等の深さ浅さを、確認する行為を指す。そこから民間へと広まり、人と会った時にとりかわす儀礼的な動作や言葉・応対などを言うようになった。

脚注[編集]

  1. ^ アスリートがあいさつ運動を応援”. 東京都. 2010年8月15日閲覧。
  2. ^ 「あいさつ運動」における教育委員会の取組み”. 神奈川県. 2013年11月6日閲覧。

関連項目[編集]