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(ゆめ)とは、睡眠中に起こる体感現象の一種。

目次

[編集] 睡眠中に「見る」夢

とは睡眠中に起こる、知覚現象を通して現実ではない仮想的な体験を体感する現象をさす。

[編集] 睡眠時に起こる外的現象

睡眠時は本来ならば何も感じていないと考えられる大脳が覚醒時と同様な活動状態を示す脳波になる。時にはその活動に刺激されて反射運動がみられる場合がある。この反射運動には、寝ている状態で手足を動かす、声を発する(つまりは寝言)などある。寝言の中にはを歌いだすという報告もある。

反射行動の中には日常生活では見られない行動、奇異であり不思議な行動が見受けられる。フロイトの報告によれば、普段聞きなれているのだが、発音できなかった(もしくは上手でない)外国語を突然、流暢に喋りだすという事例がある。また、睡眠中に突然起き上がり歩き回るが覚醒時にはその記憶が残っていないなど、その行動が顕著な場合に夢遊病と呼ぶことがある。

夢は人間に限られた現象ではなく、ほとんどの温血動物が見るとされる。人間同様に睡眠中に、覚醒活動状態の脳波を示したり、反射運動である尻尾をふる、鳴き声をあげる発現などが確認されている。

[編集] 夢のメカニズム

メカニズムについては不明確な部分が多く、研究対象となっている。 例えば、浅い眠りに陥るレム睡眠中に見るとされ、ノンレム睡眠時は発現されないと考えられていた。 しかし、最近ではノンレム睡眠時にも夢を見ることが確認されている。たとえば、フラッシュバック性の悪夢はノンレム睡眠時に起こることで知られる。だが、夢が現出してくるルートが比較的解っているのは、レム睡眠時で、PGO波という鋸波状の脳波が、視床下部にある端網様体や、後頭葉にかけて現れる。このPGOが海馬などを刺激して記憶を引き出し、大脳皮質に夢を映し出すと考えられている。

夢を見る理由については現在のところ不明である。 夢の存在意義を定めようとする説はさまざまあるが主に

  • 無意味な情報を捨て去る際に知覚される現象
  • 必要な情報を忘れないようにする活動の際に知覚される現象

の二つが有力である。

[編集] 夢の知覚

夢は、人によってさまざまであり、同一の人でも知覚する現象が千差万別である。ただし、睡眠時の肉体が感じている外的な知覚が夢に影響することが知られている。寝ている人の顔に短時間、ハンカチを被せた所、夢の中で顔に何らかのものを押し付けられる目にあったという複数の報告がある。特に尿意が夢に反映されやすいのは良く知られており、排泄に関わる夢を見て目が覚めたら、膀胱が限界に近かったという事例は非常にありふれている。

夢の知覚には、性別や年齢によって傾向があるといわれる。男性より女性の方が色が付いた夢を見やすい、などがあげられる。

夢では視覚だけではなく、聴覚触覚味覚嗅覚においても何らかの刺激を感じるといった報告がある。上記の通り、どの感覚においても、人によってさまざまであり、同一の人でも時には感じないこともある。ただし、触覚のひとつである痛覚については、ほとんどの事例で「感じない」とされている。

一説では、夢自体は「白黒」の映像として視覚のみ投射されているが、それを知覚、認識する脳がこれまでの経験における適切な情報を付加しているとされる。これは、脳にはその所有者に対して都合の良いように処理をする性質によるものであり、覚醒時でも、とても色に敏感な人が「白黒映画」を見た際にもあるはずのない色を感じるのと同様な情報操作が、睡眠時に行われていると考えられる。

夢には時間軸が存在せず主観時間でのみ知覚しているとも考えられている。これは、目が醒めた時点で記憶されている夢の多くは覚醒前20分以内に見た物とされているが、夢の中では実際の睡眠時間よりも長い、数時間~数日に感じたというケースが多いことによる。

[編集] 覚醒時と夢との関係

寝ながら見る夢では、その人の普段は抑圧されて意識していない願望などが如実に現れるケースも多いとされる。ただ、それらは誇張されていることも多く、結果的に現実としては不可解な現象で表現されることが多い。

また、普段の生活から興味がある現象について夢を見やすいといわれている。具体的にはに興味がある人は色が付いた夢を見る、などである。

覚醒時に考えていた(悩んでいた)事が影響するケースも多く、考えていたテーマに新しい着想を夢の中より得た事例もある。科学史研究者の間ではこのエピソードは後に創作されたもので事実ではないという見解が定説になりつつあるが、ベンゼン環の分子構造を解明したドイツの科学者フリードリヒ・ケクレは、夢の中で尾を咥えたを見たことが解明の糸口となったと述べている。文学に於いてはブラム・ストーカーカニを食べ過ぎて悪夢を見、これを元に吸血鬼ドラキュラを書き上げている。 余談ではあるが更に昨今では引田天功氏のイリュージョンの構想も、同氏の夢からアイデアを得ているという。この他にも、重要な発見や発明、芸術作品など、夢で得たイメージを元としている事例は多い。

[編集] 夢の心理学的分析

深層心理学においては、無意識の働きを意識的に把握するための夢分析という研究分野がある。
夢分析の古典としてはジークムント・フロイトの研究、あるいはカール・ユングの研究が広く知られている。そこでは夢の中の事物は、何かを象徴するものとして位置づけられている。

ただし、フロイトによる夢分析に限ると、性的な事象に紐付けられた説明があまりに多く、そのまま現代人や日本人に適用するのは無理がある、とする説も多い(例えば、男性器を、果実女性器を、動物が性欲性行為を象徴するなどとされたりした。これには、当時の禁欲的な世相が反映されているとする説や、フロイト自身が抑圧された性的願望を抱いていたために偏った解釈をしているとみる説が多い)。

現在では夢分析も改良され、広く現代人の実情を考慮した分析が多い。自分で自分の夢分析をするためのガイドブックや事典なども出版されており、何がしらの自己分析・自己発見の役に立つことも多いようである。

[編集] 夢と占い

夢占い(あるいは夢判断)では、夢は見た者の将来に対する希望・願望を指すか、これから起き得る危機を知らせる信号と考えられている。また、おきた現象がそのまま実現する夢を予知夢と呼び、可能性がある夢を詳細に検討する場合もある。

[編集] 明晰夢

通常、夢を見ているときには自分で夢を見ていると自覚できないことがほとんどであり、覚醒するまでは夢であることが分からない。これに対し、夢の中でも自覚している現象を明晰夢と呼び、その場合には夢の内容をコントロールすることも可能であると言われる。このため、望むままに夢が変化することも多いため、願望を(現実ではないが)叶えることができるとされる。

[編集] 夢と行事・習慣

  • 1月1日の夜から2日の朝にかけて見る夢を初夢という。
  • 寝言に返事をしてはいけないという俗信がある。答えてしまうとその人は目を覚まさないといわれている。
  • ネイティブアメリカンの部族の中には、夢を霊的なお告げと捉え、朝起きると家族で見た夢の解釈をし合うという習慣がある。

[編集] 覚醒中に「見る」夢

白昼夢(白日夢)とも呼ばれる。目覚めていながら夢を見ているかのように現実から離れて何かを考えている状態をいう。夢を見ている自分を自覚できること、夢の内容を自分でコントロールすることができるという点で、通常の夢とは異なる

[編集] 希望・願望としての夢

希望や願望を指してという場合は、それらを実現させたいと考えることを指す。日本語のこのような意味で「夢」を表すのは比較的新しく、明治時代に「Dream」の訳語として出てきたのが広義の願望などといった例にも適用された表現である。希望や願望の内容を問わないため、実際に成す場合には犯罪を犯す必要がある内容や、そうでなくともあまりにもデメリットが多いものでも夢と形容する場合がある。このような実現困難な「夢」は、通常、空想するだけに留められる。

他方では「夢物語」という複合語があるが、この場合の「夢」は希望や願望というよりも、睡眠時に見る夢が荒唐無稽であることが多い事より、その希望や願望があまりに非現実的であることを形容するために、フィクションのニュアンスをこめた「物語」と合わせて使われている。また、非現実的に思われる計画に対しても「夢」と形容される。

[編集] 夢に関わる芸術

文学作品

映画

絵画

音楽


[編集] 関連書

  • 河東仁 『日本の夢信仰』宗教学から見た日本精神史 玉川大学出版部 ISBN 4472402645
  • バリー・ストラウド 永井均 監訳、岩沢宏和、壁谷彰慶、清水将吾、土屋陽介 訳 『君はいま夢を見ていないとどうして言えるのか』現代哲学への招待 Great Works哲学的懐疑論の意義 春秋社 ISBN 4-393-32312-2
  • 川嵜克哲 『夢の分析-生成する<私>の根源』 講談社 ISBN 978-4062583190

[編集] 関連項目

ウィキクォート
ウィキクォートに関する引用句集があります。