アオコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

アオコ青粉)とは、富栄養化が進んだ湖沼等において微細藻類(主に浮遊性藍藻)が大発生し水面を覆い尽くすほどになった状態、およびその藻類を指す。粒子状の藻体がただよって水面に青緑色の粉をまいたように見えることから、「青粉(あおこ)」と呼ばれるようになったと考えられる。

アオコが大発生した津久井湖

概要[編集]

水の華の一形態で、藍藻だけではなく、緑藻ミドリムシによるものもアオコと呼ぶ場合もあるが、近年では藍藻主体である場合を指すことが多い。甚だしいものは、ペンキに喩えられるほど色が濃くなる。

かつて「アオコ」の呼称は、構成藻類の代表種 Microcystis aeruginosa の別名として使われた。この藍藻はガス胞を持ち、寒天質で覆われた群体を形成するため、アオコとして観測されやすい。

湖沼や環境、季節によって、観察される種は変化する。以下はよく見られる属名。

藍藻
緑藻

被害[編集]

アオコが発生すると様々な不都合が生じる。

人間社会においては、湖沼自体の利用障害となる(例えばをはじめとする養魚、淡水漁業、近隣の生活環境、親水観光産業など)ほか、取水源として利用する水道水の異臭・異味の原因となったり、さらには人や家畜への健康被害も懸念される。 また、湖沼周辺の生態系など自然環境を損なうおそれも高い。

遮光によるもの
水面をアオコが覆うと、水草など他の水生植物は、光合成ができず死滅する。水草の森は、魚類の産卵や稚魚の成育場所として重要であり、その消滅は生態系の破綻を招くおそれがある。
酸欠によるもの
夜間の呼吸作用により溶存酸素が消費され、魚類などの動物が酸素欠乏により死滅する。湖沼は河川に比べて酸素の供給効率が低く、新鮮水による洗い流し効果も無いため、酸欠を招きやすい。また、アオコの死骸が湖底で腐敗すると、硫化水素などの還元性物質が発生し、やはり酸素を消耗する。
毒素によるもの
藍藻には非リボソームペプチドであるミクロシスチン (Microcystin-LR、略:MC-LR)などの毒素を生産する個体群が含まれており[1]赤潮と同様に魚類のエラを閉塞させ窒息させるほかにも、毒素によりカモなどの鳥類(アイガモ)の肝臓組織に蓄積し斃死を引き起こす[2]ことがある。また、アメリカオーストラリアなど放牧が盛んな国では、飲用した家畜の斃死被害が多発しているほか、ヒトに対しても、1996年ブラジルで、肝不全による死者50名を出す事件が報告されている[3]ほか、発癌性(肝臓ガン)が指摘されている。

対策[編集]

浄水場での高度処理など各種の対策が研究・実用化されているが、アオコそのものを減少・消滅させるためには、湖沼の富栄養化を解消(特にリン濃度を低下)するなど根本的な対策が必要となる。すなわち下水処理における脱リン・脱窒素の高度処理の導入、肥料使用量の適正化などである。

対症療法的にアオコを除去する方策としては、汲み上げろ過(湖沼水を汲み上げ、アオコを漉し取って水を戻し、アオコは脱水、処分する)、深層曝気(アオコが植物であることを利用し、光の届かない湖底へ送り込んで不活化する。腐敗を抑えるため、曝気して行う)、硫酸銅などの殺藻剤の利用、などがある。バクテリアを利用してアオコを駆除する方法、炭素繊維と鉄を使った除去装置[4][5]、超音波を使ってアオコを破壊し、川底に沈める装置[6]も開発されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 白井誠:アオコの毒性に関する研究 マイコトキシン Vol.1996 (1996) No.42 P3-5, JOI:JST.Journalarchive/myco1975/1996.3
  2. ^ 琵琶湖磯漁港のアイガモ斃死試料中の藍藻毒素microcystin-LRの蓄積 日本鳥学会誌 Vol.62 (2013) No.2 p.153-165
  3. ^ ブラジルで透析患者50人が死亡 (マイクロシスチンに汚染された水を使用) 愛知県衛生研究所
  4. ^ 「館林・つつじが岡公園 アオコ除去実験 成果着々 炭素と鉄で透明な池に」上毛新聞 2011年10月22日、社会18面
  5. ^ 館林・つつじが岡公園 池の透明度4倍に 炭素繊維と鉄で浄化 上毛新聞ニュース 2012年1月14日
  6. ^ 八郎湖のアオコ悪臭防止へ実証試験 県が今夏、2河川で|さきがけonTheWeb2013年3月21日

外部リンク[編集]