近江商人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
近江商人(おうみしょうにん)は、主に鎌倉時代から江戸時代、明治時代、大正時代、昭和時代にかけて活動した近江国・滋賀県出身の商人。大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人の一つである。
目次 |
[編集] 概要
愛知郡、蒲生郡(八幡・日野)、神崎郡(五箇荘・能登川)などの出身者が多数。なかでも得珍保(延暦寺領荘園)を拠点とした保内商人の活動が近江商人の前駆となっている。初期の頃は京都、美濃国、伊勢国、若狭国などを中心に行商を行っていたが、徐々に活動地域や事業を拡大させ、中には朱印船貿易を行うものも現れた。鎖国成立後は、京都・大坂・江戸の三都へ進出して大名貸や醸造業などを行ったり、蝦夷地(北海道)で場所請負人となったりするものもあった。明治以降には西川産業など企業として発展し、今日の大企業の中にも近江商人の系譜を引くものは多い。
その商才を江戸っ子から妬まれ、伊勢商人とともに「近江泥棒伊勢乞食」と蔑まれたが、その実は、当時世界最高水準の複式簿記考案(中井源左衛門・日野商人)(小倉栄一郎『江州中井家帳合の法』)や、契約ホテルのはしりとも言える「大当番仲間」制度の創設(日野商人)、現在のチェーン店の考えに近い出店・枝店を積極的に開設するなど、徹底した合理化による流通革命だったと評価されている。
近江商人の家訓として「売り手良し、買い手良し、世間良し」の「三方良し」が知られる。ただし、「三方よし」は戦後の研究者が標語的に用いた言葉であり、江戸時代や明治時代に使われていたものではない[1]。
[編集] 近江商人の流れを汲むとされる主な企業
[編集] 書籍
- 江南良三『近江商人列伝』サンライズ出版。ISBN 978-4-88325-016-5
- サンライズ出版編『近江商人に学ぶ』サンライズ出版。ISBN 978-4-88325-238-1
- 小倉榮一郎『近江商人の理念―近江商人家訓撰集』サンライズ出版。ISBN 978-4-88325-232-9
- 末永國紀『近江商人学入門―CSRの源流「三方よし」』サンライズ出版。ISBN 978-4-88325-146-9
- 渕上清二『近江商人ものしり帖』サンライズ出版。ISBN 978-4-88325-314-2
- 末永國紀『近江商人―現代を生き抜くビジネスの指針』中央公論新社。ISBN 978-4121015365
[編集] 映画
- てんびんの詩:竹本幸之祐脚本のビデオ。ある近江の豪商に生まれた少年が鍋蓋売りの労苦を通じて一人前の近江商人に成長するストーリー。社員研修の教材となることが多い。
[編集] 関連項目
- 得珍保
- 小野組
- 近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区
- 東近江市五個荘金堂町伝統的建造物群保存地区
- 外村繁 - 近江商人の姿を描く小説で知られた作家。
- ウィリアム・メレル・ヴォーリズ - 「青い目の近江商人」と呼ばれたアメリカ人実業家。
- 平和堂
- 岡田八十次