確定拠出年金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)(DC, Defined Contribution Plan [1]) とは私的年金の一つで現役時代に掛け金を確定して納め(拠出という)、その資金を運用し損益が反映されたものを老後の受給額として支払われる年金。すなわち、掛け金は確定した額と決まっているが将来の受給額は未確定である。「日本版401k」とも言われる。
(逆のパターンとして確定給付年金が有り、老後の受給額の目標金額を現役時代に確定しておき、将来の受給額から逆算した掛け金を現役時代に支払う年金である。すなわち、老後の受給額を前もって確定した年金である。詳細は確定給付年金の記事を参照。)
目次 |
[編集] 概説
2001年(平成13年)10月から「確定拠出年金法」の施行によって始められた。 確定拠出年金の特徴は、年金資産を加入者が自分で運用し、その結果の損益に応じて年金額が決定される。年金資産が個人別に区分され、残高の把握や転職時の資産の移行が容易に行える。 企業規模を問わず実施することが可能である。 自営業者等が各個人で掛け金を支払う「個人型年金」と、企業が掛け金を支払う「企業型年金」の二通りがある。また、公務員と専業主婦等(第三号被保険者)は加入できない。 原則として脱退はできず(例外規定あり)、積立資産は国税の滞納を除き差し押さえの対象とならない(破産時も含む)[2][3]。
[編集] 加入と掛金限度額
2011年3月現在。 掛金は自由に決められるが、上限が定められている。
- 個人型の場合(個人が掛け金を支払う)
- 企業型の場合(企業が掛け金を支払う)
- 第二号被保険者のうち、勤務先に厚生年金基金、確定給付年金、適格退職年金のいずれも無い場合、月額51,000円。
- 第二号被保険者のうち、勤務先に厚生年金基金、確定給付年金、適格退職年金のいずれかが有る場合、月額25,500円。
- ( なお2008年現在、企業だけが掛け金を支払うものであるが、厚生労働省は2008年12月20日に従業員も掛け金を拠出し、積み増した受給年金額とする新たな方式を2009年度の税制改革に盛り込み、その法案の成立を目指すと決めた)[4](2011年8月に可決・公布された年金確保支援法により、2012年から従業員による掛け金拠出が可能となることが決まった。)[5]
[編集] 給付
- 老齢給付金
- 60歳に到達した場合、5年以上の有期又は終身年金として受給することができる(60歳時点で確定拠出年金への加入者期間が10年に満たない場合は、支給開始年齢が最長65歳まで引き伸ばされる)。
- 障害給付金
- 60歳に到達する前、傷病によって一定以上の障害状態になり、一定期間(1年6ヶ月)を経過した場合、5年以上の有期又は終身年金として受給できる。受給条件は次の通りで、いずれかが該当する者でなければならない。
- 障害基礎年金の受給者
- 身体障害者手帳(1級から3級までの者に限る)の交付を受けた者
- 療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者
- 精神保健福祉手帳(1級及び2級の者に限る)の交付を受けた者
- 死亡一時金
- 加入者が死亡した時、その遺族が資産残高を一時金として受給できる。
- 脱退一時金
- 脱退した場合に一時金として受給できる。ただし、審査があり個人別管理資産が50万円超、且つ通算拠出期間が36ヶ月超である場合は、脱退一時金を受けられない場合がある。
[編集] 税制
- 掛け金拠出時
- 個人型の場合、掛け金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象とされ、所得税、住民税が軽減される。
- 企業型の場合、掛け金の全額が損金算入される。かつ、従業員の給与所得とは見なされない。
- 運用時
- 運用益は非課税。積立金に対して特別法人税が課税されるが、2013年度まで課税凍結中。
- 給付時
- 老齢給付金を受け取る場合、年金払いの場合は雑所得となり、公的年金等控除の対象。一時金払いの場合は退職所得となり、退職所得控除の対象。その際は掛け金拠出期間が勤続年数と見なされる。
- 障害給付金を受け取る場合、所得税、住民税ともに非課税。
- 死亡一時金を受け取る場合、法定相続人一人当たり500万円まで非課税。
[編集] 確定拠出年金制度を担う機関
確定拠出年金制度の運営は下記のような機関が業務を担っている。1社が複数の機関を兼務することもできる。
- 運営管理機関
- 加入者に対する窓口としてサービスを提供する。運営管理機関となる者は主務大臣の登録を受けなくてはならない。2011年9月末現在198社が登録を受けている。[6]制度を導入する企業自身が運営管理機関を兼ねる事もできるが、金融機関や専業会社に委託するのが一般的であり、それ以外の登録は少数にとどまっている。
- 運用関連業務:運用商品の選定、運用商品の提示、運用商品の情報提供。
- 記録関連業務:運用指図の取りまとめ、記録管理、給付の裁定。特にレコードキーピング業務とも呼ぶ。運営管理機関で共同出資して記録関連業務を専門に担う会社を作り、記録管理業務を委託するケースが一般的。JIS&T、NRKが代表例。
- 資産管理機関
- 企業から掛け金の納付を受ける。運営管理機関から運用指図・給付裁定を受けてそれを実施する。企業活動へ年金資産を流用されたり、倒産・個人の破産時に差し押さえられたりしないよう、企業資産・個人資産と年金資産を分別管理する役割を担う。資産管理機関となる者は分別管理を担うという制約から、信託銀行、厚生年金基金、企業年金基金、生命保険会社、損害保険会社、農業協同組合連合会に限定されている。
- 運用商品提供機関
- 加入者が選択する個別商品を提供する。預金、投資信託、保険などが提供されているが、運営管理機関から運用商品としての選定を受けてはじめて、加入者に運用の選択肢として提示される。
[編集] 加入者数の推移
- 確定拠出年金(企業型):219万人、導入企業数:9,000社超(2006年度末現在)
- 確定拠出年金(企業型):271万人、導入企業数:1万334社超(2008年度末現在)
- 確定拠出年金(企業型):約339万人、導入企業数:1万2315社(2009年11月末現在)
- 確定拠出年金(企業型):約406万人(2011年8月末速報値)、導入企業数:1万5651社(2011年9月末現在)[7]
[編集] 脚注
- ^ “DC(=Defined Contribution Plan)とは「確定拠出型」を意味するが、日本においては確定拠出年金(企業型年金、個人型年金)のことを指す略称として用いられることが多い”. 企業年金連合会. 2009年4月25日閲覧。
- ^ 「エンジニアのための確定拠出年金(401k)入門」 ITmedia、2002年6月27日。
- ^ 「【401k・基本ABC】 基本ABC(17)いつから年金を受け取れるのか? →途中引き出しは不可。60歳から受給開始」 asahi.com、2003年6月2日。
- ^ 読売新聞2008年12月21日13S版2面
- ^ “年金確保支援法(PDF)”. 厚生労働省. 2011年11月19日閲覧。
- ^ “運営管理機関登録業者一覧”. 厚生労働省. 2011年11月19日閲覧。
- ^ “確定拠出年金の施行状況(毎月更新)”. 厚生労働省 (2009年11月30日). 2011年11月19日閲覧。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 確定拠出年金制度、厚生労働省
- 個人型確定拠出年金、国民年金基金連合会
- 確定拠出年金とはどんな年金制度なのか、企業年金連合会(旧:厚生年金基金連合会)
- NPO 401k教育協会、(確定拠出年金教育協会)