履歴書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

履歴書(りれきしょ)とは、学業や職業の経歴など人物の状況を記した書類のことで、就職転職時に選考用の資料として用いられる。また、学歴や職歴によって給与や資格などを決定する手続き(査定)において、それを証明する各種の書類とともに提出する。

なお、アメリカ合衆国およびカナダの英語圏地域にて用いられるレジュメ(Résumé、日本では英文履歴書とも呼ばれる)は、JIS規格などで書式が定められている日本の履歴書とは異なり、書式が自由であり、むしろ日本でいう「職務経歴書」に近いものである。

芸能人では芸歴書と称するところもある。

以下では、主に日本の履歴書について述べる。

目次

[編集] 概要

日本で用いられている一般的な履歴書の様式は日本工業規格(JIS)で定められており、この規格に従った履歴書用紙が市販されている。通例、履歴書を作成する時は、市販の履歴書用紙に必要事項を記入し、上半身を写した証明写真を貼付することが多い。用紙サイズはB4タイプ(二つ折りにしてB5サイズ)が主流だが、A4タイプのものもある。

記載内容が採用者の選考の参考資料になる就職活動で、日本の場合、ほとんどの企業が手書き(自筆)で記載するよう指示しているが、一部の企業でパソコンワープロ表計算など)で作成し、印刷したのを持参するか、メールに添付し送信するよう求める場合もある(パソコンやプリンタがなく、またはメールが利用できない場合は手書きでも構わない)。就職サイトによってはパソコンの方が良いと勧めている事例も見られるが、企業によっては「パソコンで作成=手書きより楽する、手抜き」とみなす風潮もある(一度記載された手書きの履歴書をコピーした場合も同様、手抜きとみなされる)。

また、ネット上では「パソコン」と「手書き」のどちらが良いかで論争が巻き起こっており、結論には達していないものの、少なくとも現在は手書き→パソコンへの過渡期を迎えており、手書きにこだわる人事も若干少なくなっている。

なお、諸外国では履歴書をあくまで「その人の経歴などの情報を知るための書類」と考えられており、日本のように「手書きで丁寧に書かれているか」「書式通りに書かれているか」などを細かく見ることは少なく、手書きかどうかにもこだわらないことが大半である。

手書きで履歴書を作成すると手間と時間はかかるが、パソコンであれば短時間で同じものが何枚も作成し、印刷(コピー)できるうえ、誤字や内容の変更(住所の変更、資格の追加など)も容易に修正できる。つまり、パソコンを使った方が多くの企業に応募ができるためにそういった意味ではパソコンやワープロで履歴書を作成したほうが有利と考えられ、さらにパソコンやワープロがある程度扱えるという証明にもなるが、前述通り短時間で大量に印刷できることから、一種の「手抜き」と見なす企業もある。

一部の企業では「手書きで履歴書を作成する方が、手間と時間を要する」ことを逆用し、わざと手書きの履歴書のみを指定したり、エントリーシートに多くの設問をすることがある(履歴書がパソコンで作成されたものであれば、書類選考の段階でふるい落とす)。

手書きの手間と時間を嫌うことで応募者が減るため、人事側としては手間が省ける。しかしながら、手書きの履歴書を書いてくる応募者がそうでない応募者よりよい人材ということは特に言えず、他の部署にとっては自ら選択肢(応募者)をわざわざ狭めているため、企業全体としてはむしろマイナスとも考えられる。さらに応募者側から見てもあまり良い印象を与えない。また、合否の判定に仕事のスキルとは関係ない「履歴書やエントリーシートを書くのに手間をかけられるか」という条件がまず挙がるため、企業側が求めている人材として「履歴書を手書きで書く熱意」「手書きで丁寧に書けるか」を重視するが、実際は建前であって単に人事の手間を省くための手段だと考えられる場合も多い。

[編集] 記載事項

JIS Z 8303の解説に、以下の項目についての様式例が挙げられており、これに従っているものが多い。用途によっては、これ以外の欄(特技、趣味など)を設けた様式を使用したり、就職活動では大企業や中堅企業でエントリーシートと呼ばれる独自の様式を使用する場合があり、印鑑も必要とする場合がある(印鑑は、シヤチハタは不可とする企業も多い)。

最近では、携帯電話の番号や電子メールアドレスを記入することが多く、逆に偽造防止の観点からも印鑑は廃止の傾向にある(印影で偽造されるおそれがあるため)。

  • 氏名、ふりがな
  • 性別
  • 生年月日満年齢
  • 郵便番号、現住所
  • 電話番号固定携帯電話
  • 連絡先(現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入)
  • 学歴、職歴
  • 資格免許検定○級(英検)、TOEIC○点など
  • 賞罰(最近の市販履歴書には欄を設けず、記載させないのもある)
  • 志望の動機
  • 本人の希望(給料、職種、勤務時間、勤務地など)
  • 自己PR
  • 通勤時間
  • 扶養家族配偶者除く)の人数(最近の市販履歴書には欄を設けていないものもある)
  • 配偶者およびその扶養義務の有無(最近の市販履歴書には欄を設けていないものもある)
  • 本人が未成年の場合は、保護者の氏名、郵便番号、住所、電話番号(最近の市販履歴書には欄を設けていないものもある)

誤字・脱字など書き損じた場合は、修正液や訂正印で書き直さずに、再び新しい用紙で書き直す。

選考で不採用となった時は不採用を伝える旨の書面と共に履歴書を志望者に返却する場合があるものの、法律で義務づけられていないため、募集時に「履歴書は返却しない」(廃棄する)旨を提示する事業所も存在するが、記載された個人情報が漏洩し悪用される危険性もあるため、近年では問題視されている。また、選考を辞退した場合も志望者本人に返却する場合があり、どちらにしても履歴書の返却が法律で義務付けられていないため、企業のモラルやコンプライアンスの規範意識を推し量る一つの材料にもなる。

個人情報の保護に関する法律施行後は、履歴書を就業利用以外に利用したり、漏洩した場合安全管理措置義務違反として行政処分の対象となるが、故意に返却しない行為は処分の対象にならない[1]

市販の履歴書によっては、記入項目に大きく違いがあり、趣味や特技欄があるものから、職務経歴書が付属されているものもある。

最近では、履歴書は市販のものだけでなくインターネット上からダウンロードしたものや、Microsoft WordExcelなどで作成したの電子ファイルも可とする企業が増えている。

[編集] アメリカの履歴書

アメリカ合衆国では紙の履歴書も未だ使われてはいるものの、近年はインターネット上で就職情報を交換するいわゆる「ジョブサイト」の普及に伴い、電子ファイルの履歴書が一般化している。また応募者の「熱意」や忠誠心などの精神的なものより、「即戦力として貢献できるか」を重視する実理的文化風土のため、電子メールに履歴書を添付したりFAXで送ることも一般的である。

特に、ある程度以上の規模の企業では実際の募集部署に履歴書が届く前に人事担当者や就職エージェントによる前段階選別(プリスクリーニング)が行われ、電子ファイルの履歴書は募集職に関連したキーワードを機械的に検索[2]するのに適しているので重宝がられる。逆に手書きの履歴書は書き手によっては読みにくい場合があることと、「コンピュータでビジネス文書の作成すらできない」ことの証にもなるため、まず使われることはない。

特に定まった書式はなく「自由形式」であるが、典型的には以下のような項目と順序で作成する。

  • 氏名及び連絡先(ニックネームがある場合はここに書く)
  • 目的:求職している地位(管理職、エンジニア、販売員など)、事業分野(建設、小売、医療など)、職務分野(開発、顧客管理、研究など)
  • 自己紹介ハイライト:得意分野、過去の功績、特殊技能など。
  • 資格:政府のセキュリティクリアランス、機械操縦免許、在留資格(ビザ)など職務に直接関係する特殊なもののみ
  • 職歴:最近のものから逆時系列順に以下の項目(応募職務分野に関係ないものやアルバイト的なものは記載しないこともある)
    • 肩書き(カストマサポートエンジニア、電話オペレータなど)
    • 会社名、事業部門、所属部署、場所(州と市)
    • 期間(年・月ー年・月)
    • 担当職務、成果など(最も重要)
  • 学歴:最終学歴のみ、または大学以上の高等教育機関や職業訓練機関は名称、コース(分野)、期間もしくは卒業・中退・終了時期、取得資格・学位を列挙
  • その他:職歴と学歴に記載できない職務に関連した自己アピール、または勤務地・勤務形態・勤務時間の希望など
  • 照会先:応募者の身分・経歴の問い合わせ先(氏名・連絡先・関係)もしくは「要求に応じる」との一文。近年では省略されることが多い

日本の履歴書を比較すると以下の事柄が特徴的である。

  • 職務に直接関係する本人の情報のみ記載(趣味や家族構成、普通自動車免許などは書かない)
  • 職歴・学歴は最新のものから逆時系列的に列挙
  • 性別・年齢・顔写真などを要求することは、子役モデルなどの合理的な理由がない限り、年齢や容姿・人種などによる違法な就職差別につながる恐れがあるので禁止されている所もあり、通常記載・添付しない[3]。健康状態による就職差別も同様に違法となる。ただし麻薬覚醒剤などの違法な薬物の使用についての前歴が厳しく、会社によっては採用決定前に会社の指定する検査機関で薬物使用の有無を検査することを要求される。

履歴書のスペースに書ききれない自己PRおよび「熱意」の表現として、「カバーレター」と呼ばれる簡潔な手紙を添えることもある。

[編集] その他

自伝や歴史などのタイトルとして、『○○の履歴書』などの表現を使うことがある。(例 『巨人、大鵬、卵焼き 私の履歴書』 大鵬幸喜著、『辛抱の履歴書』 水戸泉眞幸著、日本経済新聞リレー連載コラム『私の履歴書』)

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 履歴書の取り扱いと個人情報トラブル 千葉県消費者センター 個人情報相談窓口
  2. ^ Microsoft WordExcelなどのソフトには、印刷前の文書内に含まれる文字列を検索できる機能が備わっているのが多く、キーワードによる検索が容易にできる。
  3. ^ 海外労働情報 アメリカ合衆国”. 独立行政法人 労働政策研究・研修機構. 2008年5月8日閲覧。

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語