公共職業安定所

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公共職業安定所(こうきょうしょくぎょうあんていじょ)とは、国際労働機関条約88条に基づき加盟国に設置される公的職業安定組織 (public employment service) が運営する職業紹介所。日本においては、厚生労働省設置法23条に基づき設置される公的職業紹介所(ハローワーク、英語Public Employment Security Office)が該当する。

国民に安定した雇用機会を確保することを目的として国(厚生労働省)が設置する行政機関である。略称職安(しょくあん)。愛称はハローワーク[1]。本項目では、法令に関連する部分以外では、「ハローワーク」の名称を使用する。

泉大津公共職業安定所
土浦公共職業安定所
あいりん労働公共職業安定所
日雇労働者専門のハローワーク)

概説[編集]

根拠法令[編集]

厚生労働省設置法(平成11年7月16日法律第97号)第23条第1項に「都道府県労働局の所掌事務(前条第一項の規定により労働基準監督署に分掌された事務を除く)の一部を分掌させるため、所要の地に、公共職業安定所を置く。」、同法第24条に「厚生労働大臣は、公共職業安定所の所掌事務の全部又は一部を分掌させるため、所要の地に、公共職業安定所の出張所を置くことができる。」と規定されている。→#施設について

厚生労働省組織規則(平成13年厚生労働省令第1号)別表第5に、公共職業安定所(分庁舎を含む)の名称、位置及び管轄区域並びに公共職業安定所の出張所の名称及び位置が示されている。

雇用対策法(昭和41年7月21日法律第132号)第2条において、「職業紹介機関」は公共職業安定所(職業安定法 (昭和二十二年法律第百四十一号)の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長を含む)と同法の規定により許可を受けて、又は届出をして職業紹介事業を行なう者と定義されている。

職業安定法(昭和22年11月30日法律第141号)第1条において、同法の目的の一つが「公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと」であるとされ、同法において公共職業安定所の業務などが規定されている。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構法(平成14年12月13日法律第165号)第20条第1項において、「機構は、その業務の運営については、都道府県労働局、公共職業安定所及び地方公共団体と密接に連絡するものとする。」、第2項において、「都道府県労働局、公共職業安定所及び地方公共団体は、機構に対し、その業務の運営について協力するように努めるものとする。」と規定されている。

概要[編集]

求職者には就職転職)についての相談・指導、適性や希望にあった職場への職業紹介、雇用保険の受給手続きを、雇用主には雇用保険、雇用に関する国の助成金補助金の申請窓口業務や、求人の受理などのサービスを提供する。公共職業安定所は、取締、規制は業務としていない。

職業安定法により、民間・国を問わず、求職者から手数料・紹介料を徴収することは禁じられている(一部例外規定あり)。なお、民間有料職業紹介事業者(いわゆる「人材バンク」「転職エージェント」など)は、求人者から受付手数料と紹介料を徴収し、これを主な収入源としている。

従来は、「職安」あるいは「安定所」という略称が広く使われていたが、1990年からは、一般公募で選定された「ハローワーク」という呼称が主に用いられるようになっている。正式名「○○公共職業安定所」は、対外的には「ハローワーク○○」と表記されている。

なお船員(船舶の乗組員)に関しては、船員職業安定法に基づき、国土交通省地方運輸局が公共職業安定所と同様の業務を行うことになっている。

施設[編集]

前出の厚生労働省設置法による本庁舎のほか、出先機関として、「○○公共職業安定所 □□出張所」並びに「ハローワークプラザ○○」、「パートバンク」、「職業相談室」、「しごとセンター」及び「ヤングハローワーク」などの施設がある。

その他、類似しており、関連もしている機関に、「ヤングキャリアセンター」及び「ジョブカフェ」などがあるが、それは経済産業省(あるいは都道府県市区町村)の出先機関である。

サービス一覧[編集]

求職者向けサービス[編集]

  • 求職手続き(求職申込み、職業相談、職業紹介)
  • 雇用保険手続き(失業等給付就職促進給付教育訓練給付雇用継続給付(高年齢者雇用継続、育児休業、介護休業))
  • その他のサービス(就職・仕事に関する情報提供、就職に必要な資格・経験・職業訓練コース等の情報提供)

事業主(求人者・使用者)向けサービス[編集]

  • 人材の紹介(求人申込み、応募者紹介)
  • 雇用保険の適用(雇用保険被保険者資格の取得・喪失手続き)
  • 助成金・給付金の支給
    • 雇用調整を行わざるを得ない事業主向け助成金等[2]
    • 人を雇用する事業主向け助成金等[3]
    • 起業や新分野への事業展開を希望する事業主向け助成金等[4]
    • 能力開発を行う事業主向け助成金等[5]
    • その他の助成金[6]
  • 雇用管理サービス(募集・採用・配置などに関する相談・援助、高齢者や障害者の雇用管理の援助)
  • その他のサービス(労働市場、労働条件などの情報提供等)

業務[編集]

開庁時間[編集]

ハローワークの開庁時間は、原則8時30分から17時15分まで、土曜、日曜、祝日、年末年始は業務を行っていないが、原則として人口20万人以上の都市に立地するハローワークは平日8時30分から19時まで、土曜日は10時から17時まで業務を行っている[7]。ただし、平日17時15分以降の時間帯や土曜日は職業紹介事務のみの取り扱いであり、雇用保険事務の取り扱いは行っていないので注意を要する。

職業紹介・相談業務については、求職者の住所(居住地)を管轄するハローワークでなくとも利用する事が可能である(雇用保険の認定手続きにおけるハローワークを通じた求職活動実績にもカウントされる)。ただし、雇用保険業務、求人申込み、職業訓練の斡旋、各種助成金については、求職者の住所(居住地)・事業所の所在地を管轄するハローワークで申請する必要がある。なお、人事権が独立している現場(大企業の工場や支社など)の場合、求人の受理(学卒求人除く)は適用事業所所在地でなく、現場管轄でも可能な場合がある。

年度末に契約が終了する期間社員が多いため、4月は最も混む。月曜日が特に激しい[8]

職業相談[編集]

ハローワークでは求人情報を紹介するだけでなく、求職者からの相談にも応じている。履歴書の書き方、面接の際の注意点などの基本的なことから、不採用・離職の場合の身の振り方まで、職に関することであれば何でも良い。ただし公共サービスという性格上、職員によって対応に差がある、争いになった場合に消極的であるという点に留意する必要がある(労使問題はそもそも管轄外である)。

職業紹介の許認可[編集]

ハローワークは、民営職業紹介事業所(有料・無料)及び労働者派遣事業の許可又は認可及び管理・監督を行う官庁でもあったが、2008年現在は各都道府県労働局に専門部門を配置し、その都道府県内の事業所等に関する事業について一括して取り扱うこととなっている。

求人サービス[編集]

求人番号[編集]

ハローワークの扱う求人は、正社員求人、パート求人(フルタイムパート、学生長期アルバイトを含む)、臨時雇用求人(一日2、3時間程度から8時間労働、学生短期アルバイトを含む)まで全ての雇用形態を網羅している。全ての求人に番号を下記のように設けている。

求人番号(ハローワークインターネットサービスでは「整理番号」と記載)
○○○○○-●●●●●●●●

最初の『○』の5桁が求人を受理した安定所の通し番号であり、『-』以降の『●』の番号が求人個別識別番号である。『●』の番号の最後の下二桁は、下2桁目が西暦の下一桁、下1桁目が「1」であり、2010年の場合は『01』である。この求人番号により、大体の就業場所を推測できる。ただし例外として、その事業所の規模や本店(本社)所在地の事情で、東北地方の安定所で受理した求人内容が、中部地方での勤務を指定する場合もある。あるいは、東京本店本社)のある大企業が、その企業の大量の全国の求人を、東京の本店所在地の所轄安定所(代表例・飯田橋千代田区中央区文京区)といった、日本を代表する大手企業を含む多数の企業の本社が集中する地域を管轄している。他には新宿(新宿区中野区杉並区)や池袋(豊島区板橋区練馬区)、品川(港区品川区)あたり)に一括提出する事もある。

求人票[編集]

ハローワークの求人票には様々な情報が集約されている。事業所所在地は基本的に営業の中心となる場所[9]が記載される。

求人票中央上の欄は就業場所(勤務地)が記載される。仮に派遣労働者請負労働者を募集する求人の場合、事業所欄は派遣元の企業(事業所)とその所在地が記載され、就業場所に派遣先の事業所と所在地が記載される。

以前は、検索コーナーに職種や地域ごとに多数の求人データを束ねた分厚いバインダがいくつも置かれ、この中から求人を探し出し、興味を持った求人情報については、詳細を知るために求人票の印刷を依頼していたが、2004年度のハローワークのコンピュータシステムの一新により、分厚いバインダに代わってハローワーク内に設置のタッチパネルパソコンによるネットワーク端末の画面で、職種や地域を設定して検索し、表示された求人データから選択した求人の求人票が表示できるようになったため、わざわざ旧システムのように、詳細を知るためだけにプリントアウトする必要が無くなり、環境にも優しくなっている[10]

また、新システムにより求人票の情報も改善された。旧システムの求人票では、雇用形態の欄が『常用』、『パート』、『臨時』の三種類しかなく、『常用』と記載する求人であっても、正社員とは限らず、契約社員の場合も多々見受けられたため、多様化する雇用形態や雇用情勢に十分に対応出来なかった[11]

総合的雇用情報システム[編集]

総合的雇用情報システムは、日本全国どこのハローワークにおいても、オンラインで他のハローワークで受理した求人・求職情報を閲覧することが可能なシステムである。例えば、沖縄のハローワークで、東京や北海道のハローワークで受理した求人・求職情報をオンラインで検索・閲覧することも可能である[12]。ハローワークが受理した求人情報のうち、求人事業所が公開を承諾したものについては、インターネット(ハローワークインターネットサービス)で求人情報を検索することも可能である[13]

また、高等学校新卒者を対象とした求人情報についても全国ネットワークが組まれており、日本全国の高校の進路指導部において日本全国の高校新卒者を対象とした求人情報を閲覧することが可能である。

紹介状[編集]

原則として、ハローワークの求人に応募するためには、ハローワークの紹介状が必要となる。事業主はハローワークから紹介された求職者を雇用すれば、国からの助成金・給付金を受けられるためである。求職者は応募する求人が決まれば、窓口職員に伝えて紹介状を発行してもらうことになる。紹介された求人で採用が決まった場合、求職者のデータは個人情報保護のために、ハローワークから削除される。また、1年程度紹介状の発行を受けていないと求職者の登録自体が削除され、一から作り直すことになる。

雇用保険事務[編集]

ハローワークでは雇用保険事務を取り扱っている。雇用保険の受給を行うにあたっては雇用保険法の規定によりハローワークへの求職申し込みが義務付けられ、受給中の期間においてはハローワークが行うところの職業指導を受けるものとされる。

「職業指導」と言っても、特定の求人への応募を強制されたり、ハローワークが行う職業セミナーに出席することは義務ではないが、自己の希望する労働条件を申告することが求められ、職業相談を受けることを勧奨されたり、職業セミナーの案内文書が郵送されることがある。

雇用保険は、労働能力を有する者に対して行われる給付である。労働能力を有するものが、積極的に職業に就こうとせず雇用保険金を受給し続けることは社会的に好ましい姿とは言えない。そのような意味から、積極的に雇用保険金(基本手当)を受けてもらうという意味での「受給者サービス向上」が取り沙汰されることはない。むしろ、「雇用保険金(基本手当)を受けさせることなく雇用保険受給者の早期再就職をいかに図るか」がハローワークに課された行政目標とされている[要出典]。ただ、現実問題として、退職すれば無条件に雇用保険金がもらえると誤解している来所者が少なからず存在する[要出典]

雇用保険についても全国ネットワークが組まれており、日本全国どこのハローワークにおいても雇用保険加入記録・受給記録をオンラインで参照することが可能である(「雇用保険トータルシステム」という。NTTデータがシステムの管理運営を請け負っている)。先述の「総合的雇用情報システム」と「雇用保険トータルシステム」はお互いに内部でリンクされており、職業紹介業務と雇用保険業務は一体のものとしての運用がなされている。

職業訓練の斡旋[編集]

ハローワークでは職業訓練の斡旋を行っている(「公共職業訓練」と言う)。ハローワークが専門学校、都道府県立の職業能力開発校障害者職業能力開発校などに職業訓練の実施を委託し、先述の訓練施設において一定の職業能力を身につけてもらった上で就職を促進しようとするものである。受講料は無料(国が負担)、ただし、教科書代などの実費は受講生が負担すべきものとされる。雇用保険受給中の者(離職時において65歳以上の者や、「特例」受給資格者を除く)がハローワークの「受講指示」を受けて職業訓練を受講する場合、受給日数の延長や交通費(通所手当)、日当(受講手当)の支給がなされる。職業訓練の期間は、職種などによって異なるが、数日から最高2年である。職業訓練は、あくまで職業に就くための訓練であるがゆえ、重度の障害などの理由により、おおよそいかなる職業にも就き得ない者に対しては職業訓練の受講斡旋はなされない。したがって、職業訓練を受けるための要件として、「介助者の手を借りることなく身の回りのことを行うことができ、かつ、自力通学が可能な者。」という要件をクリアしていることが必要である(障害者訓練についてこういったことがしばしば問題となる)。 ※公共職業訓練には筆記試験が近年強化されており、一定の学力がないと例え会社都合の離職であっても職業訓練は受講指示されない※[要出典]

社会的弱者雇用に対する助成[編集]

ハローワークでは、いわゆる「就職困難者等」(身体障害者、60歳以上の高齢者など)を雇用した事業主など、国の雇用対策上必要とする施策を推進するため、雇い入れ企業に対して助成金(賃金相当部分の一部補助など)の支給を行っている。また、対象が必ずしも社会的弱者とはいえないが、近年では社会的経験に乏しい若者(例:フリーター、新卒の内定取り消し者)などを正社員化を前提に試験的に雇用した企業に支払われる「トライアル雇用助成金」、母子家庭の母、一定した住居を持たない求職者(いわゆるホームレスやネットカフェ難民)などの特定の要件に該当する者を一定期間以上雇用した企業に支払われる「特定求職者雇用開発助成金」などを設け、利用拡大に力を入れている。  また今般の経済危機に伴い、「中小企業緊急雇用安定助成金」「実習型雇用支援助成金」などが創設されるなど、雇用の維持、拡大に努める事業主に対する各種助成金の種類は一挙に豊富になった。それら各般の措置の骨子はほとんど麻生内閣の時代に策定されたものである。  これらの助成金の利用にあたっての手続きは多くの一般事業主にとっては煩雑である。その上、各助成金ごとに準備しなければならない書式、添付資料が異なってくる。それゆえ事前に所轄ハローワークの相談窓口に来所し、一連の手続きの流れについてアドバイスを受ける中小事業主も多く、曜日、時間帯によっては窓口が混雑する状況となっている。  そこで各種手続きの時間的ロスを勘案し、社会保険労務士に依頼を行うケースも多い。しかしながら顧問料、成功報酬といったマージンが発生してくることは言うまでもない。結局のところ、自力で申請を行うか、社会保険労務士に任せるかは費用対効果によってまちまちである。

HIV(エイズ)感染身体障害者の就労支援[編集]

障がい者雇用促進法に基づき、国や地方公共団体、民間企業はそれぞれが定められた割合、法定雇用率で身体障害者を雇用することができる。 内部障害の免疫機能障害として身体障害者手帳を取得することで障害者枠での就労が可能となり、専門家に就職にまつわる適切なアドバイスを受けられる。 また、ハローワークと連携している身体障害者職業センターにおいて職能評価やジョブトレーニン グを受けることができる。

来所から面接までの流れ[編集]

利用者自身で印刷する求人票には会社の連絡先が記載されているが、利用者が会社に直接電話しても「ハローワークを通して欲しい」と、面接を断られる場合がある。その理由は『ハローワークは会社に求職者を紹介する』からである。

従って、面接を希望する場合は次の手順を踏む必要がある。

  1. 初めて来所した場合、求職申込書に必要事項を記入して窓口に提出する。
  2. これが済むとハローワークカードが発行される。
  3. 求人検索用のパソコンで求人を検索し、気に入った求人があれば求人票を印刷する。
  4. その求人票と、ハローワークカードを窓口に提出する。
  5. 職員が会社に電話をし、面接の予約をする。
  6. ハローワークカードと求人票が返却され、紹介状が発行される。
  7. 履歴書・職務経歴書・顔写真などの応募書類に紹介状を添えて、面接先が指定する住所に送付するか、面接先に持参する。

選考結果は応募者だけでなく、ハローワークにも連絡することになっている。 採用の場合は決められた日から出勤し、あいにく不採用の場合は採用されるまで3〜7を繰り返す。

近年は大半の企業で採用予定人数に対する求人応募数が殺到するため、「履歴書・職務経歴書・そして紹介状を送付」という、これまでは最初の面接の時に持参をしていた書類一式をあらかじめ先に郵送をする、いわゆる“書類選考”が行われ、多数の応募者の中から本当に面接を行うべき人材かを企業側で”ふるいにかけ”厳選するということにより、面接まで進める応募者を絞り込む(もちろん、送付する書類や、そもそもこういった最近の選考方法が、この記述内容の全てという訳ではない)。

ちなみに不採用者への伝達方法と書類の取扱いは企業側でまちまちであるが、不採用者には応募書類そのものを不採用の旨の文書を添えて返却送付される場合が大半だが、その応募書類返却を割愛する(その場合企業側は概ね「当社側責任廃棄」と記入される)場合は、不採用の旨を電話で伝えるか、応募書類返却に代わる不採用の旨の文章のみを郵送される(各企業の検索した求人票の備考覧などにその不採用時の取扱い方法が記載される)。

職員[編集]

身分[編集]

ハローワークは厚生労働省の各都道府県労働局の管内に複数設置される出先機関である。職員は国家公務員であり、官職としては「厚生労働事務官」である。職員は「国家公務員II種、III種試験」(基本的には行政職)合格者の中から採用される。近年の職業相談窓口では、離転職の困難さなどにより精神的なストレスを多く抱えた求職者も多くなり、中核的ハローワークには臨床心理士を非常勤で配置することや、先述の「常勤職員」に加えて、現に企業などで人事・労務経験のある定年等退職者などを非常勤職員として採用し、職業相談員として配置して企業側が考える点について指導するなど、雇用のミスマッチが少しでも緩和されるよう配慮されている。

職歴情報漏えい事件[編集]

ハローワークの雇用保険相談員による職歴情報漏えい事件で、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された。 警察は、雇用保険相談員が雇用保険から職歴情報を漏らす見返りに調査会社側から現金を受け取っていた受託収賄罪の容疑でも逮捕された。 雇用保険の端末から男女3人の職歴情報を引き出し、漏えいした疑いで、依頼した側も逮捕された。 職歴情報を扱うビジネスを始め、職歴情報を専門に扱う会社を設立していた。 国家公務員法により懲戒免職になる。

職業安定所職員[編集]

ハローワーク(公共職業安定所)の相談及び情報の提供などをおこなう相談窓口などにいる。職員の正式名称(職名、いわゆる肩書き)は、「所長」、「次長」、「○○課長」、「統括職業指導官」、「就職促進指導官」、「外国人労働者専門官」、「雇用指導官」、「雇用保険給付調査官」、「上席職業指導官」などであり、ハローワークの規模、職員数によって異なる。東京都内など、規模の大きなハローワークでは「部制」を採っているところもある。 税務職員から、問い合わせがあった場合は、これに応じなければならない。また質問検査権があり、黙秘できない。

雇用保険調査員 (雇用保険給付調査官)[編集]

職業安定所などにおいて、雇用保険における失業給付の不正受給の告発、実態調査などの業務を担当している。

労働基準監督官[編集]

労働局でハローワーク(公共職業安定所)員と労働基準監督官は、一体となっている。 労働基準法や労働安全衛生法などの法律に基づいて、事業所や工場などに立ち入り検査を行い、 違反や死亡事故、労働災害、があった場合は、特別司法警察員として捜査を行い、送検する。 また危険性の高い機械・設備などについてはその場で使用停止を命ずる行政処分を執行する。 労働に関する相談や労働災害の調査や再発防止の指導などもする。

定員管理[編集]

ハローワークは国の機関であるため、査定官庁である総務省により、定員が管理されている。

定員削減方針による課題[編集]

いままで「5年間で5%以上の純減」方針により、ハローワークに対し大幅なマイナス査定を行うことにより定員削減が行われてきたが、2008年10月 - 12月のGDP伸び率(年率換算)がマイナス12.7%になるなど、未曾有の経済危機により企業の受注の減少、解雇、雇い止めなどの離職が発生し、大量の求職者が押しかけている。また、政府の矢継ぎ早の緊急雇用対策により各種企業向けの助成措置が急遽、図られたため、製造業を中心とした企業等による雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)などの助成金の相談がハローワークに殺到、求職者、企業ともに待ち時間が激増している。その中で2009年度の定員査定は、内閣府(プラス191人)、総務省(プラス243人)、外務省(プラス100人)、財務省(プラス99人)など増員を享受する省庁がある一方、ハローワーク等の地方労働行政職員の定員は前年度比マイナス306人と、2007年度、2008年度に引き続き大量の削減がなされた[14]

緊急雇用対策があいついで政府から表明され実行されているが、総務省の査定においてプラス査定になっていない。2009年4月6日毎日新聞夕刊では、「ハローワーク なぜ今? 職員削減 年度末に大量解雇なのに」と題し、300人の定員削減を「何を考えているのか」と利用者などから批判の声が上がっていると報道された。麻生首相(2009年2月現在)は、派遣切り相談でハローワークの相談窓口に臨んで雇用政策を重点化を表明しているが、その一方で「地方出先機関は地方に委譲し定員を減らす」と地方委譲で縮小する方向と国会答弁をしている。2009年8月現状では、雇用情勢の悪化が進み、業務や利用者や待ち時間は激増しているが、ハローワーク定員は「小さな政府」・地方委譲などを理由にマイナス査定の連続となっている。

2010年度のハローワーク等の地方労働行政職員の定員は前年度比マイナス226人、ハローワークでは186人の定数が大幅に削減されることが予定されている。[15]

問題点[編集]

政策との関連[編集]

第45回衆議院議員総選挙による民主・社民・国民新党連立政権発足に伴うものについては、後述#鳩山政権発足に伴う政策を参照。

縮小する雇用政策[編集]

前項の記述でも触れたが、ハローワークは定員が削減(5年計画で全定員の6%弱)されており年々縮小傾向である。査定官庁の理解が得られず定員が確保できないため、統合・閉鎖、あるいは出張所へ格下げされるハローワークも現に存在する。また、鳥取県では統合・閉鎖されたハローワークの代替として県が運営主体となる「地域職業相談室」(鳥取県ふるさとハローワーク、雇用保険の受給手続き・雇用に関する国の助成金・補助金の申請窓口業務は取り扱わない)を設置し、国(厚生労働省)および地元自治体も運営に協力を行っている[16]。一方、規制緩和による派遣会社の事実上の優遇政策等により民間[17]の規模が拡大したが、昨今の「派遣切り」などの事態は、結局ハローワークや自治体での雇用対策が迫られる結果となり、現にハローワークでは貸付制度などが緊急に実施されている。昨今のワーキングプアネットカフェ難民の問題、今の「派遣切り・雇い止め」、さらにそれにより労働者が宿舎を追い出され住む家が無いという事態は、派遣会社・民間紹介会社などの人材関連業種の勢力拡大によって発生したものである。欧米のハローワークと同様の機関における職員1人あたりの労働力人口は日本が職員1人当たり5500人程度であるのに対し、アメリカが2000人程度・ドイツが600人程度であり,日本の職員数は欧米の半分から9分の1程度である。また、機関1箇所あたりの労働力人口は英国が20000人程度・ドイツが48000人程度・フランスが36000人程度に対し日本は113000人程度であり、機関数は欧米の半分以下の水準に留まっている。

過去の民営化議論[編集]

2006年、ハローワーク関連分野では社会保険庁関連業務などと並び、市場化テストが行われた。2007年11月に「2006年市場化テスト評価委員会」から公式な結論が出され、官民対決は国の連戦連勝で最終決着した。

当時、行政改革・民間開放推進会議では八代尚宏民間議員(当時)などを中心に議論開始。ハローワークの株式会社化、独立行政法人化、公設民営化[18]、ハローワーク職員が公務員である必要があるのかなど、経済財政諮問会議等で議論(八代氏が安倍内閣では経済財政諮問会議の委員に移ったため、議論場所も移動した)され、最終的には私的諮問機関で厚生労働省と外務省を蚊帳の外にし議論を行ったが、議論の内容は棚上げになりお蔵入りし未公表となった。その理由はマスコミ公表されていない。

仮に、ハローワークが廃止・民営化されれば、「民間職業紹介機関を指導、監督することにより間接的な形で雇用対策を行うとしても、国民個々人の就業機会の確保という問題については国は関知しない」ということとなる[19][要出典]。国が直接個々人の就職の面倒まで見なければならないか否かについては議論の余地があるが、「勤労の権利」を規定した憲法上の要請や、「国が無料の職業紹介をしなければならない」というILO条約遵守の問題、及び、国の許可を受け営業をしている民間職業紹介会社を利用して就職する者は「高度な職業スキル」を持っている者が中心であり、いわゆるブルーワーカー障害者などの社会的弱者に対する民間サービスが手薄である現状[20]があり、また、近年多数の企業で発覚した特に大企業と請負・派遣会社による偽装請負・違法派遣の問題等を考えると、民間企業の場合は公正・公平性、求職者の安全性の確保より利益の向上が最優先とされるため、法律違反の企業を監視あるいは指導する機関が減少すれば多くの労働問題の発生が容易に予想される[要出典][21]。そのため国の職業安定・紹介機関であるハローワークを完全に廃止・民営化することについては、抱える問題が多々あるとの主張もある。しかし、民間の職業紹介所の方が、利益を上げるために熱心に紹介を行なうので利用者にもメリットがある。また、いわゆるブルーカラー層向けのサービスが少ないのは、現在、公営のハローワークがあるから発達しないだけとも言える。さらに、ハローワークの監督機能に関しても、ハローワークを通さないで募集する企業が多い現状では機能していない。それゆえ、ハローワークを廃止すれば労働問題の発生が予想されるとは言い難い。また、雇用保険支給業務も、当然ながらコスト重視になった場合は支給の不払いが予想され、雇用のセーフティネットとしての機能が民間事業として発揮できるか、つねに議論の的になっている[要出典]

2007年7月24日柳澤伯夫厚生労働大臣(当時)は閣議後の記者会見で関連法の成立後、まず東京都内の渋谷・墨田区内のハローワークで試験的に民間職業紹介会社の窓口を設置し、官による窓口と併置することを計画、2008年からの開始を目指し、結果次第ではさらに対象となるハローワークを拡大するとしていた。ハローワーク本体の市場化テストは八代尚宏教授など政府に近い学者が、当時の政府の各種委員会で強硬に主張していたことであるが、しかしながらこの実施形態は、当初彼らが想定してきたモデルとはだいぶ異なるものであった。先に他のハローワークで実施された民間企業を含めたテストでは質、コストの面でハローワークが優位に立ったというデータが出ている。また以前足立区で行われたリクルートとハローワークの官民共同窓口試行事業においても、リクルートが意図的に就職困難者をハローワークに誘導するといったアンフェアな手法を用いていたにも関わらず、官の方が就職率が大幅に上であったという結果が出ている。

その中で、2006年市場化テスト評価委員会(座長=佐藤博樹・東京大学社会科学研究所教授。前述の八代尚宏教授も評価委員会のメンバーである)は2007年11月26日、2006年度に市場化テストモデル事業として実施した求人開拓事業の実績評価を行い、民間実施地域では、開拓求人件数、開拓求人数、充足数のすべてにおいて、国の比較対象地域の結果を大きく下回った。民間実施地域では、それぞれ同地域における平成17年度の国実施時の実績を下回り、開拓求人数1人当たり、充足数1人あたりのコストは国の比較対象地域よりもはるかに高くなっている、と結論づけている。

週刊東洋経済(東洋経済新報社)07年7月14日号によれば、先に行われたハローワーク関連事業でのテストや大手民間企業とハローワークの官民共同窓口によるテストではコストなどの質・量共に官が上回ったとの結果が出ており(民間事業者が不正行為を行ったこともあったと記載されている)、官の連戦連勝である。にもかかわらず当時更なるテストを行おうとしていたことについて、「かえってテスト自体が非効率なのではないか」「税金のムダである」といった評価がされている。また、肝心の民間事業者の関心は薄く、「ハローワークが行うセーフティーネットは国として保障すべきで、官以外ありえない。民間職業紹介事業のビジネスモデルの理解が足らないのでは」「落札価格の叩きあいになるようなスキームは本末転倒」などの冷めた意見が主流であるとの指摘がある。ちなみに2004年時の三和総合研究所の推計によれば、職安におけるコストは就職1件当たり約6万円、都市部は約7~11万円であり、この時期実施された長期失業者就職支援の一部民間委託による成功報酬は60万円だった。

都市部では無料情報誌や民間職業紹介機関を通じて就職する者が多いので、国が行うところの就職斡旋は需要がないのではといった論調もある[要出典]。しかしながら地方に目を向けると転職支援会社や求人誌などの民間企業は採算性から扱わない、あるいは手薄な地域も多くあり、当然これらの地域にも多くの労働者・失業者や学生が存在している。公設民営を先進的に実施しているオーストラリアの例でも民間事業者が撤退して、職業選択の自由が脅かされる地域・国民がでる事態が発生しているなど、多くの国民にとって国の関与するサービスは最低限何処までが必要であるかの議論が必要であるが、現時点においては積極的な議論はなされていない。また、過去に例を見ない近年の高失業率の状況において、ハローワークの窓口を担当している職員(公務員)に加えて、補助的業務を中心に従前から配置されていた非常勤職員たる職業相談員を緊急避難的に増員したことについて、実質的には上述の「公設民営化」されているに近い状況ではないかと、首相の諮問機関である規制改革・民間開放推進会議等は主張しているが、この点について財政当局等は失業率低下に伴い、その削減を実施している。

渡辺喜美らを中心に、「『キッザニア』のように民営化すれば黒字を上げられる施設になる」という議論がある。この論はキッザニアのようにハローワーク利用者(求職者)から何らかの手数料(入館料、登録料、施設利用料、相談料、紹介料、求人事業者の意に沿わなかった場合の違約金など)の徴収を意図し、事実上有料化を推進するものとしても注目される。なお、ILO条約は「国が無料の職業安定機関を運営しなければならない」と定めている。

地方委譲に関する議論[編集]

2008年頃よりハローワークの地方自治体への委譲に関する議論が地方分権改革推進委員会全国知事会などで盛んに行われており、政権交代がなされた現在でも続いている。

2008年12月8日の地方分権改革推進委員会による第二次勧告が出され、その中でハローワークについては、当面労働局の下部機関として存在しつつも、無料職業紹介事業の地方委譲を図り、将来的には人員・組織を削減し地方に委譲する事が勧告されているが、雇用保険制度との不可分性を認め国による職業安定機関の運営を認めつつも、組織の大幅な縮小を求める記述がある。昨今のハローワーク定員削減に影響を与えており、待ち時間が急増する原因のひとつになった。

地方分権改革推進委員会による第二次勧告に対し、自由民主党の雇用・生活調査会は2008年12月12日に行われた会合で、第二次勧告は雇用問題に関する国の責任放棄であり、ILO条約にも明白に違反するとし、組織・人員の拡充など体制の抜本的に強化すべきだとの意見でまとまり、第二次勧告への反対を決議するなど、地方分権改革を推進する立場の政府与党内からも批判が噴出している。

全国知事会のプロジェクトチームは2009年11月19日、ハローワークを含む国の出先機関8府省17機関を独自の事業仕分け(構想日本や政府の事業仕分けと異なり、担当者との議論や、作業の公開はない)を実施することを決めた。広域性や専門性は国が事務を行う理由とせず、出先機関の職員を円滑に自治体へ移す場合の円滑化策を検討するとした。ただ、地方移管の際の事業受け入れ主体を決めるのが難しいという意見も出た。結果は2010年3月にまとめる改革提言に盛り込む予定である(同日各紙)。

2009年末に行われた職業訓練と生活支援の相談を受けるワンストップサービスについて内閣府参与の湯浅誠氏はワンストップサービスについて否定的な地方自治体が多くワンストップサービスをハローワークで実施できたのは、「全国にあるハローワークが国の行政サービスだったから」と実体験を元に述べている。

2010年7月15日和歌山市内で開催された全国知事会で、国の出先機関改革に関してはまずハローワークの地方移管を要請していくことで一致した。

地方委譲推進派

地方委譲推進派は主にハローワーク業務委譲に伴う財源委譲を期待する県知事や、道州制を推進する学者、経済団体をはじめとした財界、もともとハローワークの民営化を主張していた日本経済新聞を筆頭とする地方分権という改革イメージを好むマスコミが存在し、いわゆる新自由主義を主張する勢力が多い。

  • 職業紹介は地方自治体でも行っているところがあり、国と地方で二重行政を行っている事であり非効率ではないか。
  • 地方自治体に委譲することにより、各地方に応じた就労支援、雇用対策ができ地域活性化が図れるのではないか。
  • 国の機能は国防・外交・通貨政策に限定すべきであり、失業対策を含めた社会福祉事業は地方の実情を一番良く知る地方が自立して行うべきである。
  • 日本ではすでにナショナル・ミニマムが達成されている以上、行政サービスが手薄な地域は無く国の出先機関を全国に展開するのは非効率であり、無駄である。
  • 米国では日本のハローワークに該当する公共職業安定機関は州単位で組織されている。
地方委譲反対派

地方委譲反対派は連合をはじめとする労働組合や、ハローワークを所管している厚生労働省が該当する。また、本来、地方分権改革推進の立場を取っている自由民主党の一部議員や、経済団体の役員、学者などの中にもハローワークの地方委譲に関しては反対の立場に立つものも多くいる。

  • 「国が公務員により運営される全国規模の職業安定機関を組織しなければならない」といったILO条約の要請があり、地方委譲は条約違反ともなりかねない。
  • 2010年現在も財政上の理由や行政改革の名目によりハローワークの統廃合、大幅な人員削減が進んでおり、仮に財源・人員とセットで移譲されたとしても財政力の弱い自治体ではさらに統廃合、人員の削減が進み、地方によっては失業者の勤労権が脅かされかねない。
  • 英会話学校のNOVAの倒産のような全国規模の会社が倒産したときに、地方がばらばらに対応していたのでは迅速で効果的な雇用対策をとれない。
  • 地方自治体の行っている職業紹介はあくまで「地域振興」が主たる目的であり、国で行っている職業紹介は憲法上国民に保障された「勤労権の保障」が目的で行われている。したがって地方分権改革推進委員会全国知事会が指摘する「二重行政」にはあたらない。また、2008年現在の労働力の移動は都道府県単位、地方単位で完結するようなものではなく、都道府県・地方をまたいで移動が行われており、全国的なネットワークを構築して行う方が効率的である。
  • 雇用保険が地方ごとで運営された場合、一部の地域を除いて雇用保険料の料率引き上げが行われるのは必至であり、労使双方の負担が増えてしまう。また、仮に職業紹介業務だけを分離し地方に委譲したとした場合でも、職業紹介と失業保険を分離して失敗した英・仏のように失業給付費の濫給が起こり雇用保険財政が悪化して結局労使双方の負担が増えてしまう恐れがある。
  • 地方分権が進んだ場合、大企業が地方政府に撤退をちらつかせて大企業にとって有利な政策を実行させる恐れがあるなどの危惧がある中で、雇用対策の一環である各種雇用指導が大企業に対し着実に行われるか疑問であり、行われない場合高齢者や障害者などの社会的弱者に被害が及ぶ恐れがある。
  • 米国の例は連邦制や国土の広さなど含め極めて稀な例であり、連邦制を採用しているドイツでも公共職業安定組織は国によって運営されており、他の先進諸国でも同様である。

法律との関連[編集]

雇用機会均等関連法規とハローワーク[編集]

1999年男女雇用機会均等法が完全施行された時から、新たな問題も浮上してきた。不況のため何か仕事をしなければと、男性向きの求人(例:バス鉄道などの交通関連、技術・技能職)に女性が応募することや、女性向きの求人(例:看護師保育士など)に男性が応募することも珍しくなくなったが、2007年現在、まだあまり企業人事担当者には受け入れられていない[22]

なお、神社巫女の求人や、女性刑務官(女性受刑者の身体検査の場合がある)の求人など、宗旨などの伝統的要請や、性に関わる社会通念上の要請から特別な場合において、求人を申し込んだ安定所の承認つきで『男女雇用機会均等法適用除外求人』という片方の性だけ募集できる求人もある[23]。適用除外の印無き求人は、一律例外無く、男性も女性も応募出来ることになっているのだが、中には、ハローワークから応募のコンタクトが電話などで取れた時点で、明らかに違法であるのに事業所が応募を断るケースも珍しくない[要出典]

2004年には高年齢者雇用安定法施行されているが、やはりコンタクトが取れた時点で断るケースが目立つ[24]

年齢については、2007年(平成19年)10月より改正雇用対策法が施行され、特定の理由を除き労働者の募集・採用時に年齢制限を設けることができなくなった[25]。しかし、コンタクトが取れた時点で断るケースもあり、また、例えば「年齢不問(あるいは定年年齢未満)・連絡不要・事前郵送」で紹介状と履歴書を郵送したものの、性別や年齢が対象外だったことを理由に不採用にして、改めて新聞広告で事実上応募者を制限した求人を掲載するケースも増えているなど、一部を除き、民間では法律が理解されていない場合が多い[26]が、現在は違反した場合の罰則(刑事・行政とも)が設けられていない。そのため、この年齢不問の法律理解をすすめるための説明(現状では強硬手段に出ず、企業の理解を促している段階である)もハローワークの役目である。

法律上の矛盾と最近の法的対応[編集]

ハローワークの存在意義は、日本国憲法に定める勤労の義務権利(具体的に全国一律)の平等という要請を具体化したものである。そのため、ハローワークは法人企業など)や個人事業主などから求人を申し込まれ、提出を受けると、その仕事が法律に違反する内容やハローワークの求人票の書式に沿っていないという特別な事情が無い限り、受理しなければならないのである。しかし、法人事業所などの社会保険強制適用事業所が健康保険厚生年金保険に加入していない[27]という、法律に違反している事業所であり、その求人の条件(時間など)が社会保険に加入することが求められているのに加入していない場合などでも、受理をして、求人票左中央の加入保険の欄の『健康』『厚生』の文字を二重線抹消して公開している(「健康」「厚生」表記になる)という矛盾も抱えている。

平成17年度より、同じ厚生労働省所管の社会保険事務所(現:年金事務所)への通告制度が始まり、加入が義務づけられている事業所が厚生年金保険への加入指導に従わない場合には、「社会保険事務所(年金事務所)と相談中」などの記載とともに公開している。補足として、雇用保険はハローワークの管轄であるため、雇用保険未加入の事業所が求人をハローワークで出す場合、一つの求人につき一回目は受理はするが、2、3ヵ月後の求人の更新は雇用保険未加入の場合、更新出来ない。

業務に対する問題点[編集]

斡旋とその適合性[編集]

求人者に対するサービスとして求人者が必要とする職業能力を持った人材を、求職者に対するサービスとして求職者が持っている職業能力を活かし得る事業所への就職を斡旋(「適格紹介」、「マッチング」)することが理想とされる[要出典]。採用選考に対しては求人者には「採用の自由」が存在し、求職者には「職業選択の自由」が存在する。このような理念から、ハローワークとしては応募の機会を設定すれば足り、仮に、自己にとって「適格でない」求人に応募しようとする場合であっても、通常、職業紹介自体を拒否されることはない。国が行う職業紹介としての理念ゆえか、単にハローワーク職員の定員が削減され(ここ数年は毎年全国で100人単位で削減[要出典])ており業務運営の余裕が無いためなのかは不明であるが[要出典]先述の「適格紹介」や「マッチング」機能は高いとはいえず、「求人・求職の橋渡ししか行なっていない」と批判される一面もある(あるコンビニエンスストアのオーナーが「昼間は家庭的な雰囲気が必要だからパートの主婦、夜間は防犯上から男性店員が望ましいのに、ハローワークを通じた応募者はまるで逆」と嘆息した投書が新聞に掲載された事実がある)[要出典]

ちなみに、民間企業が行う職業紹介は、求職者の希望に叶うところであるかどうかはではなく、求人企業にとって「適格」と判断される「儲かる」求職者しか斡旋せず、儲からない求職者は適当にあしらい、相手にしないのが通例であるが、近年、ネットを使った職業紹介事業が民間企業で始まったことから、民間企業経由でも、ハローワークと同様に「儲からない」求職者にも希望する企業に応募する機会が拡大している[要出典]

犯罪企業紹介[編集]

脱法企業紹介

掲載している求人情報には、しばし固定残業制を悪用した労基法違反の内容がみられるが、ハローワークは、時間がないためこれを見抜けない。京都府内の求人情報を対象とした調査では、固定残業制を標榜した求人のうち、77%もの求人に違法の疑いがブラック企業対策団体により指摘された[28]

違法企業の紹介

2013年12月31日付けの毎日新聞によると(※リンク切れhttp://mainichi.jp/select/news/20131231k0000e040127000c.html?inb=ra ) 嘘をついて健康食品を販売したなどとして、元社員4人が特定商取引法違反(不実の告知)罪で有罪判決を受けた、東京都中野区にかつて存在した健康食品販売会社の求人をハローワークが受理していた。東京労働局によれば、この会社の求人票は2012年3月から6月にかけて計4回出されていたという。 ハローワーク飯田橋でこの会社の求人の紹介を受けた女性が、入社後に電話勧誘員たちにマニュアルを渡され、勧誘の際、本来存在していない売買契約が成立しているように嘘をつくことを強要された結果、起訴され、懲役1年2月、執行猶予3年の有罪判決が確定している。この件に関してハローワーク飯田橋は「法令に基づいて適切に対応した。求人を紹介した時点では問題はなかったと思っている」とコメントしている。 国民生活センターによると、女性がこの求人を見つけた2012年3月の時点では「注文していない商品が送り付けられた」といった苦情が各地の消費生活センターに寄せられており、2013年6月までに196件に達していたものの、消費者庁と厚生労働省の情報の共有がなされていなかったため、ハローワークにこうした情報が伝達されていなかった。なお、女性の他にも10人ほどがハローワークの求人を見てこの会社に入社していたという。

海外における危険業務の紹介

2005年3月28日付けの日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によると(職業安定所に求人票 働く場所は戦地イラク 月50万円以上 元請けは隠すhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-03-28/01_01.html)、建設関連業者を対象に、長崎市内の会社が戦地イラクで働く日本人を高給で募集する求人票がハローワーク長崎で公開されていた。求人票の表記によると、直接雇用ではなくいわゆる請負業務であり、元請業者の名前は隠されていた。ハローワーク長崎によれば、二人を紹介したものの、同社の申し入れで同年3月10日ごろ求人が取り下げられたという。当時、外務省はイラクについて退避勧告を出していた。

暴力団関連企業紹介

暴力団関連企業など暴力団の資金原となっている危うい企業が多くみられるがハローワークは、これを見抜けないし拒否できない。組、会、一家、連合、連合会、興業、興産、総業、企画、商事、個人名、医療福祉NPO法人などを名乗ることが多い。企業舎弟と呼ばれ暴力団の構成員ではない一般の応募者を従業員として採用したりしてまったく分からないので注意が必要である。また、同じく見抜けなく、拒否できなかった場合逆に一般企業に暴力団の構成員や暴力団準構成員を紹介してしまうケースもある。

カラ求人[編集]

ハローワーク職員に地元企業を回らせて、求人する気もない企業に半ば強引に「無料だから」と言って求人を勧める「カラ求人」(空求人)と呼ばれる実態が存在する。その結果、有効求人倍率の数字が表向き上昇する形になるため、数字だけ見た者からすれば「仕事を選ばなければ、再就職口はいくらでもある」と失業者の努力不足に問題を還元する風潮がある一方で、実態は企業側に採用する気がないために、数字上の求人倍率と実態との間に乖離があると指摘されている[29]

鳩山政権発足に伴う政策[編集]

2009年の第45回衆議院議員総選挙の結果を受けた民主党社民党国民新党の連立政権が発足し、内閣総理大臣となった鳩山由紀夫を本部長とする緊急雇用対策本部にて「緊急雇用対策」が打ち出された。その原案中には、2009年11月から一部ハローワークで生活保護や生活資金、住宅資金の融資などの申請までできるようにする、仕事納め後の12月29・30日の開庁などの内容がある。[30][31]

2009年11月30日には、全国77か所のハローワークで生活保護や生活資金、住宅資金の融資などの申請についての相談(実際の申請については窓口を案内)、多重債務やメンタルヘルスの相談などを行うワンストップ・サービスが1日限定で試行された。試行の結果により、年末年始の実施や定例化が検討されるという[32]

他機関による職業紹介事業[編集]

ここでは、正社員、あるいは契約社員として、求人側に雇用される形態を対象とする。

職業紹介事業者[編集]

民間営利企業で有料職業紹介事業(俗称「人材バンク」「転職エージェント」など)を行っている。求人側から料金を徴収して成り立っている。

変形としては、有料職業紹介事業と労働者派遣事業の両方の許可を受けた事業者による紹介予定派遣の形態もある。

特定非営利活動促進法に規定された特定非営利活動の中で「15. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動」があり、これについての認証を受けた特定非営利活動法人による職業紹介は可能と思料されるが、職業安定法との関連は不明である。

学校[編集]

高等学校中学校は、所轄の公共職業安定所に届け出ることにより公共職業安定所の業務を分担する(または、無料職業紹介事業を行う)ことができるものとされる(職業安定法第27条、33条2項)。

ただし、高等学校等が扱う求人は公共職業安定所が受理したものしか取り扱うことが出来ず、かつ、職業紹介事業を行うに際して公共職業安定所に対し協力・報告等をおこなわなければならない。中学校については、公共職業安定所が直接、求人の受理、職業相談、職業紹介を行い[33]、中学校は公共職業安定所が行う職業紹介業務に協力することとなっている。

大学等の高等教育機関については、所轄の公共職業安定所に届け出ることにより無料職業紹介事業(大学の就職課)を行うことができる(職業安定法第33条2項)。

人材銀行[編集]

公共職業安定所(ハローワーク)と同じく無料で利用できる国の機関として、概ね40歳以上の管理的職業、専門的・技術的職業に従事した人を対象に、職業相談や職業紹介を行う「人材銀行」が全国12箇所にある。[2]

その他[編集]

東京都小笠原村では国土交通省特別の機関である小笠原総合事務所が公共職業安定所の業務を行っている。

脚注[編集]

  1. ^ 約4,000点の応募の中から決定され、1990年度より愛称の使用が開始された平成2年版労働経済の分析(厚生労働省)
  2. ^ 雇用調整助成金、中小企業緊急雇用安定助成金、残業削減雇用維持奨励金
  3. ^ 試行雇用(トライアル雇用)奨励金、労働移動支援助成金(求職活動等支援給付金)、特定求職者雇用開発助成金、中小企業人材確保推進事業助成金、中小企業人材能力発揮奨励金、中小企業基盤人材確保助成金、中小企業雇用創出等能力開発助成金
  4. ^ 地方再生中小企業創業助成金、地域再生中小企業創業助成金、受給資格者創業支援助成金、受給資格者創業支援助成金、高年齢者等共同就業機会創出助成金、再就職手当
  5. ^ キャリア形成促進助成金、職場適応訓練費
  6. ^ 定年引上げ等奨励金、通年雇用奨励金、中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金、中小企業雇用安定化奨励金、介護未経験者確保等助成金、介護基盤人材確保助成金、介護労働者設備等整備モデル奨励金、介護雇用管理助成金、介護福祉助成金、育児・介護雇用安定等助成金、短時間労働者均衡待遇推進等助成金、建設雇用改善助成金、障害者雇用納付金制度に基づく助成金、精神障害者ステップアップ雇用奨励金及びグループ雇用加算奨励金
  7. ^ ただし、パートバンクなどの施設を除く。また、たとえ人口20万人以上の都市に立地されていなくても、その公共職業安定所が管轄する市町村の中に人口20万人以上の都市が含まれていれば、平日8時30分から19時まで、土曜日は10時から17時まで業務を行なう場合がある。
  8. ^ YOMIURI ONLINE 2009年4月13日14時33分
  9. ^ 多くは本社の住所。工場や支社・営業所採用の場合は工場などの住所の場合もある。
  10. ^ ただし、前述の他地域のハローワークで受理された求人で、勤務地が遠隔の別の地域の場合、勤務地やその周辺を管轄するハローワーク内に求人票が掲示される場合がある(一般向けの端末機では検索できない場合があるため)。また、急募の求人などをピックアップし、やはりハローワーク内に求人票が掲示される場合がある。
  11. ^ 事実、旧システムにおいては、雇用予定期間が4ヶ月以内はフルタイムの勤務、パートタイムの勤務に関わらず全て『臨時』と表記し、4ヶ月を超えるものでもフルタイム勤務の場合『常用』、パートタイム勤務の場合『パート』と表記していたため、雇用形態の識別が難しかった
  12. ^ 端的には、UIJターンを想定した検索も可能。ただし、一般公開の端末機では、検索可能な地域が端末機が設置してあるハローワークとその周辺地域のハローワークで受理した内容に限定されている場合が多い。窓口の相談係員の扱う端末機では全国の情報の検索・印刷が可能
  13. ^ こちらは全国の情報が検索可能。内容を印字するか整理番号を控え、窓口に提出すると求人票を出してもらえる。また、一般公開の端末機でも、求人を受理したハローワークのデータが検索可能であれば、整理番号を入力して求人票の確認・印刷は可能。
  14. ^ 平成21年度機構・定員等の審査結果について(総務省、2008年12月22日)
  15. ^ 全労働省労働組合
  16. ^ 平成20年4月1日に八頭・境港市地域職業相談室が開設されます(鳥取労働局HP)
  17. ^ 派遣会社と民間紹介事業者は兼営だったり関連企業である場合が多い
  18. ^ 公設民営化とは、ハローワークは国の機関であるが、実際の運営は民間企業(団体)に委託するということであった。
  19. ^ 即ち、「仕事がない」と訴える者がいれば、「就職情報誌を見なさい」とか「派遣会社に登録しなさい」というアドバイスがためされるのみということである
  20. ^ この層への紹介行為は補助金などの公的な多額の支援なしでは概して民間職業紹介会社は利益を生みにくい
  21. ^ ハローワークは基準署・労働局と異なり強制的権限は存在しないが、紹介・求人・保険業務を通じて各種法律・制度に抵触する企業を発見した場合、行政指導を通じて改善を促す機関でもある
  22. ^ 依然として男子は営業か技術、女子はごくわずかな事務や販売、介護や看護、サービスに限定される場合が多い。
  23. ^ この場合、求人票の備考欄に『均等法適用除外』の印をつけることを要する。
  24. ^ 厚生労働省「国民の皆様の声」(平成23年1月17日公表-本省分(平成23年1月7日~平成23年1月13日受付分 8ページ項番1を参照))
  25. ^ 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の改正について
  26. ^ 現状、年齢では60歳以上65歳未満の高齢者を新規採用した場合に特定就職困難者雇用開発助成金が出るが、その他の年齢については補助金などの支援はない。[1]
  27. ^ 設立間もない会社や個人開業医など、求人提出時点で社会保険の対象となる一般従業員が在籍していない事業所に見られる場合がある。ただし、厚生年金保険については、常時使用する一般従業員が5人未満の事業所は加入していない場合もある。
  28. ^ 【京都新聞】2014年6月3日付「固定残業代、求人の8割違法か 京都府内企業調査」
  29. ^ 『週刊実話』(2013年04月23日)「ハローワークに潜む“カラ求人”の実態
  30. ^ 雇用下支え・創出で「10万人」…政府対策素案読売新聞、2009年10月22日
  31. ^ 雇用支援手続き、ワンストップ・サービスで 対策原案アサヒコム、2009年10月22日
  32. ^ ワンストップ・サービス試行開始 失業者支援を一括対応アサヒコム、2009年11月30日
  33. ^ すなわち、中学校が求人を受理し、又は、紹介状を発行することはない

関連項目[編集]

外部リンク[編集]