フレキシキュリティ

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フレキシキュリティ: flexicurity)は、柔軟性を意味するflexibilityと安全を意味するsecurityを組み合わせた造語で北欧で行われている政策。柔軟な労働市場を整備して成長産業に労働力の移動をしやすくし、手厚い社会保障で労働者の生活の安全を守る政策で、特にオランダデンマークで進められている。

目次

[編集] 概要

厳しい解雇規制、社会保障を軽減して、労働者の自助努力を促す日本の制度と正反対の政策と言える。日本では2008年末の派遣社員の大量解雇により、高福祉で成功している北欧モデルが注目されるようになった。この政策では企業は従業員を解雇しやすいが、手厚い失業手当て、充実した職業訓練などにより、雇用者、被雇用者どちらにもメリットがあるようになっている[1]EUの雇用担当委員で、元チェコ首相の Vladimir Spidla は“I am convinced that this model of flexicurity that we have developed in Europe could be a model in Japan.”と述べ、フレキシキュリティのモデルが、日本の硬直した雇用市場の解決の鍵であることを示唆した[2]。現在オランダデンマーク失業率日本より低く[3]、国民の幸福度を調査した研究でも上位に来ていることから[4]、成功を収めているモデルと言える。

EUは2005年にフレキシキュリティを取り入れる雇用戦略を提案した[1]2006年にはEUの雇用状況を分析する報告書「EUにおける雇用政策2006」でフレキシキュリティを特集し、加盟国に対してフレキシキュリティ導入を強く奨励している[1]

内閣府の調査によれば、雇用保護規制が緩い国ほど就業率が高い[5]。欧州でも解雇の規制が厳しいドイツフランスなどは失業率が高い[6]。日本では解雇規制が厳しい反面、OECDも指摘するように若者の職業支援が不十分であると言える[7]麻生首相(当時)が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたように[8]、このモデルが世界に影響を与えている。

まとめると以下のようになる。

  • 解雇規制が厳しい高福祉国家
    ドイツ、フランス
  • 解雇規制が緩い高福祉国家
    デンマーク、オランダ
  • 解雇規制が厳しい低福祉国家
    日本

リーマン・ショックの影響は輸出の大きいデンマークにも及んだ。景気後退の影響を受けて企業の倒産と失業者が急増し、それまで正常に働いていたフレキシキュリティのセキュリティの部分が弱くなった[10]

[編集] 脚注

  1. ^ a b c 東洋経済「デンマークとオランダが先鞭、EUが目指す柔軟な労働市場と雇用保障」
  2. ^ FT_com - Asia-Pacific - Japan ‘should adopt European labour model’
  3. ^ 「List of countries by unemployment rate」
  4. ^ 「国民の幸福度」世界一はデンマーク、日本は97カ国中43位。」
  5. ^日本経済新聞』2007年6月24日付 朝刊「労働者保護規制、緩いほど高就業率・OECD24カ国分析」
  6. ^ 若年層の失業者・非正規雇用対策
  7. ^ OECDの若年雇用政策報告書 「日本は若年層が安定的な職に就けるよう更なる対策が必要」
  8. ^ 麻生内閣で初の諮問会議開催、社会保障・税財政改革で年内に道筋
  9. ^ ただし、市場原理に従わない民間非営利セクターが大きな力をもち、福祉機能、すなわち社会を維持する役割を担っている
    雇用環境も福祉も欧米以下!日本は「世界で一番冷たい」格差社会
  10. ^ ジャン=ピエール・セレニ (2009年10月). “デンマーク福祉国家の動揺”. ル・モンド・ディプロマティーク. 2012年2月18日閲覧。

[編集] 参考文献

  • 神野直彦 『「分かち合い」の経済学』 岩波書店、東京、2010年。ISBN 978-4-00-431239-0
  • 濱口桂一郎 『新しい労働社会』 岩波書店、東京、2009年。ISBN 978-4-00-431194-2

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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