奇巌城の冒険
奇巌城の冒険 | |
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監督 | 谷口千吉[1] |
脚本 | 馬淵薫[1] |
原案 | 太宰治『走れメロス』[2] |
製作 | 田中友幸[2] |
出演者 | |
音楽 | 伊福部昭[2] |
製作会社 | |
配給 | 東宝[3] |
公開 | 1966年4月28日[出典 1] |
上映時間 | 104分[出典 2][注釈 1] |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『奇巌城の冒険 』(きがんじょうのぼうけん) は、1966年(昭和41年)4月28日に公開された東宝・三船プロダクション制作の映画[3]。総天然色、シネマスコープ(東宝スコープ)[3][8]。併映は「駅前シリーズ」の一本である『喜劇 駅前漫画』(東京映画作品、監督:佐伯幸三)[9]。
概要
[編集]1963年に公開された『大盗賊』の路線を受け継いだ冒険映画[出典 3]。主要なスタッフ・キャストも『大盗賊』と共通している[出典 4]。
ストーリーの原案は太宰治の小説『走れメロス』[出典 5]。多摩市桜ヶ丘に1万5千平方メートルの大オープンセットを建て[出典 6]、イランのイスファファンにロケーションを敢行して製作された[出典 7][注釈 2]。
一部ミニチュアセットも用いられているが、クレジットされている特撮スタッフは合成担当のみである[11]。
ストーリー
[編集]円斎は日本に持ち帰るための仏舎利を探している旅の僧侶。彼は奴隷として売られていた大男・大角と出会い、ともにタクラマカン砂漠を旅することになった。
盗賊団に襲われたふたりは静かなオアシスの町に迷い込み、地中に埋もれた窟寺から探していた仏舎利を手に入れることができた。
仏舎利を日本に送るべくコータンへ向かう一行は、人間不信の王が支配するペシルに入る。王の命令で円斎は捕らえられてしまい、かろうじて逃げ延びた大角は正義感から捕らえられた円斎たちを救うべく城に潜入する。
大角は城の中で一癖ありそうな王の家臣たちの中に砂漠で出会った盗賊団の首領ゴルジャカを見つけた。しかし大角も捕らわれてしまい、王から火あぶりの刑を宣告される。
大角は仏舎利を日本に送る手続きをするために猶予をくれと訴え、その代わりに円斎を拘置するよう訴えた。約束の日までに大角がペシルに戻らなければ円斎が代わりに処刑される。
仏舎利を手にコータンに向かう大角。しかし道中ではゴルジャカらの妨害によって何度も危機に直面する。
どうにか仏舎利を託した大角だが、ペシルに戻る最中にゴルジャカの盗賊団に襲われ、谷底に突き落とされてしまう。
約束の日の昼近く、円斎の処刑の準備ができたころに大角は瀕死の状態で城に戻って来た。ゴルジャカは王に目の前で殺すよう謀ったが、ペシルの人々は大角の勇気を讃え守ろうとした。
王もまた大角の献身に心を動かされ、ふたりを解放した。
キャスト
[編集]- 三船敏郎:大角[4][8]
- 中丸忠雄:円斉[4](円済[8])
- 有島一郎:酔仙道人[4][8]
- 三橋達也:王[4][8]
- 白川由美:王妃イザート[8]
- 佐藤允:ゴルジャカ[8](盗賊団団長)
- 平田昭彦:宰相[4][8]
- 若林映子:スプリヤ(宰相の娘)[4][8]
- 大木正司:スンダラ
- 天本英世:不知火のおばば[4]
- 田崎潤:隊商宿亭主[8]
- 浜美枝:クレーヤ[4][8](隊商宿亭主の娘)
- 黒沢年男:大角の弟
- 高田稔:コータンの老王
- 堺左千夫:キャラバンの案内人
- 黒部進:武官長
- 春日章良:宦官長
- 石田茂樹:司祭長
- 長谷川弘:衛兵長
- 桜井浩子:侍女[14]
- 沢村いき雄:奴隷商人※ノンクレジット
スタッフ
[編集]- 監督:谷口千吉
- 製作:田中友幸
- 製作補:根津博
- 脚本:馬淵薫
- 太宰治『走れメロス』より
- 撮影:山田一夫
- 美術:植田寛
- 録音:西川善男
- 照明:森弘光
- 監督助手:竹林進
- 編集:黒岩義民
- 音楽:伊福部昭
- 整音:下永尚
- 合成:三瓶一信
- 衣裳デザイン:真木小太郎
- 製作担当者:江口英彦
- 殺陣:久世竜
その他
[編集]- 特撮テレビドラマ『ウルトラマン』第7話「バラージの青い石」は、この映画のオープンセットを借りて撮影された[出典 8]。
- 伊福部昭が東宝特撮映画の音楽を再構成した管弦楽曲『SF交響ファンタジー第2番』の冒頭で、伊福部が当初構想していた『キングコングの逆襲』のモンド島のイメージと差し変わる形で本作品の楽曲が使われている。オーケストラ用に編曲されているため、劇中の印象とはやや異なる。
- 伊福部は本作品と並行して大映の映画『大魔神』でも音楽を担当しており、本作品の録音作業を途中で切り上げて同作品のため大映京都撮影所へと向かった[15]。伊福部は、双方のスタッフがどちらも相手側の作品タイトルを小馬鹿にしていたことを述懐している[15]。
映像ソフト
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脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m ゴジラ画報 1999, p. 132, 「奇巌城の冒険」
- ^ a b c d e ゴジラ画報 1999, p. 239, 「東宝製作・配給【分野映画】65年史 作品年表」
- ^ a b c d e f g 東宝特撮映画全史 1983, p. 547, 「東宝特撮映画作品リスト」
- ^ a b c d e f g h i j k l 東宝写真集 2005, pp. 2–3, 「奇巌城の冒険」
- ^ a b 東宝ゴジラ会 2010, p. 297, 「円谷組作品紹介」
- ^ a b c d 「column 特撮ファンタジー・冒険映画」『東宝特撮全怪獣図鑑』東宝 協力、小学館、2014年7月28日、22頁。ISBN 978-4-09-682090-2。
- ^ a b c d e f 超常識 2016, p. 222, 「Column 東宝特撮冒険映画の系譜」
- ^ a b c d e f g h i j k l m 小林淳 2022, p. 430, 「付章 東宝空想特撮映画作品リスト [1984 - 1984]」
- ^ a b c d e f 小林淳 2022, pp. 258–261, 「第七章 多彩なファンタジー映画をきらめかせる声調 [1966 - 1969] 二『奇巌城の冒険』」
- ^ a b c d e 石井博士ほか『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、171頁。ISBN 4766927060。
- ^ a b c d e 東宝特撮映画全史 1983, pp. 432–433, 「一般映画の中の特撮」
- ^ a b ゴジラ大全集 1994, pp. 64–65, 「東宝特撮映画史 ゴジラ誕生 怪獣新シリーズの展開」
- ^ a b c 日本特撮映画図鑑 1999, p. 141, 「東宝特撮作品 ビデオLDラインナップ 特撮シリーズ」
- ^ 「脇役俳優辞典22」『別冊映画秘宝 モスラ映画大全』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2011年8月11日、65頁。ISBN 978-4-86248-761-2。
- ^ a b 小林淳 2022, pp. 262–264, 「第七章 多彩なファンタジー映画をきらめかせる声調 [1966 - 1969] 二『奇巌城の冒険』」
- ^ “奇巌城の冒険”. 東宝WEB SITE. 東宝. 2022年5月25日閲覧。
出典(リンク)
[編集]参考文献
[編集]- 『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。
- 『テレビマガジン特別編集 誕生40周年記念 ゴジラ大全集』構成・執筆:岩畠寿明(エープロダクション)、赤井政尚、講談社、1994年9月1日。ISBN 4-06-178417-X。
- 『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』特別監修 川北紘一、成美堂出版〈SEIBIDO MOOK〉、1999年2月20日。ISBN 4-415-09405-8。
- 『ゴジラ画報 東宝幻想映画半世紀の歩み』(第3版)竹書房、1999年12月24日(原著1993年12月21日)。ISBN 4-8124-0581-5。
- 竹内博 編『東宝特撮・怪獣・SF映画写真集』朝日ソノラマ〈ファンタスティックコレクション〉、2005年8月30日。ISBN 4-257-03716-4。
- 東宝ゴジラ会『特撮 円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』洋泉社、2010年10月9日。ISBN 978-4-86248-622-6。
- 『ゴジラの超常識』[協力] 東宝、双葉社、2016年7月24日(原著2014年7月6日)。ISBN 978-4-575-31156-3。
- 小林淳『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』アルファベータブックス〈叢書・20世紀の芸術と文学〉、2022年5月14日。ISBN 978-4-86598-094-3。