井上荒野
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いのうえ あれの 井上 荒野 | |
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誕生 |
1961年2月4日(63歳) 東京都 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
教育 | 文学士 |
最終学歴 | 成蹊大学文学部 |
活動期間 |
1989年 - 中断 2001年 - |
代表作 |
『潤一』(2003年) 『切羽へ』(2008年) 『その話は今日はやめておきましょう』(2018年) |
主な受賞歴 |
島清恋愛文学賞(2004年) 直木三十五賞(2008年) 中央公論文芸賞(2011年) 柴田錬三郎賞(2016年) 織田作之助賞(2018年) |
デビュー作 | 「わたしのヌレエフ」(1989年) |
配偶者 | あり[1] |
親族 | 井上光晴(父) |
ウィキポータル 文学 |
井上 荒野(いのうえ あれの、1961年2月4日 - )は、日本の小説家。本名同じ。東京都出身。
概要
[編集]小説家井上光晴の長女として東京都中野区に生まれる[2]。12歳のとき調布市に転居[2]。調布市立第三中学校[2]、玉川学園高等部[3][2]、成蹊大学文学部英米文学科卒業[3]。大学卒業後は小学館の近代文学全集編集部に3年間勤めていた[4][2]。退職後はフリーで記事を書いたりコピーライターのような仕事をし、たまに同人誌に小説を発表していたという[4]。
1989年、「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞(学習研究社『季刊フェミナ』によるもの。江國香織と同時受賞[2]。)を受賞するが、その後体調不良などで小説を書けなくなる[4]。絵本の翻訳などをしていたが、2001年に『もう切るわ』で再起。2004年、『潤一』で第11回島清恋愛文学賞、2008年、『切羽へ』で第139回直木賞受賞。2011年、『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞受賞。2016年、『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞受賞。2018年、『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞受賞[5]。
実父、光晴は尼・文筆家の瀬戸内寂聴と不倫関係にあったが、瀬戸内と井上の間には長く親交があった。
36歳のときに父と同じ大腸がんに見舞われ、入院生活を送るも寛解[2]。退院後にインターネットで古書を探しているなかで知り合った古書店主と40歳のときに結婚[6][2]。2019年より長野県八ヶ岳の麓に暮らす[7][8][9]。
作品リスト
[編集]小説
[編集]1990年代
[編集]2000年代
[編集]- もう切るわ(2001年10月 光文社 / 2004年10月 光文社文庫)
- ヌルイコイ(2002年10月 光文社 / 2005年10月 光文社文庫)
- 潤一(2003年11月 マガジンハウス / 2006年12月 新潮文庫)
- 収録作品:映子・三十歳 / 環・二十八歳 / あゆ子・六十二歳 / 美雪・二十六歳 / 千尋・二十九歳 / 瑠依・十四歳 / 香子・四十三歳 / 希・三十八歳 / 美夏・二十歳 / 潤一・二十六歳
- 森のなかのママ(2004年3月 集英社 / 2007年5月 集英社文庫)
- だりや荘(2004年7月 文藝春秋 / 2007年8月 文春文庫)
- しかたのない水(2005年1月 新潮社 / 2008年2月 新潮文庫)
- 収録作品:手紙とカルピス / オリビアと赤い花 / 運動靴と処女小説 / サモワールの薔薇とオニオングラタン / クラプトンと骨壺 / フラメンコとべつの名前
- 誰よりも美しい妻(2005年12月 マガジンハウス / 2009年2月 新潮文庫)
- 不恰好な朝の馬(2006年10月 講談社 / 2011年3月 講談社文庫)
- 収録作品:不恰好な朝の馬 / クリームソーダ / 額縁の犬 / 鹿田温泉 / スケッチ / 虫 / 初夏のペリメニ
- 学園のパーシモン(2007年1月 文藝春秋 / 2009年9月 文春文庫)
- ズームーデイズ(2007年7月 小学館 / 2008年11月 小学館文庫)
- ベーコン(2007年10月 集英社 / 2009年6月 集英社文庫)
- 収録作品:ほうとう / クリスマスのミートパイ / アイリッシュ・シチュー / 大人のカツサンド / 煮こごり / ゆで卵のキーマカレー / 父の水餃子 / 目玉焼き、トーストにのっけて / ベーコン
- 夜を着る(2008年2月 文藝春秋 / 2010年10月 文春文庫)
- 収録作品:アナーキー / 映画的な子供 / ヒッチハイク / 終電は一時七分 / I島の思い出 / 夜を着る / 三日前の死 / よそのひとの夏
- 切羽へ(2008年5月 新潮社 / 2010年11月 新潮文庫)
- あなたの獣(2008年11月 角川書店 / 2012年1月 角川文庫)
- 収録作品:砂 / 飴 / 桜 / 窓 / 石 / 南 / 祭 / 海 / 声 / 骨
- 雉猫心中(2009年1月 マガジンハウス / 2011年12月 新潮文庫)
- ひみつのカレーライス(2009年4月 アリス館) - 絵:田中清代
- 静子の日常(2009年7月 中央公論新社 / 2012年6月 中公文庫)
2010年代
[編集]- つやのよる(2010年4月 新潮社 / 2012年12月 新潮文庫)
- もう二度と食べたくないあまいもの(2010年4月 祥伝社 / 2013年4月 祥伝社文庫)
- 収録作品:幽霊 / 手紙 / 奥さん / 自伝 / 犬 / 金 / 朗読会 / オークション / 裸婦 / 古本
- ベッドの下のNADA(2010年12月 文藝春秋 / 2013年5月 文春文庫)
- 収録作品:だんまり虫 / ばかぼん / おもいあい / 交換日記 / おしっこ団 / タナベ空
- ハニーズと八つの秘めごと(2011年3月 小学館)
- 収録作品:ブーツ / 泣かなくなった物語 / 粉 / 虫歯の薬みたいなもの / 犬と椎茸 / 他人の島 / きっとね。 / ダッチオーブン / ハニーズ
- そこへ行くな(2011年6月 集英社 / 2014年7月 集英社文庫)
- 収録作品:遊園地 / ガラスの学校 / ベルモンドハイツ401 / サークル / 団地 / 野球場 / 病院
- キャベツ炒めに捧ぐ(2011年8月 角川春樹事務所 / 2014年8月 ハルキ文庫)
- だれかの木琴(2011年12月 幻冬舎 / 2014年2月 幻冬舎文庫)
- 結婚(2012年3月 角川書店 / 2016年1月 角川文庫)
- 夜をぶっとばせ(2012年5月 朝日新聞出版 / 2016年5月 朝日文庫)
- 収録作品:夜をぶっとばせ / チャカチョンバへの道
- さようなら、猫(2012年9月 光文社 / 2017年6月 光文社文庫)
- 収録作品:自分の猫 / わからない猫 / 赤ん坊と猫 / 降りられない猫 / 名前のない猫 / ラッキーじゃなかった猫 / 他人の猫 / 二十二年目の猫 / さようなら、猫
- それを愛とまちがえるから(2013年1月 中央公論新社 / 2016年3月 中公文庫)
- あなたにだけわかること(2013年5月 講談社)
- ほろびぬ姫(2013年10月 新潮社 / 2016年6月 新潮文庫)
- 虫娘(2014年8月 小学館 / 2017年2月 小学館文庫)
- 悪い恋人(2014年12月 朝日新聞出版 / 2018年7月 朝日文庫)
- リストランテアモーレ(2015年3月 角川春樹事務所 / 2016年8月 ハルキ文庫)
- ママがやった(2016年1月 文藝春秋 / 2019年1月 文春文庫)
- 収録作品:ママがやった / 五、六回 / ミック・ジャガーごっこ / コネティカットの分譲霊園 / 恥 / はやくうちに帰りたい / 自転車 / 縦覧謝絶
- 赤へ(2016年6月 祥伝社 / 2019年6月 祥伝社文庫)
- 収録作品:虫の息 / 時計 / 逃げる / ドア / ボトルシップ / 赤へ / どこかの庭で / 十三人目の行方不明者 / 母のこと / 雨
- 綴られる愛人(2016年10月 集英社 / 2019年4月 集英社文庫)
- あなたならどうする(2017年6月 文藝春秋 / 2020年7月 文春文庫)
- 収録作品:人妻ブルース / 時の過ぎゆくままに / 小指の想い出 / 東京砂漠 / ジョニィへの伝言 / あなたならどうする / 古い日記 / 歌いたいの / うそ / サルビアの花
- その話は今日はやめておきましょう(2018年5月 毎日新聞出版 / 2021年3月 毎日文庫)
- あちらにいる鬼(2019年2月 朝日新聞出版 / 2021年11月 朝日文庫)
- あたしたち、海へ(2019年11月 新潮社/ 2022年5月 新潮文庫)
2020年代
[編集]- よその島(2020年3月 中央公論新社 / 2023年3月 中公文庫)
- そこにはいない男たちについて(2020年7月 角川春樹事務所 / 2022年7月 ハルキ文庫)
- ママナラナイ(2020年10月 祥伝社 / 2023年10月 祥伝社文庫)
- 百合中毒(2021年4月 集英社)
- 生皮 あるセクシャルハラスメントの光景(2022年4月 朝日新聞出版)
- 小説家の一日(2022年10月 文藝春秋)
- 僕の女を探しているんだ(2023年2月 新潮社)
- 照子と瑠衣(2023年10月 祥伝社)
随筆
[編集]- ひどい感じ 父・井上光晴(2002年8月 講談社 / 2005年10月 講談社文庫)
- 夢のなかの魚屋の地図(2014年1月 幻戯書房 / 2017年3月 集英社文庫)
- 荒野の胃袋(2014年9月 潮出版社 / 2022年10月 潮文庫) - ショート・エッセイ集
共著・対談集
[編集]- あの映画みた?(2018年6月 新潮社) - 江國香織との対談集
アンソロジー・リレー小説
[編集]「」内が井上荒野の作品
小説を収録
[編集]- 最後の恋(2005年12月 新潮社)「ブーツ」
- 【改題】最後の恋 つまり、自分史上最高の恋。(2008年12月 新潮文庫)
- 短篇ベストコレクション 現代の小説2007(2007年6月 徳間文庫)「アナーキー」
- JOY!(2008年4月 講談社)「All about you」 - 角田光代、江國香織らとのリレー小説
- 【改題】彼の女たち(2012年4月 講談社文庫)
- 甘い記憶(2008年8月 新潮社)「ボサノバ」
- 女ともだち (2010年3月 小学館 / 2013年3月 小学館文庫)「野江さんと蒟蒻」
- チーズと塩と豆と(2010年10月 集英社 / 2013年10月 集英社文庫)「理由」
- 旅の終わり、始まりの旅(2012年3月 小学館文庫)「下北みれん」
- 短篇ベストコレクション 現代の小説2013(2013年6月 徳間文庫)「時の過ぎゆくままに」
- 短篇ベストコレクション 現代の小説2015(2015年6月 徳間文庫)「うそ」
- 短編学校(2017年6月 集英社文庫)「骨」
- 短編アンソロジー 味覚の冒険(2018年10月 新潮文庫)「ベーコン」
エッセイを収録
[編集]- 父娘の銀座 ベスト・エッセイ2009(2009年6月 光村図書出版)「白い日」
- ベスト・エッセイ2013(2013年6月 光村図書出版)「きらいな言葉」
- ぷくぷく、お肉 おいしい文藝(2014年2月 河出書房新社)「夕食 肉は 血湧き肉躍らせつつ」
- ベスト・エッセイ2014(2014年6月 光村図書出版)「老化と白鳥」
- 考えるマナー(2014年7月 中央公論新社)「おいしい(あるいはその逆の)店に行ったときのマナー」「占いのマナー」「お洒落のマナー」「老化のマナー」「悪口のマナー」「SNSのマナー」「夫との買い物のマナー」「流行語のマナー」「カーラジオのマナー」「昼寝のマナー」「子供のマナー」 - ショートコラム
翻訳
[編集]- あなたがうまれたひ(デブラ・フレイジャーの絵本 1999年11月 福音館書店)
- エロイーズ、パリへいく(ケイ・トンプソンの絵本 2001年4月 メディアファクトリー)
- エロイーズ、モスクワへいく(ケイ・トンプソンの絵本 2001年11月 メディアファクトリー)
- エロイーズのクリスマス(ケイ・トンプソンの絵本 2001年11月 メディアファクトリー)
- 海へさがしに(デブラ・フレイジャーの絵本 2002年4月 福音館書店)
- オカネ・モッチャが見つけたしあわせ(マドンナの絵本 2005年9月 ホーム社)
メディア・ミックス
[編集]映画
[編集]- 愛してる、愛してない(Come Rain, Come Shine)(2011年3月16日公開、韓国映画、監督:イ・ユンギ、主演:ヒョンビン、原作:帰れない猫『ナナイロノコイ』所収)
- つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語(2013年1月26日公開、配給:東映、監督:行定勲、主演:阿部寛、原作:つやのよる)
- だれかの木琴(2016年9月10日公開、配給:キノフィルムズ、監督:東陽一、主演:常盤貴子)
- 結婚(2017年6月24日公開、配給:KADOKAWA、監督:西谷真一、主演:ディーン・フジオカ)[10]
- あちらにいる鬼(2022年11月公開予定、配給:ハピネットファントム・スタジオ、監督:廣木隆一、主演:寺島しのぶ、豊川悦司)[11]
テレビドラマ
[編集]メディア出演
[編集]受賞
[編集]- 1989年 - 第1回フェミナ賞(「わたしのヌレエフ」)[13]
- 2004年 - 第11回島清恋愛文学賞(『潤一』)[13]
- 2008年 - 第139回直木賞(『切羽へ』)[13]
- 2011年 - 第6回中央公論文芸賞(『そこへ行くな』)[13]
- 2016年 - 第29回柴田錬三郎賞(『赤へ』)[13]
- 2018年 - 第35回織田作之助賞(『その話は今日はやめておきましょう』)[13]
出典
[編集]- ^ “作家の読書道 第145回「井上荒野さん」その4”. WEB本の雑誌. 博報堂 (2014年2月19日). 2016年10月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “【インタビュー】作家・井上荒野が語る…”父譲りの嘘つき”が作家となり、父・井上光晴と瀬戸内寂聴との不倫を小説に描くまで(週刊現代) @gendai_biz”. 現代ビジネス (2022年11月13日). 2023年10月12日閲覧。
- ^ a b “vol.96|学園広報誌SEIKEIJIN|成蹊学園”. www.seikei.ac.jp. 2023年10月12日閲覧。
- ^ a b c “作家の読書道 第145回「井上荒野さん」その3”. WEB本の雑誌. 博報堂 (2014年2月19日). 2016年10月23日閲覧。
- ^ “織田作之助賞は 井上荒野さんの「その話は今日はやめておきましょう」”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2018年12月6日) 2018年12月7日閲覧。
- ^ 【井上荒野さん × 須賀典夫さん】結婚を保証だと考えると、人生がつまらなくなりそう。【前編】クロワッサン、 2018年03月12日
- ^ 本人Twitterプロフィール
- ^ “長野暮らし 井上荒野|文藝春秋digital”. 文藝春秋digital (2021年10月26日). 2023年10月12日閲覧。
- ^ “井上荒野「田舎暮らしに無縁だった私たちが夫婦で長野移住。あと何年生きるかわからないからこそ、かぎられた時間を妥協のない場所で過ごしたい」 人づきあいも流れのままに|人間関係|婦人公論.jp”. 婦人公論.jp. 2023年10月12日閲覧。
- ^ “ディーン・フジオカとのキスに貫地谷しほり「溺れるかと思った」、「結婚」初日”. 映画ナタリー. (2017年6月24日) 2019年6月21日閲覧。
- ^ "寺島しのぶ、瀬戸内寂聴のモデルに 豊川悦司&広末涼子と『あちらにいる鬼』出演". シネマカフェ. イード. 21 April 2022. 2022年4月21日閲覧。
- ^ “志尊淳が6人の女性と愛交わす「潤一」、劇場での先行公開が決定”. 映画ナタリー. (2019年5月28日) 2019年6月21日閲覧。
- ^ a b c d e f “井上荒野さん「照子と瑠衣」インタビュー 世代を超えた痛快シスターフッドは、読む「生きる希望」”. 好書好日 (2024年3月15日). 2024年3月26日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 井上荒野 (@arereno) - X(旧Twitter)