私の男

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私の男
著者 桜庭一樹
発行日 2007年10月30日(単行本)
2010年4月10日(文庫本)
発行元 文藝春秋
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製本
文春文庫
ページ数 384(単行本), 464(文庫本)
コード ISBN 978-4-16-326430-1(単行本)
ISBN 978-4-16-778401-0(文庫本)
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私の男』(わたしのおとこ)は、桜庭一樹による日本の小説。第138回直木賞受賞作。『別册文藝春秋』(文藝春秋)にて2006年9月号(265号)から2007年7月号(270号)まで連載された。

桜庭は2006年12月に刊行された『赤朽葉家の伝説』が直木賞にノミネートされたが受賞には至らず、2007年10月に刊行された本作で2008年に直木賞を受賞した。直木賞選考委員の浅田次郎は本作について「文句なしに推挽させていただいた」と絶賛した。

熊切和嘉監督によって映画化され、2014年に公開された[1](詳細は後述)。

物語[編集]

2008年6月、結婚式を翌日に控えた腐野花が婚約者の美郎、父の淳悟と3人で会食する場面から始まり、第2章は2005年11月、第3章は2000年7月、第4章は2000年1月、第5章は1996年3月、最終章は1993年7月と、年月をさかのぼっていく形で物語は進む。また年月がさかのぼるにつれて舞台も東京から北へ変わっていく。

竹中花は9歳のとき、奥尻島を襲った大地震(北海道南西沖地震)による津波で家族を亡くし、親戚に当たる腐野淳悟の申し出によって引き取られ、北海道紋別市で淳悟と性的関係を持つようになる。それ以来、花は淳悟と離れないと決意したのだが、大人になってから美郎と結婚することになる。第1章では花が新婚旅行から帰ってきて、淳悟が消えたことを知るまでを描かれ、第二章では後の婚約者である美郎との出会い、第三章では高校生になった花と淳悟の殺人、第四章では中学生の花による殺人、第五章では小町を中心にして描かれ、最終章となる。物語は全体的に日本をはじめ多くの国でタブーとされている親子による近親相姦を中心に描かれている。

登場人物[編集]

腐野 花(くさりの はな)
淳悟が17歳のときに生まれた淳悟の実の娘。苗字は「竹中」だったが、淳悟に引き取られたことによって「腐野」になった。短大を卒業後派遣社員になり、派遣先の社員である美郎と婚約する。
腐野 淳悟(くさりの じゅんご)
花の養父。美形であるため女出入りが激しい。紋別では海上保安官主計士だったが、東京へ出てからはバイク便ライダーになり、その後無職になる。
大塩 小町(おおしお こまち)
淳悟の元恋人。花のことを嫌っている。若いころは北海道拓殖銀行の地元の支店に勤める美人だったが、銀行が破綻したあと東京で暮らす。年をとると肥満化していった。
尾崎 美郎(おざき よしろう)
花の婚約者。勤務する会社の親会社の専務の息子。複数の女性と関係を持っている。
大塩さん(おおしお)
北のほうで地元民に慕われていた老人。「親父さん」と呼ばれている。
暁(あきら)
花の男友達。大塩の孫。花のことが好きだが、恋人関係になっていない。
章子(しょうこ)
花の友人。大塩の家の近所の娘で、花が孤児になって以来の友達。
田岡(たおか)
紋別警察署刑事。頬に大きな黒子がある。大塩の世話になっていた一人。

刊行情報[編集]

映画[編集]

私の男
監督 熊切和嘉
脚本 宇治田隆史
原作 桜庭一樹
製作 藤岡修
由里敬三
分部至郎
木村良輔
宮本直人
西村信次郎
西ヶ谷寿一
製作総指揮 永田芳弘
出演者 浅野忠信
二階堂ふみ
山田望叶
モロ師岡
高良健吾
藤竜也
音楽 ジム・オルーク
撮影 近藤龍人
編集 堀善介
製作会社 「私の男」製作委員会
配給 日活
公開 日本の旗 2014年6月14日
上映時間 129分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 2億円[2]
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2014年6月14日公開。製作は日活[3]R15+指定作品。第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され[4]、最優秀作品賞に選ばれるとともに主演の浅野忠信が最優秀男優賞を受賞した[5]。第69回毎日映画コンクール日本映画大賞受賞作[6]

映画化ではストーリーの時系列が原作のようには遡らない形になっているほか、花の殺人の証拠品が違うものであったり、婚約者が別の男性(三浦貴大)になり、結末も異なるなど若干の違いがある。

キャスト[編集]

[3][8]

製作[編集]

2013年1月20日に北海道でクランクインし、「冬編」として物語上重要な流氷や、紋別ウトロの冬の風景を撮影後[1]、同年4月11日から「春編」として春のシーンや東京での撮影を開始し、5月3日に撮了された[8]。また、作中の年代によって撮影機材が使い分けられており、花の幼少期は16mmフィルム、流氷の街での日々は35mmフィルム、東京に舞台が移ってからはデジタルで撮影された[4]

スタッフ[編集]

  • 原作 - 桜庭一樹『私の男』(文春文庫刊)
  • 監督 - 熊切和嘉
  • 脚本 - 宇治田隆史
  • 音楽 - ジム・オルーク
  • 製作 - 藤岡修、由里敬三、分部至郎、木村良輔、宮本直人
  • エグゼクティブプロデューサー - 永田芳弘
  • プロデューサー - 西村信次郎、西ヶ谷寿一
  • ラインプロデューサー - 金森保
  • 撮影 - 近藤龍人
  • 照明 - 藤井勇
  • 録音 - 吉田憲義
  • 美術 - 安宅紀史
  • 装飾 - 山本直輝
  • 衣装 - 小里幸子
  • ヘアメイク - 清水ちえこ
  • 助監督 - 海野敦
  • スクリプター - 田口良子
  • 編集 - 堀善介
  • VFXスーパーバイザー - オダイッセイ
  • ロケーション総括 - 中村哲也
  • 制作担当 - 刈屋真
  • アソシエイトプロデューサー - 西宮由貴、小松重之
  • 製作 - 「私の男」製作委員会(ハピネット日活、マックレイ、ドワンゴGyaO!
  • 制作協力 - キリシマ一九四五
  • 企画協力 - 文藝春秋
  • 制作・配給・宣伝 - 日活

受賞[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 熊切和嘉監督、不退転の覚悟で桜庭一樹「私の男」を映画化!”. 映画.com (2013年2月25日). 2013年2月27日閲覧。
  2. ^ キネマ旬報」2015年3月下旬号 102頁
  3. ^ a b キャストなどの出典。禁断の愛を描く直木賞受賞作品、映画 『私の男』 キャスト発表!(2013年4月2日)、日活、2013年4月2日参照。
  4. ^ a b “タブー愛”が問う、男女の純愛のカタチとモラル…浅野忠信×二階堂ふみ『私の男』ほか”. cinemacafe.net (2013年5月23日). 2014年5月24日閲覧。
  5. ^ 「私の男」が最優秀作品賞 モスクワ国際映画祭 浅野忠信さん最優秀男優賞(2014年6月29日)、日本経済新聞、2014年6月29日閲覧。
  6. ^ a b 69th(2014年)”. 毎日新聞社. 2015年1月21日閲覧。
  7. ^ 「花子とアン」幼少期演じる山田望叶の演技力に注目!「タフな子役…いや女優でした」”. cinemacafe.net (2014年4月2日). 2014年4月2日閲覧。
  8. ^ a b 高良健吾「私の男」出演で念願の熊切作品初参加!”. 映画.com (2013年5月23日). 2013年5月26日閲覧。
  9. ^ 市川遥 (2014年6月2日). “『私の男』二階堂ふみ、ニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター・アワード受賞!”. シネマトゥデイ. 2014年6月29日閲覧。
  10. ^ “大泉洋、コメディー俳優としての評価に不満顔?”. シネマトゥデイ. (2014年11月22日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068357 2014年11月25日閲覧。 
  11. ^ “日本アカデミー賞優秀賞決定!”. (2015年1月14日). http://www.japan-academy-prize.jp/prizes/38.html 2015年1月17日閲覧。 
  12. ^ 第57回ブルーリボン賞が決定!佐々木蔵之介『超高速!参勤交代』が作品賞!” (2015年1月23日). 2015年1月23日閲覧。
  13. ^ “「そこのみにて光輝く」6部門制す おおさかシネフェス”. 大阪日日新聞. (2015年1月31日). http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/150131/20150131035.html 2015年2月4日閲覧。 
  14. ^ 第10回おおさかシネマフェスティバル受賞者決定!!”. おおさかシネマフェスティバル実行委員会. 2015年1月4日閲覧。

外部リンク[編集]