真藤順丈

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真藤 順丈しんどう じゅんじょう
誕生 非公開[1]
(1977-11-03) 1977年11月3日(46歳)[2]
日本の旗東京都品川区[2]
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本
教育 文学士
最終学歴 文教大学文学部日本語日本文学科
活動期間 2008年 - 現在
ジャンル 推理小説
歴史小説
ホラー小説
ファンタジー小説
代表作墓頭』(2012年)
宝島』(2018年)
主な受賞歴 ダ・ヴィンチ文学賞(2008年)
日本ホラー小説大賞(2008年)
電撃小説大賞銀賞(2008年)
ポプラ社小説大賞特別賞(2008年)
山田風太郎賞(2018年)
直木三十五賞(2019年)
デビュー作 『地図男』(2008年)
配偶者 あり[2]
子供 二児あり[2]
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(しんどう じゅんじょう、1977年11月3日[2] -)は、日本小説家

2008年から2009年にかけて、4つの新人賞を相次いで受賞しデビューした。受賞したのは、刊行順にダ・ヴィンチ文学賞大賞(『地図男』)、日本ホラー小説大賞大賞(『庵堂三兄弟の聖職』)、電撃小説大賞銀賞(『東京ヴァンパイア・ファイナンス』)、ポプラ社小説大賞特別賞(『RANK』)。 2018年に『宝島』で山田風太郎賞、2019年には同作で第160回直木三十五賞を受賞。

人物[編集]

学生時代、自主映画やウェブコンテンツを製作する創作集団を結成。映画監督を志して映像関係の仕事にたずさわり、そのかたわらで小説の執筆も始める。のちに小説に専念し、長編短編あわせて10作ほどを投稿するがことごとく落選。 30歳になって一念発起、一年間で毎月一作を各新人賞に応募して、すべて駄目なら小説家の道はあきらめると決める。生活を切りつめて執筆に臨み、純文学系からライトノベルまで様々なジャンルの作品を投稿して、四作が受賞[3][4]。2008年にNHK「おはよう日本[5]やTBS「王様のブランチ[6]などで特集が組まれる。

ホラーミステリ、幻想怪奇、SF、アウトロー小説といったジャンルにとらわれない幅広い作品を発表。ホラー大賞受賞の選評で、高橋克彦は「異常な状況に、笑いや人の心の温かさを加味する才能」を評価している[7]。また、平山夢明は「〈魂の救済〉をテーマとし、物語の〈極限〉を提示しようとしている」と評している[8]

2009年からは、WOWOWノンフィクションW」にナビゲーターとしてゲスト出演したり[9]、映画『眼球遊園〈大日本ノックアウトガール〉』に彫り師役として出演するなど、活動の幅をひろげている。

近代文学では安部公房三島由紀夫を愛好する。現代の作家では平山夢明村上春樹村上龍貴志祐介などを挙げている[10]

受賞歴[編集]

  • 2008年
「地図男」で第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞
「庵堂三兄弟の聖職」で第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞
「東京ヴァンパイア・ファイナンス」で第15回電撃小説大賞銀賞受賞
「RANK」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞受賞
  • 2018年
『宝島』で第9回山田風太郎賞第1回細谷正充賞受賞
  • 2019年
『宝島』で第160回直木三十五賞第5回沖縄書店大賞受賞

作品リスト[編集]

小説[編集]

  • 地図男(2008年9月、メディアファクトリー / 2011年2月、MF文庫ダ・ヴィンチ / 2019年3月、角川文庫
  • 庵堂三兄弟の聖職(2008年10月、角川書店 / 2010年8月、角川ホラー文庫
  • 東京ヴァンパイア・ファイナンス(2009年2月、電撃文庫
  • RANK(2009年5月、ポプラ社 / 2011年12月、ポプラ文庫
  • バイブルDX(2010年3月、メディアファクトリー
  • 畦と銃(2011年7月、講談社 / 2014年4月、講談社文庫
    • 収録作品:拳銃と農夫 / 第二次間伐戦争 / ガウチョ防衛線 / あぜやぶり・リターンズ
  • 墓頭(2012年12月、角川書店 / 2015年10月、角川文庫)
  • 七日じゃ映画は撮れません(2014年3月、実業之日本社 / 2018年12月、実業之日本社文庫
    • 収録作品:天国の真下で / ODコネクション / 魔弾の射手 / 声と鼓膜のあわい / 蜃気楼のドレス / THE BANDIT WORKS / 太陽のまがいもの / 映像特典 / プロデューサーと災禍の歴史 / アンダーヘブン撮影記 / それでは映画の時間です (※短編+長編の連作形式)
  • しるしなきもの(2015年1月、幻冬舎
  • 黄昏旅団(2015年4月、文藝春秋 / 2019年4月、文春文庫
  • 夜の淵をひと廻り(2016年1月、KADOKAWA / 2018年11月、角川文庫)
    • 収録作品:蟻塚 / 優しい夜の紳士 / 着飾るヴィジランテ / 笛吹き男はそこにいる / 悪の家 / 新生 / ぼくは猿の王子さま / スターテイル / 夜の淵をひと廻り
  • 宝島(2018年6月、講談社 / 2021年7月、講談社文庫)
  • われらの世紀 真藤順丈作品集(2021年4月、光文社
    • 収録作品:恋する影法師 / 一九三九年の帝国ホテル / レディ・フォックス / 笑いの世紀 / 異文字 / ダンデライオン&タイガーリリー / 無謀の騎士 / 血の潮 / 終末芸人 / ブックマン――ありえざる奇書の年代記
  • ものがたりの賊(2021年11月、文藝春秋)

オリジナルノベライズ[編集]

奥浩哉GANTZ」を基にしたオリジナルノベライズ。原案 / 構成・平山夢明

編著[編集]

  • 真藤順丈リクエスト!絶滅のアンソロジー(2021年8月、光文社 / 2022年9月、光文社文庫

アンソロジー 参加作品[編集]

  • ボルヘスハウス909(『怪物團 異形コレクションXLIII』2009年8月、光文社文庫
  • 終末芸人(『喜劇綺劇 異形コレクションXLIV』2009年12月、光文社文庫)
  • 餓え(『憑依 異形コレクションXLV』2010年5月、光文社文庫)
  • CLASSIC(『Fの肖像 フランケンシュタインの幻想たち 異形コレクションXLVI』2010年9月、光文社文庫)
  • 十億年浴場(『邪神宮 闇に囁くものたちの肖像』2011年4月、学研パブリッシング)
  • 長い呪い(「怪談実話 FKB話 饗宴」2011年5月、竹書房文庫
  • 夜のひと群れ(『怪談実話系6 書き下ろし怪談文芸競作集』2011年6月、MF文庫ダ・ヴィンチ)
  • 異文字(「物語のルミナリエ 異形コレクションXLVIII」2011年12月、光文社文庫)
  • クライクライ(『憑きびと 「読楽」ホラー小説アンソロジー』2016年2月、徳間文庫
  • 蟻塚(『沈黙の狂詩曲 最新ベストミステリー』2019年11月、光文社)
  • 愛にまつわる三つの掌篇(『ダーク・ロマンス 異形コレクションXLIX』2020年11月、光文社文庫)
  • ブックマン――ありえざる奇書の年代記(『蠱惑の本 異形コレクションL』2020年12月、光文社文庫)
  • オキシジェン(『緊急事態下の物語』2021年6月、河出書房新社)
  • グレート・ナンバーズ(『短編ホテル』2021年9月、集英社)
  • キングズベリー・ラン(『狩りの季節 異形コレクションLII』2021年11月、光文社文庫)

単行本未収録作[編集]

連載[編集]

  • ヴンダーカマー文学譚(HB ホーム社文芸図書WEBサイト 2019年8月30日 - )
  • P(『読楽』2020年7月号 - )
  • 愚者の殺人(『小説幻冬』2020年8月号 - )
  • 無限の王(『JOJO magazine』2022 SPRING - )

連載終了[編集]

  • ゴッドブレス(『小説トリッパー』2010年秋季号 - )
  • オメガ・スポーツ(『小説すばる』2012年9月号 - )
  • 銀の夜は人にあらず(『小説宝石』2013年4月号 - )
  • 塔の国(『ミステリーズ!』vol.93 FEBRUARY 2019 - vol.104 DECEMBER 2020)
  • ビヘイビア(『文芸カドカワ』2019年7月号 - 2019年8月号、『カドブンノベル』2019年9月号 - 2020年12月号)
  • 奈落の子(『週刊新潮』2020年11月26日号 - 2021年11月11日号)

短編[編集]

  • まどろみの聖櫃(『野性時代』2008年12月号)
  • 墓苑の皮(『野性時代』2009年5月号)
上記二作は『庵堂三兄弟の聖職』のスピンオフ作品
  • アップデート狂(『小説すばる』2009年1月号)
  • 闇はぼくたちの窓(『小説現代』2009年8月号)
  • 野生の獅子舞(『小説すばる』2009年11月号)
  • メロディアス(『小説すばる』2010年8月号)
  • 隠り社(「『小説宝石』2011年9月号)
  • クライクライ(『読楽』2014年9月号)
  • 死神(『小説現代』2018年4月号)
古典落語「死神」の翻案
  • ある寵児(『オール讀物』2019年9・10月合併号)
  • アッシュ・トゥ・アッシュ(『文春ムック 週刊文春 FASHION is SCANDAL!!週刊文春が迫る、BEAMSの世界。』2019年10月)
  • アリューシャン海獣ラリー(『小説 野性時代』2019年12月号)
  • ブーテン(『小説現代」2020年5月号)
  • (ex):絶滅教育(『小説宝石』2020年6月号)
  • 25セント(『小説現代』2020年8月号)
  • 五つ目の石(『小説現代』2020年9月号)
  • アーニーパイルで逢いましょう(『小説現代』2020年11月号)
  • キングタイド(『小説 野性時代』2020年12月号)
  • 王立遊園地のスリラー(『小説 野性時代』2020年12月号)
  • 海の眼(『怪と幽』2020年5月 vol.004、2020年9月 vol.005、2020年12月 vol.006)
  • オキシジェン(『文藝』2021年春季号)
  • 家族の唄(『小説現代』2021年5・6月合併号
  • インディゴの塵(『小説 野性時代』特別編集 2021年冬号)

帯文・解説[編集]

  • 河崎秋子『土に贖う』(2019年9月、集英社):帯文
  • 李龍徳『あなたが竹槍で私を突き殺す前に』(2020年3月、河出書房新社):帯文
  • 角幡唯介『漂流』(2020年4月、新潮社文庫):解説
  • 藤井誠二『沖縄アンダーグラウンド』(2021年5月、集英社文庫 ):解説

出典[編集]

  1. ^ 東京新聞:芥川賞・上田岳弘さん「ニムロッド」、町屋良平さん「1R1分34秒」 直木賞・真藤順丈さん「宝島」:社会(TOKYO Web)
  2. ^ a b c d e 作家の読書道 第196回:真藤順丈さん|好書好日
  3. ^ 小説現代』2008年9月号
  4. ^ ダ・ヴィンチ』2008年10月号
  5. ^ 2008年9月28日放送
  6. ^ 2008年10月25日放送
  7. ^ 野性時代』2008年7月号
  8. ^ 『庵堂三兄弟の聖職』文庫版解説
  9. ^ 2010年9月20日放送「MAPS 地図裏の冒険者たち」
  10. ^ BookJapan