トヨタ・MR-S

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トヨタ・MR-S
ZZW30型
前期型 北米仕様
(1999年10月 - 2002年8月)
後期型(2002年8月 - 2007年7月)
概要
製造国 日本の旗 日本神奈川県
販売期間 1999年10月-2007年7月
ボディ
乗車定員 2人
ボディタイプ 2ドア オープン
駆動方式 MR
プラットフォーム トヨタ・NBCプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 1ZZ-FE型 1.8L 直4
最高出力 140PS(103kw)/6,400rpm
最大トルク 17.4kgm(171N•m)/4,400rpm
変速機 5速MT / 5速セミAT(前期型)
6速MT / 6速セミAT(後期型)
前後:ストラット式
前後:ストラット式
車両寸法
ホイールベース 2,450mm
全長 3,895mm
全幅 1,695mm
全高 1,235mm
車両重量 970 - 1,020kg
その他
国内新車登録台数の累計 2万1039台[1]
系譜
先代 トヨタ・MR2
後継 (なし)
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MR-S(エムアールエス)とは、トヨタ自動車がかつて製造・販売していたオープンカー型の乗用車MR2の後継となるライトウェイトスポーツカーである。製造はセントラル自動車相模原市の旧工場。現在のトヨタ自動車東日本)が担当した。

概要[編集]

既存のヴィッツ基本コンポーネントを流用することで、エンジン出力は控えめながら軽量化による運動性の良さを追求し、運転を楽しめるスポーツカーを目指した。最適な重量配分を得るためにリアトランクを廃[2]し、シート背面にラゲッジスペースを備える。

前輪駆動車のパワーユニットを後方に平行移動する手法で部品などを流用している。トランスアクスルが後輪の直上、エンジンはその前方とかなりリア寄りに置かれ、前後重量配分も後部が重い。車両重量は当初は1,000kgを下回っていたが、強化された衝突安全アセスメントに対応などのため、度重なる年次改良で補強されて最終的に当初よりも40kg程度車両重量が増加している。サスペンションは前後ともストラット式サスペンションである。

車名は、日本国外向けも含めてMR-Sに変更する計画であったが英語圏でMrs.(ミセス)に通じてスポーツカーにそぐわず、日本国外のヨーロッパとオーストラリアはMR2が継続された。米国向けはオープンカーとなったことを明確にするため、MR2スパイダーとなった。日本国内でスパイダーの商標はダイハツ工業が保有している。フランス向けは初代よりMRとして輸出されていた。MR-Sの"MR"はミッドシップMidship Runabout )を指している。

スペシャルティカー市場が縮小して年間生産台数は2006年に1,000台程度となり、2007年7月末に販売終了となった。総生産台数は77,840台で、他社同クラスの小型オープン2シーターモデルと比較して少ない。生産中止前に、ブラックカラーのレッドトップやメッキ風エアインレットガーニッシュなどの特別仕様を設定したFinal versionが1,000台限定で販売された。

国内向け車型は、トヨタマークがステアリングのみ刻印されており、エクステリアは一切なく「MR」を図案化したエンブレムがある。

スタイル・機構[編集]

エンジン[編集]

全車とも、直列4気筒DOHCで排気量1,800cc、最高出力140馬力/6,400rpm、最大トルク17.4kgm/4,400rpmの1ZZ-FEエンジンを搭載する。

トランスミッション[編集]

MTのほか、日本の量産車では初となるシーケンシャルマニュアルトランスミッション (SMT) が設定される。MTは初期型が5速、マイナーチェンジ以降は6速。

型式 ZZW30型(1999年-2007年)[編集]

  • 1995年 - MR-Sの原型となる4人乗りコンセプトカーのMR-Jを発表。
  • 1997年 - MR-Sのコンセプトカーを東京モーターショーで発表。基本スペックは1999年発表の量産モデルとほぼ同一だが、外観デザインの細部が異なる。
  • 1999年10月 - 発売。
  • 2000年8月 - SMTモデルとトップグレードのVエディションを追加。
  • 2002年8月 - マイナーチェンジ。MTを5速から6速に多段化、タイヤサイズをフロント185/55R15・リア205/50R15からフロント185/55R15・リア215/45R16に大径化、フォグランプを追加、ヘッドランプとテールランプの意匠を変更、シート形状を穴あきタイプに変更、ボディおよびサスペンションの剛性を強化、インテリアを変更。
  • 2004年1月 - ボディ剛性の強化により車重が30kgほど増加。
  • 2005年12月 - フォグランプインジケーターを追加し、テールランプとブレーキランプの配置が入れ替わる。
  • 2006年11月 - ベース車の2007年1月限りでの生産終了を発表し、特別仕様車「Vエディション ファイナルバージョン」を1,000台限定で発売。
  • 2007年4月[3] - 生産終了。流通在庫のみの対応となる。
  • 2007年7月[4] - 流通在庫の新車登録を完了し販売終了。1代限りでモデル廃止となり、トヨタにおけるスポーツカーのラインナップは5年後の2012年に登場する86まで途絶えることとなった。

取扱い販売店[編集]

モータースポーツ[編集]

GT300仕様

全日本GT選手権(JGTC)SUPER GT GT300クラスで、aprが 2000年から2008年まで運用。ちなみに同マシンはフロントにトヨタのエンブレムがついており、トヨタのセミワークスとしての参戦となる。トイ・ストーリーカーズとのコラボレートモデルも存在した。2001年からはMR-S二台体制で参戦。2003年から、2006年を除いてARTA・ガライヤとの三台体制となった。エンジンは3S-GTEの直4ターボ、2006年からはV6/3.5リッター自然吸気の2GR-FEに換装されている。

2002年に新田守男/高木真一組、2005年に佐々木孝太/山野哲也組、2007年に石浦宏明/大嶋和也組と3度チャンピオンに輝いた。

その他ラリーやジムカーナでもプライベーターが運用していた。

車名の由来[編集]

Midship Runabout Sportsopencar」ミッドシップ・ランアバウト(ラナバウト)・スポーツオープンカーの頭文字から創作された造語[5]。エムアールエスと読む。

MR-Sをベースにしたカスタムカー[編集]

Abflug MR-X
  • TMI・VM180ザガート - イタリアのカロッツェリア、ザガートが外観をデザインし、モデリスタが製造・販売した限定車(100台限定)。398~450万円。
  • カセルタ - 日本のデザイン会社、モディーが外観をデザインし、モデリスタが製造・販売した限定車(150台限定)[6]。350~388万円。
  • 横浜スタジアムリリーフカー - トヨタテクノクラフトが手がけた。日産・エスカルゴの後継として2000年に導入。ビジター用とホーム用の2台がある。SMT。2016年シーズンをもって退役(後継車種は日産・リーフ)。
  • モノクラフトGT300 - オートバックスが企画したカスタムカー。上記のJGTC参戦マシンを再現。ドラマ「西部警察 SPECIAL」でもアルファロメオ・156等と共に警察車両(劇用車)として使用された。使用パーツは2002年シーズンのARTAのものを公道向けに修正。3ナンバーサイズに拡大する為、構造変更検査が必要になる。
  • MR-S turbo tuned by TTE - Toyota Team Europeの制作したターボ車。
  • MR-S with VTEC - HALF WAYによる、ホンダ・インテグラタイプR搭載のK20A(220PS)に換装したコンプリートカー。
  • MR-S ロッテ"BLACK BLACK" - ロッテガムブラックブラック20周年記念のキャンペーンとして1名にプレゼントされた。モデリスタによりボディ・ハンドル・シート・サイドパネルがカスタマイズされた。
  • MR-X - 日本のデザインブランド Curve Auto Design による、コンプリートカー、Abflugで販売。

脚注[編集]

  1. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第87号13ページより。
  2. ^ 『90年代国産車のすべて』三栄書房、34頁参照
  3. ^ MR-S(トヨタ)のカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月9日). 2020年1月9日閲覧。
  4. ^ MR-S”. トヨタ自動車株式会社 (2020年1月9日). 2020年1月9日閲覧。
  5. ^ MR-Sの車名の由来は何ですか? | トヨタ お問い合わせ・よくあるご質問”. faq.toyota.jp. 2022年1月30日閲覧。
  6. ^ 【あの限定車は凄かった②】ベース車はなに? モデリスタ カセルタ(150台限定/2000年6月20日発表/販売価格350万円〜・当時)”. Webモーターマガジン (2019年7月13日). 2021年2月26日閲覧。

関連項目[編集]