スペシャルティカー
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スペシャルティカー (Specialty car) とは、自動車の一カテゴリの呼称。英語圏では既にこの呼称は使われておらず(現にウィキペディア英語版記事は存在しない)、事実上日本固有の俗称となった。スペシャリティカー[1]、スポーティーカー、デートカーともいうが、いずれにせよ俗称に過ぎず厳密な定義はない。
多くの場合が実用型大衆車のプラットフォームとコンポーネンツを基に、一見スポーツカーに見えるスタイリッシュなクーペ、もしくはハードトップボディを架装している。比較的低廉な価格で、スポーツカーやGTカーのムード(雰囲気)が味わえるのが特徴で、1970年代初頭から1990年代初頭にかけてデートのための車として多くの若者たちの人気を集めた。
歴史[編集]
「スペシャルティカー」と呼べる存在の先駆けは、1964年に発売されたフォード・マスタングである。同社の(en)ファルコンのシャシ上にスポーツカー風のクーペボディを載せた車で、当のフォードすら予想し得なかった程の大ヒットを記録した。自動車雑誌「Car Life」(Car Life Magazine)の編集者であった Dennis Shattuck がこれを「Pony car」と呼び、1967年にゼネラル・モーターズがシボレー・カマロ、1970年にクライスラーがダッジ・チャレンジャーをそれぞれ対抗馬として発売したことから、ビッグスリーによる三つ巴の馬力競争と販売競争へと発展し、一大ジャンルが形成されるに至った。当時の米国自動車業界ではこれらのロングノーズ・ショートデッキのクーペボディを持つ車を、より高価で豪華なビュイック・リヴィエラ、キャデラック・エルドラド、フォード・サンダーバード等とともに"specialty cars"とカテゴライズしていた[2]。
日本では、1962年にプリンス自動車から発売されたプリンススカイラインスポーツが実質的な初のスペシャルティカーと言える。その後、マスタングの成功に触発されて1970年に発売されたトヨタ・セリカが、初めて大々的に売れたスペシャルティカーである。セリカは主にE20型カローラのコンポーネンツを一部流用して作られたが、シャシは既存の車種(プラットフォーム)をベースとしておらず、その数か月後に、セリカと同じシャシでノッチバックセダンボディのカリーナが登場している。
日本ではその後、排ガス規制の沈滞ムードを打ち破り、マツダ・コスモAPが広い年齢層に支持され、爆発的なヒットを記録。次いで1970年代末のS110型系シルビアと、1980年代の2代目ホンダ・プレリュードが2大デートカーとして君臨した。
その後、バブル期に目立ってセールスをあげた車種は、3代目プレリュードとS13型系シルビア、E90型系カローラレビン/スプリンタートレノ程度となり、スペシャリティカーの市場はスポーティさより高級感を重視したハイソカーに取って代わられていった。
バブル崩壊後は車に趣味性より実用性が求められる様になり、1990年代のRV(ここではSUVやミニバンなどを指す)ブームから、ステーションワゴンやSUV(四輪駆動車)、2000年代以降はミニバン(MPV/ピープル・ムーバー)、コンパクトカー、軽自動車(特に軽トールワゴン)、ハイブリッドカーなどが、入れ替わり立ち代わり一般大衆の人気の中心となって推移した。その結果一般的なノッチバック型セダン以上に実用性・機能性・経済性に乏しいクーペ型自動車であるスペシャルティーカーは著しい壊滅状態に追い込まれた。また近年の若者の車離れとともに「デートはクーペでドライブ」という価値観もほぼ崩壊したため、近年のクーペ型自動車をスペシャルティカーと呼ぶことは皆無となった。代わりに近年は、高級車や大衆車に関係なく、既に傍流のカテゴリーと化したピックアップトラックやノッチバック型4ドアセダン、2ボックス型3ドアハッチバック、果てはスポーティーかつステータス性が高く若年層にも人気を誇るクロスオーバーSUV(CUV)をかつてのスペシャルティカーとオーバーラップさせる( = 重ね合わせる)声が少なからずある。
車種[編集]
日本車[編集]
☆は軽自動車。
- セリカ/コロナクーペ/カレン(もっとも、セリカはその派生車種のセリカXX(後のスープラ)を含む)
- カローラレビン/スプリンタートレノ(特に1987年(AE90型系)以降)
- ソアラ(2代目以前)
- セラ
- サイノス
- R1☆
脚注[編集]
- ^ スペシャリティーカーを代表する一台 ホンダ・プレリュード(日)1981年式:旧車deドライブ 日本自動車博物館:石川 - 中日新聞
- ^ “Specialty Cars In Industry Spotlight”. Ward's Automotive Yearbook, Volume 29. (1967). p. 116 2018年12月19日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 特集 スペシャリティカーの魅力を考えるJAMA 日本自動車工業会