スバル・アルシオーネSVX

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スバル・アルシオーネSVX
CXD/CXW型
S3
Subaru Alcyone SVX S3.JPG
S4
Subaru Alcyone Svx.JPG
海外仕様 リヤ
1992-1997 Subaru SVX coupe 02.jpg
販売期間 1991年9月1996年12月(生産終了)
デザイン イタルデザイン・ジウジアーロ
乗車定員 5人
ボディタイプ 2ドア ノッチバッククーペ
エンジン 3.3L 水平対向6気筒 EG33
駆動方式 VTD-4WD
最高出力 240PS/6,000rpm
最大トルク 31.5kgf·m/4,800rpm
変速機 4速AT
サスペンション 前:マクファーソン式ストラット
後:デュアルリンク式ストラット
全長 4,625mm
全幅 1,770mm
全高 1,300mm
ホイールベース 2,610mm
車両重量 1,590kg
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
タイヤサイズ 225/50R16 92V
先代 スバル・アルシオーネ
-自動車のスペック表-

アルシオーネSVXAlcyone SVX )は、富士重工業1991年9月に発売を開始した5人乗り2ドアクーペタイプの乗用車である。

概要[編集]

キャッチコピーは『遠くへ、美しく。』、『500miles a day』。

日本国内向きにはアルシオーネの2代目にあたるが、海外では単にSVXという別モデル扱いをされている。主なマーケットを北米としていたこともあり、発表は日本に先行してデトロイトショーで行われた(『90年代国産車のすべて』三栄書房、70頁参照)。国際性のあるグランツーリスモと位置づけ、開発のポイントとして、先代の高い空力性能(Cd値0.29)は引継ぎつつ、悪天候下における安全性を兼ねそろえることが目標とされ、240PSを発揮するEG33型3.3L水平対向6気筒エンジン(レガシィ ブライトン220用EJ22型水平対向4気筒SOHC16バルブ2.2Lをベースに2気筒追加し、ヘッドを狭角DOHC化したもの)と、トルク配分式4WDシステムを搭載した。

先代アルシオーネのデザインに批判的な声もあった反省からか、ジョルジェット・ジウジアーロによるエクステリアデザインとなっているが、ライトのデザインを考案したのは窓井崇史氏である。また、グラスtoグラスのキャノピーはミッドフレームウインドーを日本で初めて採用している。これはドアガラスがルーフ面にまで回り込む形状であることからサイドウィンドウ全体を開閉できないため、一部だけを開閉するようにしたものである。スポーツカーさながらのスタイルを持っていたが、スペシャルティカーという設定のため、マニュアルトランスミッションは用意されなかった。

意欲的なスタイリングコンセプトとメカニズムを持った同車であったが、登場時期がバブル景気終焉期であったことも重なり、高級車(特に2ドアクーペなどのスペシャリティモデル)市場の冷え込み、個性的なデザイン、3.3Lという中途半端な排気量が敬遠され、販売面では苦戦を強いられた。そしてレガシィの大ヒットにより、スバルのイメージリーダーカーとしてのアルシオーネは役割を果たされたとし、生産ラインをフォレスターに譲り1996年12月、生産終了となる。日本国内販売台数は生産終了までの期間でわずか5,884台[1]、海外輸出分を含めた総生産台数は23,750台ほど。

車名の由来[編集]

SVXとは、「Subaru Vehicle X」の略。スバルが提唱した「グランドツアラー」を象徴した呼び名である。なお、「アルシオーネ」は「アルキオネ」(Alcyone)から(詳細については、スバル・アルシオーネ#名前の由来を参照)。

グレード・輸出仕様と日本仕様の相違など[編集]

  • Version L =型式CXD 生産台数1,905台 1991年9月~1992年9月 電動4WS コントロールユニット:前後輪舵角センサ、前後輪舵角速度センサ、車速センサによる後輪舵角モーター制御電動4WS
  • Version E, S3, S4など=型式CXW
  • 2WD 前輪駆動 米国仕様 CXV
  • 最高速度248㎞/h 154mph 0-60mph 7.3 seconds, 1/4mile 15.4seconds at 148.9km/h/92.5mph

 米国では1994年から240km/h 143mphに規制されている

  • 外観では内装以外に区別できないが、VersionLとその他では操舵系が大きく異なり機能性、操舵フィーリングも大幅に異なり、プロペラシャフトも防振タイプが採用されている。SII、S40、S3、S4はVEの一部機能をコストダウンしたモデルである。特にS4は在庫をさばききるための最終モデルとして企画された(防音処理、ガラスの精度、パッキンのゴム、オーナメントの材質などが初期モデルと異なる)。
  • 最も台数が少ない仕様はCXD SRS(サンルーフ付)で、CXD全体の生産台数が少ないこともあり(CXDのレッドマイカの生産数115台中SRS仕様は僅か45台のみである)、生産月は通算6か月のみであった。
    • 最後期グレードであるS4のオートマチックトランスミッションはレガシィ用をベースとしていたが、それ以外はレオーネ用がベースのため、耐久性に問題があった。パーツリストによると細かな内部部品については度々変更されているが、S4を境にトランスミッション・アッセンブリーとコントロールユニットが変更されている。


アメリカ仕様の4WDは、日本仕様で採用されていたVTD-4WDではなく、旧アルシオーネに搭載されていた直進性に優れたACT-4が採用された。 ACT-4輸出国はアメリカドイツフランススイスVTD輸出国はルクセンブルクベルギーオランダイギリススペインオーストリアオーストラリアスエーデンブラジルイスラエルタイなどである。


  • E-CXD生産台数内訳 1991.09~1991.12=1689台 1992.01~1992.09=216台 (内Red4台)
  • E-CXD 塗装色別生産台数

Black343,Cremson405,DarkGray256,Red115,Silver&Gray506,White279,Silver Metalic1,=1905台 *不明E-CXD002003データ欠損

  • E-CXD Sunroof 塗装別生産台数568台 *後輪のみ強化スプリングコイルBlack135,Cremson111,DarkGray93,Red45,Silver&Gray135,White86,*Silver Metalic1台=586台
  • 希少生産塗装+ホイール組み合わせ Turbin or Dish

CXD Sunroof RED DISH TYPE 1台 CXD Sunroof Silver&Gray DISH TYPE 3台

  • 地域別販売数

米国14257台、ヨーロッパ2478台 内ドイツ854台、フランス60台 右ハンドル車 オーストラリア249台 日本5884台 トータル24379台

  • 最終生産

1996年12月生産 1997年1月米国で販売されたロットが最終

  • 今後の維持

2016年4月現在、多くの樹脂製部品が生産中止となっている。 多くのマイコンが使用されているが設計時点では耐熱コンデンサが無くほとんどが寿命であり、機能を 失いつつある。全て交換が必要。CXDの4WS ECUは特に多くの電解コンデンサが使われており交換は必須で ある。4WS制御モーター用電源整流に使われている電解コンデンサは経年ダメージで液漏れを起こし基盤を侵食するので 交換しないと4WS機能を失う。警告ランプは必ずしも点灯しないので特に注意が必要。 今後SVXの維持は相当難しいものと考えられる。 ECU,赤外線ドアロックECU(キャパシター容量抜け)

  • SVXワゴン Amadeus(アマデウス)左ハンドル

静岡県某所に保管されていたが所有者が故人となった為、現状は不明である。 試作車の為、剛性が低く走れないとの話だった。後部屋根部分の重量が増したがサスペンションは 既存と同じであった為。CXD サンルーフ仕様も後部車重増加の為、強化コイルスプリングになっている。 内装色アイボリー 米国仕様 パッキンが切り貼りで足りていない隙間部分も残っていた。

生産拠点[編集]

その他[編集]

  • ジウジアーロが提案したデザインスケッチやモックアップの段階ではリトラクタブル・ヘッドライトが備えられていた。
  • ボディーサイズは当初5ナンバー枠で製作されていたが開発過程で3ナンバー枠に変更された。
  • 自動溶接38%、手溶接62%、溶接打点5,000か所以上(更に増打ち工程がありプラスαがあった)。当時の他車は平均4,000か所程度が多い。骨格部分のみ精度の向上のため一括自動溶接している。
  • 当時世界最高厚の[要出典]厚め付け亜鉛メッキ防錆鋼板が使われた。
  • 艤装精度は車種50%増し ガラスとボディーのピンとの穴はわずか0.2mmの誤差しか許容されていない。
  • 90%がオリジナル部品であり、他スバル車との互換性が少ない。一般的な規格ねじ類を除くとほぼ100%、オーディオのコネクターまでが専用設計である。ショックアブソーバーの径が一般的な国産車と異なり10%程太かったため(日本車(エアサスを除く)の円筒の径は基本的に同じ)、アフターパーツが存在しなかった。
  • 耐寒、耐熱、高速試験に世界中で延べ100万kmにわたる実走試験を行っている。
  • アメリカ市場での燃費対策の為、バルブスプリングをデチューンして回転域を狭めている[要出典]
  • EG33エンジンは3.6Lまでボアアップ可能[要出典]
  • ホイールのPCDはスバル普通車標準の100の5穴ではなく、114.3mmの5穴であり、2004年6月に2代目インプレッサWRX・STIのE型が登場するまではスバル唯一のものであった。
  • 品質向上のためか、当時提携していた日産系のパーツがエアコン周りやオルタネーター等に見られる。
  • エクステリアは斬新だったが、インパネ周りなどのインテリアはライバル車と比べて明らかにデザイン面で劣り、普通のセダンと言われても違和感がないほどであり、これも不人気の一因であった。
  • 国内販売はバブル経済崩壊期と重なったことに加え、他社のラグジュアリークーペ(Z30系トヨタ・ソアラユーノス・コスモBMW・8シリーズなど)と比べ、やや非力な240馬力であったこと[2]も影響し、販売は振るわなかった。また初期生産モデル(ディーラー在庫)も数年後に新車として販売されていた。
  • SVX専用エンジンであったEG33型はレガシィ向け2.2Lエンジン(EJ22)にもう2気筒足した、正に「1.5倍」とした設計であり、ボア/ストローク比も同一。また、2008年モデル・トライベッカEZ36=3.6L)の登場までの間、スバルブランドの市販エンジン(乗用車用)では最大排気量だった。なお、日本市場においてはトライベッカが発売されておらず、2009年アウトバックモデルチェンジで最大排気量を更新した。そのエンジンもトライベッカと同じEZ36である。
  • 一時期、富士重工業の役員車として運転手付で使われたこともあった。
  • 同車の販売終了後、2012年BRZが登場するまでスバルにクーペ専用車種は登場していない(クーペ自体は初代インプレッサが2000年にフルモデルチェンジするまで存在していた)。

脚注[編集]

  1. ^ 国内登録台数:5,951台、総生産台数:24,379台(『富士重工業50年史 資料集』による)とする説もある
  2. ^ しかし、それでも、215馬力だったホンダ・レジェンドクーペと比べると、非力さはさほどないようである。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]