スバル・ジャスティ
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画像提供依頼:2代目(通算5代目)の標準系のリア及び内装、カスタム系の内外装の画像提供をお願いします。(2016年12月) |
ジャスティ(JUSTY)は、SUBARU(旧・富士重工業)で販売されている小型乗用車である。
概要[編集]
初代はBセグメントの車として発売され、台湾大慶汽車では初代をベースに5ドアセミノッチバックセダンに仕立てた「TUTTO(テュット、金美滿)」も生産・発売されていた。その後は海外専売車となり3代にわたって発売されたあと、日本で約21年11か月ぶりの発売(車名復活)となった2代目(海外を含めると通算5代目)はトールワゴンに転換された。なお、初代は自社生産、2代目と3代目の生産はスズキ、4代目以降の生産はダイハツ工業がそれぞれ担当する。
日本仕様の歴史[編集]
初代(1984年-1994年)[編集]
スバル・ジャスティ(日本向け初代) KA7/KA8型 | |
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前期型フロント(豪州仕様) 前期型リア(豪州仕様) 内装(北米仕様) | |
製造国 |
3ドア/5ドアハッチバック:![]() 5ドアセダン: ![]() |
販売期間 | 1984年2月-1994年12月 |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ |
3ドア/5ドア ハッチバック 5ドアセミノッチバックセダン (テュット) |
エンジン |
EF型 1L 直列3気筒 EF12型 1.2L 直列3気筒 |
駆動方式 | FF/4WD |
変速機 | 5MT/ECVT |
サスペンション | 前/後ストラット |
全長 | 3,695mm |
全幅 | 1,535mm |
全高 | 1,420mm |
ホイールベース | 2,285mm |
生産台数 | 42万8266台[1] |
-自動車のスペック表- |
- 1984年2月
- 当時の軽自動車・スバル・レックスをベースに(ドアは流用)、ボディを拡大して発売開始。エンジンは直3 SOHC 1L(EF10型)で、ボディタイプは3ドアHBと5ドアHBの2タイプ、それぞれにFF(前輪駆動)と4WD(パートタイム四輪駆動)がラインアップされていた。4WD仕様は当時のレックス4WDと同様、シフトノブ内にある赤い4WDスイッチをワンプッシュするだけでFF⇔4WDの切り替えが可能であった。
- 1985年秋
- 『火の玉ボーイ』というキャッチコピーとともに、3気筒 1.2L SOHC9バルブ ツインキャブエンジン〔EF12型。1気筒あたり3バルブ(吸気2バルブ、排気1バルブ)仕様〕を追加、シリーズ充実化を図る。また、1.2Lモデルには全車、自然吸気エンジン搭載のコンパクトカーとしては業界初となるフロントベンチレーテッドディスクブレーキが標準装備となる。
- 1987年
- バンドーネタイプのベルト式変速機ECVTを量産車世界初で採用する。1LのFF車のみの設定だったが、他社同クラスのAT車よりも高価であったことから、国内での商業的には失敗であった。しかし、アメリカ合衆国では、1987年 - 1989年まで3年連続で燃費ベストカーに選ばれるほど燃費が良かった。
- 1988年11月
- ビッグ・マイナーチェンジを行い、外装デザインが大幅に変更された。エンジンは1.2LのEF12型のみとなり、ECVT+パートタイム4WDの機種が選べるようになった。
- 1991年6月
- ブレーキのノンアスベスト化やパワーステアリングとオーディオの標準装備化などのマイナーチェンジを行った。
- 1994年12月
- 販売終了。
後継車の模索[編集]
富士重工はジャスティの後継車種を開発するに当たって、資本関係上日産・パルサーを製造していた縁から、2代目日産・マーチ(K11型)を日産と共同開発またはOEM生産供給を模索した時期があった。しかし1989年発売のスバル・レガシィが思いのほかヒットし、スバル・インプレッサという中排気量車への集中投資の必要性が生じたことから開発は断念された。マーチの一部グレードにはECVT(日産の呼称はN-CVT)が搭載された。
その他[編集]
初代モデルのエンジンは、日本国内向けでは1,000cc、1,200ccともにEFCと呼ばれた電子制御キャブレターによる燃料供給システムだけであった。 しかし、アメリカ合衆国カリフォルニアの排ガス規制に対応するため、1989年には1,200ccエンジンに燃料噴射システムを備えたモデルを生産している。このモデルは、O2センサー、プレッシャセンサー、吸気温センサー、スロットルセンサー、8bitのCPUを備えたコントロールユニット等で制御されるDジェトロニックシステムで、富士重工内ではEMPI(Electric Multi-point Injection)と呼ばれていた。その翌年の1990年、このモデルはドイツ・スイス・オーストリア向け仕様としても輸出されているが、アメリカ向けにはキャタライザが2個であったのに対し、ヨーロッパ向けにはキャタライザは1個であった。
2代目(通算5代目)(2016年11月-)[編集]
スバル・ジャスティ(日本向け2代目) M900F/M910F型 | |
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2016年11月登場型 GS スマートアシスト 2016年11月登場型 カスタムRS スマートアシスト | |
販売期間 | 2016年11月21日- |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアトールワゴン |
エンジン |
1KR-FE型: 996cc 直列3気筒DOHC 1KR-VET型: 996cc 直列3気筒DOHCターボ |
駆動方式 |
前輪駆動(2WD車) 四輪駆動(4WD車) (ターボ車は未設定) |
最高出力 |
1KR-FE型: 51kW (69PS)/6,000rpm 1KR-VET型: 72kW (98PS)/6,000rpm |
最大トルク |
1KR-FE型: 92N・m (9.4kgf・m)/4,400rpm 1KR-VET型: 140N・m (14.3kgf・m)/2,400-4,000rpm |
変速機 | CVT |
サスペンション |
前:マクファーソンストラット式コイルスプリング 後:トーションビーム式コイルスプリング(2WD) 後:トレーリングリンク車軸式コイルスプリング(4WD) |
全長 |
3,700mm(L、G、GS) 3,715mm(カスタムR、カスタムRS) |
全幅 | 1,670mm |
全高 | 1,735mm |
ホイールベース | 2,490mm |
車両重量 | 1,070-1,130kg |
製造事業者 | ダイハツ工業 |
ベース車両 | ダイハツ・トール |
-自動車のスペック表- |
- 2016年11月9日
- 2代目を発表[2]。(11月21日発売)
- 日本国内向け2代目は、同日にダイハツ工業が発売した「トール」のOEM供給モデルとなり、ルーミー並びにタンクとは姉妹車の関係となる。エンジンは初代同様1.0L 直3だが、DOHC12バルブ化され、12.5の高圧縮比を実現したダイハツ製のエンジンとなり、自然吸気仕様の1KR-FE型とターボ仕様の1KR-VET型となった。
- グレード体系は、「L スマートアシスト[注 1]」、「G スマートアシスト[注 2]」、「GS スマートアシスト[注 3]」、「カスタム R スマートアシスト[注 4]」、「カスタム RS スマートアシスト[注 5]」の5グレードを設定しており、トール、ルーミー、タンクに設定されているスマートアシスト II(以下、スマアシ II[注 6])非装備グレード(「X」・「G」・「カスタムG」相当)はジャスティでは未設定となり、スマアシ IIは全車標準装備となる。
- フロントフェイスはトヨタ自動車向けの姉妹車のデザインをベースにCIエンブレムを変更したものとなっており、標準車にはトールカスタム&ルーミーのデザインが、カスタムにはトール標準車&タンクのデザインがそれぞれ用いられている。また、ボディカラーはカスタム専用の2トーンカラーのうち、「ブライトシルバーメタリック×フレッシュグリーンメタリック」と「ブライトシルバーメタリック×ファインブルーマイカメタリック」の2色はジャスティでは未設定となる。
- 装備内容は「L スマートアシスト」・「G スマートアシスト」の2WD車を除いてトール・ルーミー・タンクと違いがあり、「L スマートアシスト」・「G スマートアシスト」のAWD車はコンフォートパッケージ[注 7]と寒冷地仕様を、「GS スマートアシスト」はLEDヘッドランプ(ロー/ハイビーム・オートレベリング機能・LEDクリアランスランプ付)とLEDフォグランプ(LEDライナー付)を、カスタムはパノラミックビューモニター&ナビアップグレードパッケージ、イルミネーションパッケージ[注 8]、コンフォートパッケージの3点(「カスタム R スマートアシスト」のAWD車は寒冷地仕様を追加した4点)が標準装備されており、その分、価格が上乗せされている。また、メーカーオプションの内容を絞り込んでいるスバル方式のオプションパッケージ体系を採用しているため、メーカーオプションの自由度がトール・ルーミー・タンクに比べ制限される。
- 2018年11月8日
- 改良モデルを発売[3]。
- 既搭載の「スマートアシストII」において、ステレオカメラ方式に変更したことで衝突回避支援ブレーキ機能が対歩行者にも対応し、ハイビームアシストを追加した「スマートアシストIII」へ強化するとともに、ソナーセンサーをフロントグリルにも搭載したほか、フロント&リアコーナーセンサーも標準装備された。
- 外観は「カスタム RS スマートアシスト」に装備されている15インチアルミホイールを「GS スマートアシスト」にも標準装備され、ボディカラーは「フレッシュグリーン・メタリック」、「インペリアルゴールドクリスタル・メタリック(オプションカラー)」と入れ替えで「ファイアークォーツレッド・メタリック(カスタム専用色)」、「ブリリアントカッパークリスタル・マイカ(オプションカラー)」が追加設定され、カスタム専用の2トーンカラーにおいても「ブラック/インペリアルゴールドクリスタル・メタリック」を廃止する替わりに、「ブラック/ファイアークォーツレッド・メタリック」、「ブラック/ブリリアントカッパークリスタル・マイカ」、「ブラック/パールホワイトIII」の3色が追加された。
- 2020年9月24日
- OEM元のトールおよび姉妹車のルーミーのマイナーチェンジから9日遅れで一部改良[4]。
- グレード体系を絞ってNAのみのモノグレード仕様となり、デザインを刷新してトールやルーミーの「カスタムG」に相当するカスタムスタイルとなった。
- 「スマートアシスト」がステレオカメラを刷新した新型となり、衝突警告機能・衝突回避支援ブレーキの性能が向上されたほか、全車速域アダプティブクルーズコントロール、路側逸脱警報機能、ふらつき警報機能等が追加された。
- 機能面ではスライドドアがアクセスキーを持って車に近づくだけで自動で開くウェルカムオープン機能付きのパワースライドドアとなり、Pレンジに入れることで自動的に作動が可能な電動パーキングブレーキや停止時にブレーキペダルから足を離してもブレーキを保持するオートブレーキホールド機能が装備された。
- 内装では、シートを改良したほか、パネル類(メーター・センタークラスター)やステアリングホイールの意匠が変更された。ボディカラーは「ファインブルー・マイカメタリック」に替わり「ターコイズブルーマイカメタリック」が追加され、2トーンカラーにおいても「ブラック/ターコイズブルーマイカメタリック」を追加した[注 9]。
- なお、今回の一部改良により、WLTCモードによる燃料消費率並びに排出ガスに対応し、「平成30年排出ガス基準50%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得した。
海外仕様の歴史[編集]
通算2代目(1994年-2003年)[編集]
1994年にフルモデルチェンジ。日本ではリッターカー市場から撤退したため欧州仕様のみとなった。欧州仕様ではスズキのハンガリー現地法人であるマジャールスズキで生産された「スイフト」(当時の日本ではカルタスと名乗っていた)のOEM供給を受けた。ただし3ドア・5ドアのハッチバックのみ。
通算3代目(2003年-2007年)[編集]
2003年には当時同じGM傘下であったスズキ・イグニス(日本名:スイフト(初代)/シボレー・クルーズ(初代))の欧州仕様車のOEMとなり、車名にも「G3X」がついた。このモデルはフロントグリルとフロントバンパーが一体式であるが、ジャスティには他のスバル車と同意匠の独自デザインが与えられた。
通算4代目(2007年-2011年)[編集]
スバル・ジャスティ (海外向け3代目/通算4代目) M300F型 | |
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欧州仕様 3代目(通算4代目)ジャスティ | |
製造国 |
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販売期間 | 2007年-2011年 |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
エンジン | 1KR-FE型 1.0L 直3 DOHC DVVT |
駆動方式 | FF |
変速機 | 4速AT/5速MT |
サスペンション |
前: マクファーソンストラット 後: トーションビーム |
全長 | 3,600mm |
全幅 | 1,665mm |
全高 | 1,535mm |
ホイールベース | 2,440mm |
車両重量 | 900-930kg |
姉妹車 |
ダイハツ・ブーン (初代) ダイハツ・シリオン (2代目) トヨタ・パッソ (初代) プロドゥア・マイヴィ (初代) |
製造事業者 | ダイハツ工業 |
後継 | スバル・トレジア |
-自動車のスペック表- |
2007年2月26日、富士重工業は同社の筆頭株主・トヨタ自動車の傘下であるダイハツ工業よりブーン(欧州名シリオン)のOEM供給を受け、新型ジャスティとして欧州で発売すると発表。同年秋より発売を開始した。エクステリアに関してはフロントバンパーがオリジナルに差し替えられている点とエンブレム類を除けばほぼ同じである。エンジンは1Lの1KR-FE型3気筒のみで、スポーティな「アクティブ」とベーシックな「トレンド」の2グレード構成。シリオン同様5MTの設定もある。年間約6,000台を大阪のダイハツ本社(池田)工場にて生産。型式はM300F。トレジアを実質後継車とする形で生産・販売終了。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ トール「X"SA II"」及びルーミー・タンク「X"S"」相当
- ^ トール「G"SA II"」及びルーミー・タンク「G"S"」相当
- ^ トール「Gターボ"SA II"」及びルーミー・タンク「G-T」相当
- ^ トール「カスタムG"SA II"」及びルーミー・タンク「カスタムG"S"」相当
- ^ トール「カスタムGターボ"SA II"」及びルーミー・タンク「カスタムG-T」相当
- ^ スバル車として「スマアシ II」の略称が使用されるのはジャスティが初である。
- ^ シートヒーター(運転席/助手席)、シートバックテーブル(ショッピングフック・ボトルホルダー2個付、運転席/助手席)。「L スマートアシスト」はフロントセンターアームレスト(運転席)、シートリフター(運転席)、シートアンダートレイ(助手席)も追加。
- ^ フットイルミ(運転席・助手席)、インパネアッパートレイイルミ(助手席)、センターフロアトレイイルミ)
- ^ なお、OEM元のトールに追加された「コンパーノレッド」や姉妹車のルーミーに追加された「クールバイオレットクリスタルシャイン」はジャスティでは未設定となる
出典[編集]
- ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第76号13ページより
- ^ “スバル 新型「ジャスティ」を発表~衝突回避支援システム「スマートアシストⅡ」を全車標準装備~” (プレスリリース), 富士重工業株式会社, (2016年11月9日)
- ^ “SUBARU「ジャスティ」「ジャスティカスタム」改良モデルを発売” (プレスリリース), 株式会社SUBARU, (2018年11月8日)
- ^ “SUBARU「ジャスティ」一部改良モデルを発売” (プレスリリース), 株式会社SUBARU, (2020年9月24日)
関連項目[編集]
- スバル・レックス(初代のベース車種)
- スズキ・カルタス(欧州市場での名称:スイフト。欧州仕様2代目のベース車種)
- スズキ・スイフト/シボレー・クルーズ(欧州市場での名称:スズキ・イグニス。欧州仕様3代目のベース車種)
- ダイハツ・ブーン(欧州市場での名称:シリオン。欧州仕様4代目のベース車種)
- ダイハツ・トール(日本仕様2代目のベース車種)
- トヨタ・タンク(ダイハツ・トールのOEM姉妹車)
- トヨタ・ルーミー(同上)
外部リンク[編集]
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