中古車

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アメリカ合衆国ハワイ州 マウイ島の中古車店(2010年)
新車と並行して中古車も販売しているディーラー(アメリカ合衆国メリーランド州ロックヴィル)
日本の新車ディーラー。手前に中古車も展示されているのが見える(愛媛県マツダオートザムフジ 新居浜店

中古車(ちゅうこしゃ、 used car, a pre-owned vehicle)は、中古自動車オートバイ自転車のこと[1]。一度所有された自動車、オートバイ、自転車などで、カーディーラー、中古車専門販売店、レンタカー会社、リース会社、オークション、または個人間で売買される。

概説[編集]

中古車は「自動車や自転車」とされ、たしかに厳密に言えば中古の自転車も含むが、この記事では自動車などを主に解説する。

中古車は基本的には、消費者ユーザー)や企業・組織によってすでに所有されたものが再び売りに出されるものを指す。所有登録だけがなされ全く使用していない車両、俗に言う「新古車」(販売店が販売数を達成するために「試乗車」などの名目で登録したものなど)も、区分上では「中古車」に分類されている。

車齢の若い車は「何年式」という場合の数字が大きいことから「高年式」と呼び、製造から年数が長く経っている古い車は「低年式」と呼ぶ[2]

歴史[編集]

1898年アメリカ合衆国ニューヨーク州キャッツキルのエンパイヤ・ステート・モーターワゴン社(Empire State Motor Wagon Company)が、世界で最初の中古自動車販売所だったとされる[3]

各国の中古車[編集]

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国では、中古車市場は年間約3,700億ドルの規模があり、全米の自動車販売の約半分の規模があり、また小売部門の中で最大の部門となっている。2005年には4,400万台の中古自動車が販売され、台数では新車販売1,700万台の倍以上となっている。

アメリカ合衆国の連邦取引委員会(FTC)は、消費者が中古車を購入する場合は、あらかじめ中古車販売業者の評判(第三者からの評価)をよく確認することを勧めている。

車歴報告書[編集]

アメリカでは2006年時点で、34%の消費者が中古車購入前に、その中古車の履歴が判る「車歴報告書(vehicle history report)」を手に入れている。これは各州の運輸局が車体番号を基に発行している報告書であり、当該車に関して、過去にどのような保険金が支払われたかどうか、過去の交通事故歴といったことも記載されている。また、過去の所有者の変更・遍歴、それにともないオドメータ(累積距離計)の数字がどのように変化してきたかも記載されているものである。ここには併せて、「en:lemon law レモン法」 と呼ばれる法規(品質が悪いものが流通しがちなレモン市場の状況を改善させるための法規群)、(ありがちな)オドメータの改竄、自動車のリコールなどについても、説明がされている。

日本[編集]

新車を購入した所有者が次の車に買い換える際に、それまで乗っていた車をディーラー(新車販売店)に下取りに出すか、中古車業者に売り渡す。業者が買い取った中古車は整備して自ら売るか、あるいは中古車業界のオークション市場に出される。販売や買取業者には古物業法に基づく古物商の許可が必要になる。

市場の変遷[編集]

1960年代には中古車流通の仕組みが整っておらず、ディーラーが自社で販売しきれない下取り車は直接、あるいはブローカーを介するなどして独立系中古車販売業者に流していた。独立系業者は零細企業が多く、市場の主導権はディーラーが握っていたが、ディーラーは中古車部門にあまり力を注いでいなかった。

1960年代から1970年代には後楽園球場(現東京ドーム)で中古車フェアが開催された。石橋正二郎に可愛がられ、当時中古車販売店を経営していた海老原勝[4]の紹介によって実現したものである。

この頃に中販連関東甲信越連絡協議会では各中販連の会員の展示場に中販連のマーク入りの横断幕やノボリを掲げて、この店は中販連の会員店であると、会員でない専業者(アウトサイダー)との違いを明確に色分けするものだった(同一の会場に数百台の車を集めて大衆を動員し積極的に中古車を売るという催しではない)。

1970年代にはオークション形式での業者間取引が各地で行われるようになり、1980年代にはユー・エス・エスをはじめとするオークション業者による大規模な現車オークションや、オークネットによる通信衛星を介したネットオークションなどが行われるようになる。これにより大口での売却が常に可能となったため、1990年代にはガリバーインターナショナルに代表される新業態「中古車買取専門店」が各地に登場する。さらに、安定した仕入れも可能になったため、特定の車種だけを集めるなどの特徴を持った独立系販売業者も増えることとなった。

新車から中古車へ需要がシフトしたのが追い風となり、1990年代後半まで市場全体が大きく拡大。買取専門店チェーンなどが成長した一方、市場におけるディーラーの地位は相対的に低下した。

1990年代後半以降は市場全体が頭打ちとなり、単価の安い低年式車への需要シフトも起こった。

また、2000年にはトヨタ自動車が買取専門店チェーンT-UPを立ち上げ日本最大級のネットワークを構築するなど、メーカーやディーラーも中古車に力を注いでいる。

中古車の輸出[編集]

輸出された日本の中古車
トヨタ・カローラアクシオ)※初代モデル。本来は国内専用車
左ハンドルに改造された日本の中古車
(トヨタ・カリーナED)
国内専用車のため右ハンドルしか存在しないが、輸出先(中国本土)では右ハンドル登録不可のため左ハンドルに改造されているが、改造が難しいワイパーの向きの変更は行われていない。
輸出先の規制に対応するためカットされたXDエラントラ前期(ノーズカット)、AE100GカローラツーリングワゴンE24キャラバン(ハーフカット)。後ろには同じく輸出用のH50ハイエースのバックドアも。

1980年代頃から、日本で使われた中古車及び中古部品(乗用車、トラック、バス問わず)の輸出が多くなってきた。商用車の場合、日本語の企業・学校名が入っていたままの輸出するケースも少なくない。当初は日本と同じ左側通行/右ハンドルの地域へ輸出するクルマが多かったが、1990年代から右側通行のロシア連邦モンゴルなどへも右ハンドルのまま輸出するケースが出てきた。中にはボリビアチリなど南米を中心に輸出先の右ハンドル車の登録が認められない法規制に合わせ、左ハンドルに改造されるケースも存在する。

2005年頃からは急激な円安により、新車も商社(正規代理店)を通さないで輸出する、いわゆる「並行輸出」するクルマも増えており、英語では「グレー・インポート」もしくは「パラレル・インポート」等と呼ばれている。

2006年以降、毎年約120万台程度が輸出されており、主な向け先は、バングラデシュパキスタンニュージーランドカザフスタンタンザニアザンビアコンゴケニアトリニダード・トバゴパラグアイペルーボリビアマレーシアミャンマータイオーストラリアドミニカ共和国アイルランドイギリス等。オーストラリアやイギリス向けは現地で販売されていない日本仕様の車両を好む車好き向けが主になっている。

日本の自動車盗難対策についての意識が緩いことに目を付けた連中による盗難車の密輸出も増えてきたことから、税関のチェックも厳しくなった。

なお、輸出先によっては中古車のコンプリート状態での輸出が認められず、あえてモノコックを切断し「中古部品セット」として輸出する[5]場合もある。

2010年代頃から、日本の中古車輸出企業 carview(tradecarview)・ビィ・フォアード等がインターネット上にECサイトを開設して、海外のユーザーが直接サイトにアクセスして購入するスタイルが主流になりつつある。

  • ロシア

沿岸都市ハバロフスクウラジオストクなどに輸出されてきたが、政府が関税の引き上げに踏み切って以降、日本からの中古輸出が減少した。

カナダ[編集]

カナダオンタリオ州では、新車および中古車の販売はオンタリオ自動車産業協議会(Ontario Motor Vehicle Industry Council)によって規制されている。協議会設立の目的は情報提供、不公正取引の防止、自動車および販売行為の品質向上・維持、苦情取り扱いなどによる消費者保護である。

欧州連合[編集]

欧州連合では、欧州連合の規定に基づき12ヶ月有効の「品質保証」が義務化されている。

オーストラリア[編集]

オーストラリアクイーンズランド州では、走行メーターが16万キロ以下で、かつ10年以内の製造であれば、3ヶ月または5,000キロ以内の走行の保証が義務付けられている。走行メーターが16万キロ以上または10年以上前の製造であれば、1ヶ月または1,000キロ以内の走行の保証が義務付けられている。

査定[編集]

ユーザーが車を中古車販売業者に売却する場合、まず査定士の資格を有する業者が車を査定し、査定額を算出する。

査定のポイント[編集]

車種(中古市場での人気度)[編集]

現在の自家用乗用車の一般的な傾向であるが、伝統的(古典的)で実用性や日常での使い勝手にやや乏しいクーペスペシャルティカーを含む)やノッチバックセダン3ドアハッチバックのほか、後述する一部のSUVや大型ピックアップを除く国内メーカーによる海外生産車種[6]は査定が安く、逆に実用性や日常での使い勝手にやや有利なミニバンやオフロード系4WDステーションワゴン(大きな分類として"SUV"スポーツユーティリティビークルと呼ばれる)、5ドアハッチバックなどのタイプは査定が高い傾向にある。しかし近年ではミニバンステーションワゴン4WD等のSUV軽自動車を除くコンパクト系ハッチバックも市場では飽和状態になりかけており、買い取り・販売価格ともに安定期から低迷期になりかけてもいる。一方、軽自動車税金や保険料などの維持費の安さから、地方を中心に一定の中古市場があり値崩れしにくい事から、すぐ上の1000ccクラスよりも高査定が付くことが少なくない。

車両の仕様(グレード・装備品、色)[編集]

車種によって多数のグレードがあり、グレード毎の差に主要装備はもちろん、排気量に差がある場合もあるので査定額に大きく影響する。

旧車の一例としてレビン/トレノAE80系)、およびMR2(AW10系)のケースがあり、程度によっては1600ccのDOHCエンジン搭載車ではプレミア価格が付くケースさえあるが、逆に1500ccのSOHCエンジン搭載車は不人気で買い叩かれる傾向がある。
まず、スポーツカーの例を挙げるとS13/14型シルビアの場合、まずターボモデルであるK'sはMT車が高値が付き、AT車の査定は下落傾向にある。そして、スポーツカーのみならずどんな車種でも言えることとしてS13/14型シルビアの場合、量販グレードである「Q's」や「K's」は通常の査定額となるが、廉価グレードであるJ'sは不人気で売りに出しても買い手がほとんど誰もいないため、たとえ高年式の程度良好車であってもほとんど値段がつかない傾向にある。また、フルBセグメントクラスの小型セダンの例を挙げるとE140/160型カローラアクシオの場合、同一の排気量で比較した場合だと新車販売時に販売台数があまり多くなかった上級グレード(「1.5G」、および「HYBRID G」)の方が高値で買い取れる確率が高く、その一方で新車販売時に販売台数が圧倒的に多かった下級グレード(ビジネスパッケージを含む「1.3/1.5X」)の方が安値で買い叩かれる確率が高い。即ち、このようなクラスの小型セダンは新車販売時に販売台数が圧倒的に多かったグレードが一転して中古車市場では人気グレードになるとは決して限らないケースもある。尤も、この種の実用性・経済性を優先させた小型セダンの場合はスポーツカーの場合とは逆でAT車、およびCVT車はいずれも高値が付きやすく、売れ筋でないMT車の査定は大幅に下落しやすい。ただし、ごく一部のスポーツ系グレードのMT仕様の小型セダン(例:カローラ「1.6GT」/スプリンター「1.6GT」の各5速MT車、および各6速MT車、シビックフェリオ「SiR」の5速MT車等)は例外で車種によってはごく稀に高値が付く場合もある。このほか、Cセグメントクラスの実用型ファミリーセダンの例を挙げるとT240/260型プレミオ、およびアリオンの場合、逆に最上級グレードである「2.0G」(プレミオ)、および「A20」(アリオン)の方が下級グレードであるが税金・維持費等で有利かつ東南アジア等の新興国で1500ccモデルの人気が高いため「1.5F」(プレミオ)、および「A15」(アリオン)よりも更に査定の面で不利になる事も決して少なくない。
また、JZX81/90/100型マークIIチェイサークレスタの最上級グレードは3リッター車であるが、市場での売れ筋や需要は2.5リッター車及び2リッター車であるため、不人気グレードではないものの需要などの点で不利になることもあり、上級グレードだからといって必ずしも査定が有利になるとは限らない。
ボディカラーによっても査定が変動する。同一車種同一年式同一グレードによっても、車種ごとに人気のあるボディカラーは査定がプラスになるが、逆に主流から外れるマイナーなカラー、不人気なボディカラー、色あせしたレッドなどは査定が下がる傾向にある。
後付品・カスタムカー・オプションに対する評価
社外装備品も評価はされるが、綺麗に付けられているか、その車種に見合ったものかどうかも判断されるため、査定額が上がるとは限らない。むしろ純正部品に戻さなければならないと判断された場合査定額が下がるケースもある[7]
純正のメーカーオプションについても同じ事が言える。サンルーフや本革シートがあったりすると査定アップになる場合が多い。かつてはトヨタ・セルシオなど高級車でマルチビジョンがついていると査定アップする時期もあったが、現在は現代の2DINカーナビを搭載できないことからカスタマイズ性に難があるため現在ではむしろマイナスとなってしまう。また、何でもかんでもオプションが多数ついているからといって査定額が上がるものでもないので要注意。
カスタムカーを売却する際は売却先によって査定額が大きく異なるため、よく検討するべきである。VIP仕様走り屋仕様に改造されている場合、ディーラーに下取りに出した場合は査定額が大幅に減額となるが、そのような改造車を専門に扱っている店に売りに出した場合は、改造点数が多ければ多いほど高く評価されて査定が上がる傾向にある。また、低年式の人気車種も同様である(AE86レビン/トレノ、BNR32型スカイラインGT-Rなど)。

年式[編集]

年式が新しいほうが高査定額になるのは言うまでもないが、同車種同型式でもマイナーチェンジ前後やモデルチェンジ初期型末期型などで査定額に大きな差が出る。また、近年は年式が新しいほどマフラーの音量等に対する規制が厳しい傾向にあるため、同一車種の同一型式の場合、車種によっては規制が厳しくない初期モデルに人気が出ることもある。また軽自動車の場合2015年4月登録の新車から軽自動車税が増額(増税)されたため(軽乗用車:7,200円→10,800円、軽貨物車:4,000円→5,000円)、同一車種の同一型式の場合2015年3月以前登録の車のほうが人気が高い。
走行距離が少なく、かつ年式相応か
軽自動車の年間標準走行距離は8,000km、普通車は10,000kmというように一定の目安があり、それを超えると減額されそれ以下の場合増額される。ただし、自動車も機械であるのである程度動かしていないと動作不調に陥りがちであり、年数から見て極端に少ない走行距離古い自動車の変更登録ができなくなりつつある。ところが、同様の規制が他の地方では行われていない、あるいは規制対象外の地方にだけ大型車両の中古車販売市場がある、という問題がある。

日本の地方(大都市以外)のバス会社では経営が苦しいために新車の購入がままならず、20年以上も使い続けているバス会社も多いために、大都市で10年程度使用した規制不適合の中古バスを譲り受けて入れ替える場合が多い。規制対象となるのはトラック/バンバスディーゼルエンジン搭載乗用車であり、また、2005年に石原慎太郎東京都知事が「規制対象のディーゼル車を地方で再利用しているのは、公害問題も地方に移転しているようなものだ」と問題点を指摘し、都営バスのように地方バス会社への中古車売却を認めなくなったケースも出た。このため、中古バス市場で車両価格が急騰し、それまで老朽化した旧型車両を 整備状態の良い都営バスの中古車を購入し置き換え続けることで苦しい経営を続けてきた地方の一般路線バス事業者は中古車両の購入が困難になったが(その後、都営バスでは2008年度よりKC-代車に対して条件付きで譲渡を再開した)、石原都知事の辞任後、都議会の平成25年予算特別委員会で、今後廃車する車両がすべて排出ガス規制に適合することから、基本的に中古車両として売却し有効活用を図るとしている[8]

脚注[編集]

  1. ^ 出典:デジタル大辞泉
  2. ^ 年式が相当古い中古車は、一部の人達から「大古車」(たいこしゃ、だいこしゃ)と称される事もある。
  3. ^ Flammang James (1999),100 Years of the American Auto.
  4. ^ プリンス販売に入社し日産プリンス自動車販売営業社員をしていたが退職後も石橋正二郎に可愛がられていた。
  5. ^ Aピラーあたりで切断するハーフカット、フロントオーバーハングを切り取るノーズカットの2タイプがある。
  6. ^ 2000年代以降の国内メーカーによる海外生産車種の例・トヨタ・プロナードトヨタ・ヴォルツトヨタ・アベンシス日産・デュアリス2007年以前のモデル)、日産・マーチ(4代目)、日産・ラティオ(2代目)、ホンダ・フィットアリア三菱・トライトン三菱・ミラージュ(6代目)、スズキ・スプラッシュスズキ・SX4 S-クロス(2代目)、スズキ・エスクード(4代目)、スズキ・バレーノなど
  7. ^ 例えば社外品のアルミホイールに交換しインチアップされたスポーツカーがあったとして、それがスポーツカーの需要層(例えば走り屋)に人気のデザインなら売りやすくなる=査定額が上がり、逆にVIPカーが履くようなホイールだった場合売りにくくなる=査定額が下がるといった変化がある可能性もあるだろう。
  8. ^ 平成二十五年 予算特別委員会速記録第四号速報版〔原田大〕

関連項目[編集]

外部リンク[編集]