トヨタ・チェイサー

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チェイサー(英:CHASER )は、トヨタ自動車1977年から2001年まで生産していた中型高級乗用車で、マークIIクレスタ姉妹車である。

概要

ボディやエンジンは上記の2車と基本的に共通している。ラグジュアリーグレード名はX60系から「アバンテ(Avante)」で、スポーツグレードはX70系~X80系までは「GT」、90系からは「ツアラー(TOURER)」である。チェイサーを取り扱っていたトヨタオート店(後にネッツ店に改称)はセダン車種のラインナップが手薄であったため、他の兄弟車と異なり4気筒エンジン搭載の廉価グレードも充実していた。後継車はクレスタと統合してヴェロッサとなった。

歴史

初代(X30/40系 1977年-1980年)

トヨタ・チェイサー(初代)
セダン2000SG(後期型)
概要
販売期間 1977年6月-1980年10月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアセダン
2ドアハードトップ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン M-EU型 2.0L 直6 125ps
M-U型 2.0L 直6 110ps
21R-U型 2.0L 直4 105ps
13T-U型 1.8L 直4 95ps
変速機 3速AT/4速AT/4速MT/5速MT
車両寸法
ホイールベース 2645mm
全長 4530mm
全幅 1670mm
全高 1415mm
車両重量 1185kg
その他
データモデル セダン2000SGツーリング
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マークIIとは異なり2600ccモデルやディーゼルエンジン、ワゴン、バンは設定されなかった[1]

  • 1978年8月マイナーチェンジ。エクステリアの意匠変更のほか、ラジオアンテナはリヤウインド貼付式(デフォッガー兼用)に変更。オプションで衝撃吸収バンパーを設定した。

 1978年9月一部改良。2000cc4気筒エンジン車が18R-U型から、21R-U型に換装された。

 1979年3月一部改良。2000cc6気筒のキャブレター仕様が改良され、全グレードで昭和53年排出ガス規制に適合した。

2代目(X60系 1980年-1984年)

トヨタ・チェイサー(2代目)
セダン2000アバンテ(前期型)
概要
販売期間 1980年10月-1984年8月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアセダン/ハードトップ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン ディーゼル
L型 2.2L 直4 72ps(前期)
2L-TE型 2.4L 直4ターボ 97ps(後期)
ガソリン
5M-EU型 2.8L 直6 145ps(前期)
1G-GEU型 2L 直6 160ps(後期)
M-TEU型 2L 直6 145ps
18R-GEU型 2L 直4 135ps(前期)
1G-EU型 2L 直6 130ps
21R-U型 2L 直4 105ps(前期)
13T-U型 1.8L 直4 95ps(前期)
1S-U型 1.8L 直4 100ps(後期)
変速機 4MT/5MT/3AT/4AT
車両寸法
ホイールベース 2645mm
全長 4530mm
全幅 1680mm
全高 1390mm
車両重量 1190kg
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  • 1980年10月登場。ビスタ店向けに開発されたクレスタも加わりマークII3兄弟と呼ばれるようになった。2ドアハードトップは消滅し、4ドアセダンと4ドアハードトップのみとなる。この代から最高級グレードとして、ハーダーサスペンション・ミシュランタイヤなどが奢られた「アバンテ」を設定するなど、先代からスポーティー路線を昇華させた[3]
  • 1981年10月、2000cc車にターボを追加、一部車種のウィンドーをブロンズガラスに変更された。CM出演者先代に引き続き前期のみ草刈正雄が出演。
  • 1982年8月、マイナーチェンジ。フロントワイパーがフルコンシールド化(下級グレードはセミコンシールド)。これに伴いマークII/クレスタと共にツインカム24車が設定された。cm出演者が夏木陽介に変更された。
  • 1983年2月、「2000アバンテ ツインカム24」に4速ECT(電子制御オートマチック)が追加。

3代目(X70系 1984年-1988年)

トヨタ・チェイサー(3代目)
GTツインターボ(後期型)
概要
販売期間 1984年8月-1988年8月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4Drハードトップ,4Drオープン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン M-TEU,1G-EU,1G-GEU,1G-GTEU
変速機 5MT,4AT
ダブルウィッシュボーン
ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2660mm
全長 4630mm
全幅 1690mm
全高 1385mm
車両重量 1300kg
その他
チェイサーコンバーチブルTAMA ネッツトヨタ多摩が1987年に販売したオープンカー
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  • 1984年8月登場。「アバンテ」はこの代からラグジュアリー系グレードとなり、同時に4ドアハードトップのみの展開となる。

CM出演者はジャン・マイケル・ヴィンセント  エクステリアは姉妹車のマークII/クレスタに比べ全長が短く、若干スポーティーなものだったが、マークIIやクレスタと同様の内装の豪華さも特徴であった(ツインカム24のシートは3車共通)。

  • 1985年10月、マークII/クレスタと共に1G-GTEU搭載車「GTツインターボ」が登場。ディスクブレーキ径は大型化され、バケットシートが装備された。電子制御サスのTEMSは搭載していない。チェイサーのみに「GTツインターボS」という5速MTのみの廉価グレードが存在した(前期型のみ)。同時に、従来部分強化ガラスであったアバンテ以下のグレードのフロントガラスが合わせガラスに変更される。
  • 1986年8月 マイナーチェンジ。1G-GEUエンジンの改良、LPGエンジンは3Y-PUに変更、バンパーの大型化、フロントグリルの変更等、装備の充実が図られた。前期型で好評だったリアコンビネーションランプは小変更にとどめる。
  • 1987年1月 特別仕様車ロードリー」発売。
  • 1987年5月 特別仕様車「アバンテロードリー」発売。
  • 1987年8月 特別仕様車「XGエクストラ」発売。
  • 1987年9月 2L,2L-Tエンジン搭載車昭和61年排出ガス規制適合。
  • 1987年、トヨタオート多摩(現:ネッツトヨタ多摩)がチェイサーをオープンカーに改造した「チェイサーコンバーチブルTAMA」を発売したが、価格は450万円(アバンテHTツインカム24がベース)とかなり高価だった(同時にAE86トレノにもコンバーチブルを設定)。
  • 1988年1月 特別仕様車「アバンテスーパーロードリー」、「アバンテロードリー」発売。
  • 1988年4月 特別仕様車「オートエアコン付XGエクストラ」発売。

4代目(X80系 1988年-1992年)

トヨタ・チェイサー(4代目)
2.0アバンテ(後期型)
概要
販売期間 1988年8月―1992年10月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアハードトップ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 4S-FE,1G-FE,1G-GE,1G-GZE,1G-GTE,7M-GE,1JZ-GE,1JZ-GTE
変速機 5MT,4AT

前マクファーソンストラット

後ダブルウィッシュボーン

前マクファーソンストラット

後ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2680mm
全長 4690mm
全幅 1695mm
全高 1375mm
車両重量 1480kg
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  • 1988年8月登場。姉妹車のマークII/クレスタと共にこの代よりガソリンエンジンが全てDOHC化。マークⅡとの違いに斜め格子のフロントグリルや横一文字のリアコンビネーションランプを採用した、スタイリッシュな4ドアハードトップとして登場した。姉妹車のマークII/クレスタと共に大ヒットしたが、現在はそれらに比べると見掛ける機会は大分少なくなってきている。先代までスポーティーさを売りにしていたチェイサーだったが、この代から一転して上品さをアピールするようになる。その一方で動力性能はそこそこで価格を抑えながらも、高級感は失いたくないユーザー向けに、1800cc4S-FEエンジンを搭載したチェイサー専用の上級グレード「ラフィーネ」を設定。このラフィーネ設定の背景にはトヨタオート店のセダンラインナップ(チェイサーの下はスプリンター)の少なさをカバーする狙いもある。グレードは下からXL/XG/ラフィーネ(4気筒エンジン)、SXL/アバンテ/アバンテG・スーパーチャージャー/GTツインターボ(6気筒エンジン)。教習車仕様も引き続き設定され、4気筒エンジン(1.8Lガソリン・2000LPG・2400ディーゼル)がそれぞれ搭載され、同時に教習車仕様はこの代が最後になった。
  • 1989年8月には3000cc(7M-GE)車「3.0アバンテG」が追加される。従来からの4輪ESC(ABS)の他にTRCも標準で装着された(ちなみに2.0アバンテG・スーパーチャージャーにもTRC・4-ESCの設定がある)。
  • 1990年4月 特別仕様車「アバンテロードリーパールマイカバージョン」発売。
  • 1990年8月 マイナーチェンジでヘッドライトに二重レンズを採用し、Cピラーのエンブレムを追加。マークII/クレスタ同様に2500cc(1JZ-GE/1JZ-GTE)車が追加される(1G-GZE,1G-GTEは廃止)。

5代目(X90系 1992年-1996年)

トヨタ・チェイサー(5代目)
2.0アバンテ(前期型)
概要
販売期間 1992年10月-1996年9月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアハードトップ
駆動方式 FR/4WD
パワートレイン
エンジン 1G-FE,1JZ-GE,1JZ-GTE,2JZ-GE,4S-FE,2L-TE
変速機 4速AT/5速MT
ダブルウィッシュボーン
ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2730mm
全長 4750mm
全幅 1750mm
全高 1390-1405mm
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  • 1992年10月登場。全車3ナンバーとなる。

CM出演者は小説家の村上龍(前期型のみ)  エンジンはガソリン車が3.0L 2JZ-GE、2.5L 1JZ-GTEと1JZ-GE、2.0L 1G-FE、1.8L 4S-FE、ディーゼル車が2.4L 2L-TEである。スポーツモデルがGTから「ツアラー」に改称、SXLとXGは廃止された。

他の姉妹車と同じく、人気の高い1JZエンジンを搭載し居住性がよく質感も高く、それでいて量販車種ゆえ価格が下がってきていることから2000年頃から既にチューニングカーのベースとして人気が高い(もっとも、2010年代には廃車(単純な経年劣化、ドリフト中のクラッシュによる損傷、エコカー補助金など)や中古車輸出などを背景に日本国内の残存数は少なくなりつつある)。

6代目(X100系 1996年-2001年)

トヨタ・チェイサー(6代目)
前期型(1996年9月 - 1998年8月)
後期型(1998年8月 - 2001年6月)
概要
販売期間 1996年9月-2001年6月
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアハードトップ
駆動方式 FR/4WD
パワートレイン
エンジン ディーゼル
2L-TE型 2.4L 直4ターボ 97ps
ガソリン
2JZ-GE型 3.0L 直6 220ps
1JZ-GTE型 2.5L 直6シングルターボ 280ps
1JZ-GE型 2.5L 直6 200ps
1G-FE型 2.0L 直6 160ps(前期140ps)
4S-FE型 1.8L 直4 120ps
変速機 4速AT/5速AT/5速MT
4輪ダブルウイッシュボーン
4輪ダブルウイッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2730mm
全長 4715mm
全幅 1755mm
全高 1400mm
車両重量 1290kg-1490kg
その他
ブレーキ F: ベンチレーテッドディスク
R: ソリッドディスク
ツアラーVのみ4輪ベンチレーテッドディスク
系譜
後継 トヨタ・ヴェロッサ
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  • 1996年9月登場。この型のマークII/クレスタそれぞれに独自のキャラクターが与えられ、その中でチェイサーは最もスポーティーな位置づけであり、オーバーハングが前後短縮され、丸型4灯ヘッドランプの鋭い顔つきとなっている。リアテールランプは初代X30/40系のリアを思わせる三層構造となった。次期モデルは開発されず、JZX110系マークIIが発売されてからもしばらくは100系のまま販売されていた。製造はトヨタ自動車九州。この代から衝突安全ボディGOAを採用。また、ディスチャージヘッドランプがトヨタではこの100系(ツアラー・ルラーン)から初採用されている。100系チェイサーは3兄弟中、スポーツグレードの「ツアラー」が最も売れたモデルで、ターボ(1JZ-GTE型エンジン)搭載グレード「ツアラーV」の5速マニュアルトランスミッション車は売り上げ全体の3割近くを上げることもあった。ツアラーVは若年層からいまだに強い人気があり、状態のいい物は中古車市場にて高値で取引されている。100系ではチェイサーのみ1800cc直列4気筒ハイメカツインカムである4S-FE型エンジンがラインアップされていた。一方、特別仕様車としてエクステリアを中心にTRD(トヨタテクノクラフト・トヨタの特装部門)のエアロパーツなどを装着した「TRDスポーツ」モデルも存在する。なおラグジュアリーグレードの「アバンテ」も従来通り設定された。リアシートの居住性はマークIIよりも10mm低いヒップポイントを採用したことでマークIIよりも良好である[4]。フロントエアコンディショナーにはクラウンに搭載されていたオートスウィング機構が上位グレードに採用された。
  • 1998年8月 マイナーチェンジ。リアテールランプが丸型4灯となり、フロントはバンパーとグリルの意匠変更。フォグランプもマルチリフレクター式となった。内装ではシートファブリックの柄が変更、ツアラー系のステアリングホイールが4本スポークから3本スポークに変更。同時に2.0L(1G-FE)車には、BEAMS VVT-i機構を採用(出力は140ps→160ps)。
  • モデル末期に2L-TE(2.4ディーゼルターボ)車を廃止
  • 2001年6月に生産・販売終了。24年の歴史に幕を閉じた。後継車はヴェロッサであるが、取扱い店舗がクレスタを販売するトヨタビスタ店となり(チェイサーはネッツ店)実質的にクレスタと統合されたといってよい。
  • 全日本ツーリングカー選手権 (JTCC) への参戦の際のエンジンは、フロントまわりの重量の軽量化やハンドリングの向上を図るためにラインアップに存在しない2000cc直列4気筒3S-GE型を搭載。フロントミッドシップを可能にするためにボディの骨格・ホイールハウスまで改良を施していた。土屋圭市ドライブの1998年型「ADVANチェイサー」25号車が現在[いつ?]横浜ゴム新城工場に展示されている。

又、純正カラーにブラックの設定が無くグリーンメタリックしか無いためブラックにオールペンされている車両も多く、中古市場にも出回っている。

車名の由来

英語で「追跡者・狩人」という意味[1]。グリルエンブレムに盾と弓矢の絵が入っている[1]

参考文献

脚注・出典

  1. ^ a b c d e 『乗用車 1975-1981』、29頁。
  2. ^ 『ぼくの日本自動車史』、245頁。
  3. ^ 『乗用車 1975-1981』、91頁。
  4. ^ なお、3兄弟中ではクレスタがリアシートヘッドクリアランス先代比+30mmと最も良い。

関連項目