孫悟空 (1959年の映画)
孫悟空 | |
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Monkey Sun | |
監督 | 山本嘉次郎 |
脚本 | |
製作総指揮 | |
出演者 | 三木のり平 |
音楽 | 団伊玖磨 |
撮影 | 小泉一 |
編集 | 黒岩義民 |
製作会社 | 東宝[1][2] |
配給 | 東宝[1][2] |
公開 | 日本1959年4月19日[出典 1] |
上映時間 | 98分[出典 2] |
製作国 | 日本 |
『孫悟空』(そんごくう)は1959年(昭和34年)4月19日に公開された特撮映画。製作は東宝[2]。イーストマン・カラーの東宝スコープ[1][5]。同時上映は『私は貝になりたい』[6][注釈 1]。
概要
[編集]三蔵法師を少年にし、物語もミュージカル仕立てにするなど『西遊記』を大胆にアレンジしたファミリー向け作品[出典 3]。書き割りで表現された遠景や、劇中の歌など舞台劇を思わせる雰囲気の作品となっている[2][6]。物語は紙芝居屋が『西遊記』を語るところから始まっており、本作品を紙芝居の中の世界と解釈する資料もある[6]。
観音様の使いポンや金角・銀角と並ぶ銅角など、オリジナルキャラクターが登場する[2]。
キャスト
[編集]- 孫悟空[5]:三木のり平
- 三蔵法師[5]:市川福太郎
- 猪八戒[5]:千葉信男
- 沙悟浄[5]:中村是好
- ポン[5]:団令子
- 悪魔大王[5]:小杉義男
- 金角大臣[5]:由利徹
- 銀角大臣[5]:中田康子
- 銅角大臣[5]:南利明
- 書記官長:天本英世
- 料理の先生:藤村有弘
- 伝令スットンベエ:横山道代
- 三蔵法師の母:三田照子
- 王祥:藤田進
- 剣士チクジン:藤木悠
- 土人の酋長:広瀬正一
- 翠蘭[5]:八千草薫
- 翠蘭の父:大川平八郎
- 翠蘭の母:一の宮あつ子
- 紙芝居の親爺:徳川夢声
- 侍従:土屋詩朗
- 銅角が化けた小娘:若林一美
- 姉:野口ふみえ
スタッフ
[編集]本編
[編集]- 製作:田中友幸、宇佐美仁
- 脚本:村田武雄、山本嘉次郎
- 音楽:團伊玖磨
- 作詞:サトウ・ハチロー
- 撮影:小泉一
- 美術監督:北猛夫
- 録音:藤縄正一
- 照明:大沼正喜、猪原一郎
- 編集:黒岩義民
- 監督助手:児玉進
- 製作担当者:喜多村俊男
- 整音:下永尚
- 衣裳考証:真木小太郎
- スチール:田中一清
- 現像:東京現像所
- 監督:山本嘉次郎
特殊技術
[編集]製作
[編集]監督の山本嘉次郎と特技監督の円谷英二は『エノケンの孫悟空』でも西遊記を題材としている[出典 4][注釈 2]。
脚本は山本と村田武雄の共作である[10][6]。村田は、原作を読んだ上で道中記のイメージから西部劇の要素を取り入れた[10]。ポンなどのキャラクターは山本の発想であり、村田は大変面白いアイディアであったと評している[10]。
円谷による特撮は、従来のミニチュア撮影を極力廃し、作画合成が多用したスピード感溢れるものとなっている[出典 5]。孫悟空が乗る觔斗雲は、フィルムに直接描き込んでワイヤーで吊っている人物と合わせるという手法がとられた[出典 6]。スクリプターの鈴木桂子によれば、円谷はガラスに綿を貼って撮影するなど様々な方法を試行錯誤して2日間を費やしており、本編がフィルムの使用量を制限されていた時代に実績を出していた円谷はフィルムを使い放題にしていた贅沢な時代であったという[11]。
孫悟空らの衣裳は、衣裳部ではなく造型部が手掛けた[12]。造型部の新人であった村瀬継蔵は、三木の被り物をボンドで貼ったところ三木の地肌がかぶれてしまうという失敗があったという[12][13][注釈 3]。
音楽を担当した團伊玖磨は、以前に手掛けた『白夫人の妖恋』(1956年)では中国的な音楽を心がけていたが、本作品ではそういった表現は用いず、ミュージカル映画としての娯楽性を重視している[14]。
映像ソフト
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脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e 東宝特撮映画全史 1983, p. 545, 「東宝特撮映画作品リスト」
- ^ a b c d e f g h 円谷英二特撮世界 2001, p. 58, 「孫悟空」
- ^ a b 東宝ゴジラ会 2010, p. 293, 「円谷組作品紹介」
- ^ a b c d e f 超常識 2016, p. 220, 「Column 東宝特撮冒険映画の系譜」
- ^ a b c d e f g h i j k l m 小林淳 2022, p. 427, 「付章 東宝空想特撮映画作品リスト [1984 - 1984]」
- ^ a b c d e f g 小林淳 2022, pp. 92–97, 「第三章 時空を超越する映画群を装飾する音調 [1959] 一『孫悟空』」
- ^ a b 東宝特撮映画全史 1983, pp. 420–421, 「一般映画の中の特撮」
- ^ a b c 『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、94頁。ISBN 4766927060。
- ^ 「column 特撮ファンタジー・冒険映画」『東宝特撮全怪獣図鑑』東宝 協力、小学館、2014年7月28日、22頁。ISBN 978-4-09-682090-2。
- ^ a b c 東宝SF特撮映画シリーズ3 1985, p. 222, 「村田武雄 長編インタビュー」
- ^ 別冊映画秘宝編集部 編「鈴木桂子(構成・文 友井健人/『映画秘宝』2010年12月号掲載)」『ゴジラとともに 東宝特撮VIPインタビュー集』洋泉社〈映画秘宝COLLECTION〉、2016年9月21日、218頁。ISBN 978-4-8003-1050-7。
- ^ a b 東宝ゴジラ会 2010, pp. 68–69, 「第二章 円谷組スタッフインタビュー INTERVIEW4 村瀬継蔵」
- ^ a b 村瀬継蔵「村瀬継蔵インタビュー 村瀬継蔵 造形人生」『怪獣秘蔵写真集 造形師村瀬継蔵』監修 西村祐次/若狭新一、洋泉社、2015年9月24日、261-262頁。ISBN 978-4-8003-0756-9。
- ^ 小林淳 2022, pp. 97–100, 「第三章 時空を超越する映画群を装飾する音調 [1959] 一『孫悟空』」
- ^ 「'99TV・映画 特撮DVD・LD・ビデオ&CD」『宇宙船YEAR BOOK 2000』朝日ソノラマ〈宇宙船別冊〉、2000年4月20日、63頁。雑誌コード:01844-04。
- ^ “孫悟空 東宝DVD名作セレクション”. 東宝. 2021年5月15日閲覧。 アーカイブ 2021年5月15日 - ウェイバックマシン
出典(リンク)
[編集]参考文献
[編集]- 『東宝特撮映画全史』監修 田中友幸、東宝出版事業室、1983年12月10日。ISBN 4-924609-00-5。
- 『ゴジラ/ゴジラの逆襲/大怪獣バラン』東宝出版事業部〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.3〉、1985年5月1日。ISBN 4-924609-07-2。
- 『円谷英二特撮世界』勁文社、2001年8月10日。ISBN 4-7669-3848-8。
- 東宝ゴジラ会『特撮 円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』洋泉社、2010年10月9日。ISBN 978-4-86248-622-6。
- 『ゴジラの超常識』[協力] 東宝、双葉社、2016年7月24日(原著2014年7月6日)。ISBN 978-4-575-31156-3。
- 小林淳『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』アルファベータブックス〈叢書・20世紀の芸術と文学〉、2022年5月14日。ISBN 978-4-86598-094-3。