ウィスパード

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ウィスパードは、賀東招二の小説『フルメタル・パニック!』に登場する、特殊能力。

概要[編集]

ウィスパードとは、1981年12月24日11時50分(グリニッジ標準時)にソ連の実験施設ヤムスク11で行われていたオムニ・スフィアの実験中に発生した事故の影響で本作の世界に生まれた、知っているはずの無い、この世の誰にも知りえないはずのことを知っている人間を指す言葉である。小説本編では「ささやかれた者」と書き、その上に小さく「ウィスパード」とルビをふっている。

ウィスパードの資質を持つのは、ヤムスク11の事故の発生の瞬間(11時50分)から約3分間の間に生まれた新生児に限られるため、全世界で覚醒している人間は数人、潜在的には数十人しか存在しないとテッサは推定している。「存在しない技術」ブラックテクノロジーの宝庫と言われ、条件が揃えば現代の水準を遥かに越えた科学理論や技術を提供することができる。

ガウルン宗介に語った内容によると、テッサのように潜水艦技術に特化した個体や、ラムダ・ドライバやAS等に関連した技術に強い個体などが存在する。つまり、一人のウィスパードを確保しても全てのブラックテクノロジーは手に入らず、また確保したウィスパードが必要な情報を持っているかどうかは調べなければ分からない。そのため、アマルガムのような組織や各国の諜報機関が血眼になって探している存在であり、ウィスパードである限り普通の人間として生きていくことはできないことが語られている。またウィスパードのもたらしたブラックテクノロジーによって、本作の世界は『本来の世界』(我々の現実)とは大きく異なった歴史を歩んでいる。

ウィスパードは幼い頃は通常の人間と変わりないが、成長するにつれて精神が成熟し、知識や語彙が増えてくると、次第にささやき声が聞こえてくるようになり、知性は急激に高まっていき、これまで理解できなかった問題を軽々とこなし、独創的なアイディアを生み出し、天才に近づいていく。ただし、テッサやレナードのように、子供の頃から天才並の知能を有しているケースもある。

テッサは、ウィスパードは誕生の瞬間に膨大な知識を受け取ったわけでなく、オムニスフィアを通して、どこかの未来か、あるいは別の世界から送られてくる精神波を受け取る能力を与えられたと考察している。ウィスパード達に精神波を通じてブラック・テクノロジーを授けているのは、別の未来の千鳥かなめ(もしくはソフィア)であると推測され、故にかなめは「ささやかれた者」ではなく「ささやく者(ウィスパリング)」であるとされる。

共振[編集]

ウィスパード同士でいくつかの条件がそろうと「共振」という現象が発生する。

精神の深い部分、目には見えない「領域」スフィアと呼ばれる場所で、思考を共有することができる。ウィスパード同士が、互いに必要だと強く感じた結果発生する、パソコンのLANのような関係。

ただし、思考を共有すると、互いの人格が溶け合ってしまうため、共振は可能な限り避けなければならない。

作中に登場したウィスパード該当者[編集]

  • 千鳥かなめ
  • テレサ・テスタロッサ 
  • レナード・テスタロッサ
  • バニ・モラウタ(作中では既に故人)
  • 久壇未良(クダン・ミラ)

『燃えるワン・マン・フォース』に登場したナミというキャラクターもまた、上記5名と同様にウィスパードではないかと思わせる描写があった。また短編集『極北からの声』に収録されている「トゥアハー・デ・ダナン号の誕生」において、まだ言葉も満足に話せない年齢にもかかわらず、クレヨンで形状記憶プラスティックや特殊なチタン合金、まったく新しいコンピューターの基本モデルについて書いたというアラスカの子供の存在が語られているが、後に行方不明になっており、どちらも詳細は不明である(『せまるニック・オブ・タイム』ではテッサが「生前の父が調べた」と例に挙げている)。

脚注[編集]