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トワイライトエクスプレス

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トワイライトエクスプレス
「トワイライトエクスプレス」 (2006年8月11日 岸辺駅)
「トワイライトエクスプレス」
(2006年8月11日 岸辺駅
運行者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
列車種別 寝台特急列車臨時列車
運行区間 大阪駅 - 札幌駅
経由線区 東海道本線湖西線北陸本線信越本線羽越本線奥羽本線津軽海峡線函館本線室蘭本線千歳線
使用車両 24系客車宮原総合運転所
EF81形電気機関車敦賀地域鉄道部
ED79形電気機関車函館運輸所青函派出所
DD51形ディーゼル機関車(函館運輸所)
運行開始 1989年7月21日
備考 2009年10月現在
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トワイライトエクスプレス(Twilight Express)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が大阪駅 - 札幌駅間で運行している臨時寝台特急列車である。

概要

1989年7月21日団体専用列車として運転を開始し、当初はツアー客用のみで、寝台券は一般販売されなかったが、同年12月に臨時列車に変更し、寝台券の一般販売を開始した。

東海道本線JR京都線)・湖西線北陸本線信越本線羽越本線奥羽本線日本海縦貫線)・津軽線海峡線江差線津軽海峡線)・函館本線室蘭本線千歳線の12線区を経由する。

列車名は、出発日と翌日明け方薄明を意味するトワイライトが由来となっている。

運行概況

2012年3月17日現在の運行概況は次の通り[1]

下り大阪発札幌行きは1,495.7kmを約22時間かけて、上り札幌発大阪行きは1,508.5kmを約22時間45分かけて運行し、JR西日本・東日本旅客鉄道(JR東日本)・北海道旅客鉄道(JR北海道)のJR旅客3社にまたがる日本一の長距離旅客列車である[2]

運転日は始発駅基準で、下り列車が月曜日水曜日金曜日土曜日、上り列車は火曜日木曜日・土曜日・日曜日で、運転日が限定されているため臨時列車として運転されている[3]。そのため列車番号は、大阪駅を起点として下り列車が 8001、上り列車が 8002 である。なお、ゴールデンウィークや6月中旬 - 8月中旬・年末年始さっぽろ雪まつりなどの繁忙期には毎日運転されおり、その期間中は保有する3編成すべてが運用されている。

通常期でもイベントや旅行会社主催のツアー用に団体専用列車として運行される場合もあり、大阪駅以西の山陽本線四国九州にも入線したことがある[4][5]

大阪駅と札幌駅の発着時には、「いい日旅立ち」のインストゥルメンタルバージョンが流されている。かつては大阪発で「いい日旅立ち」(山口百恵)、札幌発で「三都物語」(谷村新司)の、いずれも本人歌唱版が流されていた(始発時に1番、終着時に2番)。

停車駅

大阪駅 - 新大阪駅 - 京都駅 - 敦賀駅 - 福井駅 - 金沢駅 - 高岡駅 - 富山駅 - 直江津駅 - 長岡駅 - 新津駅 - 洞爺駅 - 東室蘭駅 - 登別駅 - 苫小牧駅 - 南千歳駅 - 札幌駅

このほかにも、以下の駅に運転停車する。

上下列車とも、新津駅 - 洞爺駅の区間内では客扱いを行わない。この通過区間は距離・時間ともにJRグループの旅客列車では時刻表上の最長で、当該区間は下り列車で11時間37分、上り列車は12時間4分に及ぶ。

函館本線森駅 - 大沼駅間では上下列車で通過区間が異なり、上り列車は勾配の緩い支線(砂原線)を経由する。また、湖西線比良おろしなどの強風で運行できない場合は、琵琶湖線米原駅)経由で運行されるほか、ダイヤに大幅な乱れが生じた場合には函館駅に乗り入れる場合がある。

運行区間に優等列車が多く、走行距離が長いことから、後続列車を待避する回数が多い。下りは近江舞子駅で「サンダーバード」19号、鯖江駅で「サンダーバード」21号に、上りは洞爺駅で「スーパー北斗」16号に、青森駅で「スーパー白鳥」98号に、芦原温泉駅で「サンダーバード」14号、敦賀駅で「サンダーバード」82号(臨時)、大津京駅で「サンダーバード」16号に追い抜かれる。「トワイライトエクスプレス」同士のすれ違いは奥羽本線大久保駅と東海道本線(JR京都線)西大路駅 - 京都駅間の2か所で見られる。

使用車両・編成

機関車

現在の牽引機関車
  • EF81形電気機関車敦賀地域鉄道部敦賀運転センター車両管理室所属)
    • 大阪駅 - 青森駅間を担当。原則として客車と同じ塗色の専用機6両[6]を使用しているが、これらの一部は「日本海」の牽引に充当されることもある。また、運用の関係で一般色(ローズピンク)のEF81形が牽引する場合もある。上り列車は敦賀駅で別のEF81形と交替する。
  • ED79形電気機関車函館運輸所青函派出所所属)
    • 青森駅 - 五稜郭駅間を担当。同形式が牽引する「カシオペア」や「北斗星」とは異なり、ヘッドマークは取り付けられていない。
  • DD51形ディーゼル機関車函館運輸所所属)
    • 五稜郭駅 - 札幌駅間を担当。道内の他の高速列車へのダイヤの影響を軽減すること、下り列車が七飯駅 - 森駅間で急勾配区間の介在する本線(大沼公園駅)経由での運転となることから、「カシオペア」や「北斗星」と同じく重連運転での牽引となる。
過去の牽引機関車
  • ED76形551号機(旧・青函運輸区所属)
    • ED79形の増備として改造された車両で、ED79形より車体長が長く停止位置目標が異なることから、当列車には重点的に用いられた。2001年に廃車されている。

客車

2012年3月17日現在の編成図
トワイライトエクスプレス
← 大阪
札幌 →
号車 1 2 3 4 5
座席 SA1 SA2 SA1 SA2 D S B1 B2
車種 スロネフ
25形
スロネ
25形
スシ
24形
オハ
25形
オハネ
25形
6 7 8 9  
B1 B2 B2 L B B EG
オハネ
25形
オハネ
25形
オハネ
25形
オハネフ
25形
カニ
24形
  • 青森駅 - 五稜郭駅間は逆向き。
凡例
SA2 = A寝台2人用個室「スイート」
SA1 = A寝台1人用個室「ロイヤル」
B2 = B寝台2人用個室「ツイン」
B1 = B寝台1人用個室「シングルツイン」
 
B = B寝台開放式「Bコンパート」
D = レストランカー「ダイナープレヤデス」
S = サロンカー「サロン・デュ・ノール」
L = ミニロビー
EG = 電源車

JR西日本宮原総合運転所に所属する24系25形客車のうち、当列車用に内外装の改造を施した専用編成(10両編成×3本)が運用されている。従来の「寝台列車=ブルートレイン=青」というイメージとは一線を画し、深緑に金色(黄色)の帯を1本締める独自の塗色とした。なお、当初(一般客が乗車可能となった1989年12月)のA寝台車両は1号車のみだったが、1990年と1991年に同列車の好評を受け、オハネ25形を改造した2号車(スロネ25形)を組み込んで2両とした。スシ24形は481系・485系からの改造であり、車齢40年以上もする。

2002年秋までに全編成の車両リニューアルが完了し、内装は「木のぬくもり」をテーマにした木目調に変更され、7号車のミニサロン(禁煙)には本革のソファーを設置した。外装は金色(黄色)の帯の上下に銀色の縁取りが追加され、車体側面にあるエンブレムも意匠を変更している。

客室設備

A寝台

1号車と2号車はA寝台個室になっている。寝台兼用となるソファーベッド・テーブル・シャワー室・トイレなどが設置された豪華なつくりになっている。

スイート
1号車・2号車に1室ずつ設置されている2人用個室。1号車の個室は列車の大阪寄りの最後部にある。列車後方展望を満喫できる展望応接室のほか、ダブルベッドを備えた寝室などがある。シャワー室はユニットタイプ。2号車の個室は車両中央部に配置される。方窓タイプのため展望室はないが、応接室にはサロンカーに設置されているものと同一の天地寸法が拡大された窓を備えている。シャワー室はセパレートタイプ。
ロイヤル
1号車・2号車に4室ずつ設置されている1人用個室。ベッドはセミダブル仕様で、2人での利用も可能。同名の個室は「北斗星」にも存在するが、ソファーベッドが電動式になっているという違いがある。

B寝台

5 - 9号車はB寝台で、このうち5 - 7号車は個室、8・9号車は簡易個室になっている。

ツイン
5号車と6号車に7室ずつ、7号車に9室の計23室設置されている2人用個室。部屋の上段には電動で上下する寝台があり、向かい合った2つの椅子はシングルベッドになる。ベッドは全て枕木に平行になるように配置されている。また、乗降口付近の1・2番の部屋は可動式の間仕切りを備えており、これを取り外して4人での利用もできる。
シングルツイン
5号車と6号車に6部屋ずつ設置されている1人用個室。ベッドはレールに平行な向きに配置される。補助ベッドを装備し、2人での利用もできる。
Bコンパート
8・9号車に設置されている簡易個室。基本的には「北斗星」のものと同様、2段ベッドを向かい合わせに設置した開放式B寝台にガラス扉を取り付けた構造になっている。1ブースを4人で確保すれば個室となる。

レストランカー「ダイナープレヤデス」

3号車に連結されるレストランカー「ダイナープレヤデス」(Diner Pleiades) は、「北斗星」や「カシオペア」と同様に、食堂車での夕食サービスを時間指定制とした列車でもある。ほかにも、オリジナルグッズやシャワー室利用券(シャワーカード)の販売なども行っている。ちなみに「ダイナープレヤデス」は、おうし座プレアデス星団にちなんだ名称である。

ランチタイム(大阪発) / ティータイム(札幌発)
大阪発は正午前の発車となるため、13時から16時まで「ランチタイム」としてランチメニューを提供している。メニューはオムライスカレーライススパゲッティなど軽食が中心。なお大阪発は2011年現在、日本の列車の中で唯一朝昼夕3食を提供する列車でもある。
札幌発は発車が14時台と遅いため、14時40分から16時まで「ティータイム」としてコーヒー紅茶程度のみ提供している。
ディナータイム
17時30分から21時まで、「ディナータイム」として夕食を提供している。事前の予約定員制で、乗車日5日前の23時までにみどりの窓口[7]と旅行センターおよび主な旅行会社で食事券を購入する必要がある。1回目は17時30分から19時、2回目は19時30分から21時で2回実施され、予約の際にどちらかを指定する。フランス料理のコースまたは日本海会席御膳を提供しているが、日本海会席御膳については食堂車で食事することができない。
運転開始から2011年6月30日までは、発車後から16時ごろまでは「プレヤデス弁当」のオーダーも受け付けていた。プレヤデス弁当は食堂車の厨房で調製したものを、夕刻に提供している。食堂車内での食事はできない。また列車に積み込む食材の量に限界があるため数量限定であり、16時ごろを待たずに予約が終了(売り切れ)することもあった。2011年7月1日より「プレヤデス弁当」からホットディシュとコールドディシュに温製スープ、デザートのマドレーヌなど食堂車の厨房で調製したシートサービス形式の「ルームセット」に差し代わっている。
パブタイム
ディナータイム終了後の21時から23時まで、主に軽食類を提供する「パブタイム」の営業時間帯となっている。ピラフ(ビーフ・海老)のほか、ビールワインなどドリンク類、但馬高原鶏のから揚げチーズ盛り合わせ・スモークサーモンミックスナッツといったおつまみを提供している。予約は不要で、すべての乗客が利用できる。
モーニングタイム
大阪発は6時から、札幌発は6時45分からそれぞれ9時までは「モーニングタイム」となっており、朝食を提供している。45分刻みの定員制であり、希望者は乗車後に車内で和食・洋食のいずれか、また利用時間を予約をすることになっている。

サロンカー「サロンデュノール」

4号車に連結される展望サロンカー。車両中央部の展望室部分には、天地方向に拡大された眺望窓を日本海側に5組備え、ビデオ放送が流れるテレビモニターも設置される。また、清涼飲料水およびおつまみ・菓子類の自動販売機、共用シャワー室2部屋を備える。

なお、「サロンデュノール」 (Salon du Nord) とは、フランス語で「北のサロン」の意味。

担当車掌区所

大阪駅 - 青森駅間は、JR西日本の大阪車掌区が担当している。同区の担当車掌はホテルをイメージした「トワイライトエクスプレス」専用の制服を着用しており、ダブルの上着(夏は草色、冬は緑)にスラックス(夏はベージュ、冬はブラック)となっている。

青森駅 - 札幌駅間は、JR北海道の函館運輸所が担当している。過去には青函トンネル走行中に、4号車サロンカーでトンネルに関するクイズを出題することがあった。

沿革

編成の移り変わり
トワイライトエクスプレス
← 大阪
札幌 →
運転開始当初の編成(団体専用)
号車 1 2 3 4 5 6 7 8  
車種 スロネフ
25形
スシ24形 オハ25形 オハネフ25形
500番台
オハネ25形
560番台
オハ25形 スロネフ
25形
カニ24形
オハネ25 510番台、520番台落成時の編成(団体専用)
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9  
車種 スロネフ
25形
スシ24形 オハ25形 オハネ25形
4:520番台 5:510番台
6:500番台 7:560番台
オハ25形 スロネフ
25形
カニ24形
1989年12月2日からの編成図
号車 1 2 3 4 5 6 7 8  
車種 スロネフ
25形
スシ24形 オハ25形 オハネ25形
4・5:520番台 6:510番台 7:560番台
オハネフ25形
500番台
カニ24形
  • 青森駅 - 五稜郭駅間は逆向き。

脚注

  1. ^ 『JR時刻表』2012年3月号、交通新聞社
  2. ^ 当列車は臨時列車であるため、定期列車のみでの最長運行記録は、「北斗星」の1,214.7kmとなる。
  3. ^ 同様の理由で臨時列車としているものに上野駅 - 札幌駅間の「カシオペア」がある。
  4. ^ トワイライトエクスプレス 四国へ上陸 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2007年10月25日
  5. ^ トワイライトエクスプレス 九州入り - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2007年10月27日
  6. ^ 番号は43・44・103・104・113・114号機。
  7. ^ 東海旅客鉄道(JR東海)と四国旅客鉄道(JR四国)をのぞく
  8. ^ 『トワイライトEXP.レディ』(森由香 メディアファクトリー)
  9. ^ 『JR気動車客車編成表 '06年版』ジェー・アール・アール、2006年。ISBN 4-88283-127-9

外部リンク

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