海峡線

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JR logo (white).svg 海峡線
青函トンネル内(竜飛海底駅、2008年7月29日)
青函トンネル内
(竜飛海底駅、2008年7月29日)
海峡線の路線図
赤線の区間が海峡線、
青線の区間は津軽線(下側)・
江差線(上側)乗り入れ区間
路線総延長 87.8 km
軌間 1,067 mm
電圧 20,000V・50Hz
架空電車線方式交流
最高速度 140 km/h

海峡線(かいきょうせん)は、津軽海峡の海底下に掘削された青函トンネルを介して、本州青森県東津軽郡外ヶ浜町中小国駅北海道上磯郡木古内町木古内駅とを結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線地方交通線)である。

すべての列車が直通する東日本旅客鉄道(JR東日本)津軽線およびJR北海道江差線函館本線のそれぞれ一部区間と合わせて「津軽海峡線」という愛称が付けられており、交通新聞社の『JR時刻表』やJTBパブリッシングの『JTB時刻表』[注 1]などの市販時刻表でも「津軽海峡線」として案内されており、「海峡線」として案内されることはほとんどない。

概要[編集]

海峡線は、国鉄分割民営化後の1988年、従来青森駅 - 函館駅間で運航されていた青函航路青函連絡船)に代わって本州と北海道を連絡するJR線として開業した。

本州と北海道を結ぶ優等列車が多く運転されている。将来の北海道新幹線との共用を見越して新幹線規格で建設されたため、事実上のスーパー特急方式となっており、2015年度に開業が予定される当路線区間での北海道新幹線の運転に向けて、現在三線軌化が行われている。北海道新幹線と在来線の分岐点は青森側が新中小国信号場の北(北海道寄り)、北海道側が木古内駅の西(本州寄り)に設けられる予定であり、開業時からそれに対応した線形となっている。

保安装置はATC-L型という当時東北新幹線全線で使用されていたATC-2型と互換性を持たせた自動列車制御装置 (ATC) が導入されている。しかし、東北新幹線では既に全線でDS-ATCへ移行しており[注 2]、新幹線との互換性保持は意味を持たなくなっている。

なお、JR北海道は北海道新幹線の工事に伴い、2014年3月14日をもって竜飛海底駅吉岡海底駅知内駅を廃止した[1][2][3][4]。これにより、津軽今別 - 木古内間から駅が消滅し[注 3]、海峡線の中間駅は新幹線駅が開業することが決まっている津軽今別駅のみとなった[3]。ただし、津軽今別駅も公式としては北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅開業と引き換えに廃止する予定となっている[5]

路線データ[編集]

  • 路線距離(営業キロ):中小国駅 - 木古内駅間 87.8km
  • 管轄(事業種別):北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)・日本貨物鉄道第二種鉄道事業者
    • 書類上では中小国駅が起点であるが、実際にJR東日本津軽線から線路が分岐しているのは新中小国信号場であり、中小国駅 - 新中小国信号場間 (2.3km) は津軽線との重複区間である。
  • 軌間:1,067mm
  • 駅数:3(起終点駅含む)
    • 海峡線所属駅に限定した場合、津軽線所属の中小国駅と、江差線所属の木古内駅が除外され[6]、津軽今別駅のみの1駅となる。なお、新中小国信号場は設置当初から海峡線所属である。
  • 複線区間:新中小国信号場 - 木古内駅間
    • 2014年5月12日に江差線木古内駅-江差駅間が廃止されるまで下り線は江差方面からの合流点と木古内駅までの区間のみ江差線(上下単線)と線路を共用していた。 
  • 電化区間:全線(交流20,000V[注 4]、50Hz
  • 閉塞方式:車内信号閉塞式(新中小国信号場 - 木古内駅間)
  • 保安装置:
    • ATS-SN:中小国駅 - 新中小国信号場間
    • ATC-L:新中小国信号場 - 木古内駅間
  • 最高速度:140km/h(新中小国信号場 - 木古内駅間)
  • 運転指令所:函館指令センター
  • 踏切:1(木古内道々踏切。木古内駅構内扱い)[注 5]

海峡線全線が北海道旅客鉄道函館支社の管轄である。ただし、中小国駅 - 新中小国信号場(構内除く)間の施設は東日本旅客鉄道盛岡支社の管理下に置かれている。

一部区間に既に敷設された新幹線用レール
特急「スーパー白鳥」車内より(2007年11月)

運行形態[編集]

基本的に広域輸送のみで、地域輸送はほとんど考慮されていない。そのため、海峡線単独の列車はなく、すべての列車が青森駅および五稜郭駅以遠から発着する。なお、起点の中小国駅は海峡線の全列車が通過するため、津軽線三厩方面との乗換駅は蟹田駅となる。

旅客列車は、かつては快速海峡」が青森駅 - 函館駅間で運転されていたが、2002年12月1日東北新幹線八戸駅延伸に伴うダイヤ改正で八戸駅 - 青森駅 - 函館駅間の輸送体系が見直され、「海峡」は廃止された[7][8]。これ以降、海峡線には本州側の青森駅方面から北海道側の函館駅方面へ直通する特急列車急行列車のみが設定されており、普通列車(快速含む)の設定がない区間となった。

そのため、津軽線蟹田駅 - 木古内駅間の各駅相互間には、乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗車できる特例が設けられた。これは、同じJR北海道の石勝線新夕張駅 - 新得駅間が、日本国有鉄道(国鉄)時代の1981年10月の同線開通と同時に適用になって以来2例目である。

また、本州と北海道を結ぶ物流の動脈として、日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車が多数設定されており、航空・船舶と比較して天候に左右されにくい貨物の安定輸送こそが本路線の最大の存在意義である。なお、1994年3月改正時より海峡線を通る貨物列車は完全コンテナ化を完了し、車扱輸送は消滅した。現在はコンテナ列車が中心で、危険物など一部の貨物は安全対策のため青函トンネル経由の輸送が制限される(青函トンネル#走行車両を参照)。

運転されている列車[編集]

かつて運転されていた列車[編集]

タイアップ企画[編集]

快速「海峡」時代の「ドラえもん海底列車」。車体にキャラクターが描かれている

1998年から、藤子・F・不二雄の漫画・アニメドラえもん』とのタイアップが開始された。この当時運行されていた快速「海峡」の客車や機関車に同作品のキャラクターをペイントした「ドラえもん海底列車」の運転が行われ、吉岡海底駅では「ドラえもん海底ワールド」と銘打つ同作品の展示スペースが設けられるなどした。「海峡」廃止後の2003年夏からは、吉岡海底駅見学専用の全車座席指定列車として函館駅 - 吉岡海底駅間で特急「ドラえもん海底列車」が運転された。

吉岡海底駅の見学コース中止[9]に伴い、2006年8月27日の「ドラえもん海底列車」の運転を最後に、このタイアップ企画は終了した[10][11]

歴史[編集]

  • 1988年昭和63年)3月13日:海峡線中小国駅 - 木古内駅間 (87.8km) 開業。新中小国信号場・津軽今別駅・竜飛海底駅・吉岡海底駅・新湯の里信号場を新設
  • 1990年平成2年)7月1日:新湯の里信号場が旅客駅化され、知内駅として開業。
  • 2002年(平成14年)12月1日:快速「海峡」が廃止され、津軽海峡線普通列車が消滅したことに伴い、同線を通過する旅客列車が急行・特急列車のみとなる[7]
  • 2006年(平成18年)8月28日:吉岡海底駅が全列車通過となり、臨時駅となる[9][10]
  • 2013年(平成25年)11月11日:竜飛海底駅の見学コース取り止めに伴い、竜飛海底駅が全列車通過となる[1]
  • 2014年(平成26年)3月15日:竜飛海底駅・吉岡海底駅・知内駅が廃止[4]。竜飛海底駅、吉岡海底駅はそれぞれ竜飛定点、吉岡定点となり、知内駅は知内信号場となる。

駅一覧[編集]

駅名 駅間
営業キロ
累計
営業キロ
接続路線・備考 所在地
中小国駅 - 0.0 東日本旅客鉄道津軽線[* 1] 青森県 東津軽郡 外ヶ浜町
新中小国信号場 - 2.3 (JR東日本津軽線とJR北海道海峡線の実際の分岐点)
津軽今別駅 13.0 13.0 東日本旅客鉄道:津軽線(津軽二股駅 今別町
竜飛定点 - 32.5 (緊急時の避難所として使用。旧・竜飛海底駅) 外ヶ浜町
吉岡定点 - 55.5 (緊急時の避難所として使用。旧・吉岡海底駅) 北海道 松前郡 福島町
知内信号場[注 6] - 76.0 (旧・知内駅) 上磯郡 知内町
木古内駅 74.8 87.8 北海道旅客鉄道江差線函館方面直通) 木古内町
  1. ^ 海峡線の列車はすべて通過するため、中小国駅での列車の乗り換えはできない

有人駅は木古内駅(社員配置駅・江差線に所属)のみで、残りの駅はすべて無人駅である。

廃止駅[編集]

  • 竜飛海底駅(津軽今別駅 - 吉岡海底駅間) - 2014年3月15日廃止。廃止後は「竜飛定点」となり、本来用途の避難所としてのみ使用される。青函トンネル記念館 青函トンネル竜飛斜坑線接続。
  • 吉岡海底駅(竜飛海底駅 - 知内駅間) - 2014年3月15日廃止。廃止後は「吉岡定点」となり、本来用途の避難所としてのみ使用される。
  • 知内駅(吉岡海底駅 - 木古内駅間) - 2014年3月15日廃止。廃止後は知内信号場となり、新湯の里信号場として設置された当初の信号場のみへ使途が戻った。

竜飛海底駅・吉岡海底駅は、青函トンネルの避難施設を活用した見学施設であり、見学者以外の一般旅客が利用することはできない特殊な駅であった。吉岡海底駅は北海道新幹線工事の資材基地となるため、2006年8月28日から見学コースが中止され停車列車がなくなり、竜飛海底駅も2013年11月10日をもって見学コースが終了となった。また、津軽今別駅とともに地元請願によって保守基地施設(信号場)を旅客駅化した知内駅も1日上下4本の列車が停車するのみであった。

過去の接続路線[編集]

  • 木古内駅:江差線江差方面) - 2014年(平成26年)5月12日廃止。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 本文は「津軽海峡線」表記であるが、路線図では「海峡線」と表記。
  2. ^ 整備新幹線区間である盛岡 - 八戸間および八戸 - 新青森間は、開業当初から採用されている。
  3. ^ 同時に、在来線で最も駅間距離が長い区間となる(営業キロ:74.8km)。それ以前に最も駅間距離が長い区間は石勝線新夕張 - 占冠間(同:34.3km)であった。
  4. ^ 北海道新幹線開業時は25,000Vに昇圧される。
  5. ^ 公道と交差するものを計上。また、新中小国信号場 - 中小国駅間の津軽線との営業上の重複戸籍区間に存在するものは含んでいない。
    木古内道々踏切は2014年5月11日までは江差線所属の踏切かつ、海峡線との分岐点だったが、翌12日付で江差線木古内駅 - 江差駅間廃止に伴い海峡線所属に変更された。
  6. ^ 2014年3月15日以降、特急「スーパー白鳥」に使用されている789系電車785系電車の案内表示では、この名称が使用されている。

出典[編集]

  1. ^ a b “駅の営業終了について” (PDF) (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2013年9月13日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130913-1.pdf 2014年6月18日閲覧。 
  2. ^ 青函トンネル海底駅の廃止検討 来春、新幹線工事で - 共同通信、2013年8月2日。
  3. ^ a b 海底駅:青函トンネルの2駅廃止へ 国内から姿消す - 毎日新聞、2013年8月2日
  4. ^ a b “平成26年3月ダイヤ改正について” (PDF) (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2013年12月20日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/131220-1.pdf 2014年6月18日閲覧。 
  5. ^ 津軽今別駅、中旬から仮設ホーム - 東奥日報、2013年10月3日、2013年10月7日閲覧。
  6. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB、1998年。ISBN 978-4-533-02980-6
  7. ^ a b c d “平成14年12月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2002年9月20日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2002/1412daiya.html 2014年6月19日閲覧。 
  8. ^ a b c 外山勝彦「鉄道記録帳2002年11月」、『RAIL FAN』第50巻第2号、鉄道友の会、2003年2月1日、 20頁。
  9. ^ a b c “平成18年3月ダイヤ改正について” (PDF) (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2005年12月22日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2005/051222.pdf 2010年7月23日閲覧。 
  10. ^ a b c “〜9年間ありがとうございました!〜吉岡海底駅「ドラえもん海底ワールド」は8月27日でファイナルを迎えます!” (PDF) (プレスリリース), 北海道旅客鉄道, (2006年6月14日), http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2006/060614-3.pdf 2014年6月18日閲覧。 
  11. ^ 産経新聞 ENAK ドラえもん海底列車 今月でお別れ JR北海道 - 産経新聞 2006年8月2日
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関連項目[編集]