NHKマイルカップ
NHKマイルカップ | |
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第14回NHKマイルカップ | |
主催者 | 日本中央競馬会 |
競馬場 | 東京競馬場 |
創設 | 1996年5月12日 |
距離 | 芝芝1600m |
格付け | GI |
賞金 |
1着賞金9200万円 賞金総額1億7520万円 |
出走条件 |
サラブレッド系3歳牡馬・牝馬(国際)(指定) 出走資格も参照 |
負担重量 | 定量(牡馬57kg、牝馬55kg) |
NHKマイルカップ(えぬえいちけいマイルカップ)とは日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場の芝1600メートルで施行する中央競馬の重賞(GI)競走である。正賞は日本放送協会杯、日本馬主協会連合会会長賞。優勝杯を提供するNHKから冠名が付けられている。
概要
本競走は1953年から1995年までの43年間、クラシック競走の東京優駿(日本ダービー)のトライアル競走として施行されていたNHK杯を前身とし1996年における中央競馬の番組改定で4歳(現3歳)の外国産馬が当時東京優駿へ出走できなかったため目標となる大レースが無く、そこで4歳(現3歳)の外国産馬の目標となる大レースを創設する目的で4歳(現3歳)牡馬・牝馬限定の混合・指定の定量の重賞(GI)競走NHKマイルカップとして新設、第1回は現在と同じく東京競馬場の芝1600mで施行された。
歴代優勝馬には日本調教馬で初めて海外のG1競走(モーリス・ド・ギース賞)を制したシーキングザパールやジャパンカップ優勝・サンクルー大賞優勝・凱旋門賞2着などの成績を残したエルコンドルパサーなど、日本内外の国際競走で活躍した競走馬が名を連ねる。
なお、NHKマイルカップという名称が決まるまではJRAからは「マイルダービー」という仮称で広報されていた。
東京優駿が外国産馬に開放される2000年まで通称「マル外ダービー」といわれ、3歳(旧4歳)外国産馬にとって春競馬の最大目標と位置付けられていた。実際に第1回から第6回まで6年連続で外国産馬が当レースを優勝したが、2002年の第7回にテレグノシスが初めて内国産馬としての優勝を果たして以降は外国産馬の優勝は無い。この頃から競走馬の距離適性を最優先したローテーションを重視する考え方が定着したことや外国産馬に対してクラシック出走の開放が進んできたこともあり、外国産馬の最大目標という当初の位置づけから内国産馬・外国産馬を問わない3歳(旧4歳)マイル最強馬決定戦へとその位置付けが変わり2005年の第10回には桜花賞優勝馬のラインクラフトが距離適性を考慮して優駿牝馬(オークス)ではなく当レースへ出走し優勝している。
2001年に外国産馬へのクラシック開放が実現すると本競走を東京優駿の前哨戦にする陣営もある他、中山競馬場の最終日のため荒れた馬場で行われる皐月賞を回避して当レースから東京優駿へ向かう陣営もある。過去には第6回優勝馬クロフネ、第7回優勝馬テレグノシス、同3着馬タニノギムレット[1]、第9回優勝馬キングカメハメハ、第13回優勝馬ディープスカイなどが本競走から東京優駿に出走しておりタニノギムレット、キングカメハメハ、ディープスカイは東京優駿を制覇している。
桜花賞・皐月賞・優駿牝馬(オークス)・東京優駿(日本ダービー)・菊花賞のクラシック競走及び秋華賞のうちのいずれか2つのレースと絡めて、変則三冠競走と扱われる場合がある。
現在の優勝レイは赤色地に金色文字で、「NHK」の部分はNHKのロゴデザインがそのまま引用されている。
この競走のテレビ中継に関してはNHKが優先権を持って放送に臨んでおり、フジテレビ・関西テレビは自局番組では単に「マイルカップ」と呼称し「NHKマイルカップ」の呼称を使い始めたのは創設4年後の2000年の第5回からのことである。なお、NHK杯は「ダービートライアル」と呼称していた。その影響もあり、フジテレビ系列でGI競走のみ競馬中継を放送する岩手めんこいテレビ・テレビ熊本はこのレースを放送しない[3]。またこのレースを中継するNHKの番組には優勝馬に対するNHK杯の贈呈にNHK会長が、またその年の大河ドラマや連続テレビ小説の出演者がゲスト(表彰プレゼンテーター)として出演することがある。1996年の第1回、及び2005年から2010年ではNHK交響楽団の金管メンバーが発走時のファンファーレを演奏している。
出走資格
- サラ系3歳(旧4歳)のJRA所属の牡馬・牝馬の競走馬及び地方所属の牡馬・牝馬の競走馬(本競走への優先出走権を獲得した牝馬及びJRAのGI競走1着馬)及び外国調教馬の牡馬・牝馬(9頭まで)、出走枠は18頭まで。未出走馬・未勝利馬は出走できない。
- 以下のトライアル競走に必要な着順に入った場合優先出走できる。(最大3頭)
トライアル競走
競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 | 競走条件 | 優先出走権 |
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ニュージーランドトロフィー | GII | 中山競馬場 | 芝・外1600m | 3歳牡馬・牝馬 | 3着以内 |
国際競走・指定競走 |
- 未勝利馬(収得賞金が0の馬)には出走権はないが、未出走馬および未勝利馬も出走できるニュージーランドトロフィーで2着になれば未勝利のまま本競走に出走できる。
- 残りの枠(最低15頭)は通常の収得賞金の総計が多い順に出走できる(残る1枠が複数の同収得金額馬だった場合は抽選で出走馬が決まる)。
- 地方馬は上記のトライアル競走(ニュージーランドトロフィー)で優先出走権を得た場合、ファルコンステークス・桜花賞・皐月賞の1・2着馬、マーガレットステークスの1着馬のみ出走できる。
その他のステップレース
競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 | 競走条件 |
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アーリントンカップ | GIII | 阪神競馬場 | 芝・外1600m | 3歳 |
国際競走・特別指定競走 | ||||
ファルコンステークス | GIII | 中京競馬場 | 芝1400m | 3歳 |
国際競走・指定競走 | ||||
毎日杯 | GIII | 阪神競馬場 | 芝・外1800m | 3歳 |
国際競走・特別指定競走 | ||||
マーガレットステークス | オープン 特別 |
阪神競馬場 | 芝1400m | 3歳 |
混合競走・指定競走 | ||||
桜花賞 | GI | 阪神競馬場 | 芝・外1600m | 3歳牝馬 |
国際競走・指定競走 | ||||
皐月賞 | GI | 中山競馬場 | 芝2000m | 3歳牡馬・牝馬 |
国際競走・指定競走 |
このほかスプリングステークス(中山競馬場・芝1800m)、フローラステークス(東京競馬場・芝2000m)から本競走に駒を進める競走馬もいる。このうち毎日杯を使った競走馬が好結果をおさめることが多く、トライアル競走であるニュージーランドトロフィーが東京競馬場から中山競馬場に開催変更となって以降、近年では最も多くの優勝馬を輩出している。
負担重量
- 定量で牡馬は57kg、牝馬は55kgである。
賞金
回(施行年) | 総額賞金 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 |
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第1回(1996年) | 1億7,520万円 | 9,200万円 | 3,700万円 | 2,300万円 | 1,400万円 | 920万円 |
第2回(1997年) | ||||||
第3回(1998年) | ||||||
第4回(1999年) | ||||||
第5回(2000年) | ||||||
第6回(2001年) | ||||||
第7回(2002年) | ||||||
第8回(2003年) | ||||||
第9回(2004年) | ||||||
第10回(2005年) | ||||||
第11回(2006年) | ||||||
第12回(2007年) | ||||||
第13回(2008年) | ||||||
第14回(2009年) | ||||||
第15回(2010年) | ||||||
第16回(2011年) | ||||||
第17回(2012年) |
歴史
- 1996年 - 東京競馬場の4歳(現3歳)牡馬・牝馬限定の混合競走・指定交流競走の定量の重賞(GI)競走NHKマイルカップとして新設。
- 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格が「4歳牡馬・牝馬」から「3歳牡馬・牝馬」に変更。
- 2002年
- 2004年
- 2007年
- 国際セリ名簿基準委員会(ICSC)の勧告により、重賞格付け表記をJpnIに変更。
- 当時大井所属の内田博幸が地方競馬出身の騎手としては3人目の中央JpnI(GI)制覇。
- JRAの重賞競走における三連単の払戻金が、当時の最高額(非重賞競走も含む全体でも7位)の9739870円を記録[4]。
- 2009年
- 2010年 - ダノンシャンティが1:31.4の芝1600mの日本レコードを更新して優勝。
- 2011年 - クレイグ・ウィリアムズが外国人騎手として初の同競走優勝。
- 2012年 - 6位入線のマウントシャスタ(岩田康誠騎乗)が、進路妨害(被害馬のシゲルスダチは落馬競走中止。なお被害馬は異状なし、後藤浩輝騎手は「頚椎骨折の疑い、頚髄不全損傷」の診断を受けている[5])で失格。1991年に現行の降着制度が中央競馬に導入されて以来、中央競馬のGI競走で失格馬が出たのは史上初[6]。
歴代優勝馬
国際競走となった2009年以降は優勝馬の国旗を表記する。
回数 | 施行日 | 調教国・優勝馬 | 性齢 | 勝時計 | 優勝騎手 | 管理調教師 | 馬主 |
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第1回 | 1996年5月12日 | タイキフォーチュン | 牡3 | 1:32.6 | 柴田善臣 | 高橋祥泰 | (有)大樹ファーム |
第2回 | 1997年5月11日 | シーキングザパール | 牝3 | 1:33.1 | 武豊 | 森秀行 | 植中倫子 |
第3回 | 1998年5月17日 | エルコンドルパサー | 牡3 | 1:33.7 | 的場均 | 二ノ宮敬宇 | 渡邊隆 |
第4回 | 1999年5月16日 | シンボリインディ | 牡3 | 1:33.8 | 横山典弘 | 藤沢和雄 | シンボリ牧場 |
第5回 | 2000年5月 7日 | イーグルカフェ | 牡3 | 1:33.5 | 岡部幸雄 | 小島太 | 西川清 |
第6回 | 2001年5月 6日 | クロフネ | 牡3 | 1:33.0 | 武豊 | 松田国英 | 金子真人 |
第7回 | 2002年5月 4日 | テレグノシス | 牡3 | 1:33.1 | 勝浦正樹 | 杉浦宏昭 | (有)社台レースホース |
第8回 | 2003年5月11日 | ウインクリューガー | 牡3 | 1:34.2 | 武幸四郎 | 松元茂樹 | (株)ウイン |
第9回 | 2004年5月 9日 | キングカメハメハ | 牡3 | 1:32.5 | 安藤勝己 | 松田国英 | 金子真人 |
第10回 | 2005年5月 8日 | ラインクラフト | 牝3 | 1:33.6 | 福永祐一 | 瀬戸口勉 | 大澤繁昌 |
第11回 | 2006年5月 7日 | ロジック | 牡3 | 1:33.2 | 武豊 | 橋口弘次郎 | 前田幸治 |
第12回 | 2007年5月 6日 | ピンクカメオ | 牝3 | 1:34.3 | 内田博幸 | 国枝栄 | 金子真人ホールディングス(株) |
第13回 | 2008年5月11日 | ディープスカイ | 牡3 | 1:34.2 | 四位洋文 | 昆貢 | 深見敏男 |
第14回 | 2009年5月10日 | ジョーカプチーノ | 牡3 | 1:32.4 | 藤岡康太 | 中竹和也 | 上田けい子 |
第15回 | 2010年5月 9日 | ダノンシャンティ | 牡3 | 1:31.4 | 安藤勝己 | 松田国英 | ダノックス |
第16回 | 2011年5月 8日 | グランプリボス | 牡3 | 1:32.2 | C.ウィリアムズ | 矢作芳人 | (株)グランプリ |
第17回 | 2012年5月 6日 | カレンブラックヒル | 牡3 | 1:34.5 | 秋山真一郎 | 平田修 | 鈴木隆司 |
NHKマイルカップの記録
- レースレコード - 1:31.4(第15回優勝馬ダノンシャンティ)
- 2着との最大着差 - 5馬身(第9回優勝馬キングカメハメハ)
- 最多勝騎手 - 3勝 武豊(第2、6、11回)
- 最多勝調教師 - 3勝 松田国英(第6、9、15回)
脚注
- ^ タニノギムレットは皐月賞にも出走している(3着)。
- ^ ただしクラシック競走と違い、本競走では騸馬排除の根拠とされる「繁殖馬の選定」を明確に謳っているわけではない。これは朝日杯フューチュリティステークス、ニュージーランドトロフィーでも同様である。
- ^ 同じくGI競走のみ競馬中継を放送するさくらんぼテレビジョンはこのレースを中継している(JRA公式サイトのテレビ中継案内ページでもその旨が書かれている)。なお岩手めんこいテレビでも2001年までは放送していた。
- ^ 第12回NHKマイルC - 日本中央競馬会公式サイトデータファイル
- ^ 開催競馬場・今日の出来事 - JRA公式サイト 2012年5月6日閲覧
- ^ 岩田騎手が騎乗停止に=制度導入後、初のGI失格-競馬 - 時事通信ドットコム 2012年5月6日閲覧
関連項目
外部リンク
- JRA公式サイト「今週の注目レース」 より(2012年版)