牝馬
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牝馬(ひんば)とはメスの馬の事である。オスの馬のことは牡馬(ぼば)という。
生理的にはメス参照。外見に牡馬との大きな差はない。平均的に見れば牡馬に比べ体格は劣るが、個体差によるところが大きく一概には言えない。
競走能力は平均的には牡馬に劣る傾向があり、競馬においては性差による能力補正のため2ポンドから5ポンドほど(日本では多くの競走で2キロ)の負担重量軽減がある(ハンデ戦や2歳戦の一部はこの限りではない)が、それでも牡馬と比較して競走能力が劣ることが多い。ただし、中には牡馬に対抗できたり、あるいは凌駕するような力を持つような馬もいる。オーストラリア競馬で獲得賞金史上1位の名馬マカイビーディーヴァは同国最大の競走メルボルンカップを2005年に勝った際、牡馬を含め出走馬中最重量を背負っていた。
また、牡馬と比べて活躍期間が短いと言う定説が多く、6歳以降に中央競馬のGIレースを勝った牝馬はニュージーランドのホーリックスのみで、日本国調教馬は1頭もいない。ただし、生産者の意向や、競走成績が優秀である、血統が優秀である、などの事情で牝馬は早めに繁殖入りすることもあり、一般的な認識が正しいかどうかは、科学的な裏付けも無く不明である。実際、地方のGIを6歳以降に連勝したホクトベガや、6歳に本格化したフランスのプライドなどもいる。
競技馬としても牡馬に比べると活躍例は少ないが、トップクラスの馬ならば牡馬に十分対抗できる。損害の回復が難しくなるため歴史上軍馬としてはあまり用いられなかった。
牝馬の一部は引退後繁殖牝馬となり、牡馬と交配し仔を産む。ただし馬術分野では繁殖牝馬として供用された後に競技馬としてデビューすることもありうる。海外では受胎した状態で現役に復帰することもあり、そのような馬が大レースを制することも稀に有る(ラフレッシュ、ウインドインハーヘア等参照)。かつて日本では、牝馬としては初めて東京優駿を制したヒサトモが、産駒成績が伴わない等の理由で15歳にして現役復帰したケースもあった。
現役時代に活躍したような牝馬が繁殖入りし、その仔が産まれデビュー戦を迎えると話題となる。そのため、古馬戦での活躍を期待されながら、驚くほど早くに引退し、繁殖牝馬となる馬も見られる。ただし牡馬に比べれば繁殖で見込める収入が少ないこともあり、活躍すれば戦績に傷がつかないうちに即引退ということはあまりない。そのため逆に一流馬でもある程度高齢まで走ることもよくある。
競走馬として活躍した牝馬が優秀な繁殖牝馬になるとは限らない。もちろん当然活躍馬の方が名馬を輩出する確率は高いが、逆に競走成績が芳しくなかった馬やレースに出走することすら出来なかった馬から優れた能力を持つ競走馬が誕生することもある。
[編集] 特に活躍した牝馬
- クルシフィックス (12戦無敗、1840年初めて英クラシックを3勝(1000ギニー、2000ギニー、オークス)
- キンチェム (世界最高の54戦54勝、バーデン大賞を3連覇など)
- フォルモサ (1000ギニー、2000ギニー、オークス、セントレジャーステークス)
- セントマーガレット(1000ギニー)、ゲハイムニス(オークス)、ショットオーヴァー(2000ギニー、エプソムダービー)、ダッチオーヴン(セントレジャーステークス)の4頭で1882年英クラシックを独占
- ラフレッシュ (イギリス牝馬三冠、アスコットゴールドカップ、チャンピオンステークス、エプソムダービー2着)
- セプター (1000ギニー、2000ギニー、オークス、セントレジャーステークス、ジョッキークラブステークス、チャンピオンステークス、ハードウィックステークス、セントジェームズパレスステークス、エプソムダービー4着)
- プリティーポリー (24戦22勝、イギリス牝馬三冠、ジョッキークラブステークス、チャンピオンステークス)
- ハルラ (1956年メルボルンオリンピック馬術障害飛越個人金メダル・同団体金メダル、1960年ローマオリンピック馬術障害飛越団体金メダル)
- アレフランス (フランス牝馬三冠、凱旋門賞)
- ダリア (キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス2回)
- ラフィアン (11戦10勝、旧ニューヨーク牝馬三冠)
- オールアロング (凱旋門賞、ワシントンD.C.インターナショナル、ジャパンカップ2着など)
- オーソーシャープ (イギリス牝馬三冠)
- パーソナルエンスン (13戦無敗、ブリーダーズカップ・ディスタフ)
- オープンマインド (ケンタッキーオークス、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ、新旧ニューヨーク牝馬三冠)
- バヤコア (ブリーダーズカップ・ディスタフ2回)
- ミエスク (ブリーダーズカップ・マイル2回)
- ホーリックス(ジャパンカップ、新G1を5勝)
- ダンススマートリー (カナダ牡馬三冠、ブリーダーズカップ・ディスタフ、1991年カナダ年度代表馬)
- リッジウッドパール (1000ギニー、ブリーダーズカップ・マイル、1995年欧州年度代表馬)
- サンライン (コックスプレート2回、香港マイル、豪新年度代表馬計5回)
- アゼリ (ブリーダーズカップ・ディスタフ、2002年米年度代表馬)
- マカイビーディーヴァ (メルボルンカップ3連覇、コックスプレート)
- ウィジャボード (オークス、アイリッシュオークス、プリンスオブウェールズステークス、香港ヴァーズ、ナッソーステークス、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ2回など)
[編集] 日本で活躍した牝馬の競走馬
- 第二メルボルン: 35戦29勝。1906年11月のデビューから翌1907年11月にかけて帝室御賞典および横浜ダービー優勝を含む無敗の22連勝を達成した競馬黎明期の名馬。
- クレオパトラトマス: 28戦16勝。デビュー3戦目にして天皇賞の前身である帝室御賞典を制する。
- クリフジ: 11戦11勝は日本競馬における最多全勝記録。東京優駿競走(日本ダービー)・阪神優駿牝馬(オークス)・京都農商省賞典四歳呼馬(現在の菊花賞)を制した。クラシック競走3勝は牝馬として唯一の記録。繁殖牝馬として牝馬二冠を制したヤマイチを産む。1984年顕彰馬に選出。
- トキツカゼ: 農林省賞典(現在の皐月賞)、優駿牝馬(オークス)を制する。母としてもオートキツ(東京優駿)、オンワードゼア(天皇賞(春)・有馬記念)を産む。1984年顕彰馬に選出。繁殖牝馬としても成功した。
- ガーネツト: 1959年天皇賞(秋)・有馬記念を制する。
- スターロツチ: 1960年有馬記念を制する。3歳(当時の表記では4歳)牝馬で唯一の有馬記念制覇。
- トウメイ: 史上2頭目の天皇賞(秋)・有馬記念制覇。1971年啓衆社賞年度代表馬。母としても天皇賞優勝馬テンメイを産む(以降有馬記念を制した牝馬は現れていない)。
- テスコガビー:1975年の桜花賞10馬身差、オークス8馬身差で制した二冠牝馬。
- メジロラモーヌ: JRAGI 3勝 日本競馬史上初の牝馬三冠+トライアル三冠
- ロジータ: 牝馬として唯一の南関東三冠馬。母としてもカネツフルーヴ(帝王賞・川崎記念)、シスターソノ(JBCクラシック優勝馬レギュラーメンバーの母)などを産む。
- ベガ: 1993年牝馬クラシック二冠、三冠目はホクトベガに阻止される。1994年、現役を引退し繁殖牝馬となり、東京優駿(日本ダービー)優勝馬アドマイヤベガ、芝・ダートの両方でGIを勝利したアドマイヤドンなどを輩出している。
- ホクトベガ: エリザベス女王杯勝ち、地方競馬交流競走のエンプレス杯で2着以下を18馬身の差をつけて圧勝。別名「砂の女王」
- ノースフライト: JRAGI 2勝 1994年安田記念・マイルチャンピオンシップを制する。
- ヒシアマゾン: JRAGI 2勝 ジャパンカップ・有馬記念で2着。
- エアグルーヴ: JRAGI 2勝 牡牝混合の天皇賞(秋)を制す。1997年JRA賞年度代表馬。母ダイナカール、自身、子アドマイヤグルーヴと親子三代GI級勝ちを果たす。
- メジロドーベル: JRAGI 5勝 4年連続GI勝利。
- シーキングザパール: JRAGI 1勝 日本調教馬として初の海外国際G1(モーリス・ド・ゲスト賞(フランス))を制する。
- ダンスインザムード: JRAGI 2勝 メジロラモーヌ以来、16年ぶりに関東馬で桜花賞を制し、2006年に新設されたヴィクトリアマイルの第一回目の覇者。
- スイープトウショウ: JRAGI 3勝 史上2頭目の牝馬の宝塚記念馬。

