NHKネットラジオ らじる★らじる

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NHKネットラジオ「らじる★らじる」(エヌエイチケイネットラジオらじるらじる)は、日本放送協会(NHK)のNHKラジオIPサイマルラジオ・サイマル配信サービス(ライブストリーミング)の公称・愛称である。

概要[編集]

山あいやコンクリート建造物の中など、電波が届きにくい場所や、外国からの電波の混信を受けていた難聴取地域で聴取状況を改善するための補完的な措置として、試行的にインターネットで配信し、その結果を検証・確認することが目的である。 民放ラジオ局は同様のインターネットによるサイマル配信サービスradikoを2010年(平成22年)3月15日から開始していた。 対象はラジオ第1ラジオ第2FM。 サービス名称は公称がNHKネットラジオ、愛称がらじる★らじる。 このサービスは放送法第2条第2項第8号に規定する「放送及びその受信の進歩発達に特に必要な業務」、いわゆる付帯業務であり、同条第10項に基づき総務大臣の認可を受けて実施されるものである。

聴取方法[編集]

対象機器・アプリケーションは下記の通り。

  • パソコン(PC)(2011年(平成23年)9月1日開始)
    • 「NHKネットラジオ らじる★らじる」公式サイトを利用。
  • スマートフォン
    • Android OS用公式アプリ(同年10月1日提供開始)[1]
    • iOS(iPhone・iPad・iPod Touch)向け公式アプリ(同年10月26日提供開始)[2]
    • AndroidなどFlash対応ブラウザが搭載されている端末であればブラウザ上から公式サイトを利用して再生可能[3]
    • 公式アプリのダウンロード数は2011年10月から2012年(平成24年)1月4日の期間において、総計約63万件を記録した[4]
    • 非公式の対応アプリが、Android OS向けでは「らじるろいど」「Raziko」など複数存在する[3][5]

配信方式[編集]

radikoと同様にストリーミング方式を用いており、HE-AACWindows Media Audio形式 48kbpsでエンコードされ[4][注 1]、Flash形式・Windows Media形式(パソコン向け)とHttp Live Streaming形式(スマートフォン向け)でコンテンツデリバリネットワークを通じて配信される。音声レベルはradikoと同程度の+6dB[注 2]に調整されている。

配信時の音声は地上波放送と同様、ラジオ第1・第2はモノラル、FM放送はステレオである。 配信の遅れ時間(タイムラグ・ディレイ)は地上波放送と比べ、数秒から数十秒存在する[注 3]

配信対象地域[編集]

海外での聴取は不可

放送法第20条第5項にNHKは「中波放送超短波放送とのいずれか(中略)がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」と規定されていることや、民放のように地域ごとにスポンサーを集めて放送する形態ではないため、radikoのようなエリア制限は行わず日本全国が対象である。日本国内の難聴取地域の救済を目的としているため、IPアドレスによる地域判定により日本国外では利用できないとされているが、香港で聞けるという報告[7]があった。

放送法第92条には地上基幹放送事業者は「その基幹放送局を用いて行われる基幹放送に係る放送対象地域において、当該基幹放送があまねく受信できるように努めるものとする。」ともあり、 配信する局の多局化を検討している。 当初は東京の放送センターからの配信のみであったものが、後に仙台名古屋大阪からの配信が追加された。

配信内容[編集]

「東京」を選択した場合、「JOAK(-FM)」(第1とFM)・「JOAB」(第2)(放送センター)の東京発全国放送(ラジオ第1・第2では「関東広域放送」、FMでは「都域放送」)が配信される。 また、「仙台」・「名古屋」・「大阪」を選択した場合は各放送局のラジオ第1・FMは各地域の放送(宮城県域放送・中京広域放送・近畿広域放送)が配信される[8]

地域によっては高校野球地方大会(支部予選決勝を含む。春季は6月、夏季は7月下旬、秋季は10月〜11月に集中)やNHK全国学校音楽コンクール地方大会(FMのみ)、その他ローカルでの地域番組やスポーツ中継差替えのため、地上波では聴取できなかった通常の全国放送番組が、「らじる★らじる」では聴取可能となるため、地域や状況によっては地上波の未放送番組を補完する役割もある[注 4]。特に地上波で聴取困難な地域ではネットラジオを利用する人が多い傾向にあり、ラジオ第1放送の生放送番組でもリスナーから「高校野球地方大会で聴けないので、らじる★らじるで聴いています」といった声も多く寄せられているという。

配信されないコンテンツ・内容[編集]

配信に遅れ時間があるため時報緊急地震速報は無音となる。 時報は、鳴動時に440Hzと880Hzのカットフィルタが作動して時報音のみが除去され[注 5]、番組音声はそのまま配信される。 緊急地震速報は、チャイム音と自動音声はカットされて無音となり[6]、ニューススタジオから緊急地震速報があった旨のみ放送される。 関東地方の交通情報気象警報は、当初は全国放送であることにより配信されなかったが、地域毎の放送が開始されたことに伴い配信されることとなった。

政見放送と放送権処理のできないジャパンコンソーシアム制作番組 [注 6] 、クラシック音楽の一部番組 [注 7] 、その他一部の楽曲は配信されない。 配信されない番組がある時はサイトに告知される。 当該時間帯は独自のフィラー音楽[注 8]と概ね3分おきに1回「『NHKネットラジオらじる★らじる』です。ただいま放送中の内容は『NHKネットラジオ』ではお聞きいただけません」(2回繰返し。)と出山知樹(かつては山田敦子(現:日本語センター専属))による事前収録のアナウンスが入る [注 9]。 番組表には「この時間はNHKネットラジオではお聞きいただけません。ラジオ放送のみで放送しています。」と記される。

東京のラジオ第1・FM以外 [注 10] では、放送設備メンテナンスにより不定期(FMは主に日曜深夜、ラジオ第1は主に月曜深夜のそれぞれ1時から5時)に休止・減力放送 [注 11] するが、放送休止の地域の放送局は地上波と同様に配信を休止(無音かテストトーンによる信号音。まれに通常番組の音声が入ることもある。)する。

キャラクター[編集]

NHKラジオのキャラクターとして2011年4月20日から登場した「らじる」[9]が、らじる★らじるも連動して行う。声優久保田恵[10]

沿革[編集]

2010年(平成22年)

  • 4月8日 福地茂雄会長は定例記者会見でradikoの件に触れた際に「制度上の問題もクリアした上で前向きに検討したい」[11]と述べた。
  • 4月21日 日向英実放送総局長も定例記者会見で「放送法に規定されているNHKのインターネット実施基準にはインターネット同時配信は明確には入っておらず、総務省の認可を得る必要がある」としながらも「基準の改定については、前向きに検討したい」[12]と述べた。

2011年(平成23年)

  • 2月16日 放送総局長記者会見で「都市部や日本海沿岸の電波混信対策の一環として、総務省に特例申請した上で全国向けにNHKラジオ各波のネット同時配信を2011年度中に行う」と表明した。[13][14][15]
  • 3月9日 総務省より認可[16]され、10月頃から2013年度(平成25年度)末まで試行し改善効果を検証する予定とされた。[17]
  • 3月11日 東日本大震災発生直後[18]から3月22日20時まで災害報道の緊急対応としてラジオ第1のみインターネットでサイマル配信を実施した。これはあくまでも特別措置としての実施であり、速報として伝える情報の減少や、インターネット上の著作権の承諾を受けていない番組の再開を受け終了している。
東日本大震災#インターネットも参照。
  • 6月2日 PC向け配信を1か月前倒しして9月より開始すると発表された。[19]
  • 9月1日 11時から開始された。[20]
    • ウェブサイトは10時から運用開始。同時にアプリも公開。オープニングとして10時55分から15分間ラジオ第1で『NHKネットラジオ らじる★らじる スタート』が放送された。[21]
  • 10月1日 ラジオ番組表の表示とスマートフォン向け配信を開始。スマートフォン用アプリも公開。
聴取状況は、2011年9月から12月において、同時ストリーム数[注 12]はラジオ3波合計で平均3000、最大で12700を記録し、ユニークIP数[注 13]ではラジオ3波合計で平均52000、最大100000を記録した。月間転送量は同年11月実績で約50TB、そのうちスマートフォン向けは約25TB。[6]

2012年(平成24年)

  • 12月6日 松本正之会長は定例記者会見で、総務省に対し「協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務における提供番組の追加」という内容の認可申請を行い、近畿・中京の両広域圏と宮城県について、全国網から切り離し各エリアを担当する放送局の地元放送配信に切り替える方針と、それに伴う国への認可申請を行ったことを明らかにした。[22]
    • 南海トラフを震源とする巨大地震への備えという意味もあるが、宮城県が含まれたきっかけは東日本大震災を踏まえたもので、東北ブロック全体で普段からラジオ聴取習慣定着に取り組んでいること[注 14]によるとみられている。[要出典]
  • 12月7日 近畿圏・中京圏・宮城県の番組追加についてパブリックコメントが実施された。[23]
    • 認可申請の中で各放送局からの配信についても配信対象地域は従来通り日本国内全域とし、radikoのような日本国内での地域制限はしない[24]としている。そのため、裏送り送出を含む東京局の番組と各地方局の番組の選択が可能となる。[注 15]

2013年(平成25年)

  • 1月16日 三地域の番組の追加が認可された。[25]
  • 5月27日 17時から仙台・名古屋・大阪からのPC向け配信開始。[26]
  • 8月8日 Android OS用アプリ公開。
  • 8月30日 iOS用アプリ公開。[27]

2014年(平成26年)

  • 1月17日 平成26年度の実施についてパブリックコメントが実施された。[28]
  • 3月12日 平成26年度の実施が認可された。[29]
  • 3月31日 東京ラジオ第1の内容が「全国向け共通番組」から「関東広域放送」に変更され、関東地方の交通情報や気象警報の配信が開始された。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ エンコーダ装置はEnvivio製の4Casterを使用[6]
  2. ^ NHKの音声の基準レベルは-18dBであるため、NEC製の音声リミッタ/コンプレッサを使用して音声レベルを上げている[6]
  3. ^ 機器・地域・通信環境の状況によって遅延時間が変化するため、数秒〜数分と想定されている[6]
  4. ^ 番組内でもローカル特番などで通常の地上波では聴取できない場合、「らじる★らじる」での聴取が可能であることをアナウンスすることもある。
  5. ^ カットフィルタ装置はNEC製のED-FL800を使用[6]。実際は時報音を完全にカットできず、わずかに「カチッ、カチッ…」とフィルタを通した時報音が聴き取れる状態となっている。まれにカットフィルタ装置が作動せず、時報音がそのまま流れることもある。
  6. ^ ジャパンコンソーシアム制作番組に限らず、スポーツ中継としては配信されなくともスポーツニュースは報道目的であるので音源がそのまま利用される(原則としてラジオの中継音源によるが、ラジオの中継がない場合はテレビ放送用のものによる。)。但し、2012年ロンドンオリンピック2014年ソチオリンピックでは日本国内の放送権がテレビ・ラジオのほかインターネットや携帯電話など全てのメディアも含まれていた。
  7. ^ FM放送の『ベストオブクラシック』のごく一部の放送回、2013年元日のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ニューイヤーコンサート、同年1月3日の『第56回 NHKニューイヤーオペラコンサート』が該当する。
  8. ^ 再生装置はファイルベースのTEAC製TASCAM HS-4000[6]。使用しているフィラー音楽は『歌の日曜散歩』『ふるさとラジオ』『つながるラジオ』などNHKラジオ第1で用いられていた番組テーマやBGMを中心に構成したもので約40分サイクルで流される。
  9. ^ 2011年9月1日の配信開始1時間前にもフィラー音楽とアナウンスを試験配信していた。
  10. ^ 関東地方全域が放送休止となる場合でも裏送り送出で対応しているため通常通り放送される。
  11. ^ 放送設備メンテナンスは、原則として放送休止とはせず減力放送となる。らじるらじるではその旨のアナウンスは割愛される。
  12. ^ 何台のパソコン等が同時に接続されているかを示す数値。
  13. ^ 1日で総計何台のパソコンが接続されていたかを示す数値。
  14. ^ 2012年度から、宮城県では『宮城100%井戸端ラジオ ゴジだっちゃ!』(平日夕方)、岩手県では『がんばろう!いわて』(月曜夜『NHKきょうのニュース』地域枠)、山形県では『公民館でなまらナイト』(原則月1回夕方)が新たに始められた。
  15. ^ 但し「試験運用」段階であることとまだ全国で地域放送への差替えができない段階であることに留意する必要があり、全国で体制が整い本格運用となった場合、radikoと同様なエリア設定に変えられる可能性は残されている。radikoは本運用に移行したため、エリア制限解除は大規模災害の発生時など非常事態に限られている。

出典[編集]

  1. ^ NHKラジオが10月1日にAndroidから聴取可能に AV Watch 2011年9月30日
  2. ^ NHKラジオが聞けるiPhone向けアプリ『NHKネットラジオ らじるらじる』配信開始! サーチナ 2011年10月27日
  3. ^ a b NHKラジオを手軽に聴ける「らじるろいど」 Appllio 2011年9月9日
  4. ^ a b インターネットによるラジオ再送信の本格化 平成24年版情報通信白書第1部第3節(3)(総務省情報通信統計データベース)
  5. ^ Razikoがアンドロイドマーケットに復活、NHKラジオの聴取も可能に Appllio 2011年10月16日
  6. ^ a b c d e f g 猪瀬泰美・植本匡・麻王孝・ 小倉武紘・小野裕司・市川健一郎・斎藤英之「NHKネットラジオ“らじる★らじる”の概要」、『放送技術』第65巻(2012年2月号)、兼六館出版、2012年2月ISSN 0287-86582012年2月10日閲覧。
  7. ^ アニソン・アカデミー』2013年8月3日放送より
  8. ^ 第1部 第1章 I「6. NHKラジオの地域番組をネット配信 総務省が認可」、『NHK年鑑2013』 NHK放送文化研究所、日本放送出版協会、2013年
  9. ^ らじるのプロフィール NHKラジオキャラクターらじる 日本放送協会
  10. ^ らじる★らじる - 茶柱たった。(久保田恵公式ブログ) 2011年8月31日のアーカイブ
  11. ^ 会長記者会見要旨 日本放送協会 2010年4月8日
  12. ^ 放送総局長会見 日本放送協会 2010年4月21日
  13. ^ 放送総局長会見 日本放送協会 2011年2月16日
  14. ^ NHK、ラジオをネット同時配信 新年度中の開始目指す 朝日新聞 2011年2月16日
  15. ^ ラジオ放送をネット同時配信 NHK、11年度実現の意向 47news 共同通信 2011年2月16日
  16. ^ 日本放送協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務の認可 総務省報道資料 平成23年3月9日
  17. ^ 協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務の認可について 同上別添のpp.28-30
  18. ^ TVは12日も特別番組…民放各局CM抜き 読売新聞 2011年3月12日
  19. ^ NHK、9月1日からラジオのネット配信。地域制限無し-スマートフォン向けも10月スタート AV Watch 2011年6月2日
  20. ^ NHKネットラジオ"らじる★らじる"スタート!パソコンでNHKラジオが聴取可能になりました NHK-FM BLOG 2011年9月1日
  21. ^ 「NHKネットラジオ らじる★らじる スタート」チャンネル:ラジオ第1、放送日:2011年9月1日(木)、放送時間:午前10:55〜午前11:10(15分)、ジャンル :情報/ワイドショー>番組紹介・お知らせ | 放送作家…石井彰、【アナウンサー】山田敦子 - NHK第1番組表 2011年9月1日
  22. ^ “ラジオ地域放送のインターネット同時配信の認可申請について”NHKトップトーク 会長記者会見要旨 日本放送協会 2012年12月6日
  23. ^ 日本放送協会が放送法第20条第10項の認可を受けて実施する「協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務における提供番組の追加」についての認可申請に対する総務省の考え方についての意見募集 総務省報道資料 平成24年12月7日
  24. ^ 協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務についての認可申請書 (PDF) 同上別添
  25. ^ 日本放送協会が放送法第20条第10項の認可を受けて実施する「協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務における提供番組の追加」の認可 総務省報道資料 平成25年1月16日
  26. ^ 5月27日(月)後5:00から各地域のサービス開始!「らじる★らじる 大阪」「らじる★らじる 名古屋」「らじる★らじる 仙台」 NHK-FM BLOG 2013年5月20日
  27. ^ 大阪・名古屋・仙台 らじる★らじる iOSアプリ 8月30日公開 (PDF) NHK広報局報道資料 2013年8月29日
  28. ^ 日本放送協会が放送法第20条第10項の認可を受けて実施する「協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務」の認可申請に対する総務省の考え方についての意見募集 総務省報道資料 平成26年1月17日
  29. ^ 日本放送協会が放送法第20条第10項の認可を受けて実施する「協会のラジオ放送が聴取しにくい状況の改善に資するため、その放送番組を放送と同時にインターネットを通じて一般に提供する業務」の認可 総務省報道資料 平成26年3月12日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]