エリザベス女王杯

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エリザベス女王杯
Queen Elizabeth II Cup
Snow-Fairy20111113.jpg
第36回優勝馬スノーフェアリー
主催者 日本中央競馬会
開催地 日本の旗京都競馬場
施行時期 11月上旬 - 中旬
(原則5回京都4日目)
格付け GI
1着賞金 9000万円
賞金総額 1億7200万円
距離 芝・外2200m
出走条件 サラブレッド系3歳以上牝馬(国際)(指定)
出走資格も参照
負担重量 定量(3歳54kg、4歳以上56kg)
第1回施行日 1976年11月21日
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エリザベス女王杯(エリザベスじょおうはい)とは日本中央競馬会(JRA)京都競馬場・外回り2200メートル施行する中央競馬重賞GI競走である。略称は「女王杯」「エリ女」など。

正賞はエリザベス女王杯、京都府知事賞、日本馬主協会連合会会長賞。

概要[編集]

前身の「ビクトリアカップ」は、牝馬の菊花賞に位置付けられるものとして1970年から施行されていたが、1975年エリザベス女王が来日したことを記念し、翌1976年に新たに「エリザベス女王杯」が創設されてビクトリアカップは廃止された。競走名の改称が行われた場合、通常施行回数は引き継がれるが、当競走は事実上は改称ながら、形式としては新設の競走とされたため、1976年が「第1回」となっている。なお、同様の事例には、ペガサスステークスアーリントンカップがある。

1995年の第20回までは京都競馬場の芝2400mで施行され、牝馬三冠レースの最終戦であった。ただし桜花賞優駿牝馬(オークス)とは違い、英国競馬のクラシック競走に範を取った競走ではないため、八大競走やクラシック競走には位置付けられていない(なお、三冠の性質を引き継いだ秋華賞も同様である)。そのため創設当時から外国産馬の出走が可能だった。

1996年秋華賞設に伴い、芝2400mから芝2200mに距離が短縮されると共に古馬牝馬も出走が可能になり、それまでは古馬になると牡馬と戦うしかなかった牝馬最大の目標の1つとして定着、3歳牝馬三冠路線組も合わせ、牝馬の一線級が一堂に会する競走となった。また1995年以降JRAの方針によりGI競走が地方馬にも開放され秋華賞・京都大賞典府中牝馬ステークスのいずれか2着以内の地方馬には出走資格が与えられることになり、更に1999年からは外国馬も出走可能となり2008年からはジャパン・オータムインターナショナルシリーズに指定されている。

なお、2006年には春季に古馬牝馬限定のGI競走としてヴィクトリアマイルが新設されたため、春秋それぞれに古馬牝馬が出走可能な牝馬限定GI競走が存在することとなった。

英語による競走名表記は「Queen Elizabeth II Cup」だが、2012年までは「Queen Elizabeth II Commemorative Cup」だった[1]

出走資格[編集]

  • 原則サラ系3歳(旧4歳)以上のJRA所属の競走馬、地方所属の競走馬及び外国調教馬(9頭まで)、出走枠は18頭まで。
  • レーティング順位の上位5頭に対しては優先出走が認められる(2012年より。106ポンド以上であることが条件)。
  • その他の競走馬は「通算の収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順に出走できる。
  • 地方競馬所属馬は以下の競走のいずれかで所定の成績をあげると本競走に出走できる。
競走名 格付 施行競馬場 施行距離 必要な着順 備考
京都大賞典 GII 日本の旗京都競馬場 芝・外2400m 1・2着 本競走のステップ競走指定
中央・地方の所属を問わずに、1着で優先出走権を付与(2014年から)※京都大賞典は牝馬が優勝した場合のみ。
府中牝馬ステークス GII 日本の旗東京競馬場 芝1800m
秋華賞 GI 日本の旗京都競馬場 芝2000m

負担重量[編集]

  • 定量で3歳54kg、4歳以上56kgである。
    • 第1 - 20回は55kgだった。

賞金[編集]

グレード制が施行された第9回(1984年)以降
回(施行年) 総額賞金 1着 2着 3着 4着 5着
第9回(1984年) 9,550万円 5,000万円 2,000万円 1,300万円 750万円 500万円
第10回(1985年) 9,990万円 5,200万円 2,100万円 780万円 520万円
第11回(1986年) 1億350万円 5,400万円 2,200万円 1,700万円 1,400万円 540万円
第12回(1987年) 1億1,050万円 5,800万円 2,300万円 1,500万円 870万円 580万円
第13回(1988年) 1億1,980万円 6,300万円 2,500万円 1,600万円 950万円 630万円
第14回(1989年) 1億3,400万円 7,000万円 2,800万円 1,800万円 1,100万円 700万円
第15回(1990年) 1億4,250万円 7,500万円 3,000万円 1,900万円 1,100万円 750万円
第16回(1991年) 1億5,620万円 8,200万円 3,300万円 2,100万円 1,200万円 820万円
第17回(1992年) 1億6,680万円 8,800万円 3,500万円 2,200万円 1,300万円 880万円
第18回(1993年)
第19回(1994年)
第20回(1995年) 1億6,890万円 8,900万円 3,600万円 890万円
第21回(1996年) 1億9,000万円 1億円 4,000万円 2,500万円 1,500万円 1,000万円
第22回(1997年)
第23回(1998年)
第24回(1999年)
第25回(2000年)
第26回(2001年)
第27回(2002年)
第28回(2003年)
第29回(2004年)
第30回(2005年)
第31回(2006年) 1億7,200万円 9,000万円 3,600万円 2,300万円 1,400万円 900万円
第32回(2007年)
第33回(2008年)
第34回(2009年)
第35回(2010年)
第36回(2011年)
第37回(2012年)

外国馬の優先出走権[編集]

2009年5月の改定にて、その年のオペラ賞(フランス・ロンシャン競馬場)を優勝した外国馬には当競走への優先出走権が付与されることとなった[2]

優先出走権使用馬

褒賞金制度[編集]

ジャパン・オータムインターナショナルシリーズとなった2008年より、指定の海外競走に優勝した競走馬がその年の当競走に出走し優勝した場合には優勝賞金に加え褒賞金を交付している。また2009年5月の改定で範囲が拡大され、3着までに入着した場合にも褒賞金が交付されることとなった[2]

指定競走・金額は以下の通り[3]。イギリスオークス・ディアヌ賞・アイリッシュオークスは3歳馬によるレースで、それ以外は古馬混合レースである。なお褒賞金の額は年によって変動があり、最も高かった2010年は1着が9000万円、2・3着がそれぞれ3600万円・2250万円であった。

指定外国競走
開催国・競走名 格付 施行競馬場 施行距離 指定年
イギリスの旗イギリスオークス G1 エプソム 芝12f10y 2008年 -
フランスの旗フランスオークス G1 シャンティイ 芝2100m
アイルランドの旗アイリッシュオークス G1 カラ 芝12f
イギリスの旗ナッソーステークス G1 グッドウッド 芝9f192y
イギリスの旗ヨークシャーオークス G1 ヨーク 芝12f
フランスの旗ヴェルメイユ賞 G1 ロンシャン 芝2400m
フランスの旗オペラ賞 G1 ロンシャン 芝2000m
アイルランドの旗プリティーポリーステークス G1 カラ 芝10f
アメリカ合衆国の旗ビヴァリーD・ステークス G1 アーリントンパーク 芝9.5f
アメリカ合衆国の旗フラワーボウルインビテーショナルステークス G1 ベルモントパーク 芝10f
イギリスの旗ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアズステークス G1 アスコット 芝12f 2013年 -
賞金額
本競走1着馬 本競走2着馬 本競走3着馬
2008年 9000万円 - -
2009年 3600万円 2250万円
2010年
2011年 6300万円 2500万円 1600万円
2012年 5000万円 2000万円 1300万円
褒賞金獲得馬
回数 調教国・出走馬 当競走着順 指定競走結果 獲得褒賞金
第35回 イギリスの旗スノーフェアリー 1着 イギリスオークス1着、アイリッシュオークス1着 9000万円

歴史[編集]

4歳(現3歳)牝馬限定競走時代[編集]

  • 1976年
    • 京都競馬場の芝2400mの4歳(現3歳)牝馬限定の重賞競走「エリザベス女王杯」として創設(創設当初の負担重量は55kg)。
    • 牝馬二冠馬のテイタニヤが4着に敗れる。
  • 1979年 - 京都競馬場の改修工事により阪神競馬場の芝2400mで施行。
  • 1984年
    • グレード制施行によりGIに格付け。
    • 当競走で史上最多の21頭が出走。
  • 1986年 - メジロラモーヌが本競走を勝利し、史上初の牝馬三冠を達成。
  • 1987年
  • 1989年 - 岸滋彦騎乗のサンドピアリスが20頭中20番人気で勝利し、単勝払い戻し43060円を記録(グレード制施行後のGI最高単勝配当記録)。
  • 1993年 - 牝馬二冠馬のベガが3着に敗れる。

4歳(現3歳)以上牝馬競走時代[編集]

  • 1996年
    • 秋華賞の創設により、出走資格が「4歳(現3歳)牝馬」から「4歳(現3歳)以上牝馬」に変更(5歳(現4歳)以上の負担重量は56kgに設定)。
    • 4歳(現3歳)の負担重量が55kgから54kgに変更。
    • 施行距離を現在の芝・外回り2200mに変更。
    • 1着賞金が8900万円から1億円に増額。
    • 2位入線のヒシアマゾンが進路妨害により7着に降着。
  • 1999年
  • 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格が「4歳以上牝馬」から「3歳以上牝馬」に変更。
  • 2003年 - 外国調教馬(アナマリー、タイガーテイル)が当競走に初めて出走。
  • 2004年 - アドマイヤグルーヴが史上2頭目の連覇を達成。
  • 2006年
  • 2007年
    • 安藤勝己が地方競馬出身の騎手として史上初の優勝。
  • 2008年
  • 2010年
  • 2011年
    • イギリスのスノーフェアリーがレース史上では3頭目の連覇。また、外国調教馬による日本の重賞の連覇はカラジ(2005-2007年中山グランドジャンプを3連覇)以来2頭目(平地競走は史上初)[5]
    • ライアン・ムーアが外国人騎手として初の連覇。
  • 2012年
    • 出走馬選定方法が変わり、レーティングで上位5頭に優先出走を認める。
    • エリザベス女王の即位60年を記念する「ダイヤモンドジュビリー」記念競走として施行。なお、「ダイヤモンドジュビリー」という名称の使用は英国王室から公式に許可を得たもの[6]
    • 本馬場入場曲に3年ぶりに「ザ・チャンピオン」が使用される。
  • 2013年 - 英語の競走名表記を「Queen Elizabeth II Cup」に変更[1]

歴代優勝馬[編集]

国際競走となった1999年以降は優勝馬の国旗を表記する。馬齢は国際馬齢表記による。

4歳(現3歳)牝馬限定競走時代[編集]

回数 施行日 優勝馬 勝時計 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1976年11月21日 ディアマンテ 2:28.5 松田幸春 稲葉幸夫 佐藤弘嘉
第2回 1977年11月20日 インターグロリア 2:28.7 福永洋一 柳田次男 松岡正雄
第3回 1978年11月19日 リードスワロー 2:29.1 武邦彦 服部正利 熊本芳雄
第4回 1979年11月18日 ミスカブラヤ 2:32.6 岡部幸雄 西塚十勝 (有)鏑矢
第5回 1980年11月16日 ハギノトップレディ 2:27.9 伊藤清章 伊藤修司 日隈広吉
第6回 1981年11月15日 アグネステスコ 2:28.1 西浦勝一 久保道雄 渡辺孝男
第7回 1982年11月21日 ビクトリアクラウン 2:29.2 嶋田功 稲葉幸夫 飯田正
第8回 1983年11月20日 ロンググレイス 2:30.1 河内洋 小林稔 中井長一
第9回 1984年11月04日 キョウワサンダー 2:28.4 樋口弘 吉岡八郎 浅川吉男
第10回 1985年11月03日 リワードウイング 2:26.8 内田国夫 鶴留明雄 宮崎忠比古
第11回 1986年11月02日 メジロラモーヌ 2:29.1 河内洋 奥平真治 (有)メジロ牧場
第12回 1987年11月15日 タレンティドガール 2:29.3 蛯沢誠治 栗田博憲 飯田政子
第13回 1988年11月13日 ミヤマポピー 2:27.2 松田幸春 松田由太郎 大宮良吾
第14回 1989年11月12日 サンドピアリス 2:28.8 岸滋彦 吉永忍 (株)ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン
第15回 1990年11月11日 キョウエイタップ 2:25.5 横山典弘 稗田研二 松岡正雄
第16回 1991年11月10日 リンデンリリー 2:29.6 岡潤一郎 野元昭 林田秋利
第17回 1992年11月15日 タケノベルベット 2:27.1 藤田伸二 小林稔 武岡大佶
第18回 1993年11月14日 ホクトベガ 2:24.9 加藤和宏 中野隆良 金森森商事(株)
第19回 1994年11月13日 ヒシアマゾン 2:24.3 中舘英二 中野隆良 阿部雅一郎
第20回 1995年11月12日 サクラキャンドル 2:27.2 小島太 境勝太郎 (株)さくらコマース

4歳(現3歳)以上牝馬競走時代[編集]

回数 施行日 調教国・優勝馬 性齢 勝時計 優勝騎手 管理調教師 馬主
第21回 1996年11月10日 ダンスパートナー 牝4 2:14.3 四位洋文 白井寿昭 吉田勝己
第22回 1997年11月09日 エリモシック 牝4 2:12.5 的場均 沖芳夫 山本慎一
第23回 1998年11月15日 メジロドーベル 牝4 2:12.8 吉田豊 大久保洋吉 メジロ商事(株)
第24回 1999年11月14日 日本の旗メジロドーベル 牝5 2:13.5 吉田豊 大久保洋吉 メジロ商事(株)
第25回 2000年11月12日 日本の旗ファレノプシス 牝5 2:12.8 松永幹夫 浜田光正 (有)ノースヒルズマネジメント
第26回 2001年11月11日 日本の旗トゥザヴィクトリー 牝5 2:11.2 武豊 池江泰郎 金子真人
第27回 2002年11月10日 日本の旗ファインモーション 牝3 2:13.2 武豊 伊藤雄二 伏木田達男
第28回 2003年11月16日 日本の旗アドマイヤグルーヴ 牝3 2:11.8 武豊 橋田満 近藤利一
第29回 2004年11月14日 日本の旗アドマイヤグルーヴ 牝4 2:13.6 武豊 橋田満 近藤利一
第30回 2005年11月13日 日本の旗スイープトウショウ 牝4 2:12.5 池添謙一 鶴留明雄 トウショウ産業(株)
第31回 2006年11月12日 日本の旗フサイチパンドラ[注 1] 牝3 2:11.6 福永祐一 白井寿昭 関口房朗
第32回 2007年11月11日 日本の旗ダイワスカーレット 牝3 2:11.9 安藤勝己 松田国英 大城敬三
第33回 2008年11月16日 日本の旗リトルアマポーラ 牝3 2:12.1 C.ルメール 長浜博之 (有)社台レースホース
第34回 2009年11月15日 日本の旗クィーンスプマンテ 牝5 2:13.6 田中博康 小島茂之 (株)グリーンファーム
第35回 2010年11月14日 イギリスの旗スノーフェアリー 牝3 2:12.5 R.ムーア E.ダンロップ アナモイン社
第36回 2011年11月13日 イギリスの旗スノーフェアリー 牝4 2:11.6 R.ムーア E.ダンロップ アナモイン社
第37回 2012年11月11日 日本の旗レインボーダリア 牝5 2:16.3 柴田善臣 二ノ宮敬宇 田中由子
第38回 2013年11月10日 日本の旗メイショウマンボ 牝3 2:16.6 武幸四郎 飯田明弘 松本好雄
  1. ^ 第31回はカワカミプリンセスが1位で入線したが最後の直線入口で他馬の進路を妨害したとして審議の結果12着に降着処分、2位に入線したフサイチパンドラが繰り上がりで優勝となった(参考:カワカミプリンセスの走破時計 2:11.4)。

エリザベス女王杯の記録[編集]

  • レースレコード - 2:11.2(第26回優勝馬 トゥザヴィクトリー)
  • 2着との最大着差 - 4馬身(第35回優勝馬 スノーフェアリー)
  • 同一馬による連覇 - 3
    • メジロドーベル - 第23、24回
    • アドマイヤグルーヴ - 第28、29回
    • スノーフェアリー - 第35、36回
  • 同一騎手による連続優勝 - 4(第26〜29回 武豊。同競走の最多勝利騎手でもある)
  • 外国人騎手による優勝 - クリストフ・ルメール(第33回優勝馬 リトルアマポーラ)、ライアン・ムーア(第35、36回優勝馬 スノーフェアリー)

4歳(現3歳)牝馬限定競走時代の桜花賞または優駿牝馬から本競走の制覇[編集]

4歳(現3歳)牝馬限定競走時代の牝馬三冠制覇[編集]

関連項目[編集]

  • ビクトリアカップ - エリザベス女王杯の前身の競走
  • ヴィクトリアマイル - 春の古馬牝馬女王決定戦
  • サンドリンガム賞Prix de Sandringham) - フランスのG2戦。フランスオークス(ディアヌ賞)の前哨戦、リラ賞として行われていたが1972年にエリザベス女王がロンシャン競馬場の観戦に訪れた際にエリザベス女王杯(Coupe de Sa Majesté la Reine Elizabeth)と改名された。のちに、エリザベス女王が所有する王室牧場にちなんでサンドリンガム賞と改称された[7]

脚注[編集]

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外部リンク[編集]