西加奈子
西 加奈子 (にし かなこ) | |
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誕生 |
1977年5月7日(47歳) テヘラン生まれ カイロ・ 大阪府和泉市育ち |
職業 | 小説家・エッセイスト |
言語 | 日本語 |
教育 | 学士(法学) |
最終学歴 | 関西大学法学部 |
ジャンル | 小説 |
代表作 |
『きいろいゾウ』(2006年) 『ふくわらい』(2012年) 『サラバ!』(2014年) |
主な受賞歴 |
織田作之助賞(2007年) 河合隼雄物語賞(2013年) 直木三十五賞(2015年) |
デビュー作 | 『あおい』(2004年) |
配偶者 | あり |
子供 | 1 |
公式サイト | 西加奈子 - Official Website - |
ウィキポータル 文学 |
西 加奈子(にし かなこ、1977年5月7日[1] - )は、日本の小説家。
イラン生まれ、大阪府出身。『あおい』(2004年)で文壇に登場。勢いのある軽快な筆致で人情、人生の機微を描く。『サラバ!』(2014年)で直木賞を受賞。ほかに『さくら』(2005年)、『漁港の肉子ちゃん』(2011年)、『i』(2016年)など。
略歴
[編集]父の海外赴任地イランのテヘランに生まれ、イラン革命が起きた2歳のときに帰国[2]。次いで、小学1年生から4年生までをエジプト・カイロで過ごし[2]、帰国後は大阪府和泉市光明台で育つ。和泉市立光明台中学校[3]、大阪府立泉陽高等学校、関西大学法学部卒業。
大学卒業後は就職せず、アルバイトとして『ぴあ』の店舗取材ライターを続ける傍ら、のちに友人と協同で玉造 (大阪市)にカフェを開業[4]。25歳くらいから短編小説を書き始め、作家になるために、自信作を携えて単身上京[5]。知り合いから小学館の編集者を紹介され、2004年『あおい』にてデビュー、翌2005年に発表した『さくら』が20万部を超えるベストセラーとなった[6]。その後、『通天閣』で織田作之助賞(2007年)、『ふくわらい』で河合隼雄物語賞(2013年)、作家生活10周年を記念して上梓した大作『サラバ!』で、直木賞(2015年)を受賞した。
『きいろいゾウ』(2006年)が、宮崎あおい、向井理の出演で映画化(2013年2月公開)され[7]、また、2021年6月には『漁港の肉子ちゃん』(2011年)が、明石家さんまの企画・プロデュース、渡辺歩の監督で劇場アニメ映画化された[8]。
2012年に結婚、2017年に第1子を出産[9]。2019年12月、2年間の語学留学として家族でカナダ・バンクーバーに転居した[10][11]。2022年末に帰国し、現在は東京在住 [12][13]。
人物
[編集]海外生活は、誕生から2歳までイラン・テヘラン、小学1年から5年までエジプト・カイロ。それ以降は大阪であり、性格的には根っからの大阪人である[14]。大阪文化を担う人材に贈られる咲くやこの花賞を2011年に受賞[15]。
大阪に住んでいた頃からひそかに小説を書いては一人で悦に入っていたが、人に読ませたところ「技術はあるけど感情が無い」と言われ、「書きたくなるまで感情を溜めないとだめだ」と勧められるまま半年ほど断筆、その後に閃いたイメージから猛烈な勢いで一気に書き上げたのが『あおい』である。この作品に西はいたく愛着が湧き、「活字にせな」と思い立ち、いくつも仕事を掛け持ちして上京資金を貯め、「全部捨てんとアカン」とそれまでの大阪生活の全てを投げうって身一つで東京に移り住んだ。『あおい』は程なくして『世界の中心で、愛をさけぶ』の編集者の目にとまって出版にこぎつけ、西は文壇デビューを果たした[14]。
直木賞受賞会見の席で「プロレスから勇気をもらった」と語るなどプロレスファンであり、特に新日本プロレスの棚橋弘至をひいきの選手に挙げている[16]。
受賞・候補歴
[編集]- 2007年、『通天閣』で第24回織田作之助賞大賞受賞。
- 2011年、第29回咲くやこの花賞(文芸その他部門)受賞。
- 2013年、『ふくわらい』で第148回直木三十五賞候補、第10回本屋大賞5位、第1回河合隼雄物語賞受賞。
- 2015年、『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞[17]、第12回本屋大賞2位[18]。
- 2015年、VOGUE JAPAN Women of the Year 2015 受賞[19]。
- 2016年、Granta Best of Young Japanese Novelists 2016
- 2023年、『くもをさがす』で書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト2023大賞を受賞[20]
作品
[編集]小説
[編集]- 『あおい』(小学館、2004年6月 / 小学館文庫、2007年6月)
- あおい/サムのこと/空心町深夜2時
- 『さくら』(小学館、2005年3月 / 小学館文庫、2007年12月)
- 『きいろいゾウ』(小学館、2006年3月 / 小学館文庫、2008年3月)
- 『通天閣』(筑摩書房、2006年11月 / ちくま文庫、2009年12月)
- 『しずく』(光文社、2007年4月 / 光文社文庫、2010年1月)
- ランドセル/灰皿/木蓮/影/しずく/シャワーキャップ
- 『こうふく みどりの』(小学館、2008年3月 / 小学館文庫、2011年4月)
- 『こうふく あかの』(小学館、2008年3月 / 小学館文庫、2011年5月)
- 『窓の魚』(新潮社、2008年6月 / 新潮文庫、2011年1月)
- 『うつくしい人』(幻冬舎、2009年2月 / 幻冬舎文庫、2011年8月)
- 『きりこについて』(角川書店、2009年4月 / 角川文庫、2011年10月)
- 『炎上する君』(角川書店、2010年4月 / 角川文庫、2012年11月)
- 太陽の上/空を待つ/甘い果実/炎上する君/トロフィーワイフ/私のお尻/舟の街/ある風船の落下
- 『白いしるし』(新潮社、2010年12月 / 新潮文庫、2013年7月)
- 『円卓』(文藝春秋、2011年3月 / 文春文庫、2013年10月)
- 『漁港の肉子ちゃん』[21](幻冬舎、2011年8月 / 幻冬舎文庫、2014年4月)
- 『地下の鳩』(文藝春秋、2011年12月 / 文春文庫、2014年6月)
- 地下の鳩/タイムカプセル
- 『ふくわらい』(朝日新聞出版、2012年8月 / 朝日文庫、2015年9月)
- 『ふる』(河出書房新社、2012年12月 / 河出文庫、2015年11月)
- 『舞台』(講談社、2014年1月 / 講談社文庫、2017年1月)
- 『サラバ!』(小学館、2014年11月 / 小学館文庫、2017年10月)
- 『まく子』(福音館書店, 2016年2月 / 福音館文庫、2019年2月)
- 『i』(ポプラ社、2016年11月 / ポプラ文庫、2019年11月)
- 『おまじない』(筑摩書房、2018年3月 / ちくま文庫、2021年3月)
- 燃やす/いちご/孫孫/あねご/オーロラ/マタニティ/ドブロブニク/ドラゴン・スープレックス
- 『サムのこと 猿に会う』(小学館文庫、2020年3月)
- サムのこと/猿に会う/泣く女
- 『夜が明ける』(新潮社、2021年10月)
ノンフィクション・エッセイ
[編集]- 『ミッキーかしまし』(筑摩書房、2007年)
- 『ミッキーたくまし』(筑摩書房、2009年)
- 『この話、続けてもいいですか。』(ちくま文庫、2011年11月) - 『ミッキーかしまし』『ミッキーたくまし』の再編集版
- 『ごはんぐるり』(NHK出版、2013年4月 / 文春文庫、2016年2月)
- 併録:「奴」
- 『まにまに』(KADOKAWA、2015年9月 / 角川文庫、2019年2月)
- 『くもをさがす』(河出書房新社、2023年4月)
- 『わたしに会いたい』(集英社、2023年11月)
共著
[編集]絵本
[編集]- 『絵本 きいろいゾウ』(小学館、2006年7月)
- 『めだまとやぎ』(LD&K BOOKS、2012年10月)
- 『きみはうみ』(スイッチ・パブリッシング、2015年11月)
作詞
[編集]- チャットモンチー
- 例えば、(『共鳴』(きょうめい)に収録、2015年)[22][23]
出演
[編集]テレビ
[編集]- 2012年10月6日
- 2014年1月11日・1月18日・8月30日・9月6日・11月22日
- 2015年1月17日・8月15日
- オダサクさん、こんにちは「生誕100年 作家・織田作之助と“夫婦善哉”(NHK総合、2013年8月31日)
- 共感百景~痛いほど気持ちがわかる あるある~(テレビ東京)
- 2014年1月2日
- 2015年1月2日
- 2016年1月2日
- SWITCHインタビュー 達人達(NHK Eテレ、2014年11月29日)椎名林檎と対談
- ゴロウ・デラックス (TBS系列、2015年2月6日) 「直木賞&芥川賞の豪華共演・第2弾!!」で小野正嗣と出演
- SMAP×SMAP(フジテレビ系列、2015年7月20日)
- 探検バクモン(NHK総合、2015年9月30日・10月6日)
- EG-style(フジテレビ系列、2015年11月13日)
- さんまのまんま(フジテレビ系列、2015年12月13日)
- 又吉直樹 神の島を行く~宗像大社と出光佐三~(TBS系列、2015年12月13日)
- TOKYO DESIGN WEEK TV(BS日テレ、2016年3月7日)
- ご本、出しときますね?(BSジャパン、2016年4月8日、6月17・24日)
- トーキングフルーツ(フジテレビ系列、2017年2月22日)
- タイプライターズ~物書きの世界~(フジテレビ系列、2017年7月12日)
- 猫にまた旅~椎名林檎・MIKIKO・西加奈子 ロシアを行く~(NHK総合、2018年6月30日)
ラジオ・ポッドキャスト
[編集]- オードリーのオールナイトニッポン(2015年6月7日、2016年6月12日)
- Jam the WORLD(2016年2月26日)
- 加藤千恵&西加奈子のオールナイトニッポンR(2016年6月25日)
- CHINTAI TOKYO DISTRICT(2017年10月29日)
- VOGUE JAPAN Podcast「西加奈子の12冊の処方箋」(Spotifyなど、2021年5月19日 - 2021年8月5日、全12回)
- NHKジャーナル(2023年6月1日)
脚注
[編集]- ^ 『文藝年鑑』2008年
- ^ a b 『私だけのふるさと:作家たちの原風景』毎日新聞夕刊編集部編、岩波書店、2013年。
- ^ “和泉市立光明台中学校 野里 和宏校長先生”. 2017年9月18日閲覧。
- ^ 『作家の読書道2』本の雑誌編集部編、本の雑誌社、2007年、57、58頁。
- ^ 『作家の読書道2』本の雑誌編集部編、本の雑誌社、2007年、59頁。
- ^ 『作家の読書道2』本の雑誌編集部編、本の雑誌社、2007年、59-62頁。
- ^ 宮崎あおいと向井理が夫婦役で初共演。「2人の関西弁も実に似合っている」と監督 2012年5月18日 ムービーコレクション
- ^ “明石家さんまプロデュースの劇場アニメ「漁港の肉子ちゃん」初夏公開、制作はSTUDIO4℃”. コミックナタリー (2021年1月1日). 2021年7月19日閲覧。
- ^ “FRaU 考えを押し付けない、西加奈子の子育て論[家族のかたち]”. 講談社 (2018年3月27日). 2022年4月9日閲覧。
- ^ “INFORMATION & DIARY「バンクーバー」”. NISHI KANAKO OFFICIAL WEBSITE (2019年12月16日). 2021年2月21日閲覧。
- ^ “#ESSAY「かえってゆくもの」”. Anglobal Community Mart (2020年3月20日). 2021年2月21日閲覧。
- ^ “INFOMATION & DIARY「帰国します」”. NISHI KANAKO OFFICIAL WEBSITE (2022年12月8日). 2023年3月9日閲覧。
- ^ “西加奈子”. 西加奈子『くもをさがす』特設サイト|河出書房新社 (2023年3月8日). 2023年3月9日閲覧。
- ^ a b 「Shortcuts」『サブラ』2005年6月23日号、小学館、45頁。
- ^ “第17回大阪市図書館フェスティバル 西 加奈子講演会(咲くやこの花コレクション)”. 大阪市立図書館 (2014年9月17日). 2022年4月9日閲覧。
- ^ 【直木賞受賞会見】西加奈子さん「プロレスからむちゃくちゃ勇気をいただいてます」(5/7ページ) - 産経ニュース 2015年3月19日閲覧
- ^ “直木賞最新情報”. 文藝春秋 (2015年1月15日). 2015年1月15日閲覧。
- ^ これまでの本屋大賞
- ^ “『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』に吉田羊、広瀬すず、ベビメタら”. ORICON STYLE (2015年11月26日). 2015年11月27日閲覧。
- ^ “西加奈子氏、乳がん公表の初ノンフィクションが「書店員が選ぶノンフィクション大賞」に【コメント全文】”. ORICON NEWS. oricon ME (2023年10月27日). 2023年10月27日閲覧。
- ^ “控えめ宣言の明石家さんまに総ツッコミ、吉田拓郎号泣「たぶんうそ(笑)」”. 日刊スポーツ (2021年6月12日). 2021年6月12日閲覧。
- ^ Department, Skream! Editorial. “チャットモンチー”. Skream! 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト. 2021年2月14日閲覧。
- ^ “チャットモンチーへの愛 西加奈子「私を生かしてくれて、ありがとう!」 - Peachy”. ライブドアニュース. 2021年2月14日閲覧。