王立宇宙軍 オネアミスの翼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
王立宇宙軍 オネアミスの翼
監督 山賀博之
脚本 山賀博之
製作 末吉博彦井上博明
製作総指揮 山科誠
出演者 森本レオ
弥生みつき
村田彩
音楽 坂本龍一上野耕路野見祐二窪田晴男
配給 東宝東和
公開 日本の旗 1987年3月14日
上映時間 119分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 8億円
配給収入 3億4700万円
テンプレートを表示

王立宇宙軍 オネアミスの翼』(おうりつうちゅうぐん オネアミスのつばさ)は、ガイナックス制作のSFアニメ映画。1987年(昭和62年)3月14日に劇場公開された。

架空の惑星にあるオネアミス王国を舞台として、王立宇宙軍の士官シロツグが史上初の宇宙飛行士に志願し、仲間とともにロケット打ち上げを目指すという作品。


物語[編集]

1950年代の地球に似ている「もうひとつの地球」にある「オネアミス王国」、正式国名「オネ・アマノ・ジケイン・ミナダン王国連邦」が舞台となる。

「失敗ばかり」「なにもしない軍隊」と揶揄され、世間にオネアミス王国の落第軍隊として見下されている王立宇宙軍。宇宙軍士官のシロツグ・ラーダットはかつては水軍[注 1]のジェット戦闘機乗りにあこがれていたが、仕方なく入った宇宙軍で張り合いのない日々を送っていた。ある夜同僚たちと訪れた歓楽街で、シロツグは献身的に布教活動を行う少女、リイクニ・ノンデライコと出会う。多少の下心を秘めてリイクニの住居を訪れたシロツグだったが、彼女から「戦争をしない軍隊」である宇宙軍をほめられて思わず発奮し、人類初の有人宇宙飛行計画の宇宙飛行士に志願する。最初は呆れていた同僚たちもシロツグのやる気に感化され、宇宙旅行協会の老技術者たちとともにロケット打ち上げの準備を進める。

落ちこぼれの軍人から国家的英雄にまで祭り上げられるシロツグだったが、打ち上げ計画の裏事情、多額の税金を使う宇宙開発の是非、開発責任者の事故死などのつらい現実に直面する。さらに計画を妨害するため敵国「共和国」が放った暗殺者に命を狙われ、自己防衛のためとはいえ人を殺めてしまう。シロツグはリイクニに救いを求めようとするが、宗教にひたむきな彼女とはすれ違うばかりで、むしろ彼女と暮らす幼な子マナとの交流に心を癒される。

打ち上げ当日、国境近くのロケット発射台を巡り王国軍と共和国軍の激しい局地戦が始まる。カウントダウンが一旦中止されるも、シロツグは操縦席の中から仲間に発射決行を呼びかける。ロケットは弾丸飛び交う地上を離れて天高く上昇し、衛星軌道上にたどりついたシロツグは、地上の人々へ祈りのメッセージを語りかける。

概要[編集]

企画[編集]

本作の企画母体となったのは、日本SF大会のOPアニメを製作するために組織されたアマチュア映像集団「DAICON FILM」である。当時大学生だった山賀博之庵野秀明前田真宏貞本義行ら主要スタッフは『超時空要塞マクロス』や『風の谷のナウシカ』の制作現場に参加してプロの仕事を学んだのち、次の方向としてオリジナル商業作品の創作に向かった。

当初は製作費4000万円のオリジナルビデオアニメーション (OVA) として企画されていたが[1]、当時EMOTIONレーベルで映像事業に進出していたバンダイ山科誠社長への売り込みが成功し、2時間の長編アニメ映画として製作することになった。本作を制作するためDAICON FILMは解散し、1984年(昭和59年)にGAINAXが設立された。映画製作の進行状況などは月刊モデルグラフィックス誌上において毎月リアルタイムに連載された。

企画がバンダイに来た時、押井守に相談している(世界初OVA『ダロス』監督)。すると押井は宮崎駿を紹介した。宮崎は庵野秀明を『風の谷のナウシカ』でアニメーターをしていたので「きっと面白いだろう」と勧めた、と渡辺繁は語っている。

アマチュアで名を馳せていたものの、プロで実績のない制作集団が全国ロードショー作品を任されることは異例であった。本作で映画監督デビューした山賀は当時24歳[注 2]、スタッフの平均年齢も24歳と若く、精密な世界設定や驚異的な作画水準など、アニメブーム期に台頭してきた若手クリエーターがセンスを発露する場となった。DAICON FILMの作品はマニア受けのするパロディやオマージュで知られたが、本作ではそうした要素を交えない姿勢に徹している。

1992年平成4年)頃には山賀自身によって続編の『蒼きウル』が構想されたが、諸事情から凍結となった。その後も何度か製作再開が発表されたが[2][3]、まだ実現には至っていない。

タイトル[編集]

本作の企画構想時にスタッフが喫茶店で打ち合わせをしていた時、隣の客がロイヤルミルクティーを注文した。山賀はとっさに「ロイヤル・スペースフォース」という語を思い浮かべ、これを和訳した「王立宇宙軍」を企画タイトルにすることを閃いた[4]。「王立〜軍」という言葉は、イギリスの軍組織が「王立空軍 (Royal Air Force)」「王立海軍 (Royal Navy)」などと呼称されることを踏まえたものである。

これではイメージが固すぎるとの考えから、1986年の映画製作発表時には副題を付け、「王立宇宙軍 リイクニの翼」という仮タイトルになった[5]。その後"リイクニの翼"では、観客の意識がリイクニに偏り過ぎるという事で"オネアミスの翼"に変更、さらに配給元の東宝東和の意向で主題と副題を入替え、劇場公開時は「オネアミスの翼 王立宇宙軍」のタイトルとなった。

この入替えは制作サイドからは不評であったため、レーザーディスク化の際「王立宇宙軍 オネアミスの翼」に戻され、以後の映像ソフトでもこのタイトルとなっている。

制作手法[編集]

緻密でリアリティある作画を実現するため、シロツグの初めて体験する飛行訓練シーンでのプロペラ回転始動のカットなど一部にはコンピュータグラフィックスも導入されている。しかし、テクスチャマッピングされた動画にも莫大な時間と費用を要する時代であり、その節約のため、ワイヤーフレームで描かれた線をなぞって手書きの動画に起こす手法が採られた。

主人公のシロツグ・ラーダット役を俳優の森本レオが担当したほか、声優陣はベテラン・中堅の実力派を多数起用している。当時現役日本テレビアナウンサーであった徳光和夫がTVアナウンサー役で、外人タレントとして人気だったアントン・ウィッキーオスマン・サンコンはコメディアン(漫才師)役として声をあてている。徳光和夫は映画公開前に日本テレビで放映された今作の特集番組にも出演している。

また、敵対勢力である共和国側の人物の会話は全て架空の外国語によって進行し話内容は字幕で表現するが、その声優には全て外国人が充てられた。これは、日本人が発音するとどうしても嘘くさくなるため、より外国としての現実感を出すための演出方法として採り入れられたもの。

2015年現在、「戦場のメリークリスマス」で映画音楽を手がけた坂本龍一がアニメーションの音楽監督を担当した唯一の作品である。坂本龍一が全体を統括し、上野耕路野見祐二窪田晴男に楽曲を割り振っている。坂本が4種類の基本的なテーマ(プロトタイプ)を提示、それをもとに、坂本を含めた各作曲家がかなり自由なアレンジ(バリエーション)を行っている。また各作曲家オリジナルの楽曲も含まれる。坂本と共に作編曲を担当した上野耕路、野見祐二は『子猫物語』『ラストエンペラー』でも共作している。なお、書籍「坂本龍一・全仕事」(山下邦彦編、1991年)にて『メインテーマ』と『リイクニのテーマ』の坂本本人の作曲時のスケッチを見る事が出来る。

サウンドトラック盤には未収録曲があったが、そのほとんどは、LDのコレクターズボックスに音声特典で収録された。

作品イメージソングとして統乃さゆみオネアミスの翼〜Remember Me Again〜』(CBSソニー。作詞・森生紗都子、作曲・長戸大幸)がビーイングによって制作され宣伝映像に用いられたが、アニメ本編で使用されることはなかった。

その他[編集]

公開当時、上映時間の都合からカットされた場面(約1分)があり、「メモリアルボックス」において登場キャラクターの声優である森本レオ・曽我部和恭による追加アフレコを行った上で本編に組み込まれた。その後1997年発売の「サウンドリニューアル版」ではこの場面は特典映像扱いとなり、本編は公開版に戻されている。これとは別に東宝東和側から、一日の上映回数を増やすため40分程度尺をカットするよう求められた際、企画の岡田斗司夫が「フィルムを切るのなら俺の首を切れ!」と啖呵を切り、阻止した[6]

2007年バンダイビジュアルBDソフトの発売に参入するにあたり、舞台の「HONNEAMISE」がBD用レーベルとして5年間使われることになる。

興行成績[編集]

公開当時、ハリウッドでのプレミア上映などプロモーションにかかった宣伝費などを含む総製作費は8億円と発表された。のちに岡田斗司夫は制作費は3億6000万くらいと述べている[7]。この件に関し、山賀は当初バンダイからもらった予算が3億6000万円、坂本龍一の音楽監督起用で4000万円追加され、それでも足りず4000万円オーバーした(=4億4000万円)と具体的な数字を述べている[8]。山科誠(バンダイ社長)は、製作費8億のうち「宣伝費が3億ぐらい。(現場サイドには)実質的には4億ちょっと、5億ぐらいですか」と述べている[9]

一部でロングラン上映をする館もあったが[10]、地味なストーリーのためか興行成績は振るわず、総製作費8億円に対し配給収入は3億4700万円に終わった[11]。GAINAXの次作となるOVA『トップをねらえ!』では一転してアニメファンを意識した戦略がとられた。

ビデオ・レーザーディスク(「メモリアルボックス」)は長く好調な販売を記録した。1997年(平成9年)にドルビーデジタル版(「サウンドリニューアル版」)が制作、同年11月2日に公開された。アニメ制作会社の経営者対談の中で、近藤光ufotable社長)は「オネアミスの翼は15年かかって回収しているんです」と述べている[12]

評価[編集]

日本に先駆けロサンゼルスでプレミア上映も行われたが、これは配給サイドによる箔付け的な要素が強く、内容は米スタッフにより大幅に編集されほぼ別物となっていた。作品を見たシド・ミードマイケル・ビーンらは「素晴らしい映像美」を高く評価した。

本作品に対し宮崎駿は、金のない無名の若者たちが集団作業で作る姿勢に好感を持って応援し[13][14]バンダイを説得するための話などをした。完成した作品にもある程度の評価をしているが、作中でロケット打ち上げの際に将軍が簡単に打ち上げを諦めたこと[15]や主人公以外の、努力してきた年配者を描かないことを批判[16]。『キネマ旬報』1987年3月下旬号で山賀博之監督とほとんど口論に近い形の対談を行っている。

堀江貴文は、本作の熱心なファンとして知られ、宇宙事業参入を目指し、知人らとロケット開発を行っていた[17]

安彦良和は、「全然素晴らしいとは思わない。何のメッセージもない。ただ映像は素晴らしい。誰がやったんだこんなとんでもない作画。そういうことをやって何を言いたいんだっつったら、地球は青かったって言うんですよ。それガガーリンだろ、50年代だろ、ふざけんな(笑)。青いの当たり前じゃない、みんな知ってんだよ。それが物凄い気持ち悪かったんですよね。こんなに無意味なもの、これだけのセンスと技術力を駆使して表現しちゃうこいつら何なの?って」と評価している[18]

押井守は2016年のインタビューで、「本格的な異世界ファンタジーをちゃんとやりきれたフィルムなんて数えるほどしかない」と述べ、アニメでの例として『風の谷のナウシカ』とともに本作を挙げている[19]

主な登場人物・声優[編集]

(括弧)内はLDメモリアルボックス添付のブックレットに記載されていた名称。

主要人物[編集]

シロツグ・ラーダット
- 森本レオ[注 3]
宇宙軍士官第2期生で、階級は中佐(劇中で昇進し大佐)。宇宙飛行士候補。21歳。身長171cm、体重62kg。
中流家庭で平凡に生まれ育つ。学業の成績に鑑み、水軍パイロットへの夢は諦め、仕方なく入った宇宙軍で漫然と過し、同僚の殉職にも無感動であった。
歓楽街でリイクニから宗教勧誘のビラを受け取ったのをきっかけに宇宙戦艦パイロットへ志願し、様々な訓練やトラブルを乗り越えながら史上初の宇宙戦艦(有人人工衛星)パイロットとなる。
リイクニ・ノンデライコ
声 - 弥生みつき
17歳。身長165cm、体重52kg。B78・W61・H88。
不仲な両親にないがしろにされ、熱心な宗教家の祖母に育てられた。祖母が外国系のクォーター。
心の在りようを現実世界ではなく、外国系の信仰の世界に置いており、歓楽街の路上で布教活動を行っている。劇中でも数度祈りを捧げるシーンがある。肉体関係を求めて暴行しようとしたシロツグを殴って気絶させてしまうが、その後に「シロツグさんが私を許してくれるのは分かっている」「神の前では私は許されざる存在」と自省の弁を語るなど、浮世離れした性格の持ち主である。
シロツグとの別れのシーンでは、「行ってきます」と笑顔を見せるシロツグを同じように笑顔で見送った。
マナ
声 - 村田彩
5歳。身長108cm、体重22kg。
不仲な夫婦の娘。夫婦の経営する飲み屋の洗い場で働いていたリイクニが、喧嘩の絶えない家庭環境を見かねて強引に引き取り同居させている。人見知りが激しく、人と付き合う術を知らない。
女の子だがシロツグは最初この子を男の子と思った。
極端に無口で、作中でも台詞は「お星さま!」と「あっち?」のみ。シロツグとリイクニの言い争いに驚き泣くことも。
徐々にシロツグに懐いてゆき、宇宙へ赴くシロツグを笑顔で見送った。

宇宙軍[編集]

マティ
声 - 曽我部和恭
宇宙軍中佐。第2期生。21歳。身長176cm、体重68kg。
シロツグの親友。非常に要領が良く女にももてる。バイクマニアにしてカーマニア。繁華街に顔が広くなじみの酒場女もけっこういるらしく、その女性からは「とんちゃん」と呼ばれている。(その愛称の由来は初期設定の名前が「トンデン」である事から)
ロケット打ち上げでは発射管制を担当。
カロック
声 - 平野正人
宇宙軍中佐。第3期生。23歳。身長183cm、体重70kg。
ロケット推進機関の専門家。冷静だが怒ると手が付けられず「瞬間湯沸かし器」のあだ名を持つ。
ドムロット
声 - 鈴置洋孝
宇宙軍中佐。第1期生。21歳。身長170cm、体重58kg。
実家が地方豪族の名家で、プライドが高い。唯一人残った第1期生。
自分のことは棚に上げて他人の無責任さを嫌っており、「宇宙軍一の無責任男」と呼ばれる[21]
ダリガン
声 - 伊沢弘
宇宙軍中佐。第3期生。25歳。身長167cm、体重60kg。
宇宙軍一の秀才で、レンズが側面まで伸びた眼鏡をかけている。趣味でSF小説を執筆し投稿するが、掲載誌が必ず廃刊になるジンクスがある。
チャリチャンミ
声 - 戸谷公次
宇宙軍少佐。第3期生。20歳。身長160cm、体重65kg。
周囲との交友が少なく愛猫と戯れている。風呂に入らず不潔、口が悪い。
ロケット発射時は、グリア天文台で観測を行った。
ネッカラウト
声 - 安原義人
宇宙軍少佐。第3期生。20歳。身長173cm、体重65kg。
変わり者で異常に新しい物好きなため、享楽的・派手好きな国民性のオネアミス王国にあっても、周囲からは特異視されている[注 4]。軍の公用車を私物化して乗り回している。
ヤナラン
声 - 島田敏
宇宙軍少佐。第3期生。20歳。身長190cm、体重105kg。
中小企業の会社社長子息として育ったため、大柄な体格に似合わぬお坊ちゃまな性格。しかし空軍下士官たちとの乱闘では数人を相手に立ち回りを演じた。手先が器用で、発射基地では電気関係を担当。
マジャホ
声 - 安西正弘
宇宙軍少佐。第3期生。19歳。身長152cm、体重52kg。
見かけが老けているため子供がいるとの噂がある。実家はパン屋で、宇宙軍にも差し入れのパンが届いた。
ロケット発射時は、チャリチャンミとともにグリア天文台で観測を行った。
カイデン・ル・マシーレ
声 - 内田稔
王立宇宙軍将軍(司令官)。53歳。身長166cm、体重59kg。
宇宙軍の創設者にして最高責任者。王室にも通じる手腕を生かし有人衛星打上げに情熱を注ぐ。
裏金調達のための手段として、本来は軍人には禁じられている私企業(ダミー会社)を所有している。
もともとは歴史家を目指していたが、戦争が起き、祖国を救おうと軍隊に入った過去を持つ。
指導官
声 - 飯塚昭三
王立宇宙軍訓練指導官。41歳。身長185cm、体重70kg。
学位や資格もない叩き上げ軍人の典型。あだ名は「脳味噌筋肉」。「給料分の〜」が口癖。
ロケット発射時はカイデン将軍を補佐した。
宇宙軍における身分は軍人ではなく嘱託である[22]

宇宙旅行協会[編集]

グノォム博士
声 - 大塚周夫
宇宙旅行協会リーダー。51歳[注 5]
他の協会員とは違い、話の分かる頼れる存在。希代のプレイボーイ、冒険家でもある。シロツグ以外のロケット構成部品のそれぞれに、野生生物などの名前を借りて「責任をもって命名」している。
ロケット燃焼実験の時に爆発事故が発生し、シロツグは軽傷だったがグノォムは搬送先の病院で死亡。美貌の婦人がいた。
デクロ
声 - 及川ヒロオ
宇宙旅行協会に所属する7人の博士の内の1人。目が大きい。打ち上げ地変更を「(国防)総省の命令(だから逆らえない)」と語った。
ロンタ
声 - 槐柳二
宇宙旅行協会博士。車椅子を使用している。まだ完成していない水素エンジンをロケットに組み込もうとした。
老人D(ドンカン)
ポケットに手を入れてふわふわさせている仕草が可愛い。ロケット打ち上げの際に一段目切り離し成功を確認した。
老人E(エエガー)
突っ立っているだけで生きているか死んでるのかよくわからない。ロケットの発射場所がカネアに移ったのを知ったマティが声をかけるが無反応。
老人F(フォンマ)
いつもニコニコしていて、いつも何か食べている。
老人G(ゴイル)
松葉杖をついている。水素エンジンに反対したカロックを「後から来たくせに、ごちゃごちゃ抜かすな!」と怒鳴り散らした。
老人H(ハンパ)
度の強い眼鏡をしている。ロケット打ち上げの際に上昇高度の読み上げを担当した。

王国貴族[編集]

将軍の提唱する宇宙戦艦計画の説明を受けた3名。うち1名は国防総相。すでに宇宙軍そのものを見限っており、真剣に説明する将軍に向かって「(宇宙軍設立について)我々は10年も前に後悔を済ませた。あとはどうやって忘れるか、だ」と価値を認めなかった。ロケットの発射場をあえて国境の「緩衝地帯(恐らく地球での非武装地帯)」ギリギリに変更し、それを奪わせて外交交渉の材料とするつもりだった。

王立空軍[編集]

  • 空軍パイロット:声 - 沢りつお
    飛行訓練に来たシロツグを同乗させ、複座型の練習戦闘機を操縦する。
  • 管制官:声 - 石井隆夫
  • 空軍士官A:声 - 村越伊知郎[注 6]
  • 空軍士官B:声 - 山下啓介
  • 空軍士官C:声 - 林一夫
    宇宙軍士官達を挑発し、乱闘になってしまう。
  • スピーカーの声:声 - 八代駿
  • デンタ:声 - 山崎哲也

共和国[編集]

ネレッドン
声 - ウィリー・ドーシー
共和国の政治局次官。宇宙戦艦計画の阻止を図り、ロケット発射場への侵攻の指揮を執る。
書記官(デッサラ・ザーリ)
声 - フェイザンキー・ベロット
ネレッドン付の書記。
殺し屋
打ち上げ計画阻止の時間を稼ぐため、シロツグを暗殺する目的で共和国警察局からオネアミス王国に送り込まれた。周囲に怪しまれないよう老婆に化けていたが、実は男性。

なお、映像としては登場していないが、共和国の最高指導者のカン大統領は公開当時の書籍に設定画が記載されている

その他[編集]

登場メカニック[編集]

王国[編集]

宇宙軍・第4号ロケット
王国史上4個目のロケット。クラスター型3段式。正式名称は「立派になってね=お姉さんも見守ってるわよ号」[要出典]。それまで失敗続きだったため、軍上層部としては実質的な成果よりも政治の道具として用いようとする動きが強かった。
  • 第1号ロケット 銀色に塗った植木皿の打ち上げに成功。
  • 第2号ロケット 発射台上で爆発。
  • 第3号ロケット 推力が不足し弾道軌道に終わる。
  • 第4号ロケット 有人宇宙飛行に挑む。全長35.3m、重量385t[注 8]
宇宙軍・宇宙戦艦(軌道宇宙船)
対外的な示威として付与された勇ましい呼称と裏腹に、人ひとりを宇宙に飛ばしてまた戻ってくる機能しか持たない生命維持装置。あえて武装を挙げるとすれば斧を1本備えており、これは着水後にハッチが開かなかった時などの非常脱出用である。
宇宙飛行士に志願したシロツグは、宇宙戦艦の内部を再現した地上シミュレーターで操作訓練を受ける。
作中では人間工学という概念はまだ生まれていないが、宇宙戦艦の什器はグノオム博士の経験にもとづいて、容易に操作できるように配置されている。
宇宙軍・公用車
前2輪後1輪の3輪式。自動車は一般にまだ手の届かない乗り物で、王室と癒着があるといわれるミグレン社が提供したからこそ、宇宙軍メンバーはこれに乗ることができる。もとは地味な色だったが、女性に受けがいいようにとネッカラウトが勝手に黄色に塗った。
全長3285mm 排気量1548cc
空軍・プロペラ戦闘機「第3スチラドゥ」
前翼型推進式の配置で、エンジンにはターボチャージャーを装備。プロペラは二重反転式で、プロペラブレードにはくの字型の後退角が付けられている。単座型と複座型を基本に夜間戦闘機などのバリエーションもある。本機はレーダーこそ未装備だが飛行性能は下手なジェット機を凌ぐほど高く、空戦速度では共和国軍のジェット戦闘機にも対抗でき、まだまだ最前線の迎撃戦闘機としての配備が継続している。実戦機はえんじ色、練習機は青色に塗られている。
全長14.4m 最高速度800km/h
水軍・航空母艦
この「地球」では陸地と海の面積比が1対1で、その反面で陸地には広大な内水があり王国は大陸の内陸国で、国境線が走る巨大な湖「ピッポウ湖」に面している。このため、王国の戦闘艦は海軍ではなく水軍と呼ばれる。水軍は、湖の上に滑走路を作ることができる空母の運用に熱心で、砲撃による艦隊戦はあまり想定していない[注 9]。作中の空母は発艦と着艦を効率的に行うための二段式の飛行甲板を持ち[注 10]、離艦用にはスチームカタパルトを備えており、カタパルトのシャトルと航空機の主翼基部を締結する「ブライドル・ワイヤー」、そしてそれが離艦後に水中に落下するところも描かれている。レーザーディスク同封のブックレット等によると「ミナダンの王子様号」という名称とされる[注 11]
水軍・ジェット戦闘機
主人公シロツグの少年時代に配備が始まった前翼型のジェット戦闘機。ジェット機に乗るには水軍に入るしかないという事で、シロツグの憧れであった。外国からの輸入品。ジェット技術が生まれたばかりの時代の産物で、総合性能ではプロペラ機に劣る。しかしこの世界では推進式プロペラ機が主流のため、急角度の離着艦でもプロペラを甲板に摺る心配がないことと、スクランブル発進に必要な加速度があることにより、あえて艦載機として採用された[注 12]。第4号ロケット時代における配備の状況は不明。
全長12.8m 最高速度650km/h
陸軍・戦車
無限軌道式の戦車。機動的な共和国の装甲車とは好対照な重厚なスタイルを持つ。作中では主に待ち伏せ用の砲台として用いられた。また、敵兵站をできるだけ消費させるため、この戦車に似せたデコイが多数配置された。
水軍・情報収集艦
外観は漁船に偽装しているが、通信アンテナを多数備えている。ロケット奪取を狙う共和国側の動向を探っていた。
蒸気機関車
進行方向に対して、先頭に運転台がある。現実世界の蒸気機関車でいえば「逆機」(キャブ・フォワード型蒸気機関車を参照)の姿勢にあたる。

共和国[編集]

空軍・ジェット戦闘機
前翼型ジェット機。亜音速性能を持つ。翼下にロケット弾24発を懸下可能なパイロンを備え、そのため増槽は翼の上に追いやられている。空中給油装備を持ち、もともと航続距離の長くない本機の作戦行動力を大きく高めている。
全長15.25mm 最高速度880km/h(アフターバーナー使用時980km/h)
空軍・空中給油機
この世界には珍しい翼の前にプロペラを持つトラクター方式の機体。これは給油時にプロペラが邪魔にならないよう配慮されているためである。作中のブリーフィングの場面では「空中要塞」と呼ばれていた。
陸軍・装輪装甲車
高い渡河能力と軽快な機動力で電撃戦の中心を担う。タイヤはソリッドゴムであるためパンクしない。1個分隊の兵士を同乗させることができる。
陸軍・ホバークラフト
不整地・沼地での作戦に用いられる兵員輸送装備。現実世界における同種の兵器の配備は1980年代になってからということもあり、この作中で表現されるところの「最新兵器」のひとつであると思われる。
陸軍・ロケットランチャー
兵士が一人で携行できるロケット弾発射筒。現実世界のRPG-2に類似したデザイン。作中の描写では、いったんロケットブースターに点火してから弾体が撃ち出されている。
静音拳銃
シロツグを襲う暗殺者が使用。連発式だが、静音効果を高めるために、排莢・次弾装填は手動で行う。
テレビ受信機
共和国ではカラーテレビが実用化されているのに対し、オネアミス王国ではまだ白黒テレビ止まりである。
なお、オネアミスでのテレビ放送は放送局が少なく、放送も一日数時間のみなので、メディアの主流はラジオである。

文字[編集]

オネアミスで使用されている文字は表音文字で、ア行、カ行、サ行、タ行、ハ行、マ行、ラ行の各ア・イ・ウ・エ・オと、撥音の「ン」を表す文字があり、日本語のカナ文字と同じ体形を持っている。また、ナ行は「ン」+母音、ヤ行は「イ」+母音、ワ行は「ウ」+母音の合字として存在する。濁音は元の文字の右下にヒゲを一画追加した文字で、半濁音は元の文字の右下にヒゲを二画追加した文字で表記する。なお、バ行とパ行は、マ行の濁音と半濁音の扱いである。

数字は10進数で、ゼロ~9に対応する文字がそれぞれ存在する。また10~12を一文字で表す古字が存在し、現代文章では使われないが。時計の文字盤などで使われる場合がある。なおゼロの字形は「Z」を斜めにしたような文字であるが、カウントダウンのシーンで使用されているニキシー管のような表示器では、表示フォーマットの都合から、円の中央に小さな縦棒が入った文字で代用されている。

スタッフ[編集]

関連商品[編集]

ソフト[編集]

  • VHS、LDは廃盤。
  • 【DVD】王立宇宙軍 オネアミスの翼  1998年7月25日発売
  • 【DVD】王立宇宙軍 オネアミスの翼 <通常パッケージ版>  1999年8月25発売
  • 【DVD】EMOTION the Best 王立宇宙軍 オネアミスの翼  2009年12月22発売
  • 【HD DVD】王立宇宙軍 オネアミスの翼  2007年7月27発売
  • 【Blu-ray】王立宇宙軍 オネアミスの翼 <ツインパック>  2007年7月27発売
  • 【Blu-ray】王立宇宙軍 オネアミスの翼  2008年7月25発売

小説[編集]

オネアミスの翼-王立宇宙軍 I・II
ソノラマ文庫より1986年(昭和61年)、1987年(昭和62年)に発売。内容の大筋は同じながら映画では描ききれなかった多くのエピソードが加筆されている。著者は飯野文彦
オネアミスの翼 王立宇宙軍
ソノラマ文庫版の合本版。2010年(平成22年)に朝日新聞出版の朝日ノベルスレーベルで刊行。

その他[編集]

オネアミスの翼-王立宇宙軍 ドキュメントファイル
映画公開時にバンダイビジュアルから発売されたメイキングビデオ。当時のスタッフも出演している。現在に至るまで他媒体(LD、DVD、BD)での映像特典などでの収録及び単体発売はされていない。

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ オネアミス王国は湖のほとりの国で、海がない。
  2. ^ 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984年)で監督デビューした河森正治も当時24歳だった。
  3. ^ アバンタイトルで息を吐く場面は監督の山賀、空軍に飛行体験に行った際に嘔吐する場面はキャラクターデザインの貞本がそれぞれ声を当てている(いずれもノンクレジット)[20]
  4. ^ 公開時にカットされたシーンでは、作中の世界で出始めたばかりの牛乳をいち早く飲んでいると言及され、「よくあんなものが飲めるな」と言われる。
  5. ^ 53歳とする設定もある[23]
  6. ^ 他にも「男性記者」を演じる。
  7. ^ 他にも、女性記者、女性オペレーター、を演じる。
  8. ^ 総重量は295tとする設定もある[24]
  9. ^ 実際の地球の歴史においても、ボストークが初の有人宇宙飛行に成功する1960年代には海軍の主力は空母とミサイル巡洋艦となっており、戦艦はすでに時代遅れであった。
  10. ^ 多段式空母は空母の黎明期に建造例が多いが、実際には実用性が乏しく一段式に改装されている。
  11. ^ この名称はイギリス戦艦プリンス・オブ・ウェールズと同趣向の命名である。
  12. ^ ただし現実の黎明期のジェット機は、作中の設定とは逆に同速度域での加速性能はプロペラ機に劣り、急角度の離着艦ではジェットエンジンの高温の噴流で甲板を損傷させてしまうため、離着艦性能に劣り艦載機としては適さなかった。

出典[編集]

  1. ^ 武田康廣『のーてんき通信 エヴァンゲリオンを創った男たち』ワニブックス、2002年(平成14年)、p91
  2. ^ “蒼きウル : ガイナックスの凍結アニメが20年ぶりに再始動”. まんたんウェブ (MANTAN). (2013年3月21日). http://mantan-web.jp/2013/03/21/20130321dog00m200013000c.html 2016年1月15日閲覧。 
  3. ^ 王立宇宙軍の続編「蒼きウル」20年ぶりに始動 ガイナックスがアニメフェアで発表”. アニメ!アニメ!. イード (2013年3月21日). 2016年1月15日閲覧。
  4. ^ 『B-CLUB SPECIAL オネアミスの翼 〜王立宇宙軍コンプリーテッドファイル』 バンダイ 1987年 46頁
  5. ^ エモーション魂〜渡辺繁を支えた縁人〜 第16回 20分間の攻防”. ドットアニメ - TORNADO BASE. バンダイビジュアル (2007年11月7日). 2007年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月15日閲覧。
  6. ^ 「オタクアミーゴス!」での岡田斗司夫自身の証言。[出典無効]
  7. ^ 岡田斗司夫の毎日ブロマガ「スタジオジブリ敗北!? 興行収入と配給収入についての解説」”. 岡田斗司夫の毎日ブロマガ (2016年11月16日). 2016年11月16日閲覧。
  8. ^ 「ガイナックス風雲録」『QuickJapan vol.18』、1998年3月、太田出版[1]
  9. ^ 『コミックボックス』1987年5月号 p49。
  10. ^ 『のーてんき通信』p96
  11. ^ 『映画プロデューサーが面白い』、キネマ旬報、1998年、p222。
  12. ^ アニメ作りは少しでもいいものを届けたいという気持ちと経営とのせめぎ合い、社長3人が語る「アニメ制作会社代表放談」”. GIGAZINE. OSA (2012年5月5日). 2016年1月15日閲覧。 “バンダイビジュアル史上最も辛かったという「オネアミスの翼」でも15年ぐらいかかって回収しているんです。”
  13. ^ 『パラノ・エヴァンゲリオン』p73
  14. ^ 「対談 宮崎駿・高畑勲 ぼくたちの30年東映動画からスタジオジブリへ」『キネマ旬報臨時増刊 宮崎駿・高畑勲とスタジオジブリのアニメーションたち』キネマ旬報社、1995年(平成7年)、p18
  15. ^ 『パラノ・エヴァンゲリオン』p74
  16. ^ 大塚英志、ササキバラ・ゴウ『教養としての<まんが・アニメ>』講談社現代新書、2001年(平成13年)、p234
  17. ^ “丸裸”ホリエモン 「それでも続ける宇宙ロケット開発」への情熱|経済の死角”. 現代ビジネス. 講談社 (2010年1月16日). 2016年1月15日閲覧。
  18. ^ 「アニメ、文化、この時代〜ガンダムとエヴァンゲリオンと〇〇〇〇」(丸善ジュンク堂チャンネル、安彦良和×東浩紀、2015年7月11日)、『アニメ・マンガ・戦争』(安彦良和著、p.129)
  19. ^ “押井守監督は、この15年で何を見て感じてきたのか? 『ガルム・ウォーズ』監督インタビュー”. animate times. (2016年12月13日). http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1481597206 2017年2月4日閲覧。 
  20. ^ a b “映画公開から31年――。「王立宇宙軍 オネアミスの翼」展を前に、山賀博之監督の心境を聞く【アニメ業界ウォッチング第48回】(4/4ページ)”. アキバ総研アニメニュース. (2018年8月25日). https://akiba-souken.com/article/35642/?page=4 2018年8月26日閲覧。 
  21. ^ 『This is ANIMATION ザ・セレクト12 オネアミスの翼 ―王立宇宙軍―』 小学館 1987年 65頁
  22. ^ 『This is ANIMATION ザ・セレクト12 オネアミスの翼 ―王立宇宙軍―』 小学館 1987年 63頁
  23. ^ 『This is ANIMATION ザ・セレクト12 オネアミスの翼 ―王立宇宙軍―』 小学館 1987年 67頁
  24. ^ 『This is ANIMATION ザ・セレクト12 オネアミスの翼 ―王立宇宙軍―』 小学館 1987年 76頁

外部リンク[編集]