戦場のメリークリスマス (サウンドトラック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
戦場のメリー・クリスマス
坂本龍一サウンドトラック
リリース
録音 音響ハウス
ジャンル 現代音楽
レーベル ロンドンレコード
プロデュース 坂本龍一
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 8位(オリコン、LPチャート)[1]
  • 坂本龍一 アルバム 年表
    左うでの夢
    (1981年)
    Merry Christmas Mr. Lawrence
    (1983年)
    コーダ
    (1983年)
    ミュージックビデオ
    「Merry Christmas Mr Lawrence」 - YouTube
    テンプレートを表示

    戦場のメリー・クリスマス』(Merry Christmas, Mr. Lawrence) は映画戦場のメリークリスマス』のオリジナルサウンドトラックである。1983年5月1日にリリースされた。英国アカデミー賞 作曲賞受賞。

    解説[編集]

    音楽坂本龍一。坂本にとって初めてのサウンドトラックアルバムでもある。映画自体のある種の非現実感から影響を受けて、西洋から見ても東洋から見ても“どこでもないどこか”、そして“いつでもない時間”をコンセプトに作られた[2]

    メインテーマの認知度[編集]

    1曲目のメインテーマは坂本作品の中でもっとも認知度が高い楽曲とされている。理由は以下の通り。

    1. 国内外のアーティストによるカバーが多い。
    2. 坂本のオリジナルソロアルバムやライヴ(演奏会)においても編成・アレンジを変えて何度も演奏されている。
    3. ピアノ愛好者がよく演奏し、市販されているピアノに数多く掲載されている。
    4. 1986年に坂本がパーソナリティを務めたNHK-FMサウンドストリート」の「坂本龍一ベスト10」で1位になった。
    5. 戦場のメリークリスマスというタイトルに因んでクリスマスシーズンになると流れる定番。

    戦場のメリークリスマス - All About」では楽曲「戦場のメリークリスマス」のカバー曲の紹介とカバーされている背景を解説している。 坂本自身はなぜこの曲だけが特に好まれるのか、作った当時から分からなかったが、シンプルで覚えやすいメロディが原因ではないかと分析している。 なお坂本自身、作曲中に何度も「ぽろぽろ」泣いたそうである。キリコのコリクツ巻末付録での玖保キリコとの対談中に語っている。

    「戦場のメリークリスマス」は1985年度、日本国外から日本音楽著作権協会(JASRAC)に払われた著作権使用料分配額のランキングで「上を向いて歩こう」「名犬ジョリィ」に次いで年間3位を記録した[3]

    収録曲[編集]

    1. メリー・クリスマス ミスターローレンス Merry Christmas, Mr. Lawrence
      坂本の楽曲の中でも知名度も高く、後のアルバムやライヴにおいても編成・アレンジを変えて何度も演奏されている。いわゆるペンタトニック(移動ドでいう「ド・レ・ミ・ソ・ラ」)中心の“オリエンタルなメロディー”+“近代西洋音楽の和声”=“東洋と西洋の高次な結晶”というような評価が世界中でされてきたが、坂本自身は「西洋でも東洋でもない、他のなんでもない、わけのわからないもの」として“東洋+西洋”という単純な考え方自体を否定している[2]。主旋律の音色はタイトルにちなみ「クリスマスソング=鐘の音」から想起[4]ワイングラスサンプリング音(いわゆるグラスハープ)が使われており[5][4]、低音ではあえてチューニングがはずれるようにして東洋の雰囲気を醸し出している[2]。低弦以外はEmulator IIが使われている[6]。基本的には「四七抜き(ファとシを使わない)」で構成しつつ、一瞬「シ」を入れ込んでいる。この「シ」はIIIm(「ミ・ソ・シ」)の5度と考えられる[誰によって?]。坂本によると「繁留の反対」。イントロ部分の和声はIV→V7→IIIm→VIの四小節ごとの繰り返し、主旋律部分の和声はIV→V7→VIm→IIImを基本形にしている。2011年11月26日Eテレで放送された「“スコラ”坂本龍一 音楽の学校」では坂本自身による曲の解説が行われた。
    2. バタヴィア Batavia
      ジャワの喧騒の中、ガムランによるミニマルフレーズが繰り返される小曲。
    3. 発芽 Germination
      このアルバムの中では数少ない、生のストリングスを使った楽曲のひとつ。前半はポリリズム的なレガート奏法による部分、後半はピチカート奏法による部分に分かれる。前半のコード進行はIVm7→V/Iの繰り返し。賛美歌の終止によく使われるIV→I(いわゆるアーメン終止)の変形であろう。IVm7は自然短音階で構成されているが、V/Iは7度の音(移動ドでいう「ソ♯」)が混じるために和声的短音階に一瞬歪む。賛美歌の和声と一瞬聴こえる歪みが、この曲の叙情性と悲劇性をかもし出していると分析できる[誰によって?]
    4. 腹いっぱいの朝食 A Hearty Breakfast
      パンニングで左右に移動するシンセとノイズのミニマルフレーズに、木管アンサンブル、低音のストリングスが順に加わる。リズムは4分の3拍子と4分の4拍子を組み合わせた変拍子
    5. 闘いの前 Before The War
      まず、風が鳴いているような音色で曲を通して鳴り続けるミニマルフレーズが提示され、2つのメロディー、和音の順で音が重ねられていく。最後にまたミニマルフレーズだけが残り、曲は閉じる。
    6. 種子と種を蒔く人 The Seed And The Sower
      8分の5拍子と4分の3拍子を組み合わせた変拍子、低音部の増4度の動き、短3度上にどんどん転調する。
    7. 短い出会い A Brief Encounter
    8. ライド・ライド・ライド(セリアーズの弟の歌) Ride Ride Ride (Cellier's Brother's Song)
      作曲はスティーブン・マッカーディー。和声進行は機能和声的である。
    9. ザ・ファイト The Fight
    10. ファーゼル・クリスマス Father Christmas
      「メリー・クリスマス ミスターローレンス」の変奏曲
    11. 出て行け! Dismissed!
    12. 集合 Assembly
      坂本が映画撮影中のカメラファインダーを覗かせてもらったときに思いついた曲[7]
    13. 理性を越えて Beyond Reason
    14. 種を蒔く Sowing The Seed
      ノイズの持続音で始まり、音階を上昇していく低音部の上でシンプルなメロディーが繰り返される。メロディーの裏では「バタヴィア」のフレーズが鳴っている。
    15. 詩篇第23 23rd Psalm
    16. 最後の後悔 Last Regrets
    17. ライド・ライド・ライド(リプライズ) Ride Ride Ride (Reprise)
    18. ザ・シード The Seed
    19. 禁じられた色彩 Forbidden Colours英語版
      「メリー・クリスマス ミスターローレンス」のトラックにデヴィッド・シルヴィアンが歌詞・メロディーを作り、歌を乗せたもの。タイトルは三島由紀夫の「禁色」から引用[8]。後のライヴ演奏では、シルヴィアンが作ったメロディーの一部(エンディングに向かう終盤の主旋律の繰り返し部分)を組み込んだアレンジが定番化[要出典]した。1983年7月全英シングルチャート16位。1987年にイギリスのアーティスト、マーク・スチュワートがアルバム「Mark Stewart」内でカバーしている。

    音楽[編集]

    1–7、9–14、16、18:Ryuichi Sakamoto
    8、17:Stephen McCardy
    15:Traditional
    19:Ryuichi Sakamoto & David Sylvian, words by David Sylvian

    カバーやサンプリング[編集]

    1. 人生 - 1992年のアルバム『SUBSTANCE V』の「玉ノ海、戦場でクリスマスをむかえるの巻」で使用。
    2. Kayashi - 「Furyo」と言うタイトルでAdditiveより1997年にリリース。トランスバージョン等4つのMixが収録。
    3. Watergate - 「Heart Of Asia」と言うタイトルで、1999年のトランスカバー。『サンデー・ジャポン』(TBS)の裏ファミリーの「ひげガール」の、オデオンさんのテーマ曲として使用された。
    4. 押尾コータロー - 2002年リリースのメジャーデビューアルバム『Starting Point』でアコースティックギターによるインストゥルメンタルとしてカバー。
    5. AI - 2003年10月リリースの両A面シングル『マイ☆フレンド / 戦場のメリークリスマス』で歌詞を付けカバー。
    6. ロットングラフティー - 2003年11月リリースのミニアルバム「SYNCHRONICITIZM」内の「悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence」に歌詞を付けカバー。(2003年11月にシングルカット)
    7. 春畑道哉 - 2005年リリースの松本孝弘大賀好修増崎孝司との共作によるアルバム『Theatre Of Strings』で、ギターインストとしてカバー。
    8. VOLTA MASTERS - 2006年、シングル「LAST CHRISTMAS / MR.LAWRENCE」で英語詞のラップを付けカバー。
    9. RYUZO - 2007年の1stアルバム『The Document』に収録の曲でサンプリング使用。
    10. つじあやの - 2008年リリースのカバーアルバム『COVER GIRL 2』にて歌詞を付けてカバー。
    11. FACT - 2009年4月22日に発売したアルバム『FACT』にて、英語詞を付けカバー。
    12. 宇多田ヒカル - Utada名義で2009年にリリースしたアルバム『This Is The One』の「Merry Christmas Mr.Lawrence - FYI」で歌詞を付けカバー。
    13. アンジェリカ - 2014年12月リリースの「戦場のメリークリスマス/Merry Christmas, Mr Lawrence」で歌詞を付けカバー。
    14. サラ・ブライトマン - 2014年3月リリースのアルバム『Voce - Sarah Brightman Beautiful Songs』で「Forbidden Colours」を原調でカバー。
    15. マイク・ポズナー - 2019年の「Slow It Down」でサンプリング使用。

    関連項目[編集]

    出典[編集]

    [脚注の使い方]
    1. ^ 『オリコン・チャートブック LP編 昭和45年 - 平成1年』オリジナル・コンフィデンス、1990年、150頁。ISBN 4871310256
    2. ^ a b c 「What's In?」より
    3. ^ 「浪花節だよ、首座は 昨年、国内の著作権使用料分配額 JASRAC賞決定」『朝日新聞』1986年5月6日付東京夕刊、13頁。
    4. ^ a b 坂本龍一、戦場のメリークリスマスは「自分が作った気がしない」自身作の映画音楽を振り返る」より
    5. ^ UC YMO』のライナーノーツ・『邂逅』での「『戦メリ』でも活躍のワイングラスのサンプルも随所に。」という発言から。
    6. ^ 2010年3月14日坂本龍一のツイッターでの発言より。
    7. ^ 映画「戦場のメリークリスマス」パンフレットより。
    8. ^ 「坂本龍一・全仕事」より。

    外部リンク[編集]

    Ryuichi Sakamoto - Merry Christmas Mr Lawrence - Discogs