イエロー・マジック・オーケストラ (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
イエロー・マジック・オーケストラ
YMOスタジオ・アルバム
リリース
録音 1978年7月10日 - 9月5日
STUDIO "A"
ジャンル フュージョン
ディスコ
時間
レーベル アルファレコード
プロデュース ハリー細野
専門評論家によるレビュー
  • All Music Guide 星4 / 5 link
チャート最高順位
YMO 年表
イエロー・マジック・オーケストラ
1978年
イエロー・マジック・オーケストラ (US版)
1979年
細野晴臣 年表
コチンの月
(1978年
フィルハーモニー
 (1982年)
高橋幸宏 年表
サラヴァ!
1978年
音楽殺人
1980年
坂本龍一 年表
千のナイフ
1978年
B-2ユニット
1980年
テンプレートを表示

イエロー・マジック・オーケストラ (YELLOW MAGIC ORCHESTRA) は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のデビューアルバム[注釈 1]

背景[編集]

アルバムには収録されなかった楽曲に、「インド」(仮タイトル)がある(後にPre-YMO名義で発表)。

録音[編集]

細野晴臣によるプロデュースで、坂本龍一高橋幸宏と3人で楽曲を提供した。このとき高橋は作曲経験が浅かったため、坂本から作曲の方法を聞いたり、鼻歌を坂本が書き留めて譜面化するなどしていたという。 また、当時細野は本名ではなく「ハリー細野」と名乗っており、プロデューサー名のクレジットも「HARRY HOSONO」となっている。

アルバム制作費は当時の一般的な制作費の倍に当たる800万円をかけていた[1]

東風」以降(LPレコードのB面)のノンストップ構成は、当時ディスコ向けメドレーアルバムをリリースしていたミーコの影響によるもの。また、ジョルジオ・モロダーのアルバム『永遠の願い』からも影響を受けたと細野はコメントしている。[1]。またドラム・トラックは、高橋がテープによるループでなく、全編にわたり演奏している。

東風」「中国女」「マッド・ピエロ」の名称は、ジャン=リュック・ゴダールの『ゴダール3部作』と称される映画タイトルから取られている[2][1](「マッド・ピエロ」は邦題「気狂いピエロ」)。映画には関係なく、ゴダール好きの坂本がタイトルを引用したもの[1]

リリース[編集]

1978年11月25日アルファレコードからLPレコードカセットテープの2形態でリリースされた。

また、1979年にアルファレコードアメリカA&Mレコードと契約。本アルバムをリミックスした『イエロー・マジック・オーケストラ (US版)』がホライズン・レーベルからリリースされる。アメリカでのリミックス版を「米国版」(またはUS版)、オリジナルを「日本版」と呼ぶこともある。アメリカのリミックスは、トミー・リュピーマの長年のコンビのエンジニア、アル・シュミットがキャピタル・スタジオで行っている。「日本版」「米国版」の他、解説などを省略した廉価版として両方が入った2枚1組のCDも発売されたことがある。

2005年1月26日にバンド、といぼっくすがアコースティック楽器で本アルバムを完全カバーしたアルバム『アコースティックYMO』をリリース。「シムーン」と「マッド・ピエロ」ではヴォーカルに細野が参加。「コンピューター・ゲーム」の電子音までも生楽器で再現している。

アートワーク[編集]

ジャケットデザインは脇田愛二郎が制作した。

収録曲[編集]

A面
全編曲: イエロー・マジック・オーケストラ。
# タイトル 作詞 作曲 時間
1. コンピューター・ゲーム “サーカスのテーマ”(COMPUTER GAME "Theme From The Circus")   イエロー・マジック・オーケストラ
2. ファイアークラッカー(FIRECRACKER)   マーティン・デニー
3. シムーン(SIMOON) クリス・モスデル 細野晴臣
4. コズミック・サーフィン(COSMIC SURFIN')   細野晴臣
5. コンピューター・ゲーム “インベーダーのテーマ”(COMPUTER GAME "Theme From The Invader")   イエロー・マジック・オーケストラ
B面
# タイトル 作詞 作曲 時間
6. 東風(TONG POO)   坂本龍一
7. 中国女(LA FEMME CHINOISE) クリス・モスデル 高橋ユキヒロ
8. ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック(BRIDGE OVER TROUBLED MUSIC)   イエロー・マジック・オーケストラ
9. マッド・ピエロ(MAD PIERROT)   細野晴臣
10. アクロバット(ACROBAT)   細野晴臣
合計時間:

曲解説[編集]

A面[編集]

  1. コンピューター・ゲーム “サーカスのテーマ” - COMPUTER GAME "Theme From The Circus"
    アーケードゲームサーカス」の音をシンセサイザーで表現。シーソーの音、風船が割れる音、失敗時の葬送行進曲などが再現されている。曲後半からドラムの音が挿入され、ゲーム音がリズムに合わさり、次の曲へと連結される。[1]。ほとんどを細野晴臣が自宅で設計し、YMOの3人による手弾きで録音している。使用しているシンセサイザーはPS-3100のみで、松武秀樹はまったく関与していない。[3]
  2. ファイアークラッカー - FIRECRACKER
    原曲はマーティン・デニーのアルバム『クワイエット・ヴィレッジ』に収録されているもの。YMOデビュー戦略として、「チャンキー・ミュージック」と銘打ち、この曲のカヴァーを売り出そうと、細野が構想したことが細野のメモに書かれている。本アルバムで最初に録音された。当初クリック音を頼りに3人で人力で録音したが、細野いわく「その出来があまりにも当たり前で、今までと変わらないものになってしまって」、その場で消去してしまった。しかし、そのテイクで「コンピューターの要素をもっと強く出していかないと面白くない」ことがわかったという。印象的なイントロ(ベースとフルート風のシンセサイザー)はシーケンサーによる演奏である。間奏のピアノは坂本による即興で、マリンバは細野が演奏している[注釈 2]。パーカッションのほとんどはシーケンサーによるものであるが、クラップはPollard SYNDRUMを使って高橋が叩いたものである。エンディングの爆竹風の音はシンセサイザーではなく、効果音を用いている[3]。アメリカでヒットした際には、デニーから自分の曲をカヴァーしてくれたお礼と、ヒットを祝福する電報が届いた[1]。2001年にはジェニファー・ロペスのシングル「I'm Real」でYMOバージョンがサンプリングされたが、2000年に制作され、ジェニファーと同時期にリリースされたマライア・キャリーの楽曲「Loverboy」においても本曲のサンプリングを使う予定だったため、論議を呼んだ[4]2016年にはトッド・テリエのEP『The Big Cover-Up』に本曲のカヴァーが収録された(名義は「Todd Terje & The Olsens」)。1980年にリリースされた増殖に登場したスネークマンショー伊武雅刀が声の出演をしている「空から日本を見てみよう」(テレビ東京系)で、空から何かを見つけた時の音楽に使われていた。
  3. シムーン - SIMOON
    詳細は「シムーン (曲)」を参照。
  4. コズミック・サーフィン - COSMIC SURFIN'
    細野の作品。元々は鈴木茂山下達郎とのアルバム『パシフィック』に収録されていた[注釈 3]。細野は『パシフィック』制作時点で、既にテクノへの路線を目指す意思があったと回想している[1]。更に、インストと言えばベンチャーズということから「テクノとベンチャーズを掛け合わせて作ったんだと思う」とも語っている。松武秀樹のコメントによると、坂本と高橋が要望してアルバムに入れ、坂本が原曲を分析してアレンジしている[3]。メロディーはPS-3100、シンセ・ベースやサウンドエフェクトはMoogIII-Cを使っている[5]高中正義がギターで参加している。アメリカでのシングル「FIRECRACKER」のB面に収録されたバージョンは、オリジナルよりもテンポが遅い上、早くフェイドアウトしている。
  5. コンピューター・ゲーム “インベーダーのテーマ” - COMPUTER GAME "Theme From The Invader"
    アーケードゲーム「スペースインベーダー」の音をシンセサイザーで表現。バックでは「サーカス」の音が流れている。この曲も松武は不参加である[3]

B面[編集]

  1. 東風 - TONG POO
    詳細は「東風 (曲)」を参照。
  2. 中国女 - LA FEMME CHINOISE
    詳細は「中国女 (曲)」を参照。
  3. ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック - BRIDGE OVER TROUBLED MUSIC
    タイトルは細野によるもの。この曲に松武は関与していない。[3]
    サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」原題:Bridge over Troubled Water からとった。
  4. マッド・ピエロ - MAD PIERROT
    詳細は「マッドピエロ」を参照。
  5. アクロバット - ACROBAT
    ゲーム音と葬送行進曲が交互に流れる小品。「コンピューター・ゲーム」の音が背景音として使われている他、構成やメロディーの類似から「曲の終了とともにアルバムの頭に戻る」という意匠が施されている。米国版では削除された。

スタッフ・クレジット[編集]

イエロー・マジック・オーケストラ[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 吉沢典夫 - レコーディング・エンジニア
  • 斉藤篤 - レコーディング・エンジニア
  • 日笠雅子 - マネージマント
  • 生田朗 - マネージメント
  • 宮住俊介 - レコーディング・コーディネーター
  • 脇田愛二郎 - デザイン、アート・ディレクション
  • 袴田和夫 - イラストレーション
  • ハリー細野 - プロデューサー、ミックス・エンジニア
  • 村井邦彦 - エグゼクティブ・プロデューサー

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1978年11月25日 アルファレコード LPCT ALR-6012 (LP)・ALC-1511 (CT) -
2 1992年3月21日 アルファレコード CD ALCA-286 -
3 1994年6月29日 アルファレコード CD ALCA-9037 -
4 1998年1月15日 アルファレコード CD ALCA-5214 -
5 1999年9月22日 東芝EMI CD TOCT-24233 - 細野晴臣監修、リマスタリング盤、ライナーノーツ:江口寿史
6 2003年1月22日 ソニー・ミュージックハウス CD MHCL-203 69位 坂本龍一監修、紙ジャケット仕様
7 2004年 エピック・レコード CD 513445 2 - US版との2枚組
8 2010年9月29日 ソニー・ミュージックダイレクト ブルースペックCD MHCL-20101 226位 1999年リマスタリング音源、紙ジャケット仕様、スーパーピクチャーCD

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ クレジットは細野晴臣名義。
  2. ^ ティン・パン・アレー時代に横浜中華街でのライブで原曲に忠実なアレンジで演奏された。その時もマリンバを演奏していた。そのライブにはエレクトリックピアノとシンセサイザーで後に細野とYMOを組む事になる坂本龍一、ピアノで後にYMOのライブサポートメンバーとなる矢野顕子が参加しており、演奏は、ボックスセット『Harry Hosono/Crown Years 1974-1977』のDISC-3「ハリー細野&ティン・パン・アレイ in CHINATOWN」で聞く事が出来る。
  3. ^ 「POLYPHONICS」名義でシングルカットされている。『パシフィック』はCD化されている他、過去に出した7枚のYMOのライブ盤とレアトラックを収録した1枚の計8枚のCDを収納したbCD-BOX「L-R TRAX Live&Rare Tracks」のDisc 8に「パシフィックバージョン」として収められている
  4. ^ 本業は当時のアルファレコード社長秘書であったため、クレジットがなかった。フランス語が堪能で、後のYMOのアルバムに幾度かヴォイスとして参加している。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 『イエロー・マジック・オーケストラ』アスペクト、2007年 ISBN 978-4-7572-1432-3
  2. ^ 田中雄二『電子音楽 in JAPAN』アスペクト、2001年 ISBN 978-4757208711
  3. ^ a b c d e 2010年5月15日(土)放送USTREAM「YMOファーストアルバム大解剖」その1より
  4. ^ Mariah 'Ripped Off' Twice on Same Record”. 'FOXニュース'. News Corporation (2002年4月4日). 2014年5月4日閲覧。
  5. ^ 『キーボード・スペシャル』1999年11月号より

外部リンク[編集]