レンタサイクル
この記事はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。(2011年4月) |
レンタサイクル(和製英語:rent-a-cycle。英語:rental cycle)とは、自転車を有料で貸し出す事業のうち、長期の賃貸借(リース)ではなく、短期のそれ(レンタル)を指す。また、貸し出された自転車自体を指すこともある。自治体などが主体になり、ステーション(自転車貸出返却所)を設けて自転車を共有するシステムの場合は、一般的に、自転車シェアリング、バイクシェアリングなどと呼ばれる。
概要
観光地での不特定多数の利用を目的にしたものに加えて、「都市型レンタサイクル」「自転車シェアリング」「サイクルシェアリング」「シェアサイクル」「シティサイクル」「コミュニティサイクル」などと称される利用形態がある。公共交通機関の新たな形ととらえ直して都市部に導入されたものは、利用者登録を前提とした特定多数の賃貸借によって運用され、交通渋滞や放置自転車といった都市問題の緩和がなされるようデザインされているところに特徴がある。また、タワーマンションなどの大規模集合住宅に導入されたもの[1]は、特定多数の賃貸借あるいは共有によって運用され、狭小な駐輪場の解決策およびマンション経営者の新たな収入となっている。
営業形態
地方公共団体(市区町村)およびその外郭団体、観光地の観光関連業者(土産物屋、観光協会)などが運営し、鉄道駅、道の駅、案内所、運営者の店舗などで営業する。都市においては自転車預かり所、自転車店、一部のレンタカー営業所などが多いが、専業のレンタサイクル業者やNPOの参画も見られるようになった。一部の鉄道会社では沿線で展開を図っている例がある(JR西日本「駅リンくん」、阪急レンタサイクル、近鉄ステーションサイクル、JR九州楽チャリなど)。複数の営業所を開設している事業者や、しまなみ海道沿道のレンタサイクルターミナルでは、貸出しを受けた箇所とは別の場所で返却することのできる、いわゆる「乗り捨て制度」を設けているところもある。
事例
日本
1973年(昭和48年)のオイルショックによってエネルギー資源を海外に依存する日本では省エネが推進されたが、1975年(昭和50年)には滋賀県八日市市において日本初の無料貸し自転車が実施され、同年、運輸経済研究センターの報告書に省エネ対策の一環として「レンタサイクル」という言葉が登場した[2]。第二次オイルショック後の1980年(昭和55年)、建設省の委託事業として日本初のレンタサイクルが平塚駅(神奈川県平塚市)で供用開始され、他の首都圏各地でも導入が相次いだ[2]。利用形態として、自宅と駅の間の利用を「順利用」、駅と自宅以外(職場・学校・役場・商店街)との間の利用を「逆利用」と言うが、駅前に無料駐輪場がある都市では私有自転車に圧されて「順利用」「逆利用」が共に伸びずに運用失敗[2]。しかし、駅前の駐輪場を有料にした埼玉県上尾市において日本で初めて運用に成功し、通勤・通学において朝は「順利用」「逆利用」、夕は「逆利用」「順利用」と2名が計4回利用することで収益確保された[2]。その一方、1989年(平成元年)には大泉学園駅(東京都練馬区)で500台と大量に導入することで順利用100%ながら運用に成功[2]。その後、自転車貸出場所を1ヶ所に限定した方法から、複数の貸出場所を設けて貸出場所間での乗り捨て可能な方法が社会実験として行われ、「シティサイクルシステム」(宮城県仙台市)あるいは「コミュニティサイクルシステム」(東京都練馬区)と呼ばれた[2]。2000年度(平成12年度)までに建設省が全国19都市を「自転車利用環境整備モデル都市」に指定し[3][4]、その他の自治体でも旧来の都市型レンタサイクルやシティサイクルシステムの導入が行われている。
- シェアリング
- シェアサイクル COGICOGI(コギコギ)(東京都港区・渋谷区・墨田区・台東区)
- ちよくる(千代田区コミュニティサイクル実証実験) (東京都千代田区)
- 港区自転車シェアリングコミュニティサイクル (東京都港区)
- 江東区臨海部コミュニティサイクル (東京都江東区)
- 中央区コミュニティサイクル (東京都中央区)
- DATE BIKE(ダテバイク)(宮城県仙台市)
- baybike(ベイバイク) (横浜コミュニティサイクル)(神奈川県横浜市)
- 広島ぴーすくる (広島市観光レンタサイクル)(広島市)
- kobelin(こうべリンクル) (神戸コミュニティサイクル) (兵庫県神戸市)
- まちかどミナポート(京都市)
- ももちゃり (岡山市コミュニティサイクル)(岡山市)
- ポロクル (札幌市)
- さいたま市コミュニティサイクル(さいたま市)
- 川越市自転車シェアリング(埼玉県川越市)
- UMEGLE-CHARI (うめぐるチャリ) (大阪市北区)
- まちなかレンタサイクル(ぎふ・まちなかレンタサイクル・岐阜市)
- 松山駅前観光レンタサイクルポート(松山市)
- がやリン (世田谷区コミュニティサイクル) (東京都世田谷区)
- たっけーサイクル (福生市サイクルシェアリング) (東京都福生市)
- アヴィレ(シクロシティ富山〔Cyclocity TOYAMA〕・富山市)
- まちのり(金沢レンタサイクル・金沢市)
- にいがたレンタサイクル(にいがたレンタサイクル・新潟市)
- 高チャリ (高崎まちなかコミュニティサイクル)(群馬県高崎市)
- 城まちeco観光レンタサイクル(和歌山市)
- レンタル
- レンタサイクル駅リンくん(姫路市)
- デリバリーレンタサイクル「京都ちりんちりん」(京都市)
- レンタサイクルえむじか(京都市)
- 五環生活 びわ湖一周レンタサイクル(彦根市)
- えこりん (篠山市)
- 『幕張新都心コミュニティサイクル事業』社会実験(千葉市美浜区)
- 小湊沿線レンタサイクル(市原市)
- 明日香レンタサイクル(明日香村)
- 京都ecoトリップ(京都市)
- 堺観光レンタサイクルのサイクルライフ「さ・か・い」 (堺市)
- 力車(松本市)
- レンタサイクル「マエチャリ」(前橋市)
- 詳細不明
- サービス終了・廃止
日本国外
環境の保護や、都市での渋滞や騒音、大気汚染の緩和を目指すために、市民の交通機関の選択肢として、都心部において安価または無料で自転車を提供するコミュニティ自転車プログラムを実施する動きが各国で見られる。欧州では、環境意識の高まりから導入されてきているものが多い。
このシステムでは、多くの場合、自転車をどのステーションにも乗り捨てで返却することができる。盗難や転売を防止するため、明るい色で塗装したり、単一の設計のものを使用するなどの工夫がされている。
具体の事例としては、パリ(ヴェリブ)、ロンドン、バルセロナ、ストックホルムなど官民の協働(市と広告会社の連携)によるもの、ドイツの数都市でのコール・ア・バイクなど鉄道会社との協力によるものなどがある。
- アジア
- 中国
- 公共自転車 (北京市)
- forever (フォーエバー) (上海市)
- 公共自行车(杭州市)
- 台湾
- タイ
- 中国
- ヨーロッパ
- フランス
- イギリス
- スペイン
- bicing (ビシング) (バルセロナ)
- スウェーデン
- Stockholm City Bike (ストックホルムシティバイク) (ストックホルム)
- 北米
- アメリカ
- Capital Bikeshare (ワシントンD.C.)- 市内315か所2,500台設置。
- Citi Bike (ニューヨーク)- 市内332か所6000台設置。24時間9.95ドルまたは7日間25ドルで毎回30分無料。
- Divvy (シカゴ)- 市内400か所4,000台設置。年75ドルで毎回30分無料。
- Hubway (ボストン)- 市内140か所1,300台設置。
- Bay Area Bike Share (サンフランシスコ・ベイエリア)- 地域内70か所700台設置。
- Pronto (シアトル)- 市内50か所500台設置。
- B-cycle アメリカ国内30都市で展開。
- カナダ
- VeloGo (オタワ)
- Bixi Montreal (モントリオール)- 市内460か所5,200台設置。
- Bike Share Toronto (トロント)
- アメリカ
脚注
- ^ 自転車シェア、都心で広がる 高層マンション追い風(朝日新聞 2010年1月6日)
- ^ a b c d e f 「日本におけるレンタサイクルの誕生と成長」(国土交通省近畿地方整備局)
- ^ 平成13年東村山市議会6月定例会(東村山市)
- ^ 自転車施策先進都市の紹介(国土交通省)