2010年のワールドシリーズ

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2010年のワールドシリーズ
2010 World Series Game 1, Lincecum vs Guerrero.jpg
第1戦の様子。ジャイアンツの先発投手ティム・リンスカムとレンジャーズの打者ブラディミール・ゲレーロの対戦
チーム 勝数
サンフランシスコ・ジャイアンツNL 4
テキサス・レンジャーズAL 1
シリーズ情報
試合日程 10月27日–11月1日
観客動員 5試合合計:24万3607人
1試合平均:04万8721人
MVP エドガー・レンテリア(SF)
責任審判 ジョン・ハーシュベック
ALCS TEX 4–2 NYY
NLCS SF 4–2 PHI
チーム情報
サンフランシスコ・ジャイアンツ(SF)
GM ブライアン・セイビアン
監督 ブルース・ボウチー
シーズン成績 92勝70敗・勝率.568
NL西地区優勝
分配金 選手1人あたり31万7631.29ドル[1]
テキサス・レンジャーズ(TEX)
GM ジョン・ダニエルズ
監督 ロン・ワシントン
シーズン成績 90勝72敗・勝率.556
AL西地区優勝
分配金 選手1人あたり24万6279.55ドル[1]
全米テレビ中継
放送局 FOX
実況 ジョー・バック
解説 ティム・マッカーバー
平均視聴率 8.4%(前年比3.3ポイント下降)
ワールドシリーズ
 < 2009 2011 > 

2010年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第106回ワールドシリーズ(106th World Series)は、10月27日から11月1日にかけて計5試合が開催された。その結果、サンフランシスコ・ジャイアンツナショナルリーグ)がテキサス・レンジャーズアメリカンリーグ)を4勝1敗で下し、56年ぶり6回目の優勝を果たした。

ジャイアンツは、前回優勝の1954年当時はまだニューヨーク州ニューヨークを本拠地にしていたため、現在のカリフォルニア州サンフランシスコに移転してからは、これが53年目での初優勝となった。レンジャーズは、球団創設50年目で初のシリーズ進出だったが、優勝には届かなかった。シリーズMVPには、第2戦と第5戦で先制・決勝の本塁打を放つなど、5試合で打率.412・2本塁打・6打点OPS 1.209という成績を残したジャイアンツのエドガー・レンテリアが選出された。

ワールドシリーズまでの道のり[編集]

両チームの2010年[編集]

10月22日にまずアメリカンリーグでレンジャーズ(西地区)が、そして23日にはナショナルリーグでジャイアンツ(西地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。

レンジャーズは4月終了時点では11勝12敗と負け越し、地区最下位に沈んでいた。しかし5月に勝率5割を超えると、6月には11連勝を記録するなど21勝6敗を記録し、同月8日に地区首位に浮上してからはその座を譲らぬまま前半戦を終えた。7月上旬にはジャイアンツから捕手ベンジー・モリーナを、シアトル・マリナーズから先発左腕クリフ・リーを、それぞれトレードで獲得する補強も行った。後半戦に入っても、地区2位とのゲーム差は常に5.0以上を維持したままシーズンを進めていき[2]、9月25日に11年ぶりの地区優勝を決めた[3]。チームは総得点も総失点もリーグ4位に入り、ジョシュ・ハミルトンを中心とする強力打線は打率.276がリーグ最高、投手陣も防御率が球団史上20年ぶりの3点台に入る奮闘を見せた[2]地区シリーズではタンパベイ・レイズを3勝2敗で[4]リーグ優勝決定戦ではニューヨーク・ヤンキースを4勝2敗で[5]、それぞれ破った。

ジャイアンツは開幕から1か月ほど地区首位の座を維持していたが、5月7日に2位に下がって以降は調子を落とし、前半戦終了時点では4位だった。6月26日からは7連敗を喫し、正捕手モリーナをレンジャーズに放出した。ただ、それにともなって抜擢した新人のバスター・ポージーが打線の中軸に定着し、シーズン途中で獲得したパット・バレルコディ・ロスらの活躍もあって、9月に10の勝ち越しを記録して地区首位に立った[6]。10月3日のシーズン最終戦で2位サンディエゴ・パドレスとの直接対決に勝ち、7年ぶりに地区優勝を果たした[7]。打線はチーム総得点がリーグ9位ながら本塁打は6位の162本を放ち、ティム・リンスカムブライアン・ウィルソンを擁する投手陣は防御率が3.36でリーグ最高だった[6]地区シリーズではアトランタ・ブレーブスを3勝1敗で[8]リーグ優勝決定戦ではフィラデルフィア・フィリーズを4勝2敗で[9]、それぞれ下した。

ホームフィールド・アドバンテージ[編集]

7月13日にカリフォルニア州アナハイムエンゼル・スタジアム・オブ・アナハイムで開催されたオールスターゲームは、ナショナルリーグアメリカンリーグに3-1で勝利した。この結果、ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、ナショナルリーグ優勝チームに与えられることになった。ワールドシリーズがナショナルリーグ球団の本拠地で開幕するのは、2001年以来9年ぶりとなる[10]。オールスターゲームの勝利リーグにアドバンテージを与える制度は2003年に導入されたが、2009年までは7年連続でアメリカンリーグが勝利していた。

このオールスターには、レンジャーズからはジョシュ・ハミルトンブラディミール・ゲレーロエルビス・アンドラスイアン・キンズラーの野手4人と、投手のネフタリ・フェリスがまず選出された[11]。さらにその後、シアトル・マリナーズからオールスター入りしていた投手のクリフ・リートレードで獲得したため[12]、レンジャーズからオールスターに名を連ねた選手は最終的に6人にのぼった。ジャイアンツからは、ブライアン・ウィルソンティム・リンスカムの2投手が選出された[13]。試合では、8回裏先頭の場面でB・ウィルソンとアンドラスの対戦があり、B・ウィルソンが二ゴロに抑えている[14]

両チームの過去の対戦[編集]

MLBでは1997年からインターリーグが導入され、アメリカンリーグ所属球団とナショナルリーグ所属球団との対戦がレギュラーシーズン中にも組まれることになった。このとき、6月12日に初めて行われた試合の対戦カードが、レンジャーズ対ジャイアンツだった[15]。レンジャーズのダレン・オリバーが第1球を投じて始まった試合は、ジャイアンツが7回表に3点を奪って4-3の逆転勝利を収めた[16]。両チームの対戦は、この試合も含めて今シリーズまでに計22試合が行われ、ジャイアンツが15勝7敗と勝ち越している[17]。直近の対戦は2009年6月、ジャイアンツの本拠地AT&Tパークでの3連戦で、ジャイアンツの3連勝だった。

ロースター[編集]

両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。

テキサス・レンジャーズ サンフランシスコ・ジャイアンツ
守備位置 背番号 出身 選手 ワールドシリーズ経験 守備位置 背番号 出身 選手 ワールドシリーズ経験
出場 優勝 出場 優勝
投手 30 ドミニカ共和国の旗 ネフタリ・フェリス なし 投手 41 アメリカ合衆国の旗 ジェレミー・アフェルト 3年ぶり2回目 なし
45 アメリカ合衆国の旗 デレク・ホランド なし 40 アメリカ合衆国の旗 マディソン・バンガーナー なし
35 アメリカ合衆国の旗 トミー・ハンター なし 18 アメリカ合衆国の旗 マット・ケイン なし
62 アメリカ合衆国の旗 マイケル・カークマン なし 46 ドミニカ共和国の旗 サンティアゴ・カシーヤ なし
33 アメリカ合衆国の旗 クリフ・リー 2年連続2回目 なし 55 アメリカ合衆国の旗 ティム・リンスカム なし
48 アメリカ合衆国の旗 コルビー・ルイス なし 49 プエルトリコの旗 ハビアー・ロペス 3年ぶり2回目 1回
49 アメリカ合衆国の旗 マーク・ロウ なし 59 ドミニカ共和国の旗 ギレルモ・モタ なし
57 アメリカ合衆国の旗 ダスティン・ニッパート[※] なし 52 ドミニカ共和国の旗 ラモン・ラミレス なし
56 アメリカ合衆国の旗 ダレン・オデイ なし 54 アメリカ合衆国の旗 セルジオ・ロモ なし
64 ドミニカ共和国の旗 アレクシー・オガンド[※] なし 57 プエルトリコの旗 ジョナサン・サンチェス なし
28 アメリカ合衆国の旗 ダレン・オリバー なし 38 アメリカ合衆国の旗 ブライアン・ウィルソン なし
36 アメリカ合衆国の旗 C・J・ウィルソン なし 捕手 28 アメリカ合衆国の旗 バスター・ポージー なし
捕手 11 プエルトリコの旗 ベンジー・モリーナ 8年ぶり2回目 1回 22 アメリカ合衆国の旗 イーライ・ホワイトサイド なし
20 アメリカ合衆国の旗 マット・トレーナー なし 内野手 14 アメリカ合衆国の旗 マイク・フォンテノー なし
内野手 1 ベネズエラの旗 エルビス・アンドラス なし 17 アメリカ合衆国の旗 オーブリー・ハフ なし
3 ベネズエラの旗 アンドレス・ブランコ なし 10 アメリカ合衆国の旗 トラビス・イシカワ なし
8 アメリカ合衆国の旗 ホルヘ・カントゥ なし 16 コロンビアの旗 エドガー・レンテリア 6年ぶり3回目 1回
5 アメリカ合衆国の旗 イアン・キンズラー なし 21 アメリカ合衆国の旗 フレディ・サンチェス なし
18 アメリカ合衆国の旗 ミッチ・モアランド なし 48 ベネズエラの旗 パブロ・サンドバル なし
10 アメリカ合衆国の旗 マイケル・ヤング なし 5 ドミニカ共和国の旗 フアン・ウリーベ 5年ぶり2回目 1回
外野手 29 アメリカ合衆国の旗 フリオ・ボーボン なし 外野手 9 アメリカ合衆国の旗 パット・バレル 2年ぶり2回目 1回
17 ドミニカ共和国の旗 ネルソン・クルーズ なし 13 アメリカ合衆国の旗 コディ・ロス なし
21 アメリカ合衆国の旗 ジェフ・フランコーア なし 33 アメリカ合衆国の旗 アーロン・ローワンド 5年ぶり2回目 1回
27 ドミニカ共和国の旗 ブラディミール・ゲレーロ なし 12 アメリカ合衆国の旗 ネイト・シャーホルツ なし
32 アメリカ合衆国の旗 ジョシュ・ハミルトン なし 56 アメリカ合衆国の旗 アンドレス・トーレス なし
7 アメリカ合衆国の旗 デビッド・マーフィー なし
  第4戦で故障したオガンドーがその日でロースターを外れ、翌日の第5戦はニッパートが代わりに登録された。

レンジャーズはリーグ優勝決定戦のロースターから救援投手を入れ替え、左腕クレイ・ラパダを外して右腕マーク・ロウを登録した。ラパダはリーグ優勝決定戦で3試合にワンポイント登板したが、そのうち2度対戦した左打者ロビンソン・カノ相手に1安打1四球と結果を残せていなかった。ロウは故障のため5月2日の登板を最後に長期欠場し、レギュラーシーズン閉幕間際に復帰して3試合3.0イニングだけ投げていた。ロウを加えた理由としてチームは、ジャイアンツの打線に右打者が多いことなどを挙げている[18]。一方のジャイアンツはロースターの変更はせず、地区シリーズから一貫した顔ぶれでこのシリーズに臨む[19]

レンジャーズの捕手ベンジー・モリーナは、7月1日にトレードで移籍するまではジャイアンツに所属していた。このため両チームがシリーズ進出を決めた時点で、どちらのチームが勝利してもモリーナはその球団からチャンピオンリングを贈呈されることが決まった[20]

試合結果[編集]

2010年のワールドシリーズは10月27日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月27日(水) 第1戦 テキサス・レンジャーズ 7-11 サンフランシスコ・ジャイアンツ AT&Tパーク
10月28日(木) 第2戦 テキサス・レンジャーズ 0-9 サンフランシスコ・ジャイアンツ
10月29日(金) 移動日
10月30日(土) 第3戦 サンフランシスコ・ジャイアンツ 2-4 テキサス・レンジャーズ レンジャーズ・ボールパーク・
イン・アーリントン
10月31日(日) 第4戦 サンフランシスコ・ジャイアンツ 4-0 テキサス・レンジャーズ
11月01日(月) 第5戦 サンフランシスコ・ジャイアンツ 3-1 テキサス・レンジャーズ
優勝:サンフランシスコ・ジャイアンツ(4勝1敗 / 56年ぶり6度目)

第1戦 10月27日[編集]

Nuvola apps kaboodle.svg 映像外部リンク
Nuvola apps kaboodle.svg MLB.comによるハイライト動画(英語、4分25秒)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 1 1 0 0 0 2 0 0 3 7 11 4
サンフランシスコ・ジャイアンツ 0 0 2 0 6 0 0 3 X 11 14 2
  1. : ティム・リンスカム(1勝)  : クリフ・リー(1敗)  
  2. :  SF – フアン・ウリーベ1号3ラン
  3. 審判:球審…ジョン・ハーシュベック、塁審…一塁: サム・ホルブルック、二塁: ビル・ミラー、三塁: マイク・ウィンタース、外審…左翼: ジェフ・ケロッグ、右翼: ゲイリー・ダーリング
  4. 試合時間: 3時間36分 観客: 4万3601人 気温: 62°F(16.7°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com / FanGraphs

第2戦 10月28日[編集]

Nuvola apps kaboodle.svg 映像外部リンク
Nuvola apps kaboodle.svg MLB.comによるハイライト動画(英語、4分9秒)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0
サンフランシスコ・ジャイアンツ 0 0 0 0 1 0 1 7 X 9 8 0
  1. : マット・ケイン(1勝)  : C・J・ウィルソン(1敗)  
  2. :  SF – エドガー・レンテリア1号ソロ
  3. 審判:球審…サム・ホルブルック、塁審…一塁: ビル・ミラー、二塁: マイク・ウィンタース、三塁: ジェフ・ケロッグ、外審…左翼: ゲイリー・ダーリング、右翼: ジョン・ハーシュベック
  4. 試合時間: 3時間17分 観客: 4万3622人 気温: 65°F(18.3°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com / FanGraphs

第3戦 10月30日[編集]

Nuvola apps kaboodle.svg 映像外部リンク
Nuvola apps kaboodle.svg MLB.comによるハイライト動画(英語、4分34秒)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
サンフランシスコ・ジャイアンツ 0 0 0 0 0 0 1 1 0 2 5 1
テキサス・レンジャーズ 0 3 0 0 1 0 0 0 X 4 8 0
  1. : コルビー・ルイス(1勝)  : ジョナサン・サンチェス(1敗)  S: ネフタリ・フェリス(1S)  
  2. :  SF – コディ・ロス1号ソロ、アンドレス・トーレス1号ソロ  TEX – ミッチ・モアランド1号3ラン、ジョシュ・ハミルトン1号ソロ
  3. 審判:球審…ビル・ミラー、塁審…一塁: マイク・ウィンタース、二塁: ジェフ・ケロッグ、三塁: ゲイリー・ダーリング、外審…左翼: ジョン・ハーシュベック、右翼: サム・ホルブルック
  4. 試合時間: 2時間51分 観客: 5万2419人 気温: 79°F(26.1°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com / FanGraphs

第4戦 10月31日[編集]

Nuvola apps kaboodle.svg 映像外部リンク
Nuvola apps kaboodle.svg MLB.comによるハイライト動画(英語、4分11秒)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
サンフランシスコ・ジャイアンツ 0 0 2 0 0 0 1 1 0 4 8 1
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0
  1. : マディソン・バンガーナー(1勝)  : トミー・ハンター(1敗)  
  2. :  SF – オーブリー・ハフ1号2ラン、バスター・ポージー1号ソロ
  3. 審判:球審…マイク・ウィンタース、塁審…一塁: ジェフ・ケロッグ、二塁: ゲイリー・ダーリング、三塁: ジョン・ハーシュベック、外審…左翼: サム・ホルブルック、右翼: ビル・ミラー
  4. 試合時間: 3時間9分 観客: 5万1920人 気温: 77°F(25°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com / FanGraphs

第5戦 11月1日[編集]

Nuvola apps kaboodle.svg 映像外部リンク
Nuvola apps kaboodle.svg MLB.comによるハイライト動画(英語、4分36秒)
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
サンフランシスコ・ジャイアンツ 0 0 0 0 0 0 3 0 0 3 7 0
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 3 1
  1. : ティム・リンスカム(2勝)  : クリフ・リー(2敗)  S: ブライアン・ウィルソン(1S)  
  2. :  SF – エドガー・レンテリア2号3ラン  TEX – ネルソン・クルーズ1号ソロ
  3. 審判:球審…ジェフ・ケロッグ、塁審…一塁: ゲイリー・ダーリング、二塁: ジョン・ハーシュベック、三塁: サム・ホルブルック、外審…左翼: ビル・ミラー、右翼: マイク・ウィンタース
  4. 試合時間: 2時間32分 観客: 5万2045人 気温: 68°F(20°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com / FanGraphs

レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントンでの今シリーズおよび2010年シーズン最後の試合は、ジャイアンツが56年ぶりの優勝を敵地で決めるか、それともレンジャーズがそれを阻止して第6戦以降に望みをつなぐか、という試合になった。第5戦の先発投手は、レンジャーズはクリフ・リー、ジャイアンツはティム・リンスカム。このポストシーズンでの成績は、リーが4試合28.2イニングで3勝1敗・防御率2.51、リンスカムが5試合29.0イニングで3勝1敗1ホールド・防御率2.79である。同じく両投手が先発した第1戦は11-7の乱打戦をジャイアンツが制したが、コディ・ロスは「MLBでも最高級の投手2人が投げ合うんだ。前回はおかしな結果になったけど、もう一度そうなるとは限らない」と話した[21]。なおレンジャーズは試合前に、前日の試合で左胸郭筋を痛めた救援右腕アレクシー・オガンドロースターから外し、代わりに右腕ダスティン・ニッパートを登録している[22]

第5戦でのクリフ・リー。この試合にも敗れ、第1戦の雪辱とシリーズ優勝を逃す結果となった

この試合は第1戦から一転して、両投手とも中盤まで相手打線に二塁すら踏ませないという投手戦になった。これはリー自身も、試合後に「素晴らしい投げ合いだった」と認めるほどだった[23]。ジャイアンツ打線はリーに対して、2ストライクに追い込んでからいい球を投げ込んでくるとみて、第1ストライクから積極的に打ちにいく[24]。リーは1回表には3番バスター・ポージーに、3回表には1番アンドレス・トーレスに、それぞれ二死から初球を打たれて一塁に走者を背負った。しかし1回は4番ロスを92mph(約148.1km/h)の速球で詰まらせて遊飛に打ち取り、3回は2番フレディ・サンチェスライナーがリーのグラブに直接収まって、いずれも走者を進めさせずにイニングを終えた。一方、裏のマウンドに立つリンスカムは1回・2回と三者凡退に抑える完璧な立ち上がりを見せる。3回には2者連続3球三振のあと、9番ミッチ・モアランドを歩かせて初めて走者を出すが、1番エルビス・アンドラスも4球で三振に仕留めた。

4回裏、レンジャーズは先頭の2番マイケル・ヤングが、フルカウントからの6球目を中前に運ぶ。これが両チームを通じて初の先頭打者出塁となった。だがリンスカムは、3番ジョシュ・ハミルトンを85mph(約136.8km/h)のスライダーで空振り三振に、4番ブラディミール・ゲレーロを88mph(約141.6km/h)のスライダーで遊ゴロに、そして5番ネルソン・クルーズを85mphのスライダーで空振り三振に、と相手の主軸3人を全てスライダーでアウトにした。この日のリンスカムは速球とスライダーが冴えわたり、また第1戦で熱くなりすぎた反省から精神的にも落ち着いていた[25]。対するリーも5回表、先頭の6番オーブリー・ハフに味方の失策で塁に出られたものの、8番エドガー・レンテリアを遊ゴロ併殺に打ち取って、先の塁へ進ませない。6回も両投手ともに単打を1本ずつ許したが後続を抑え、走者が得点圏へ進むこともなければ2人以上溜まることもなく、試合は残り3イニングの終盤へ入っていく。

7回表、リーは先頭の4番ロスを2ストライクに追い込みながら、5球目の速球を中前打にされる。さらに5番フアン・ウリーベにも2ストライクから3球目に投じた速球を中前打にされ、初の連打を許して無死一・二塁になった。ジャイアンツは6番ハフに犠牲バントをさせ、一死二・三塁にした。ハフにとってこれは実働11年目で初のバントだった[26]。7番パット・バレルの三振で二死となったあと、前の打席で併殺打のレンテリアに打順が回る。ここでリーの投球は、初球のカッターも2球目のチェンジアップも高く浮いて外れた。一塁が空いているのでレンテリアを歩かせて9番アーロン・ローワンドとの勝負を選ぶという手段もあったが、リーは「塁が埋まるのは嫌だった」とレンテリアとの勝負にこだわった[27]。3球目、86mph(約138.4km/h)のカッターが高めにきたのをレンテリアが捉えると、打球は左中間のフェンスを越えてジャイアンツに先制の3点をもたらす本塁打となった。均衡が破れた直後、ローワンドが初球に手を出し右飛に倒れてイニングが終わった。

エドガー・レンテリアフロリダ・マーリンズ時代の1997年シリーズでも最終第7戦でサヨナラ安打を放っており、優勝決定試合で決勝打を記録したのは今回が自身2度目である(写真は2009年6月2日撮影)

レンジャーズはその裏、一死から5番クルーズがソロ本塁打を放ち、2点差に詰め寄る。続くイアン・キンズラーは四球で歩き、本塁打が出れば同点という場面になった。しかしリンスカムは、7番デビッド・マーフィーと8番ベンジー・モリーナを立て続けに空振り三振させてここを乗り切った。決め球はどちらも低めボールゾーンへのスライダーだった。リンスカムは8回裏も三者凡退に抑えて、試合開始から優勝へ残り1イニングのところまで1人で投げ切った。レンジャーズは8回表からリーに代えてネフタリ・フェリスを投げさせ、2イニング無失点で9回裏の攻撃に臨んだ。その9回裏のジャイアンツのマウンドには、抑えのブライアン・ウィルソンが上がった。B・ウィルソンは3番ハミルトンを95mph(約152.9km/h)の速球で見逃し三振に、4番ゲレーロを88mphのスライダーで遊ゴロに仕留める。そして最後は5番クルーズをフルカウントからの6球目、内角高めへの90mph(約144.8km/h)のスライダーで空振り三振に切って取り、球団56年ぶりの優勝を決めた。

クルーズのバットが空を切ると、B・ウィルソンはまず後ろを振り向き、両手を斜めにクロスさせて天を仰いだ。これは試合を締めたときに、亡き父に捧げるためにするお決まりの仕草である。彼がこれを終えて前を向き直すと、捕手のポージーや一塁手のハフをはじめとするチームメイトが彼のもとに次々と集まり、皆がもみくちゃになって優勝を祝った。やがて選手たちはフィールドからクラブハウスに引き揚げ、表彰式とシャンパンファイトが行われた。シリーズMVPにはレンテリアが選ばれた。34歳になるレンテリアは、この年のレギュラーシーズンでは故障者リストに3度入るなど苦しんだが「一生懸命やろう、いい状態を保とう、何かがきっと良くなるから」と自分に言い聞かせてきたという[28]。その彼が、トーレスによれば試合前に「今夜はホームランを打つぜ」と2度も言っていたといい[29]、有言実行の一打をこの日の勝利につなげた。球場に来ていたジャイアンツのファンは試合後、レンテリアに向けて「辞めないで」というチャントを送った[28]

セレモニー[編集]

試合前のアメリカ合衆国国歌星条旗』独唱と始球式、およびセブンス・イニング・ストレッチにおける『ゴッド・ブレス・アメリカ』独唱を行った人物・グループは、それぞれ以下の通り。

試合 国歌独唱 始球式 『ゴッド・ブレス・アメリカ』独唱
第1戦 ジョン・レジェンド[30] モンテ・アーヴィン[31] トニー・ベネット[32]
第2戦 レディ・アンテベラム[33] ミーガン・アームストロング、
ナンシー・ミッチェル
ボビー・トムソンの娘)[34]
クリスティン・デイ
アメリカ陸軍特技兵)[35]
第3戦 ケリー・クラークソン[36] ノーラン・ライアン[37] マーサ・プリンプトン[38]
第4戦 ライル・ラヴェット[39] ジョージ・W・ブッシュ[40] 4トゥループス[41]
第5戦 チャーリー・プライド[42] ファーガソン・ジェンキンス[43] モリー・コーベット
アメリカ空軍一等軍曹夫人)[44]

テレビ中継[編集]

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国におけるテレビ中継はFOXが放送した。実況はジョー・バックが、解説はティム・マッカーバーが、フィールドリポートはケン・ローゼンタールが、それぞれ務めた。バックがシリーズで実況を行うのはこれが13度目で、カート・ガウディヴィン・スカリーを抜いて歴代単独最多となる[45]。また試合前にはクリス・ローズ進行のコーナーがあり、ゲスト出演したシカゴ・ホワイトソックス監督のオジー・ギーエンと解説のエリック・キャロスが試合の見所などを語った。

全5試合の平均視聴率は8.4%で、前年から3.3ポイント下降し、2008年と並んで歴代最低となった[46]。シリーズを通しての、全米および出場両チームの本拠地都市圏における視聴率等は以下の通り。

試合 日付 全米 カリフォルニア州
サンフランシスコ
テキサス州ダラス
視聴率 占拠率 視聴者数 視聴率 占拠率 視聴率 占拠率
第1戦[47] 10月27日(水) 8.9% 15% 不明 35.9% 60% 33.9% 51%
第2戦[48] 10月28日(木) 8.5% 14% 1410万人 36.4% 62% 30.9% 47%
第3戦[49] 10月30日(土) 6.7% 13% 1150万人 30.0% 57% 26.9% 48%
第4戦[50] 10月31日(日) 9.0% 15% 1550万人 36.3% 62% 31.5% 50%
第5戦[51] 11月01日(月) 8.8% 14% 1500万人 37.9% 65% 31.3% 45%
平均[51] 8.4% 14% 1430万人 35.3% 61% 30.9% 48%

ニューヨーク州ニューヨークペンシルベニア州フィラデルフィアでは、最初の2試合のテレビ中継が放送されなかった。これはFOXの親会社ニューズ・コーポレーションケーブルテレビ局のケーブルビジョンとの間で新契約交渉がまとまらず、FOX傘下のWNYW(FOX 5)WTXF(FOX 29)などがケーブルビジョンへの番組送信を10月16日から止めたことによるもので、この騒動は第3戦前に両者が合意に至るまで2週間続いた[52]

第4戦のでは、NBCアメリカンフットボールNFL中継『サンデーナイトフットボール』(SNF)を放送した。SNFは、2006年の放送開始から2009年までの4年間はワールドシリーズがある週の試合開催を見合わせていたが、今回初めてシリーズの裏にぶつかった。その結果、NBCのSNFは平均視聴率10.7%を獲得し、FOXのシリーズ第4戦(9.0%)はそれを下回った[53]

日本[編集]

日本国内ではNHK BS1で生中継された。BS1は2011年にアナログ終了と、BShiの打ち切りによるハイビジョン化が控えていることから、同局では今回がアナログ放送及び標準画質SDTV)による最後のワールドシリーズ中継になった。

脚注[編集]

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外部リンク[編集]