国鉄タサ700形貨車

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国鉄タサ700形貨車
基本情報
車種 タンク車
運用者 鉄道省
運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
製造所 日本車輌製造新潟鐵工所大阪鉄工所川崎車輛汽車製造
製造年 1929年昭和4年) - 1948年(昭和23年)
製造数 181両
消滅 1979年(昭和54年)
常備駅 秋田港駅扇町駅浜安善駅
主要諸元
車体色
専用種別 揮発油(ガソリン)、石油類
化成品分類番号 制定前に形式消滅
軌間 1,067 mm
全長 9,700 mm - 10,100 mm
荷重 20 t
実容積 25.5 m3 - 28.2 m3
自重 16.5 t - 19.2 t
換算両数 積車 3.5
換算両数 空車 1.2
台車 TR20、TR41D
車輪径 860 mm
台車中心間距離 5,350 mm - 6,300 mm
最高速度 75 km/h
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国鉄タサ700形貨車(こくてつタサ700がたかしゃ)は、かつて鉄道省、及び1949年昭和24年)6月1日以降は日本国有鉄道(国鉄)に在籍した私有貨車タンク車)である。

本形式より改造され別形式となったタサ3500形タサ4400形タキ10形についても本項目で解説する。

タサ700形[編集]

タサ700形は、1928年(昭和3年)の車両称号規程改正によりオア27600形オア27620形改番し誕生した形式である。オア27600形1925年大正14年)8月22日に3両(オア27600 - オア27602→タサ700 - タサ702)が日本車輌製造にて、オア27620形1927年(昭和2年)10月13日に1両(オア27620→タサ703)のみが新潟鐵工所にてそれぞれ製造された。

以降1929年(昭和4年)3月1日より1943年(昭和18年)8月2日にかけて175両(タサ704 - タサ705、タサ707 - タサ879)が新潟鐵工所、日本車輌製造、大阪鉄工所川崎車輛汽車製造の5社にて製作された。この際何故かタサ706は空番であった。

戦後の1947年(昭和22年)4月4日及び1948年(昭和23年)10月23日に各1両ずつの戦災復旧車がタサ700形として落成した。以上合計181両(タサ700 - タサ705、タサ707 - タサ881)がタサ700形として落成した。

タサ700形の内3両(タサ874、タサ877 - タサ878)が1955年(昭和30年)5月28日 - 同年6月13日に専用種別変更(揮発油(ガソリン)→アルコール)が行われ形式は新形式であるタサ3500形(後述)とされ、1両(タサ823)が1957年(昭和32年)7月9日に専用種別変更(揮発油(ガソリン)→ベンゾール)が行われ形式は新形式であるタサ4400形(後述)とされ、1両(タサ730)が1953年(昭和28年)頃に専用種別変更(揮発油(ガソリン)→石油類)が行われ形式は新形式であるタキ10形(後述)とされた。以上合計3形式がタサ700形を種車として誕生した。

車体色は黒色、寸法関係は全長は9,700 mm - 10,100 mm、軸距は5,350 mm - 6,300 mm、実容積は25.5 m3 - 28.2 m3、自重は16.5 t - 19.2 t、換算両数は積車3.5、空車1.2であり、台車はアーチバー式のTR20である。

1979年(昭和54年)7月24日に最後まで在籍した1両(タサ880)が廃車となり、同時に形式消滅となった。

タサ3500形[編集]

タサ3500形は、前述のように1955年(昭和30年)5月28日から同年6月13日にかけて3両(タサ3500 - タサ3502)が造機車輌にてタサ700形より改造されアルコール専用の22 t 積タンク車として落成した。

所有者は内外輸送でありその常備駅は東海道本線貨物支線(通称、高島線)の新興駅であった。

車体色は黒色、寸法関係は全長は10,600 mm、軸距は6,400 mm、実容積は27.5 m3、自重は18.5 t-18.7 t、換算両数は積車4.0、空車1.8である。

1982年(昭和57年)4月9日に最後まで在籍した1両(タサ3500)が廃車となり、同時に形式消滅となった。

タサ4400形[編集]

タサ4400形は、前述のように1957年(昭和32年)7月9日に1両(タサ823→タサ4400)がタサ700形より改造されベンゾール専用の24 t 積タンク車として落成した。

落成時の所有者は三井化学工業でありその常備駅は、鹿児島本線大牟田駅であった。その後所有者は1968年(昭和43年)10月21日に三井東圧化学へ社名変更した。

本形式の他にベンゾール専用種別とする形式は、タ1000形(48両)、タム3200形(5両)、タム3250形(83両)、タム23250形(15両)、タサ1000形(13両)、タサ1050形(2両)、タサ1100形(6両)、タキ200形(初代)(1両)、タキ850形(1両)、タキ900形(2両)、タキ950形(2両)、タキ1800形(65両)、タキ4150形(1両)、タキ6450形(3両)、タキ14400形(11両)の15形式が存在した。

車体色は黒色、全長は9,400 mm、軸距は5,350 mm、実容積は28.2 m3、自重は17.9 t、換算両数は積車3.5、空車1.2、台車は、ベッテンドルフ式のTR41Bであった。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には車籍がJR貨物に継承されたが、1989年平成元年)3月に廃車となり同時に形式消滅となった。

タキ10形[編集]

タキ10形は、前述のように1953年(昭和28年)頃に1両(タキ10)のみが飯野重工業にてタサ700形より改造され、石油類専用の25 t 積タンク車として落成した。

所有者は三菱石油でありその常備駅は水島臨海鉄道西埠頭線西埠頭駅であった。

車体色は黒色、寸法関係は軸距は6,490 mm、実容積は34.2 m3、自重は17.8 t、換算両数は積車4.5、空車1.8である。

1966年(昭和41年)11月29日に廃車となり、同時に形式消滅となった。

参考文献[編集]

  • 名取紀之・滝澤隆久 『トワイライトゾーン MANUAL11』 2002年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 4-87366-902-2
  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目[編集]