国鉄タキ19600形貨車

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国鉄タキ19600形貨車
タキ19600形、コタキ19606 1989年5月5日、山形駅
タキ19600形、タキ19606
1989年5月5日、山形駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 石油荷役三井東圧化学日本陸運産業、日本ポリウレタン工業
製造所 日本車輌製造
製造年 1970年(昭和45年) - 1980年(昭和55年)
製造数 11両
消滅 1999年(平成11年)
常備駅 塩釜埠頭駅神栖駅越後関原駅
主要諸元
車体色
専用種別 TDI
化成品分類番号 61
軌間 1,067 mm
全長 11,830 mm、12,200 mm
全幅 2,720 mm、2,714 mm
全高 3,751 mm、3,786 mm
タンク材質 ステンレス鋼
荷重 35 t
実容積 29.6 m3
自重 18.9 t
換算両数 積車 5.5
換算両数 空車 1.8
台車 TR41C、TR41E、TR225
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 7,650 mm、8,000 mm
最高速度 75 km/h
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国鉄タキ19600形貨車(こくてつタキ19600がたかしゃ)は、1970年(昭和45年)から製作された、TDI専用の 35 t貨車タンク車)である。

私有貨車として製作され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍編入された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を承継された。

概要[編集]

タキ19600形1970年(昭和45年)9月29日から1980年(昭和55年)3月13日にかけて11両(タキ19600 - タキ19610)が日本車輌製造1社のみにて製作された。

記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「タキ」と標記する。

本形式の他にTDIを専用種別とする形式は、タキ4850形(6両)があるのみである。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号61」(毒性の物質、毒性物質、危険性度合2(中))が標記された。

落成当時の所有者は、石油荷役三井東圧化学日本陸運産業の3社であった。その後2両(タキ19601, タキ19602)が1984年(昭和59年)11月6日に日本ポリウレタン工業へ名義変更した。1988年(昭和63年)には2両(タキ19606, タキ19607)が日本陸運産業へ名義変更された。

タキ35000形設計の流れをくむ前期形8両(タキ19600 - タキ19607)と、タキ38000形設計の流れをくむ後期形3両(タキ19608 - タキ19610)に大別できる。タンク材質は、ステンレス鋼であったが断熱材の選定不備があり、タンク体腐食の恐れがあったため1976年(昭和51年)から1978年(昭和53年)にかけて5両(タキ19603 - タキ19607)の断熱材の交換(硬質ポリウレタン→厚さ175 mmの片面アルミ面箔付グラスウール)を行った。タンク体は、ステンレス鋼であるがその上に断熱材、黒色塗装のキセ(外板)があったため一見して解りづらい構造であった。

キセ(外板)付き、ドーム付きタンク車であり、荷役方式は液入管による上入れ、液出管、窒素管による上出し式である。

塗色は、であり、全長は11,830 mm、全幅は2,720 mm、全高は3,751 mm、台車中心間距離は7,650 mm、実容積は29.6 m3、自重は18.9 t、換算両数は積車5.5、空車1.8、最高運転速度は75 km/h、台車は12 t車軸を使用したTR41C、TR41E、TR225である。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には全車(11両)の車籍がJR貨物に継承され、最後まで在籍した8両(タキ19603 - タキ19610)が1999年平成11年)に廃車になり形式消滅した。

年度別製造数[編集]

各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)

  • 昭和45年度 - 2両
    • 日本車輌製造 2両 石油荷役(タキ19600 - タキ19601)
  • 昭和48年度 - 4両
    • 日本車輌製造 4両 三井東圧化学(タキ19602 - タキ19605)
  • 昭和49年度 - 2両
    • 日本車輌製造 2両 三井東圧化学(タキ19606 - タキ19607)
  • 昭和54年度 - 3両
    • 日本車輌製造 3両 日本陸運産業(タキ19608 - タキ19610)

参考文献[編集]

  • 鉄道公報
  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目[編集]