国鉄タキ10700形貨車
国鉄タキ10700形貨車 | |
---|---|
タキ10700形、コタキ10752 | |
基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 |
日本国有鉄道 日本貨物鉄道(JR貨物) |
所有者 | 日産化学工業、宇部興産、住友化学工業、日本石油輸送、旭化成工業、日本化成、三菱化成工業→三菱化成→三菱化学、日本陸運産業 |
製造所 | 富士重工業、富士車輌、三菱重工業、日本車輌製造、川崎重工業 |
製造年 | 1968年(昭和43年) - 1995年(平成7年) |
製造数 | 60両 |
消滅 | 2009年(平成21年) |
常備駅 | 速星駅、郡山駅、黒崎駅他 |
主要諸元 | |
車体色 | 銀色(ステンレス地色) |
専用種別 | 希硝酸 |
化成品分類番号 | 侵81 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 10,100 mm |
全幅 | 2,596 mm |
全高 | 3,827 mm |
タンク材質 | ステンレス鋼 |
荷重 | 35 t |
実容積 | 25.5 m3 |
自重 | 15.0 t |
換算両数 積車 | 5.0 |
換算両数 空車 | 1.6 |
台車 | TR41C、TR41D、TR41E-12、TR225、TR213C |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 1,650 mm |
台車中心間距離 | 6,400 mm |
最高速度 | 75 km/h |
国鉄タキ10700形貨車(こくてつタキ10700がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)及び1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に在籍した私有貨車(タンク車)である。
概要
[編集]本形式は、希硝酸専用の35t 積タンク車として1968年(昭和43年)5月2日から1995年(平成7年)1月にかけて60両(コタキ10700 - コタキ10759)が、富士重工業、富士車輌、三菱重工業、日本車輌製造、川崎重工業の5社で製作された。
記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタキ」と標記する。
本形式の他に希硝酸を専用種別とする形式には、タ2100形、タム2100形、タム5500形、タサ3300形、タキ8100形、タキ10950形、タキ12050形の7形式があった。
落成時の所有者は、日産化学工業、宇部興産、住友化学工業、日本石油輸送、旭化成工業、日本化成、三菱化成工業(その後三菱化学へ社名変更)の7社であった。1974年(昭和49年)1月17日に住友化学工業所有車4両が日本石油輸送へ、1987年(昭和62年)10月27日に旭化成工業所有車3両(コタキ10720 - コタキ10722)が同じく日本石油輸送へ、1988年(昭和63年)1月19日に旭化成工業所有車2両(コタキ10724 - コタキ10725)が日本陸運産業へそれぞれ名義変更された。
1979年(昭和54年)10月に制定された化成品分類番号では、侵81(侵食性の物質、腐食性物質、危険性度合2(中))が標記された。
ステンレス鋼(SUS304)製のタンク体を持ち荷役方式は、タンク上部のマンホールからの上入れ、液出管と空気管使用による上出し方式である。液出管と空気管はS字管を装備している。
車体色は銀色(ステンレス地色)、寸法関係はロットによる差異があり以下一例を示す。全長は10,100mm、全幅は2,596mm、全高は3,827mm、台車中心間距離は6,400mm、実容積は25.5m3、自重は15.0t、換算両数は積車5.0、空車1.6であり、台車はベッテンドルフ式のTR41C、TR41D、TR41E-12、TR225、TR213Cである。
1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には43両がJR貨物に継承され(その後8両増備)、2009年(平成21年)度に最後まで在籍した8両(コタキ10752 - コタキ10759)が廃車となり同時に形式消滅となった。
年度別製造数
[編集]各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)
- 昭和43年度 - 6両
- 富士重工業 4両 日産化学工業(コタキ10700 - コタキ10703)
- 富士車輌 2両 宇部興産(コタキ10704 - コタキ10705)
- 昭和44年度 - 1両
- 三菱重工業 1両 住友化学工業(コタキ10706)
- 昭和45年度 - 12両
- 富士車輌 2両 宇部興産(コタキ10707 - コタキ10708)
- 三菱重工業 3両 住友化学工業(コタキ10709 - コタキ10711)
- 富士重工業 2両 日産化学工業(コタキ10712 - コタキ10713)
- 三菱重工業 2両 日本石油輸送(コタキ10714 - コタキ10715)
- 富士重工業 3両 日産化学工業(コタキ10716 - コタキ10718)
- 昭和46年度 - 11両
- 三菱重工業 7両 旭化成工業(コタキ10719 - コタキ10725)
- 富士重工業 4両 日産化学工業(コタキ10726 - コタキ10729)
- 昭和47年度 - 1両
- 日本車輌製造 1両 宇部興産(コタキ10730)
- 昭和48年度 - 4両
- 日本車輌製造 3両 宇部興産(コタキ10731 - コタキ10733)
- 富士車輌 1両 宇部興産(コタキ10734)
- 昭和49年度 - 13両
- 三菱重工業 12両 日本石油輸送(コタキ10735 - コタキ10746)
- 川崎重工業 1両 日本化成(コタキ10747)
- 昭和50年度 - 1両
- 川崎重工業 1両 宇部興産(コタキ10748)
- 昭和51年度 - 3両
- 三菱重工業 3両 三菱化成工業(コタキ10749 - コタキ10751)
- 平成4年度 - 2両
- 富士重工業 2両 日産化学工業(コタキ10752 - コタキ10753)
- 平成5年度 - 2両
- 富士重工業 2両 日産化学工業(コタキ10754 - コタキ10755)
- 平成6年度 - 4両
- 富士重工業 4両 日産化学工業(コタキ10756 - コタキ10759)
参考文献
[編集]- 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
- 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)