自動券売機

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初期の手動式券売機。右側は1980年代に主流であった硬貨専用の垂直ボタン式自動券売機(鉄道博物館
ボタン式の自動券売機(東海旅客鉄道(JR東海)中央本線大曽根駅)(神鋼電機製)
ICカード対応の自動券売機
福岡市地下鉄空港線藤崎駅
無人駅向けに設計された自動券売機(東日本旅客鉄道(JR東日本)水郡線後台駅
職員の対応例

自動券売機(じどうけんばいき)とは、自動販売機の一種。乗車券特別急行券乗船券航空券入場券食券などの切符チケットなどの券類を売る機械である。

概要[編集]

自動券売機は、歴史的には飲食物などを売る自動販売機の延長線上にあり、飲料等の代わりに券類が出てくるというものであった。近年は、鉄道乗車券券売機に代表されるニーズ、省力化、決済方法の多様化(キャッシュレス化)にくわえ、飲料等の自動販売機と異なり冷蔵構造等は必要無いことから、券類の販売に特化した専用の機械構造になっているものが多い。販売する商品は「切符」、「食券」などひとつのジャンルの券に絞られているものがほとんどである[要出典]近年のニーズとして、切符なら行き先や列車の種類によって複数の種類を1台で販売できる機種、食券なら多種の商品やオプション(トッピングなど)、メニューの頻繁な入れ替えや価格改定の容易さに対するニーズが強い。そのため、印刷済みの券を販売する機種に比べ、券の細目や価格を発行のたびに印字する機種(随時印刷型発行機)が主流となっている[要出典]

日本での導入の歴史[編集]

1926年大正15年)4月25日東京駅上野駅において、入場券を取り扱うドイツ製のコインバー式(硬貨を入れ、バーを下に強く下げると1枚券が落ちる方式)のものが導入されたのが日本初だといわれているが、それ以前の1907年明治40年)に新橋駅で同様のものが導入されていたという資料も見つかっており[要出典]、発祥は定かではない。その後、1929年昭和4年)12月21日には、コインバー式で初乗り区間とその次の運賃区間(5銭および10銭)の2種類の乗車券を取り扱うタイプも登場している。戦時中には金属を集めるため一時撤去されるが、1951年(昭和26年)3月に再登場した。

戦後の1956年(昭和31年)頃には、それまでの手動式から電動式へと移行した[1]。当初のものは、一定金額を投入してレバーを操作すると、予め印刷済みの切符・食券・証票類が提供されるだけの比較的単純な装置であった。現在においてはタッチパネルなどで情報を入力することで、多種多様な切符や食券などが随時印刷出力される多機能なものが普及している。

その一方、鉄道では2000年代以降はICカード乗車券の急速な普及に伴い、機械の更新を行わず券売機の数を削減する駅も現れており、鉄道事業者によっては後述する指定席券売機やチャージ機を代替で設置するケースもある。

券面印刷に使用されるプリンタの印字方式は、ドットインパクト方式や感熱式などが用いられる。近年は保守の容易さから感熱式が主流であるが、印字の耐久性に難がある。

用途[編集]

乗車券用[編集]

鉄道の乗車券用の自動券売機は、1970年代以降、大都市圏を中心に普及が本格化した。これらの券売機は、自動改札機の使用を想定して、乗車券表面への印字だけでなく裏に塗布された磁気記録面に対して券片の情報を記録する機能も持つ。ほとんどの鉄道駅や一部のバスターミナルに設置され、主に短距離の乗車券類を販売する。

利用できる硬貨・紙幣・カード[編集]

1980年代以前は、その用途(短距離・低価格のチケットの販売)から硬貨専用の機種がほとんどで、切符の額に合わせた貨幣しか入らないものもあった(2010年現在でも見られる)。その後は硬貨に加え、紙幣は千円札のみ受け入れるボタン式が主流となったが、今日のように高額紙幣を受け入れて千円札を釣り銭として払い出す券売機はそれほど多くなかった。低額貨幣しか使えない券売機を補完するために、紙幣の両替機が設置されるケースもあった。なお1970年代前半までは運賃が5円単位となっていた事業者もあったため、過去には五円硬貨が利用できる券売機も存在した。1990年代後半以降のものは2千円札・5千円札・1万円札に対応し、千円札のほか2千円札や5千円札を釣り銭として払い出す機能を有するようになった。

ただし1970年代後半に登場した新幹線用の自動券売機(当時は自由席のみ)は、当初から高額紙幣に対応していた。

日本国外では、以前の日本のように硬貨しか受け入れない券売機が主流だが、近年は小額紙幣のみならず、全貨幣を受け入れるものも増加しつつある。

自・提携事業者が発行する磁気式プリペイドカードに対応している場合、券売機でプリペイドカードを購入したり、プリペイドカードを挿入口に挿入して乗車券類を購入したりできる場合がある。また、SuicaPASMOなどIC式プリペイドカードに対応した券売機であれば、乗車券類・ICプリペイドカードの購入のみならずプリペイド金額の積み増し(チャージ)、ICカード使用履歴の確認・印字などができるものもある。いずれも、当該事業者の旅客営業規則その他の約款に基づいて機能が提供される。

領収書[編集]

前述のように、当初の券売機は主に低額な乗車券を扱うため、領収書は発行されないものが多かったが、現在では現金で購入した短距離乗車券の領収書を発行できるものも存在する。また、定期券自動券売機および新幹線などの長距離乗車券類の券売機では、ボタン操作で領収書の発行が可能なものが多い。なお、現金購入した切符類へ集札時に無効スタンプを押印してもらうことでも領収書と同様の効力を持つ。

その他[編集]

鉄道事業者が券売機に釣り銭を誤って装填する(100円硬貨10円硬貨を逆に入れるなど)ミスがしばしば発生しており、駅の掲示物やウェブサイトで告知されている。

券売機が機械化・電子制御される昨今、上述のような基本機能の他にも様々な付加機能がつくものも多い。

  • 間違って買った乗車券類を取り出し口から押し込むと、代金が払い戻されるもの(仙台市交通局など)
  • 乗車券を購入の際、運賃のほかにカード保証金を合わせて支払うことで、乗車後、券売機に乗車券を返却すると保証金が払い戻される(デポジット)もの(乗車券が完全にIC化されているシンガポールMRTなど)

日本では、代金を投入してから券種のボタンを押すものが多いが、日本国外では代金投入前に券種を選択する方式が多い。両方の方式に対応したもの(JRのタッチパネル式など)も設置されている。また、代金投入前に券種を選択した場合には、投入金額が乗車券類の代金に達した時点で受入れが中止されて釣り銭が支払われるものもある。

また、旅客鉄道会社の一部の境界駅に設置されている自動券売機には、JR会社区間を区別する機能を付加しているものがある(例:南小谷駅辰野駅など)。JR発足当初はすべての境界駅でこの機能が付加されていたほか、境界駅に近い駅でもJR他社区間を指定する機能が付加されていた(JR発足当初は、JRの会社区間を厳密に指定しないといけなかったため)。この券売機の場合は券面に、発券する会社と同じ路線の場合「○○会社線」と表示され、異なる会社の場合は「鉄道会社線」と表示される。

更に、JR八戸線の長苗代〜鮫間の終日無人駅では、八戸線内用と八戸駅経由青い森鉄道線連絡用の2種類の自動券売機が設置されている。

地方の私鉄では、後述する食券用自動販売機が乗車券用に利用されていることがある。

指定券自動券売機[編集]

JR東日本の指定席券売機
MV35型(右)とMV30型(左)
(上野駅中央改札窓口内にて)

JR各社で1990年代以降、マルスに接続され、新幹線などの指定席特急券が発行可能な自動券売機が設置されている駅がある。有人の指定席券発売窓口であるみどりの窓口と異なり、発売している列車や路線などに制限がある。主に設置駅での発券頻度が高い列車・路線を扱っている。

JR各社[編集]
  • 東日本旅客鉄道(JR東日本)には、東京近郊および新幹線特急列車の停車する主要な駅を中心に、指定席特急券を購入できる券売機が設置されている[1]。以前のJR東日本が独自に開発した端末には、「トラベルエディ」という愛称があったが、この名前は撤去されその後の下記の端末には使用されていない。単に「指定席券売機」と呼ぶだけである。
    • 「指定席券売機」という名前は新幹線専用のようにも思われるが、実際には在来線も扱っており、定期券など各種切符や割引切符も購入可能。一定の範囲で設置駅以外の任意の駅間や日付も指定でき、従来の券売機の機能を大幅に増やした、みどりの窓口の機能に近い券売機である。
    • 鉄道情報システム(JRシステム)と沖電気工業が開発したもので、2015年時点では熱転写印字式のMV30型およびMV35型、感熱印字式のMV35D型およびクレジットカード専用MV35C型、性能を更新した感熱印字式のMV50型が使用されている。これらは特急券のほかに、トクトクきっぷや普通乗車券(東京近郊の駅ではJR線の任意の区間、一部の地方路線の駅では自駅発のみ、および連絡他社線にまたがる区間の乗車券を購入可能)・磁気定期券、Suica定期券(Suica取扱駅のみ)も購入できる。この券売機の導入に伴って、オレンジカードに対応している自動券売機での新幹線自由席特急券の販売を終了した駅や、定期券券売機の設置数が減らされた駅もある。一部の列車を除き、シートマップから座席を選択できることが特徴である。
    • 2007年12月から、新幹線・在来線乗継メニュー内で時刻検索機能が利用できるようになり、マルスの時刻検索機能を利用してJR全線(博多南線など一部路線を除く)および連絡他社線の列車時刻・乗換検索、および当該区間・列車の乗車券・特急券などの発売が可能となった。これにより、以前は設置駅周辺を発着する、あらかじめ設定された列車および新幹線からの乗り継ぎのみ発売が可能であった特急券・急行券などに関しても、JR全線および連絡他社線の任意の区間について発売ができるようになっている。JR西日本(みどりの券売機)もこの機能を使用しているが、検索された列車が全区間普通列車の場合は発売駅が発駅となる場合以外は購入が不可能な設定となっている駅が多い点が異なる。
    • 2008年4月からは、インターネットで予約した定期券の購入(ネットde定期券)、普通回数券の購入、本日以外の指定券の乗車変更、さらには現金で東日本管内の駅の指定席券売機で購入したものについての払戻し機能が付加された。
    • えきねっと」受取専用機としてジェイアール東日本情報システムの独自開発によるMEV型が使用されている。
    • かつて、地方の一部の駅には、みどりの窓口の代わりとして設置された、通信による対話機能付き指定席券売機「もしもし券売機Kaeruくん」が存在した。この券売機は操作型の指定席券売機や多機能券売機に置き換えられ、すでに全廃されている。
    • 東海道本線の熱海駅では、ホーム上に指定席券売機が設置されている(一部機能に制限あり)[2]
  • 東海旅客鉄道(JR東海)には、新幹線特急券をメインとした指定席特急券が発行可能な自動券売機が主要駅に設置されている。また、エクスプレス予約の受取専用またはクレジットカード専用機も使用されている。
    • JR東海では、かつて「エクスプレス券売機」という愛称を使用していたが、JR西日本でもエクスプレス予約の取り扱いを開始して以降は、広告宣伝ではほとんど使われていない。また、券売機自体の多数から愛称表記が取り除かれている。
  • 西日本旅客鉄道(JR西日本)には「みどりの券売機」と称する指定席特急券の発券用の券売機として、MV30型・MV50型などが設置されている(初代のMV10型登場からしばらくは『指定席自動発売機』という名前で、愛称はなかった)。JR東海と同様にエクスプレス予約・5489サービス受取専用機としてMV40型などを使用している。
  • 北海道旅客鉄道(JR北海道)にも同様に、札幌駅新千歳空港駅旭川駅新函館北斗駅函館駅等に指定席特急券を購入できる指定席券売機が、札幌駅と新千歳空港駅に快速エアポート」のuシート専用指定席券売機が設置されている。
  • 四国旅客鉄道(JR四国)では、2008年3月15日に高知駅に設置されたMV30型指定席券売機が最初の事例である。2008年6月1日には高松駅にも導入、その後、松山駅坂出駅丸亀駅新居浜駅などにも設置された。高松駅には5489サービス・エクスプレス予約受取専用端末も設置されている。
  • 九州旅客鉄道(JR九州)には、博多駅小倉駅などに指定席・自由席特急券・2枚きっぷ4枚きっぷ・継続定期券を購入できる指定席券売機が設置されている。また、博多・小倉・長崎大分熊本鹿児島中央の各駅には、JR九州電話・インターネット予約の受取用に「ご予約きっぷ受け取り専用機」端末が設置されている。

JR東日本・JR九州・JR四国およびJR西日本の端末では、短距離区間の乗車券購入でも領収書(JR九州のみ宛名欄なし)を発行することが可能である。また、各社のインターネット予約サービスで予約した切符の受け取り(えきねっと・エクスプレス予約・e5489など)が可能である。

私鉄各社[編集]

私鉄の場合、有料の座席指定特急列車を運行している路線自体が少なく、自動販売機があってもJRとは異なり自社の列車に限られる上、当日分のみで前日以前の前売り予約には対応していないものが多い。また前売り予約が行なわれている会社の駅であっても、乗り換えによる当日のみの需要に限定されるため、ホームに設置された券売機では当日の近い時間に発車する列車数本分のみの発売となっていて、前売りが行なわれているのは改札外の切符売り場設置の券売機のみである。しかし、その導入は国鉄・JRに比べて早く、1990年代以前から駅での指定席券売機の導入を行なっている事業者もある。

  • 小田急電鉄の各駅に設置の自動券売機の多くでは、通常の乗車券類やPASMOのほか、全車指定席の特急ロマンスカーの特急券や企画乗車券などが購入可能である。さらに各駅で最低1台は、定期券の発売も可能となっている。新宿駅などの一部の特急停車駅では特急券のみ購入可能の券売機が設置されていることがある。
  • 近畿日本鉄道近鉄特急)・南海電気鉄道東武鉄道および名古屋鉄道の一部の駅でも、指定席特急券(名古屋鉄道は特別車両券「ミューチケット」)券売機が駅構内の改札外やプラットホーム上などの改札内に設置されている。
  • 京成電鉄では販売可能な空席数が小田急電鉄や東武鉄道などに見られるような「○(空席あり)」「△(残りわずか)」「×(空席なし)」の三段階表示ではなく、具体的な数字で表示される。
日本国外の鉄道[編集]
台湾高鉄の自動券売機
台湾桃園駅

日本国外では、特に長距離列車においては窓口発券が一般的とはいえ、駅構内に指定席券売機を設置する鉄道事業者のある地域もある。

  • フランス国鉄(SNCF)の駅では、操作により座席指定のあるTGVなどの列車の座席の予約ができ乗車券などを発券するタッチパネル式の指定席券売機が早くから導入されている。かつてのものはクレジットカードのほか現金払いにも対応していたが、硬貨のみを使用可で紙幣を使用できず、現在設置のものはクレジットカード決済のみに対応する。画面表示の言語フランス語のほか英語などの表示も可能である。指定席券売機の操作で座席を予約して購入することだけでなく、かつてはミニテルで、現在ではインターネットでクレジットカード決済による列車の座席予約ののち、乗車前に駅の指定席券売機で予約番号などを入力したのち当該切符の受け取りもできる。
  • ドイツ鉄道(DB)の駅に設置されているタッチパネル式の長距離切符用券売機では、発駅から着駅への移動について、列車種別ICEICなど)の選択のほか、経路では通常多く利用される経路以外も選択でき、車両や座席の等級(一等か二等か)、座席予約を行なうか行なわないか(指定席か自由席か)も選択できる。SNCFのTGVなどの指定席券売機同様に、画面の表示言語をドイツ語から英語・トルコ語などの他言語に切り替えられ、また、現金決済に非対応でクレジットカード決済にのみ対応する。
    • また最近では、1台の券売機で切符の内容の決定と支払、発券にすべて対応する方式ではなく、利用者がタッチパネルで購入する切符の内容を決定して、その内容が印字されバーコードの付いた控えの紙面を発行する機器と、利用者が控えの紙面のバーコードを読み取らせて支払を行なったのちに正式な切符を発券する機器とが、それぞれ別に駅構内に設置されている方式もある。ただし発券・支払専用の機器では、クレジットカード決済のみならず現金決済にも対応する。前者の機器では先述の従来の券売機同様に、利用者が使用言語や発駅、着駅、列車種別、座席予約の有無などを選択する。控えの紙面の発行から1時間以内に、後者の機器で支払と発券を済ませなければ自動的に切符の内容と予約が取り消される。
  • トレニタリア(イタリア)が駅構内にタッチパネル式の長距離切符用券売機を設置し、DBやSNCFのそれらと同様に、利用者が画面表示の言語(イタリア語から英語などへの切り替え)や発駅、着駅、乗車日、時間帯、乗車する列車、等級、座席予約が任意の列車でのその有無(ユーロスター・イタリアなど全車全席指定の列車を選択した場合はこの限りではない)などを選択する。座席予約が任意の列車でのその場合と座席予約を要する(全車全席指定の)列車選択の場合には座席の位置(窓側か通路側かなど)を選択できる。クレジットカード決済のみに対応する機器だけでなく、現金・クレジットカードいずれの決済にも対応する機器もある。
  • 韓国鉄道公社に設置されている指定席券売機は、当初は鉄道会員専用であり、予約決済済みの乗車券受け取りか、クレジットカード決済による乗車券購入しかできなかったが、その後新型機を導入し、現金決済や会員以外も利用できるようになった。また、購入済みの乗車券の払い戻し機能もある。
  • 台湾では、台湾高速鉄道台湾鉄路管理局で設置されている。台湾高速鉄道に設置されているものは、現金以外にクレジットカード、キャッシュカードの利用が可能であるが、キャッシュカードは台湾以外での発行のものは利用できない。台湾鉄路管理局に設置のものは、通勤電車の区間車以外のすべての列車が発券可能である。また、両社ともインターネット予約した乗車券の受け取り機能もある。
  • 中国では、高速鉄道の一部で指定席券売機が導入されている。なお、2011年6月1日に高速鉄道の乗車券購入の際の氏名や身分証番号を登録する「実名制」が導入されたため、外国人は利用できなくなった(購入時に身分証を読み取らせる必要があり、現状では中国人の国民身分証しか認識されないため)。

定期券発売機[編集]

定期乗車券は乗車券に氏名などを書き込む、経路を確定させなければならないなど、普通乗車券と比べて購入手続きが煩雑という理由で、長らく窓口のみの発売であった。しかし、技術の発達やコスト削減などのために、私鉄や地下鉄では定期券発売駅(窓口)の集約が行われた後、定期乗車券が購入できる自動券売機が登場した。

初期のタイプは、過去に発行された旧券がないと購入できない仕様になっていたが、新しいタイプは旧券がなくても新規購入ができるようになっているものが多い。通学定期券のように証明書のチェックを要するものは、新規購入する場合は自動定期券発売機では発売せず、係員窓口で販売することが多い。あるいは、顧客が集中する新年度には、係員が自動定期券発売機の設定を一時的に変更して、その発売機で通学定期券を販売することもある。その場合、操作案内も兼ねて券売機横に係員が常駐し、証明書を確認の上、購入操作をする。継続で購入する場合は通常の定期乗車券と同様に定期券発売機で購入することが出来るが、年度をまたいだ期間で購入するか、新年度になって初めて購入する場合は新規購入と同様に証明書類を添えて窓口で購入することになる。

取り扱いは事業者によって異なるので、購入前に確認が必要である。

最近は、一台で定期乗車券も普通乗車券も両方発行できるような複合機能を持ったものも登場している。しかし定期乗車券を継続する場合であるにも関わらず氏名の入力を求められるなど、逆に不便になっているものもある。日本では京浜急行電鉄で初めて複合機能を持つ自動券売機が登場し、今日では全国に普及しつつある。[3]

  • JR東日本では上記の「指定券自動券売機」に加え「多機能券売機」でも定期券の発売に対応している。設置駅は多機能券売機設置マップで確認でき、みどりの窓口や指定席券売機の設置されていない駅(津田山駅矢部駅山手駅など)でも定期券購入が可能である。
  • 東京メトロでは管理駅全駅に「多機能券売機(ピンク色の自動券売機)」を設置しており、通常の乗車券類やPASMO、企画乗車券の他に定期券も購入可能である。
  • 福岡市地下鉄の各駅に設置の自動券売機の一部(ディスプレイ式)では、通常の乗車券類や一日乗車券などが購入可能である。さらにディスプレイ式の一部券売機では、はやかけんの販売や交通系ICカードのチャージ・定期券の発売も可能となっている。また、誤って購入した乗車券を券売機の指定箇所に挿入すると、無料で払い戻しができるようになっている。かつては、えふカードよかネットカードワイワイカードなどの磁気式乗車カードの購入もできたが、廃止された現在は購入も利用もできない。

通常、継続購入の場合は、旧定期券が自社で発行されていることが条件である。もし旧定期券が他社発行のものである場合、継続購入はできないので新たに「新規」扱いで購入することになる。この場合、新規通学定期券など、購入に証明が必要な定期券が購入できないこともある(「新規の通学定期券」として購入する場合、係員発売所のある駅に行かなければならない鉄道事業者が多い)

金券ショップ[編集]

日本では、割引率の高い回数乗車券をバラ売りする金券ショップが存在するが、薄利多売によるビジネスモデルを形成するため営業時間が限られている場合が多い。営業時間の短さを補うため、一部の金券ショップでは自動券売機による販売を行なっている。 金券ショップは、鉄道会社などから正規券を購入し、それを再販するため、印刷発行式の機械は使用できない。そこで、たばこや小物類の自動販売機を流用しているケースが多い。切符類をたばこサイズのケースや封筒等に収め、それを販売する仕組みである。また、新幹線などの高額チケットを扱うものでは高額紙幣にも対応している。そのためケースや封筒よりも大きくなる青春18きっぷなどは販売できないことが多い。

食券・入場券用[編集]

食券販売機の例(IKEA船橋1階ビストロのネッツエスアイ東洋製食券販売機。この券売機ではSuicaの利用が可能である)

かつては、食券といっても紙券ではなくプラスチック製のプレートを払い出す自動販売機に近い券売機[4]が広く使われていた。用意した数量分の食券を自動券売機に充填すれば残数管理もできた。一方で、食材があっても機械内のプレートが切れてしまえば券売機上は売切表示となってしまったり、収容できるメニュー数や食券枚数が機械の物理的制約を受けるなどの欠点があった。そのような欠点を解決した印刷発行式の食券販売機が広く普及した。 基本的な構造は乗車券用と同じだが、磁気エンコード機能は一般的には不要である。鉄道用自動券売機の多くが駅事務所室内からメンテナンスができる後方保守形式をとる半面、省スペースを重視する食券券売機では前面保守形式をとっているものが多い。一方、鉄道用には求められない半券付き食券類発券機能、残数管理、時間別発券可否機能や販売管理機能が充実しているものが多い。 券の材質は紙(印字)の他、着色されたプラスチック製プレート(色とメニュー種別が対応付けされている)の場合もある。購入と同時に注文内容が厨房に伝送されるオーダリングシステム連動タイプもある。 施設等の入場券販売機に関しては、入場券そのものが記念品となることもあり、単純な印刷発行機ではそのニーズにこたえきれない場合がある。そのため、ロール状の印刷済み入場券を指定サイズでカットして販売する機械も存在する。発展形として、その一部分に印刷可能スペースがあり、日付など任意の印刷に対応する高機能機もある。

千円札のみを受け入れる券売機や、千円札と2千円札を受け入れる券売機では、硬貨のみを釣り銭として払い出す機能を有するものがほとんどである。この場合、釣り銭が千円以上であっても、釣り銭切れでない限り500円玉を複数枚払い出すことで対応している。一方、5千円札および1万円札をも受け入れる券売機の場合は、前述の「乗車券用」と同じく紙幣を釣り銭として払い出す機能を有する。

鉄道用券売機向けに開発された技術が搭載されている機種もある。具体的には、非接触型ICカードによる購入機能、硬貨の複数枚一括投入機能、硬貨・紙幣投入口を低い位置に設置したバリアフリー設計などがある。

一方で、地方の中小私鉄やJR閑散路線では、鉄道用券売機より比較的安価な食券用券売機を鉄道向けに調整して使用しているケースが見られる。これらの機種では無人駅に設置されることを前提に防犯機能が強化されているものが多い。JR西日本の岡山・広島エリアではICOCA対応のタイプもある。

投票券用[編集]

ボートピア岩間に設置された日本トーター製の自動投票払戻機
JRA東京競馬場に設置されている富士通フロンテック製の自動勝馬投票券発売機

馬券や車券、舟券といった、公営競技投票券も、場内や場外施設の自動券売機(自動投票機)で販売されている場合も多い。外観は銀行のATM(現金自動預け払い機)に似ており、販売時間を短縮するため、投票者は予めレースや馬(選手)番号・賭式(単勝・複勝・連単など)を塗り潰したマークシートOCRに読み取らせて購入する方式を取る。マークシートのエラー(機械的な読み取り不良、存在しない番号をマークするなどの誤記入など)を修正するため、タッチパネル方式の液晶ディスプレイが内蔵されている。

これと対になるものとして、的中投票券を払い戻す自動払戻機がある。同様に銀行ATMに似た外観で、的中投票券を挿入すると払戻金(配当)が払い出される。機能としてはCD(キャッシュディスペンサー)に近い。

なお、近年は自動投票機と自動払戻機の機能を両方有する『自動投票払戻機』の設置が進んでいる。この券売機では、「的中投票券の払戻金を、そのまま別の競走の投票券購入に充てて、端数は現金で受け取る」といったことが可能になるだけではなく、最終レースの締切以降に払戻機能専用モードに切り替えることで、払戻窓口の混雑解消に役立っている。

プリペイドカード[編集]

テレホンカードやプリペイド式乗車カードなど、各種プリペイドカードを販売に特化した機種もある。 多くのカードの販売価格が1000円の倍数のため、千円札の受け入れのみで釣り銭の払い出し機能を有しない券売機か、2千円以上の紙幣をも受け入れて、かつ紙幣の釣り銭を払い出す機能を有する券売機が多い。 50度数テレホンカードの1枚販売・コピー機用プリペイドカードなど、販売価格が100円単位のプリペイドカードを扱う自動券売機も少数ながら存在する。この場合、硬貨の受け入れ・払い出し機能をも有する。 病院のレンタルテレビ用プリペイドカードシステムでは、販売機とともに、退院時に使用する返金機とセットで設置されることもある。 社内食堂など、閉じられた空間で利用できるカードの券売機も存在する。その場合、追加チャージ機能を備えている場合もある。

テレホンカード自動券売機[編集]

公衆電話ボックス内に、千円紙幣で105度数(1,050円分)のテレホンカードを購入できるシンプルなカード販売機が設置されていた時期があった。また、公衆電話が多数並ぶところや、NTT支店等で、最大8種類のテレホンカードを扱える自動販売機も設置されていた。いずれも、公衆電話の利用率低迷等の理由で、設置台数は減少傾向にある。また「KDDIスーパーワールドカード」のような、国際電話プリペイドカード用自動券売機が、国際空港に設置されている[5]

プリペイド式乗車カード専用自動券売機[編集]

基本構造はテレホンカード券売機と類似しているが、プリペイド式乗車カードの券売機では領収書の発行機能を備えたものもある。 鉄道・バス用プリペイド乗車カード専用自動券売機は、前述のIC乗車券への置き換え、及び乗車券自動券売機の多機能化で、急速に設置台数が減っているが、宇野自動車のように、車内にバスカード券売機を設置していた事業者もある。

ハイウェイカード自動販売機(全廃)[編集]

高速道路のサービスエリアなどにハイウェイカードの自動販売機が設置されていたが、同カードの廃止に伴い撤去された。領収書発行機能を備えていた。

切手[編集]

自働郵便切手葉書売下機のレプリカ。現存する日本最古の自動販売機。逓信総合博物館の展示。

日本の切手の自動券売機としては、1904年山口県の発明家俵谷高七が考案した「自働郵便切手葉書売下機(じどうゆうびんきってはがきうりさげき)」があるが、動作の正確さに難があり、実用化には至らなかった(なお、この券売機は現存する日本最古の自動販売機として逓信総合博物館が所蔵している)[6]

一時期ふみカード対応の機械式切手自動券売機が全国の郵便局などに展開された。基本構造はロール状の印刷済み切手を、販売枚数でカットして販売する。領収書の発行に対応し、はがきが販売できる機種も多かった(消費税3%時代のはがき41円及び私製はがきへの貼付に用いる41円切手、主に定型内郵便物に使われる62円切手等は、1円ないし5円硬貨が券売機では扱えないため、10の倍数の金額となる枚数単位での販売となっており、41円時代のはがきや41円切手は10枚単位、62円切手は5枚単位での販売となっていた。10円切手などの、当然に1の位の端数がない金種の切手等は1枚単位で購入可能)。

また、はかりをそなえ、郵便窓口にある機械同様の郵便証紙(メータースタンプ)を印刷発行する券売機も存在し、「証紙販売機」と呼ばれた。証紙は日付が印刷され、消印の代わりになることから、設置箇所は原則郵便局内に限定され、発行後は当日中の投函を要した。印刷式券売機の普及に伴い、同一の切手台紙に金額のみを随時印刷する方式なども試された。その後、ふみカード廃止、コンビニエンスストアにおける切手類販売の拡大など情勢の変化もあり、多くの券売機は撤去された。

海外においては、機械式で、コインを入れると切手が出てくる券売機が普及している都市もある。

収入印紙・収入証紙[編集]

国に対する支払いのための収入印紙や、地方自治体への支払いのための収入証紙について、役所などに自動券売機をおいて発売しているところがある。多くの場合、手続き毎に手数料額が決まっているため、券種ごとに発売するのでなく、予め手数料額に合わせてセットで販売されている場合が多い[7]

教育機関での手数料決済用の証紙・金券発行機[編集]

大学等の教育機関によっては、証明書の発行申請等の折りに、窓口での現金授受を行わず、手数料相当分の証紙(その教育機関のみで通用する金券で、いわゆる食券のような紙片の場合と、金額が記載されたシール状のものとがある)を発行する券売機を設置しているケースもある。証紙を申請書に添付あるいは申請書への貼付がなされた状態で、申請及び手続きが実行される。

近年では、証紙の券売機ではなく証明書自動発行機[8]を設置する教育機関もあり、在学生は、学生証のスキャンと事前に設定された(変更可能な場合が多い)パスワードの入力及び証明書代金の投入により、その場で自動出力されるところもある(厳封を希望する場合は、発行機から発行されたものを即時に窓口に提出することで対応する)。卒業生の場合は、必要な証明書を画面上で指定し、手数料分の現金を投入すると、証明書ではなく、発行を希望する証明書の内訳が記載された申請書が出力され、そちらに氏名や卒業年月日、在籍当時の学籍番号等を記載した上で、本人確認書類の提示とともにその申請書を提出することで、窓口での発行(あるいは、即時発行ができない証明書や特に希望がある場合等は、後日の郵送対応)がなされる。

メーカー[編集]

(順不同)

脚注[編集]

  1. ^ 鉄道における自動券売機の変遷 - JR東日本 (PDF)
  2. ^ JR東日本:駅構内図(熱海駅)
  3. ^ 全ての自動券売機が定期券対応という訳ではなく、自動券売機が何台かあるうちの数台のみが定期券の発売に対応していることが多い。
  4. ^ 一部の温泉施設でもこの型の券売機を使用。
  5. ^ ネット以外でのご購入方法について KDDI株式会社
  6. ^ 逓信総合博物館ていぱーく 現存する日本最古の自動販売機「自働郵便切手葉書売下機」
  7. ^ 例:山梨県・手数料
  8. ^ 一般の券売機製造メーカーのもののほか、証明書発行機については、内田洋行をはじめとした、教育関連の販材を扱うメーカーでも取扱いがある。

関連項目[編集]