一万円紙幣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

一万円紙幣(いちまんえんしへい)は、日本銀行券の一種。一万円券一万円札万札万券とも呼ばれる。額面である10000は日本銀行券で最高額である。

現在発行されている一万円紙幣は、2004年平成16年)から発行されている福澤諭吉肖像E号券である。ほかに、かつて発行されたC号券D号券があり、これまでに発行された一万円紙幣は全部で3種類存在する。歴代の一万円紙幣は、いずれも茶色を基調としたデザインとなっている。

C号券[編集]

Series C 10K Yen Bank of Japan note - front.jpg
Series C 10K Yen Bank of Japan note - back.jpg

1958年(昭和33年)11月20日の大蔵省告示第237号「十二月一日から発行する日本銀行券壱万円の様式を定める件」[1]紙幣の様式が定められている。

初の一万円券として発行され、高度経済成長の一端を担うこととなった。当時の大卒初任給が1万3000円ほどということもあり、小銭を扱う業種では釣銭への対応が難しいといった問題提起[3]や、そもそもこのような高額紙幣は発行する必要があるのかという議論がなされたが、発行されると高度経済成長とともに順調に流通量が増えていった。透かしは法隆寺夢殿。製造原価は11円27銭(1951年時点)。

D号券[編集]

Series D 10K Yen Bank of Japan note - front.jpg
Series D 10K Yen Bank of Japan note - back.jpg

1984年(昭和59年)6月25日の大蔵省告示第76号「昭和五十九年十一月一日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件」[4]で紙幣の様式が定められている。

  • 額面 壱万円(10000円)
  • 表面 福澤諭吉
  • 裏面
  • 寸法 縦76 mm, 横160 mm
  • 記番号色 黒色, 褐色
  • 発行開始日 1984年(昭和59年)11月1日
  • 支払停止日 2007年(平成19年)4月2日[2]
  • 有効券

D号券からは肖像に文化人が採用されており、一万円券には福澤諭吉が選ばれた。なお、D券及びE券には「福澤諭吉」ではなく「福諭吉」と書かれている。視覚障害者が触覚で容易に券種を識別できるよう、透かしにより表面から見て左下隅に識別マーク(○が横に二つ、点字の「う」)が施されている。E号券発行の直前及び直後にD号券の偽札が相次いで発見された。

初期の記番号(記号及び番号)は黒色で印刷されていた[4]が、1993年(平成5年)12月1日から、記番号が褐色[5]、マイクロ文字・特殊発光インキ等の偽造防止技術を施した券を発行した(黒色記番号は全部使い切ってはいなかった)。褐色記番号の紙幣については、中央省庁再編及び独立行政法人化に伴う製造者の名称変更に伴い、発行当初の「大蔵省印刷局製造」[4]、2001年(平成13年)5月14日発行分からの「財務省印刷局製造」[6]、2003年(平成15年)7月1日発行分からの「国立印刷局製造」[7]の3種が存在する。

E号券[編集]

10000 Yenes (Anverso).jpg
10000 Yenes (Reverso).jpg

2004年(平成16年)8月13日の財務省告示第374号「平成十六年十一月一日から発行を開始する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件」[8]で紙幣の様式が定められている。

  • 額面 壱万円(10000円)
  • 表面 福澤諭吉
  • 裏面 平等院の鳳凰像
  • 寸法 縦76 mm, 横160 mm
  • 記番号色 黒色, 褐色
  • 発行開始日 2004年(平成16年)11月1日
  • 発行中
  • 有効券

2004年の新券発行の際に、唯一肖像が変わらなかった。偽造防止技術には、光学的変化インクを除き、D号二千円券に使われたものが多く採用されている。また、新たに表から見て右側に紙を薄くした「すき」を入れた「すき入れバーパターン」と、見る角度によって像(金属箔に刻まれた絵柄)が変わる「ホログラム」が採用された。一万円券にはすき入れは3本、ホログラムの像はと日本銀行のロゴと「10000」の文字を見ることができる。

また公式に発表されていないが、表面と裏面に片仮名で「ニ」「ホ」「ン」の文字がシークレットマークとして入っているほか、ユーリオンも採用されている。さらにホログラムの上下にも「日」「本」の文字が刻まれている。表面の印章および地紋の一部に紫外線インクを採用しており、ブラックライトを照射すると、表面の印章「総裁之印」及び表面・裏面の地模様の一部ががオレンジ色に発光する。

記番号は当初は黒色で印刷されていた[8]が、129億6千万枚を発行して同色刷の記番号の組合せの全てが使用されることになったため、2011年(平成23年)7月19日発行分から褐色(暗い黄赤)記番号の券が発行されている[9][10]。記番号の組み合わせの枯渇による記番号の色の変更は当時千円紙幣では前例があったが、一万円紙幣では史上初であった。

視覚障害者が指触りで金種を識別できるように、紙幣の下端の左右に凸凹の印刷がされている[11]。一万円札はL字(逆L字)、五千円札は八角形、二千円札は●3つ(点字の「に」)、千円札は_(下線)となっている[12]。また、国立印刷局が、スマートフォンで金種の判別・読み上げができるアプリ「言う吉くん」を提供している[13]

D号券およびE号券の一万円紙幣の肖像には福沢諭吉が使用されているため、俗に「諭吉」とも呼ばれる。このことから、一万円紙幣の枚数を言う時に1人、2人などと人数を数えることがある。[要出典]

2024年度発行予定の新紙幣[編集]

10000 yen obverse scheduled to be issued 2024 front.jpg
10000 yen obverse scheduled to be issued 2024 back.jpg

2024年(令和6年)に予定されている紙幣刷新により、肖像が渋沢栄一に変更される[14]。新たな偽造防止技術としては、現段階で公表されているだけで、高精細すき入れ模様とストライプタイプのホログラムが導入される予定である。視覚障害者のための識別マークは左右に配置され、アラビア数字で「10000」が大きく描かれている。

その他一万円紙幣に関する事項[編集]

日本銀行によると、ミツマタマニラ麻などを原料としており、流通している一万円紙幣の寿命は平均4 - 5年程度である。なお使用頻度が高い五千円紙幣と千円紙幣は1 - 2年である[15]。国立印刷局に納める「局納みつまた」は、2005年の時点で島根県岡山県高知県徳島県愛媛県山口県の6県が国立印刷局と生産契約を結んでおり、局納価格は山口県を除く5県が毎年輪番で印刷局長と交渉して決定された[16]が、生産地の過疎化や農家の高齢化、後継者不足により、2005年度以降は生産量が激減し[17]2010年ごろからはネパール中国産のミツマタの輸入で不足分を補うようになっていた。国内では2016年時点で岡山県、徳島県、島根県の3県だけで生産されており、出荷もこの3県の農協に限られている[18]

一万円紙幣は俗に「大」と呼ばれることもあり、それに対する呼び方は五千円紙幣が「中」、千円紙幣が「小」。[要出典]

世界では、一万円紙幣に相当する程度の高額紙幣(100米ドル紙幣や100人民元紙幣など)は、支払い時に偽札かどうかをチェックされたり、受け取りを拒否されたりすることも多く、近年[いつ?]キャッシュレス化の流れもあって、高額紙幣の廃止論も世界的に高まってきている中、日本の一万円紙幣は偽札かどうかをチェックされることも少なく、不自由なく流通している。[要出典]ちなみに現在発行中で世界一高額な紙幣は、日本円で10万円程度に相当する1000スイス・フラン紙幣である。

さらに高額の未発行紙幣[編集]

  • D五万円券・D拾万円券:それぞれ野口英世・聖徳太子のデザインで、D号券改刷の時に発行が検討されていた[19]。なお、野口英世は後年、E千円券に起用されている。

参考文献[編集]

  • 北康利福沢諭吉 国を支えて国を頼らず講談社、2007年3月29日。ISBN 978-4-06-213884-0

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 1958年(昭和33年)11月20日、大蔵省告示第237号「十二月一日から発行する日本銀行券壱万円の様式を定める件
  2. ^ a b 現在発行されていないが有効な銀行券 一万円券、日本銀行
  3. ^ 「悲鳴を上げる窓口 小銭扱う興行街や駅など」『朝日新聞』昭和28年9月3日 7面
  4. ^ a b c 1984年(昭和59年)6月25日、大蔵省告示第76号「昭和五十九年十一月一日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  5. ^ 1993年(平成5年)6月24日、大蔵省告示第134号「平成五年十二月一日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  6. ^ 2001年(平成13年)3月30日、財務省告示第85号「平成十三年五月十四日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  7. ^ 2003年(平成15年)6月13日、財務省告示第482号「平成十五年七月一日から発行を開始する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  8. ^ a b 2004年(平成16年)8月13日、財務省告示第374号「平成十六年十一月一日から発行を開始する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  9. ^ 2011年(平成23年)4月26日、財務省告示第141号「平成二十三年七月十九日から発行を開始する日本銀行券壱万円及び千円の様式を定める件
  10. ^ 日本銀行券一万円券および千円券の記号および番号の印刷色変更について - 日本銀行、2011年4月26日
  11. ^ 視覚障害者の暮らし--お金の見分け方編【FTCJフィリピン盲学校支援事業】
  12. ^ 識別マーク(凹版印刷)
  13. ^ お札識別アプリ「言う吉くん」
  14. ^ 政府、紙幣刷新へ 1万円札は渋沢栄一 - 日本経済新聞 2019年4月9日
  15. ^ お札の特長、独立行政法人国立印刷局。
  16. ^ 和紙原料の生産・流通状況”. 日本特用林産振興会. 2017年6月13日閲覧。
  17. ^ 特産農産物に関する生産情報調査結果(平成 24 年)”. 公益財団法人日本特産農産物協会. 2017年6月13日閲覧。
  18. ^ ミツマタ出荷で集落再生 京都・福知山、紙幣原料に”. 京都新聞社. 2017年6月13日閲覧。
  19. ^ 北 (2007, pp. 7-9)

外部リンク[編集]