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black
 
16進表記 #000000
RGB (0, 0, 0)
CMYK (0, 0, 0, 100)
HSV (-°, -%, 0%)
マンセル値 N1
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(くろ)とはの一つで、無彩色のような色である。が人間の可視領域における全帯域にわたりむらなく感得されないこと、またはそれに近い状態、ないしそのように人間に感じられる状態である。黒は下のような色である。黒色(コクショク、くろいろ)は同義語


日本語の「くろ」や漢字の「」は、「」「砂糖」というように、翻訳においては、黒、茶色褐色とblack,brownが整合しないことがある。

犯罪の容疑があることを俗に「黒」と表現する[1]。「ブラック企業」や「ブラックマーケット」など、不正な事柄や非合法な事物を「ブラック」と表現することがある[1]

光源色としての黒[編集]

Black (webcolor)
  16進表記 #000000

色を光として見るとき、黒は、光がほとんどまったくない状態を意味する。例えばRGBにおいては、3色ともない状態である。従って、本来ブラウン管は黒として発色することはできないため、TV映像では他の色とのコントラストの調整によって人の目には強い黒として錯覚させている。ちなみに、ウェブブラウザでBlackと指定したときは、#000000として定義される。

物体色としての黒[編集]

99.965%の可視光を吸収し反射を押さえた物質(ベンタブラック

物体の黒は、理想としては光の反射率が0ですべての波長の光を吸収する色である。絵具三原色の3色を混ぜる(減法混合)と黒になる。ただし、全ての波長を完全吸収する物質(黒体と呼ばれる)は存在しない。黒光りという言葉があるが、黒の色材(絵具や塗料)に光沢を付与すれば実現できる。「黒光り」という語は塗装面の平滑さなどから来る艶、表面反射を意味していると言える。熱を吸収することを利用した黒色のフォイルが、料理に使用されている。

白に比べて黒は物体を小さく見せる効果がある。たとえば、囲碁に用いる碁石は白石(直径21.9mm)よりも黒石(同22.2mm)の方が0.3mm大きく作られている[2]

黒の色料[編集]

黒い顔料は存在するが、黒い染料は厳密には存在しないとされる。染色で黒色を発色させる際は色の染料を濃くした物を使用する場合がほとんどである。故に紫色の染料(紫根ムラサキイガイ)が貴重品だったころは黒は高貴な色ともされた。エドワード黒太子の由来もここから来ているとされる。

炭素系黒色顔料[編集]

カーボンブラック Carbon Black[編集]

カーボンブラックは、広義には炭素からなる黒色顔料の総称として使われ、後述のランプブラックやボーンブラックを含む。黒色顔料の名称としてカーボンブラックと呼ぶ場合、チャンネルブラックやファーネスブラックなどの極微細カーボンブラックを指す。チャンネルブラックは著しい漆黒度と着色力を持ち、粒子の直径は僅か10nmである。ファーネスブラックは、表面が不活性で、通常カーボンブラックとして取引されているもののほとんどはファーネスブラックである。

油煙 Lamp Black[編集]

ランプブラックは油を不完全燃焼させて得た「」である。使用の歴史は数千年前に遡る。生産効率は悪いが足色に美しい青みが出る特異な色合いの顔料である。

植物黒 Vegetable Black[編集]

植物黒は植物原料を炭化させたもので、使用材料によって「葡萄蔓黒・葡萄蔓炭、バインブラック (Vine Black)」、「桃核黒・桃核炭、ピーチブラック (Peach Black)」などと命名されるが慣用名になっており、例えば「ピーチブラック」を冠する製品は存在するものの広く一般に入手可能な製品に桃核黒・桃核炭を使用した製品は存在しない。一部製品のラベルには植物性黒の使用が記されているが、顔料は既に払底しており実情と異なる。真正の桃核黒・桃核炭を望むならば、例えば火鉢や鞴などの簡便な道具を用いて自作するほかない。このときなるべく高温で焼成すると植物性黒らしい青味の強い黒色顔料を作ることが可能である。ただし当然ながら火には注意しなければならない。植物黒のColour Index Generic Nameは、Pigment Black 8。

骨炭 Bone Black[編集]

獣骨を焼成し製造した黒色顔料。主成分は燐酸カルシウムで発色成分である炭素は10%前後に過ぎない。この値は原料骨によって左右される。象牙は有機物含有量が高いために、象牙黒炭素を多く含有する着色力が強い黒色顔料を作ることができる。しばしばの温床となる、扱いに注意を要する顔料である。油絵具などに見られる「アイボリーブラック」のアイボリー(象牙)は名前ばかりで実際には牛などの骨による骨炭が使用されている。しかし2007年新たに発売された国産ブランド油絵具「油一」の「アイボリーブラック」には真正の象牙による骨炭が贅沢に使用されており、一部で話題となった。2年後の2009年、ホルベイン工業は顔料において、このほかの16種の顔料と同時に真正象牙黒を製品化した[3]

黒鉛 Graphite[編集]

黒鉛は平面状の分子がきちんと層状に積み重なったもので、炭素の原子が蜂の巣状(六角形が二次元的に繰り返された構造)に共役結合した平面分子である。現在グラファイトは顔料の形で購入可能であり、鉛筆から手作りした鉛筆の粉とは性質が異なる。

酸化物系黒色顔料[編集]

の酸化物(マグネタイト四酸化三鉄)や、クロムの複合酸化物、銅、クロム、亜鉛の複合酸化物なども、有用な黒色顔料である。炭素系黒色顔料とは性状が大きく異なる。

近似色[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

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参考文献[編集]

  • ホルベイン工業技術部編『絵具の科学』中央公論美術出版社 1994年 ISBN 4-8055-0286-X
  • ホルベイン工業技術部編『絵具材料ハンドブック』中央公論美術出版社 1997年 ISBN 4-8055-0287-8
  • 川村泰夫『日本の黒染文化史』染織と生活社 1987年 ISBN 4915374130 絶版
  • 前田雨城『色 -染と色彩- ものと人間の文化史38』法政大学出版局 1980年 ISBN 4588203819