オートパイロット

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オートパイロット英語: autopilot)あるいは自動操縦(じどうそうじゅ)とは、乗り物を、人の手によってではなく、機械装置により自動的に操縦する装置・システムを指す名称である。

概要[編集]

乗り物を自動で操縦する装置・システムがオートパイロットである。乗り物の進行方向や速度などを、人の手に代わって、機械が制御する。オートパイロットと呼ばれるシステムは旅客機を始めとした航空機に特によく導入されている他、船舶自動車にも導入されている。

航空機[編集]

エアバスA340型機のオートパイロット設定パネル
飛行管理装置フライトプランを入力するCDU(Control Display Unit)

オートパイロットは旅客機をはじめとした航空機に導入されており、現代の航空機の操縦システムの上では、離陸することは人間(パイロット)が関わることが必要でありオートパイロットではできないが、離陸後 安全高度に達した後に、次の空港に向かうまでの巡航アプローチ(空港への進入)・着陸など、ほとんどの段階で用いることができる自動操縦システムが用意されている。

これらは、慣性誘導装置や外部のマーカー(目印となる電波発信器)などから目的地などに対する自身の相対位置を算出し、予定の移動経路との誤差を自動的に補正するものなどである。単純なものでは、所定の方向(方角)と高度のみを維持し、パイロットの負担を軽減させるなどしている。高度なものでは、FMS(飛行管理装置)に入力された飛行計画に従った方角・高度の自動的な操作が可能であるだけでなく、推進力(速度)の調整も行われる。オートパイロットによる推進力の調整機構はオートスロットル (en:Autothrottle)と呼ばれる[1]。現代の航空機関士を廃した2人乗務のコックピットでは、問題発生時にはオートパイロットに操縦を任せてパイロットが問題解決にあたるのが基本となっている。

航空機のオートパイロットの自律システムは、方位磁石のようなものからセンサージャイロコンパスといった自身の向きや状態・周囲の状況を判定する機能と、操縦装置のコントロールを組み合わせたものだが、さらにはGPS衛星の電波をキャッチして自身の現在位置を測定、予定経路との誤差から、どのように移動すればその誤差を修正できるかを判断するものも登場している。前述の相対位置の割り出し機構と併せて、移動経路を予め入力しておけば、複数経路を巡回して行くことも可能である。ただ、同種機構の操作ミスないし作動不良[2]から、大韓航空機撃墜事件のように悲劇的な事件に発展したケースもあり、こういった機器の過信には絶えず警鐘が鳴らされている。

航空機のオートパイロットのうち簡易なものは、ただ所定の条件下でのみ適切に機能する性質のものであるため、積極的に用いられるのは状況が安定している巡航時の進路誘導においてのみである。その一方で、高度なオートパイロット機能を有する航空機もあり、航空機の運航のほとんどをオートパイロットに任せることも可能となっている。ただし、離陸だけは2013年現在でも手動で行っている。着陸の自動操縦は、計器着陸装置(ILS)を用いて気象条件・パイロットの資格などが整った状況で行う[3]

以上の事情も含め航空機の場合、ある一定高度以上に上昇してしまえば、障害物に突き当たったりする確率は一挙に低下するし、また状況も比較的安定しているため、オートパイロットの採用も進んでいる。しかし、雲の下など地表障害物の危険が予期される空域では、オートパイロットの運用は、それら機器の機能如何では危険である。また、何らかの事情によってオートパイロットが機能しなくなると、結果として手動での操縦ができずに墜落するという事故が多発している。(エールフランス447便墜落事故アダム航空574便墜落事故中華航空140便墜落事故)

船舶[編集]

海洋においては、大型船舶にオートパイロットを搭載しているものもある。

大型船舶の場合、大洋に出てしまえば障害物に突き当たる確率は低下し、運航状況も比較的安定しているため、特にオートパイロットがよく利用される。しかし、障害物(流氷岩礁など)などがある海域では、オートパイロットの運用はそれら機器の機能如何では危険である。

また、接岸などに際しては、船舶のオートパイロットは、航空機のものほど自動化されておらず、補助的なシステムに過ぎないなど、完全自動化には大きな技術的ハードルも存在する。

セーリング・クルーザーなどで用いられる電動式オート・パイロット。針路(船が進む方角)を数字で指定することができる。内蔵されている小さなコンピュータがGPSのデータを用いて自船の針路の変化を計算し、棒状の部分を電動でたえず伸び縮みさせることで、人に代わってティラー・バー(棒)を操作してくれる。
ウインドベーン(英語版)セーリング・クルーザーで使用される、風向きに反応する機械式オートパイロット。風に対する船の向きを一定に保つように作用する。よって、風向きが変わると それに応じて針路も変わる。

セーリング・ボート(ヨット)のクルージングにおいてもオートパイロット装置が用いられることは多い。特にシングルハンド(一人)での航海時には、睡眠時間確保などの観点から必要度は高い。セイリングボートでも他の船舶同様に操縦者は自船の周囲を見張る義務があるが、乗り手は睡眠をとったり炊事・食事をする必要もあり、24時間舵を握り続けるわけにはいかないので、近辺に船舶が無い比較的安全だと判断される海域などでオートパイロットを用いてそうしたことをする時間を確保することになる(レーダーを装備している船では、安全のため、その自動警報のスイッチを入れるなどしておく)。


自動車[編集]

特殊用途

自動運転の自動車はロボットカー等とも呼ばれている。2014年時点では、実用化されているのは、鉱山用車両や軍事車両等、一般的な公道以外で走行する車両のものに限定されていた。

公道

公道での自動運転、街中を走行する場合は、航空機のオートパイロットとは異なり、刻一刻と周囲の状況が変化する中で運転しなければならないため、より高度な情報収集、状況判断、制御を要求される。

2013年時点ですでに、各国で検討、開発が行われていた。

2014年時点で市販化されている機能としてはクルーズコントロール衝突被害軽減ブレーキがあったが、あくまでドライバーの支援という域を出ていなかった。その段階で、自動車のオートパイロットに関して言えば、技術的ハードルはまだ高いとの意見も一部にはあった。

2016年オートパイロット車が承認された。[どこ?]

鉄道[編集]

決められた軌道上を走行するため制御する項目は事実上速度のみなので技術的難易度が比較的低いため、1970年代以降、各地で自動運転の新交通システムが運行されてきた。

技術的ハードル[編集]

以上の各種乗り物のオートパイロット機器は状況が安定している限りにおいて、信頼に値する精度で機能しつづける事が可能な機器である(逆に信頼に値しなければ利用されない)。航空機の自動化は早い段階から進んできたが、状況がめまぐるしく変化する自動車の公道での運転などでは、人間の運転を機械装置に代行させるには高い技術的ハードルが存在するため、検討、開発が行われている段階である。

現代のオートパイロットでは二重三重の安全装置も組み込まれ、人的なミスに対しても警告を発する信頼性設計で危険を回避するように設計されている。これらでは安全確保を最優先とし、矛盾する状況ではより安全性の高い回避行動を取るように設計されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 旅客機の構造#オートスロットル参照。
  2. ^ どちらであったかの結論は出ていないが
  3. ^ 特に、精度の高いILS CATIIIは悪天候での着陸には欠かせない技術であり、パイロットの補助の範疇を超えるものである。