マルチコプター

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カメラ撮影用のマルチコプター
飛行中のマルチコプターDJI-S800

マルチコプター英語: multicopter)とは、ヘリコプターの一種であり、3つ以上のローターを搭載した回転翼機のことである。「マルチローターヘリコプター」や単に「マルチローター」とも言われる。

概説[編集]

放射状に配置される複数のローター(回転翼)を同時にバランスよく回転させることによって飛行する。上昇・下降はローターの回転速度(回転数)の増減によって行い、前進・後進・旋回などは、各ローターの回転数に差をつけ、機体を傾けることで行う。ローターは固定ピッチのものがよく使われ、右回り、左回りのものを交互に配置することで、回転の反作用を打ち消しあっている。

人が遠隔操縦するラジコンヘリコプター、自律飛行が可能な無人航空機(ドローン)、人を乗せることができる有人航空機などがある。ジャイロセンサーによって機体姿勢を制御させるものが主流である。またGPSを備え地理的位置を把握するものもある。

有人機タイプの現状

動力集中式の搭乗機では、部品数が多くなり、動力を伝達する機構が複雑になる事などから実用性には乏しく、実用機には採用されていない[1]。研究開発は続けられており、2011年にはドイツの企業が16の回転翼を持つ有人機を試作した[2]

歴史[編集]

1980年代から一部の愛好家の間では細々と開発が進められてきたが、当時は軽量、高容量のバッテリーや高出力の電動機の入手が困難で尚且つ、姿勢の変化に応じた連携制御が必要だったため、一般の愛好家が飛ばすことは困難だった。1989年7月にキーエンスからジャイロソーサーが発売され、これが契機となり、これまで垂直離着陸機を飛ばした経験のない者でも容易に飛ばせるようになった。この当時、搭載されていたジャイロスコープはモーターでコマを回転させる形式だった。その後、改良され、2000年代以降はスマートフォン等に使用されるMEMSジャイロスコープ加速度センサーが大量生産されて廉価になり、これらを搭載したマルチコプターが普及した。

なお、発明家の中松義郎が12歳の時に発明したと主張している[3][4]

構造と原理[編集]

一般的にマルチコプターは垂直方向に3個以上のプロペラを備える。プロペラの数が2個以下の場合には姿勢を制御する為にサイクリックピッチ機構のような回転中に連続的にプロペラの角度を変える機構が必要になるが、プロペラの数が増える事により、各プロペラの回転数を増減する事で姿勢を制御できる。各モーターの回転数の制御は、搭載されたジャイロスコープで傾きを検出して補正する方向にモーターの回転数を変える。

種類[編集]

ローターの数による分類名[編集]

仕様による種類[編集]

カメラ搭載型[編集]

カメラ搭載型は、空撮や調査などで、人や従来の航空機が立ち入れない未知の視点からの撮影を可能にした。撮影している映像はFPVによって地上でリアルタイムでモニタリングが可能であるが、電波法の制約から出力や帯域が大きく制限されている。

映像制作用の場合、カメラはブラシレスジンバルに搭載されることで揺れのない映像を撮影できるようになった。

用途[編集]

空撮[編集]

以前のラジコン空撮はカメラの揺れが大きいため動画には適さず、写真の撮影がメインであった。しかしDJI社が発表したZ15という新しいカメラジンバルにより、ほとんど揺れのない安定した映像を撮影できるようになった。このようなブラシレス、ダイレクトドライブ方式のジンバルは、他にCINESTAR社からMōVIというものが2013年NABで発表された。

火山観測[編集]

火山噴火時の状況を把握するために、マルチコプターを使用し、自動航行による火口観測や、観測ローバーを山頂に運ぶなどの用途で使用されている。東北大学と、株式会社エンルートとの共同研究で、浅間山新燃岳でのフィールド実験が行われている。

屋内監視[編集]

レーザーセンサーなどを使用し、屋内での自動飛行も可能となっており、警備や、危険区域の探査にも活用されている。

災害調査[編集]

自律飛行可能な利点を活かし、人が立ち入れない場所での調査が期待されている。

防犯[編集]

大手セキュリティ会社、セコムが小型飛行監視ロボットとしてクァッド型のマルチコプターを開発した。

スポーツ・レース[編集]

会場やコース上空からの空撮では、2015年1月22日、スポーツ放送初のマルチコプター(ドローン)による中継を、米国スポーツチャンネルESPNX-Gamesの中継で実施した[5]。日本では、2015年9月6日、インターネットとCATVによるトライアスロン大会の生中継で、マルチコプター(ドローン)による空撮が加わった[6]

遊び、ホビー[編集]

現在、一般の店(ショッピングセンターの玩具コーナーや、玩具店 等々)などで大量に販売されていて一般家庭にも広まっているマルチコプターは、ほとんどが遊び趣味用であり、従来からあるシングルローター(古くからある、いわゆる「ヘリコプター」型)に比べ安定性が高く操縦しやすいことで普及した。撮影用などのプロ用のものと比べると小型・軽量のタイプが主流になっている。サイズに関しては、小さいものでは10cm以下のものから始まり、30~40cm程度のものが多く、(滅多に無いが)大きなものでも80cm程度といったところである。機体の材質は合成樹脂(いわゆる「プラスチック」や「発泡スチロール」状のもの)が多い。

世界的に販売されている数に着目すると、(世界全体で、2015年の時点で、すでに)中国メーカー製のもののシェアが最も(しかも圧倒的に)高くなっているが、日本国内の市場では日本のメーカー製のものも それなりのシェアを保持している。

熱心な愛好者の中には、制御ユニット、モーター、ローター、バッテリー、機体の材料(合成樹脂や炭素繊維など)などを別々に入手し、自作(自力で組み立て)し、飛行実験や趣味的な飛行を楽しんでいる人もいる。

問題点[編集]

個人レベルでも購入・操作できるようになってきたため、首相官邸無人機落下事件文化財などの建築物の撮影や地域のなどの催しで許可なく使用したり、操縦の不注意で衝突・落下が起きるなど、安全管理が問題になっている[7][8][9][10][11][12][13][14]。このような事態を受けて2015年9月4日、改正航空法が可決成立され、使用に関する規制罰則が定められ、12月10日に施行された[15][16][17]

参照・出典[編集]

  1. ^ 「ヘリコプタ」 社団法人 日本航空技術協会 ISBN 4-930858-45-3
  2. ^ 独企業が開発の「電動マルチコプター」、有人飛行に成功
  3. ^ ドクター中松氏 自宅にドローン練習場「12歳の時に発明」
  4. ^ “ドローン発明者”のドクター・中松氏、自宅に世界初「ドローン練習場」開場
  5. ^ 米国コロラド州アスペンにて、ESPNは冬季X-Gamesの中継にドローンからの空撮を取り入れた。「ESPN、スポーツ放送初のドローン中継を実施」、および、「Aerial drone coverage debuts at X Games Aspen」 参照
  6. ^ 佐渡国際トライアスロン大会にて、従来のコース周辺での撮影映像に加えて、バイクコース上空また沖合上空から見たスタート地点やバイクコースの映像も放映された(2015年9月6日 6:00~21:30放映)。同大会「歴史」2015年9月6日 参照
  7. ^ 15歳少年逮捕 浅草・三社祭で「ドローン飛ばす」予告、業務妨害の疑い
  8. ^ 警察挑発、再三の注意無視 ドローン飛行予告少年「答えるつもりありません」
  9. ^ ドローン:姫路城大天守に衝突 窓枠に擦り傷5カ所 兵庫 毎日新聞 2015年9月20日
  10. ^ 姫路城大天守にドローン衝突 男性が出頭
  11. ^ 姫路城にドローン衝突 男性が出頭、謝罪 日本テレビ 2015年9月21日
  12. ^ 「機体見えなくなった」姫路城ドローン衝突事故、操縦の男性名乗り出る 産経新聞 2015年9月20日
  13. ^ 姫路城ドローン衝突、操縦の会社役員が出頭 読売新聞 2015年9月20日
  14. ^ 姫路城にドローン衝突 操縦者が名乗り出る 兵庫県警 神戸新聞 2015年9月20日
  15. ^ ドローン、密集地で禁止 改正航空法が成立 産経ニュース 2015年9月4日
  16. ^ ドローン:法律で規制…密集地の飛行禁止 改正航空法成立 毎日新聞 2015年9月5日
  17. ^ ドローン飛行、国の許可・承認114件 改正航空法、規制初日 産経ニュース 2015年12月10日

関連項目[編集]