マルチコプター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
カメラ撮影用のマルチコプター
飛行中のマルチコプターDJI-S800

マルチコプター(英:Multicopter)とは、ヘリコプターの一種であり、3つ以上のローターを搭載した回転翼機のことである。マルチローターヘリコプターや単にマルチローターとも言われる。

特長[編集]

放射状に配置される複数のローター(回転翼)を同時にバランスよく回転させることによって飛行する。機体の飛行において、上昇•下降はローターの回転数の増減によって行い、前進•後進などは、ローター回転数の増減で、機体を傾けることで進む。ローターは固定ピッチの物がよく使われ、右回り、左回りのものが交互に配置されることで、回転の反作用を打ち消しあっている。

有人航空機、ラジコンヘリコプター、自律飛行可能な無人航空機(ドローン)などがある。GPSジャイロセンサーによって、機体を制御させるものが主流である。

動力集中式の搭乗機では、部品数が多くなり、動力を伝達する機構が複雑になる事などから実用性には乏しく、実用機には採用されていない[1]。研究開発は続けられており、2011年にはドイツの企業が16の回転翼を持つ有人機を試作している[2]

歴史[編集]

1980年代から一部の愛好家の間では細々と開発が進められてきたが、当時は軽量、高容量のバッテリーや高出力の電動機の入手が困難で尚且つ、姿勢の変化に応じた連携制御が必要だったため、一般の愛好家が飛ばすことは困難だった。1989年7月にキーエンスからジャイロソーサーが発売され、これが契機となり、これまで垂直離着陸機を飛ばした経験のない者でも容易に飛ばせるようになった。この当時、搭載されていたジャイロスコープはモーターでコマを回転させる形式だった。その後、改良され、2000年代以降はスマートフォン等に使用されるMEMSジャイロスコープ加速度センサーが大量生産され、廉価になりこれらを搭載したマルチコプターが普及した。

構造[編集]

一般的にマルチコプターは3個以上の垂直方向にプロペラを備える。プロペラの数が2個以下の場合には姿勢を制御する為にサイクリックピッチ機構のような回転中に連続的にプロペラの角度を変える機構が必要になるが、プロペラの数が増える事により、各プロペラの回転数を増減する事で姿勢を制御できる。各モーターの回転数の制御は搭載されたジャイロスコープで傾きを検出して補正する方向にモーターの回転数を変える。

種類[編集]

ローターの数による分類[編集]

仕様による種類[編集]

カメラ搭載型[編集]

カメラ搭載型は、空撮や調査などで、人や従来の航空機が立ち入れない未知の視点からの撮影を可能にした。撮影している映像はFPVによって地上でリアルタイムでモニタリングが可能であるが、電波法の制約から出力や帯域が大きく制限されている。

映像制作用の場合、カメラはブラシレスジンバルに搭載されることで揺れのない映像を撮影できるようになった。

用途[編集]

空撮[編集]

以前のラジコン空撮はカメラの揺れが大きく、写真の空撮がメインであった。しかしDJI社が発表したZ15という新しいカメラジンバルにより、ほとんど揺れのない安定した映像を撮影できるようになった。このようなブラシレス、ダイレクトドライブ方式のジンバルは、他にCINESTAR社からMōVIというものが2013年のNABで発表されている。

火山観測[編集]

火山噴火時の状況を把握するために、マルチコプターを使用し、自動航行による火口観測や、観測用ローバーを山頂に運ぶなどの用途で使用されている。東北大学と、株式会社エンルートとの共同研究で、浅間山や、新燃岳でのフィールド実験が行われている。

屋内監視[編集]

レーザーセンサーなどを使用し、屋内での自動飛行も可能となっており、警備や、危険区域の探査にも活用されている。

災害調査[編集]

自律飛行可能な利点を活かし、人が立ち入れない場所での調査が期待されている。

防犯[編集]

大手セキュリティ会社、セコムが小型飛行監視ロボットとしてクァッド型のマルチコプターを開発した。

ホビー[編集]

現在、市場に出回っている国産のマルチコプターは多くがホビー用であり、シングルローターの従来型に比べ安定性が高いことから、初心者用の小型タイプが主流になっている。

参照・出典[編集]

  1. ^ 「ヘリコプタ」 社団法人 日本航空技術協会 ISBN 4-930858-45-3
  2. ^ 独企業が開発の「電動マルチコプター」、有人飛行に成功

関連項目[編集]