キーエンス ジャイロソーサー
ジャイロソーサー(GYRO SAUCER)は、日本のキーエンスが開発・販売したマルチコプター形式のホビー用無線操縦ヘリコプター。
概要
[編集]1989年(平成元年)7月に[1]、キーエンスホビー事業チーム(現アキュヴァンス)より[2]「ジャイロソーサー E-170」の製品名で発売[1][3][4][5]。市販されたマルチコプターとしては世界初とされ[1][4]、「現在のドローンの原型[2]」「元祖小型ドローン[3]」などとも表現される。なお、発売当時のキーエンスは、ジャイロソーサーを世界初の「室内用電動RC円盤」と形容していた[2][3]。
機体径は約22 cm[3]、飛行重量は120 gで[1]、機体中央には[3]姿勢センサーとともに[4]バッテリーであるニッケル・カドミウム電池(ニッカド電池)が収められており[1][6]、これで4枚のプロペラを駆動させる[3][4]。姿勢センサーは真鍮製のフライホイールを用いた[4]機械式ジャイロスコープで[7][8]、回転制御用のレートジャイロと姿勢制御用のフリージャイロの2種類を備え[3]、小型モーターでこれらを回転させ、傾きをホール素子で検知する[4]。離陸時、プロペラはジャイロの回転が安定した後に始動する[3]。
姿勢センサーの性能故に、可能な飛行はゆったりとしたホバリングのみだった[7]。また、ニッカド電池がもたらす飛行時間は約1分30秒と短いものだった[8][9]。
1990年(平成2年)には、後継機「ジャイロソーサーII E-570」が発売された[5]。飛行時間が延長されるなど性能はE-170よりも向上しているが、2024年(令和6年)現在は生産・修理受付ともに終了している[10]。
2023年(令和5年)現在は、ドローンミュージアム&パークみのにてE-170の実機が「世界初のドローン」と称して展示されている[11]。
諸元(E-570P)
[編集]出典:「RC円盤(E-570、E-770)」[10]
- 機体径:250 mm
- ローター径:135 mm
- 機体重量:90 g
- 飛行時間:3分前後
- 電波到達距離:10 m
- 材質:発泡スチロール
脚注
[編集]- ^ a b c d e 「無人航空機システム(ドローン)の歴史と技術発展」 15頁。
- ^ a b c “会社案内 COMPANY”. アキュヴァンス. 2024年4月19日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)について」 79頁。
- ^ a b c d e f 「ドローン技術の背景,仕組み,発展」
- ^ a b 「やっぱり日本はすごかった。(機体編)」
- ^ 『きちんと知りたい! ドローンメカニズムの基礎知識』 6,7頁。
- ^ a b 「無人航空機システム(ドローン)の歴史と技術発展」 16頁。
- ^ a b 『きちんと知りたい! ドローンメカニズムの基礎知識』 6頁。
- ^ 「無人航空機システム(ドローン)の歴史と技術発展」 15,16頁。
- ^ a b “RC円盤(E-570、E-770)”. アキュヴァンス. 2024年4月19日閲覧。
- ^ Akiko.I (2023年6月29日). “ドローンミュージアム&パークみの”. GIFU SAKURA Media Japan. アドキットインフォケーション. 2024年4月20日閲覧。
参考文献
[編集]- 久保大輔「無人航空機システム(ドローン)の歴史と技術発展」『計測と制御』第56巻第1号、計測自動制御学会、2017年、15,16頁、CRID 1390282681524748928、doi:10.11499/sicejl.56.12、ISSN 0453-4662、2024年4月23日閲覧。
- 稲田幸三 (2018年10月25日). “無人航空機(ドローン、ラジコン機等)について” (PDF). 建設機械施工 Vol.70 No.10. 日本建設機械施工協会. p. 79. 2024年4月19日閲覧。
- 樋口宏衛 (2018年12月). “ドローン技術の背景,仕組み,発展”. 電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト. 電子情報通信学会誌 Vol.101 No.12. 電子情報通信学会. 2024年4月19日閲覧。
- 佐々木邦明 (2018年3月22日). “やっぱり日本はすごかった。(機体編)”. SocialDrone. 2024年4月19日閲覧。
- 鈴木真二監修 日本UAS産業振興協議会編『きちんと知りたい! ドローンメカニズムの基礎知識』日刊工業新聞社、2018年、6,7頁。ISBN 978-4-526-07848-4。