ホットサイクル式ローター

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史上初のホット・サイクル方式ヘリコプターマクドネル XV-1英語版コンバーチプレーン(複合ヘリコプター

ホットサイクル式ローターは、ヘリコプターや、ティルトローター方式の機体におけるローターの回転方式。

概要[編集]

ホットサイクル式ローターは、従来のようにピストンエンジンまたはターボシャフトエンジンからの動力をトランスミッションを介して主回転翼(メイン・ローター)に伝えるのではなく、各種のガスタービンエンジン等からの抽気そのものや、外気と混合してある程度温度を下げた抽気または排気を耐熱・耐圧管などで主回転翼先端に導き、そこから噴射して羽根を回転させる。

回転翼機特有の問題であるトランスミッションなどの複雑な伝達機構による故障頻度や整備性の低下を回避でき、また、大きな慣性モーメントを持つ回転体である回転翼トルクの減殺に不可欠となるテールローターの安全性の問題を二重反転式ローターノーターのような複雑な機構を使わずに回避できる[1]という長所がある。反面、高圧・高温空気にさらされる機体または回転翼の内部配管の腐食や高圧による破損等の問題がつきまとう。1950年代から幾つかの機体試作が行われたものの、2015年現在で実用機は皆無である。

なお、類似の形式として、チップジェットと呼ばれる駆動方式も存在した。これは、回転翼の翼端にラムジェットエンジンなどの推進装置を取り付けて羽根を回転させることで反トルクを生じさせないようにするものである。しかしながら、ラムジェット特有の安定稼動能力の不足や燃料消費に対する同供給の困難に伴う問題による低い航続力など様々な技術上の問題も抱えていたため、ガスタービンエンジン(ターボシャフト・エンジン)の一般化によって姿を消した。

この理論を更に推し進めたのが、羽根(ブレード)先端から圧縮空気を噴出することで仮想的な翼形を生成し、それを用いる方式の研究機、シコルスキー Xウイング(社内名称 S-72)である。

類似機構[編集]

シュド・ウエスト SO.1221は、並列2座のキャビンの後ろに ターボコンプレッサー エンジンであるチュルボメカ アルトウステを搭載し、この機の主回転翼(ローター)は、羽根部(ブレード)の先端から噴出される圧縮空気ジェットで回転した。

したがってトルクを発生しない主回転翼(ローター)回転機構のため、反トルク用のテールローターを必要とせず、この機の剥き出しの尾部支持部(ブーム)には2枚の尾翼と方向舵しかなかった。

脚注[編集]

  1. ^ 回転翼の主軸廻りの回転摩擦があるので、トルク対策が完全に必要無くなるわけではない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]